人の能力を凌駕する技術が、未来の仕事を変える ~第24回NEDOピッチレポート~

ユニークな技術やアイデアをもつベンチャーが大企業に向けプレゼンをする「NEDOピッチ」。第24回のテーマは「Future of Work」です。400ページの契約書を30秒でチェックできるスキャナーや、社内のコミュニケーションを活発にするシステムなど、未来の仕事を大きく変えうるビジネスを紹介します。
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未来の仕事を変えるカギは、「技術革新」がもたらすビジネスにある

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「私たちの仕事は、今後どうなっていくのか」――そのような議論がますます盛んになっています。国連の国際労働機関(ILO)では、「人口動態」「気候変動」「グローバル化」そして「技術革新」という4つの要素が、人間の仕事に大きな影響をおよぼすことを示しています。

グローバル化により人の動きが流動化し、地球環境の変化も激しくなっている現代。日本においては、少子高齢化に伴う労働人口の減少から、2016年には政府により「働き方改革」が提唱され、いまやあらゆる企業や個人が、「未来の仕事」について考えざるを得ない時代となりました。

こうした変化の時代に対応するために期待されるのが、デジタル化に伴う「技術革新」。AIやIoTなどの最新技術は、これまで行なわれてきた仕事そのものを変えるインパクトを秘めており、近年、大企業やベンチャーによって、仕事の生産性を向上させるためのサービスも次々と誕生しています。

これらのビジネスは、大きく「課題解決型」と「価値創出型」の2パターンに分類することができます。「課題解決型」とは、長時間労働の是正など、これまでの労働環境が抱えてきた問題を解決するためのもの。すでに多くの企業が課題解決型のビジネスに挑戦し、成果を上げはじめています。

一方、今後増えていくことが予想されるのが「価値創出型」。たとえば従業員のコミュニケーション活性化や、心身の健康向上など、人間の創造性を高める価値創出型ビジネスは、これからますます需要が増えるでしょう。

第24回NEDOピッチでは、「Future of Work」をテーマとして、課題解決型、価値創出型、それぞれのビジネスを手がける5社が登壇します。彼らのプレゼンから、最新技術が今後、人間の仕事にどのような変化をもたらすのかを想像してみましょう。

面倒な書類の読み込み作業は、すべてAIにおまかせできる時代に

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顧客から受けた申込書や契約書など、複雑な書類のチェックを「面倒くさい」と感じることはありませんか?こうした作業をAIの自然言語処理技術で解決するのが、株式会社シナモンが開発した「Flax Scanner」です。スキャナーで書類を読み込むと、手書きの文字であっても必要な情報だけを正確に抜き出してくれます。

株式会社シナモン COO 家田佳明氏
「農林中央金庫様と一緒に取り組んでいるのは、『契約書のチェック業務の効率化』です。これまで400ページの契約書の100項目程度を、人の目で2日がかりでチェックしていましたが、Flax Scannerを用いると30秒程度に短縮できます」

同社は、Flax Scannerの技術をすべて自社開発しているため、幅広い業務に対応することができます。家田氏は、今後、銀行や証券、保険会社など、書類の読み取り作業を効率化させたい企業と事業提携を進めたいと語りました。

パソコンやスマートフォンだけでなく、車や家電など、あらゆるものがインターネットに接続される時代が到来しつつあります。そこで重要になるのが、「セキュリティ」の確保。株式会社カウリスは、誰もが安心して使えるインターネットを目指し、不正アクセスを瞬時に検知するクラウドサービスを生み出しました。

株式会社カウリス 代表取締役CEO 島津敦好氏
「近年は、多くの企業が二重認証などを取り入れセキュリティを強化しています。しかし、あらゆる場面でセキュリティを強化すると、利便性が落ちユーザーが離れてしまいますよね。私たちの開発した『FraudAlert』は、いつもと違う時間帯や場所でログインしているなど、怪しい動きを0.02秒程度で検知し、その時だけ二重認証などを求めますから、セキュリティとユーザーの利便性を両立させることが可能なんです」

