IoTが生み出す、最高に便利で快適な未来〜第22回NEDOピッチレポート〜

あらゆるモノをインターネットにつなぐことで、新たな価値を加える「IoT」。第22回NEDOピッチでは、このIoTをテーマに、ベンチャー5社によるプレゼンが行なわれました。落とし物を防止する超小型デバイスや、遠隔操作できる配管点検用ロボットなど、私たちの暮らしを便利にするビジネスが生まれています。
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急拡大中のIoTビジネスは、さらなるインパクトを生む可能性を秘めている

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遠くの映像をスマートフォンで見ることのできるネットワークカメラや、脈拍などの身体情報を測定するスマートウォッチなど、近年は様々なモノがインターネットに接続され、IoTデバイスとして活用されています。

日々増えていくIoTビジネスには、IoTデバイスそのものを開発するものもあれば、デバイスから集まったデータを活用するものもあり、過去には技術的に実現不可能だったサービスが、次々とカタチになっています。

こうしたIoTビジネスを発展させるため、期待を集めているのが、ユニークなアイデアや技術を持つベンチャー。2013年から2016年にかけて、大企業とIoT関連ベンチャーの事業提携の件数は約10倍にまで急増しました。

また、2017年に大きく注目されたのは、通信大手のKDDI株式会社が、IoT用の通信プラットフォームを運営する株式会社ソラコムを子会社化したニュースでした。ソラコムは、かねてよりIoT用のネットワーク回線を提供していましたが、KDDIが持つ通信網などの巨大なインフラを活用することにより、グローバル展開の可能性が広がるなど、さらなるインパクトが生まれることが期待されています。

このように、今後も大きな発展の可能性を秘めている「IoT」が、今回のNEDOピッチのテーマです。ユニークな技術やアイデアをビジネスに変えた5社のプレゼンから、かつては想像もつかなかったような、スマートな暮らしのある未来をのぞいてみましょう。

「なくすを、なくす」ために開発された、世界最小クラスのIoTデバイス

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大切なものをなくして困ったことは、誰しも一度は経験したことがあるでしょう。この問題の解決に取り組むのが、MAMORIO株式会社。同社が開発した超小型IoTデバイス「MAMORIO S」を大切なものに取りつければ、紛失を未然に防ぐことができます。

MAMORIO株式会社 代表取締役 増木大己氏「MAMORIO Sは、持ち主から離れた瞬間、スマートフォンのアラームを鳴らして注意を促します。もしアラームを聞き逃したとしても、紛失物の近くを通る人のスマートフォンを通じ位置情報が送信されるため、後から紛失物を見つけだすことも可能です」

2017年12月現在、MAMORIOでは、デバイスの販売にとどまらず、鉄道会社の遺失物センターにデバイスを検知するセンサーを置き、落とし物の所有者に通知するという新たなサービスを展開しています。増木氏は、シール型のデバイスの開発を進めており、さらに使いやすい製品を世に出したいと展望を語りました。

近年、遠隔でカメラの映像を見ることのできるネットワークカメラが流行していますが、他人に映像を覗き見される危険性が問題となっています。この問題を、クラウドビデオプラットフォーム「Safie」により解決するのがセーフィー株式会社です。

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島隆平氏「Safieは動画データを、セキュリティが脆弱なカメラ本体ではなく、クラウド上で管理することにより安全性を高めています。さらに、動画データをクラウド上で使いやすく加工しているため、音声つきの美しい映像を高速レスポンスで見ることも可能にしました」

2017年12月現在、マクドナルドやJR新宿駅など多くの企業がSafieを導入しています。導入企業が増える背景にあるのは、30日間で2,000円からという圧倒的な低コスト。佐渡島氏は、今後も通信会社や不動産業など、幅広い業種のアイデアを取り入れて、さらなる事業成長を図りたいと述べました。

地下でも問題なし、低コストで位置情報を把握できる日本発の新技術

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高齢者の見守りや工場の物流管理など、人やモノの位置を把握する際に課題となるのが、IoTデバイスからの信号を受信する機器「ビーコン」にかかるコストです。サイトセンシング株式会社は、独自の技術により、このコストを約1/20にすることに成功しました。

サイトセンシング株式会社 代表取締役 平林隆氏「私たちが使っているのは、人やモノに取りつけるセンサーで加速度などを測定し、位置を割り出す『自律航法』という独自の技術です。この技術によりビーコンの必要数を大きく減らせるため、コストを下げることができました」

自律航法の技術は、電波の届かない地下でも利用できることから、地下鉄の車両位置の把握など幅広く活用できます。平林氏は、今後、人やモノの測位を必要とする企業に加え、集めた位置情報データを活用する企業とも提携していきたいと述べました。

自動車やドローンなどの自動操縦には、周りの物体との距離を認識する技術が必要不可欠です。株式会社トリマティスが開発する「水中ライダー」という技術は、真っ暗な深海であってもミリメートル単位で、正確に距離を認識することを可能としました。

株式会社トリマティス 取締役 白鳥陽介氏「これまで、水中で遠くのモノとの距離を測定する際には、音波やカメラで距離を認識する技術が使われていました。ところが、精度や暗いところでは使えないという問題があったんです。水中ライダーは青色レーザーを用いることで、光が届かない深海であっても精度の高い距離の測定ができるため、水中で自動操縦するドローンなどに活用が見込めます」

今後、トリマティスは水中の物体のカタチを調査する「水中スキャナ」機能を開発し、海底の形状把握などを目指しています。白鳥氏は、事業提携先として、水中探査装置を開発する企業や、海底資源を発掘する商社などをイメージしていると語りました。

人間が踏み込めない危険な場所で活躍する、“目的特化型”ロボット

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狭い配管や大型建築物の壁面、あるいは原子力発電所など、人間がアプローチすることが難しい環境で活躍するロボットを開発する企業があります。それが、40年以上にわたるロボット開発の実績を持つ、東工大名誉教授の広瀬茂男氏らが設立した株式会社ハイボットです。

株式会社ハイボット 代表取締役社長 広瀬茂男氏「私たちは、ビルの点検や災害レスキューなどの目的に合ったロボットづくりを目指しています。たとえば、配管などの狭い場所を点検するための『ヘビ型ロボット』は、その独自の形状を活かして、配管の中を自在に曲がりながら点検することができ、途中で詰まることもありません」

ハイボットは、このヘビ型ロボットの開発を基本として、独創的な機構設計と、マイクロ化を実現する電子機器の開発、そして制御系開発技術を組み合わせた配管内点検ロボットや狭隘(きょうあい)部点検用ロボットを開発しています。それらの技術が、老朽化が大きな問題となっているインフラの維持や管理に不可欠であると考えられるからです。

さらに、同社はワイヤーを伝って動く橋梁点検用ロボットも開発しました。強い風に吹かれても影響を受けないため、安定した作業ができます。これらのロボットのように、建設現場など、人間には難しい危険な場面で力を発揮したいと、広瀬氏は語りました。

今回登壇した5社は、IoTを活用することにより、落とし物の問題や過酷な環境下での点検作業など、人類が長らく抱えてきた課題を解決しようとしています。今後、彼らのビジネスの成長は、これまでにない快適な未来を近づける力となってくれるでしょう。

【第22回NEDOピッチの映像】
NEDO Channel:IoT
https://www.youtube.com/playlist?list=PLZH3AKTCrVsVB7E7a8f_zxqtYbsiMrjrf
【第23回NEDOピッチのご案内】
-テーマ:宇宙
- 日 時: 2018年1月30日(火)18:00 ~ 20:15 (受付開始:17:30~)
- 場 所:NEDO川崎本部5F
- 参加費:無料
- 申込み:https://www.joic.jp/index.htm

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