同社は、クレジットカードやEコマースを扱う事業者にサービスを提供しています。島津氏は、「2017年の1年間の統計では、世界のコンピューターウイルスの84%が日本を攻撃していました。今後ますますインターネットセキュリティの重要性は高まっていくでしょう」と強調しました。

言語を理解するAIが、人のコミュニケーションを進化させる

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同じセクションで仕事をする仲間でも、気がつけば何日も会話をしていないということ、ありませんか?Laboratik株式会社は、ビジネスチャットツール「Slack」上で動く「A;」(エー)というシステムを開発し、組織内のコミュニケーションの可視化を実現しました。

Laboratik株式会社 FOUNDER/CEO 三浦豊史氏
「『Slack』は世界的に広まりつつあり、今後はますますビジネスチャットの活用が本格化していきます。『A;』は、AIの自然言語処理によって、社内の会話の量や、『ネガティブな発言が多い』など感情傾向を可視化することで、チームのコミュニケーションの改善につなげます」

2017年12月現在、日米で約800社が導入する「A;」は、今後Slack以外のビジネスチャットツールへの展開も計画しています。三浦氏は、「システム連携や販売パートナーとの提携を通じて、“管理しないマネージメント”を社会に広げ、働き方を進化させたい」と語りました。

次に登壇したのは、消費者にとって欠かせない「カスタマーサポート」の課題解決を目指す株式会社レトリバ。非正規雇用が多く、回答を間違えた時のクレームへのストレスなどから離職率が高いといった課題を、AIにより解決します。

株式会社レトリバ 代表取締役社長 河原一哉氏
「カスタマーサポートは、人の入れ替わりが激しいにもかかわらず、研修などに多くの時間やコストをかけられないんですよね。そこで、私たちの開発した『VoC Analyzer』によって顧客が何を知りたいのかをAIでリアルタイム解析するとともに、『Answer Finder』で回答に必要な情報を自動的に提案することで、オペレーターさんがスムーズに回答できるようフォローしています」

さらに、同社の手がける「Voice Visualizer」は、オペレーターと顧客のやり取りを自動的に要約しテキストデータにすることを実現。管理者が問題を把握し、改善するサポートになります。河原氏は、「レトリバは、これからも人間を支援するAIを追求していく」と語り、締めくくりました。

五感センサーが、数百人の顧客から万引き犯をリアルタイムで検知

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年間4,000億円を超えるとされる、国内の万引き被害。小売店にとって頭の痛いこの問題を、AIによって解決するのが、アースアイズ株式会社です。映像や音などをセンサーで検知し、異常を感じると自動通知をする「ee2」(アースアイズシステム)により、万引被害によるロスを年間数百万円単位で削減することに成功しました。

アースアイズ株式会社 代表取締役 山内三郎氏
「これまでの防犯カメラは、犯罪があった“後に”把握することしかできませんでした。しかし私たちの技術は、人間の動きなどを解析し、『今まさに異常が起きている』ということを通知してくれます。たとえばスーパーの数百人のお客様の中から、怪しい動きをするひとりの万引き犯を発見するということも可能です」

同社のee2は、複数のセンサーを用いることによって立体的に位置を把握できるため、人が重なることによる誤検知を最小限にしています。山内氏は、今後はオフィスの勤怠管理や、介護施設の患者見守りなど、幅広い業務に展開していきたいと語りました。

以上、Future of Workを進化させるべく取り組む5社のプレゼンを紹介しました。彼らは、これまで人が行なってきた仕事を効率化し、“人間でなくてはできない”仕事に集中できる未来をつくろうとしています。彼らのビジネスが私たちの仕事をより充実したものにしてくれることが楽しみです。

【第24回NEDOピッチの映像】
- NEDO Channel:Future of Work
https://www.youtube.com/playlist?list=PLZH3AKTCrVsWXR-40kNbiGfpHpoUwx5-4

【第25回NEDOピッチのご案内】
次回のNEDOピッチは、現在計画中です。 しばらく、お待ちください。

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