ドローン・モビリティの技術革新が作る未来 ~第11回NEDOピッチレポート~

NEDOピッチには、最先端の技術や新しいアイデアを持った起業家たちが集結。こうした起業家たちが企業と結びつき新たなビジネスを生み出しています。今回は「ドローン・モビリティ」。ここ数年で急速に注目を集めてきたテクノロジーがいまどのように進化し、どうビジネスに結びつくのか、各起業家たちが展望を語りました。
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ドローンとモビリティに期待されること

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ドローンやモビリティ(自動走行車など)の分野は、物流の効率化や省エネなど、多くのメリットが見込まれています。人や物の移動を自動化する。これからの社会の仕組みを大きく変えるなどの可能性を秘めており、官民ともに注目しています。

平成28年8月に経済産業省が取りまとめた「平成29年度経済産業政策の重点」では、重点分野のひとつに自動走行車やロボット・ドローンが掲げられていました。無人自動走行による移動サービス、高速道路での自動走行や汎用ロボット導入コストを2割削減。ロボットシステムの導入を支援する人材を3万人に倍増するほか、ドローンによる荷物配送の実現を目指すなど、具体的な目標が挙げられています。

こうした技術に期待されているのは労働力。少子高齢化・人口減少等により、労働の担い手が減少していくと将来予測がある中、人が担っていた労働を省力化・自動化することが期待されているのです。

かつてはSFのような架空の世界の話だと考えられていたドローンや自動走行車。今、技術力のある起業家などにより、実用化に向けて急速に動きはじめています。

2016年9月に開催した第11回NEDOピッチのテーマは「ドローン・モビリティ」。未来の社会の形を変えうる最先端の技術を持つ5人の事業者が、アイデアを実用化させるための技術について語ってくれました。

※経済産業省「平成29年度経済産業政策の重点」
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/pdf/01_3.pdf

細やかな日本の技術がドローンを進化させていく

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最初に登壇したのはブルーイノベーション。同社は「日本で唯一のドローン・インテグレーター」として、ドローンのパイロット向け、企業向け、そして公共向けと3つのビジネスを通じて、ドローンという新産業のシステム全体の支援をしています。

「ブルーイノベーションのビジネスを大きく展開させるポテンシャルの中に、インドアフライトシステムがあります。インドアフライトシステムは建物やGPSが届かないところでもドローンが移動飛行できる新しいシステムです。このシステムによって、ドローンを使った倉庫内運転や老朽化した下水管などの構造物点検も可能となります」(ブルーイノベーション 代表取締役 熊田貴之氏)
たとえば下水管点検では、人の場合は最大で一日600mまで点検できましたが、インドアフライトシステムなら5.4kmまで点検可能に。高圧電線にも応用できるほか、物流面にも活用範囲を広げていくと熊田氏は語ります。今後はインドアフライトシステムのほか、同社が展開しているドローン専用飛行支援サービス「SORAPASS」などのサービス拡充パートナー、ドローンを事業化したい企業と提携していきたいと語り締めくくりました。

続いて、産業用ドローンの開発、提供をしているPRODRONEが登壇。

「社会に絶対なくてはならない会社になること」を経営理念として掲げる同社は、産業用ドローンの分野で世界一を目指しています。世界中で誰も成功していないドローンをと考え、2本のロボットアームをもつ直接作業型大型ドローンを開発しました。

正に世界初です。ドローンは大型になるほど制御が難しいうえに自由に動く2本のロボットアームを装備し、最大で10kgまでの物を直接アームで掴んで飛行することが出来ます。ほかにも着水機や、負圧で壁に張り付く社会インフラ検査用ドローンも開発しており、水中の中、橋梁の調査、点検に役立ちます」(PRODRONE 代表取締役 河野雅一氏)
ドローンはこれまで、「どう活用するか」などサービス面には注目されていたものの、機体などハード面はあまり注目されていませんでした。同社はここに着目し、何百キロも離れた場所から遠隔操作可能なドローンや、過酷な作業環境の中でも機能するドローンの開発も構想中。今後はAIやセンサー技術、ロボット技術を持つ企業と自社のドローンを組み合わせて、一緒にビジネスを作っていきたいと語りました。

両社ともにドローンの開発を行っていますが、両社の技術を組み合わせるだけでも新たなサービスやビジネスが生まれる予感がします。

見えてきた、「完全」自動走行車の実現

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ITD Lab株式会社は、スバルアイサイトを20年間開発してきた實吉敬二氏が立ち上げた会社。2台のカメラを使い立体画像から距離を認識する技術を基盤として、自動走行や3Dマップ作成などを支援する技術を開発しています。

「ステレオカメラを使ってふたつの画像を比較して距離の測定を行います。正確な距離が測れるものの、これまでコストと処理速度の問題で実用化には至りませんでした。最近はチップの性能が向上し処理速度はクリアー。さらにコストを下げて、自動車の事故防止センサーや、パワーショベルの制御といった機能を安価に提供することを目指しています」(ITD Lab 代表取締役 小倉明宏氏)
同技術は「カメラに映っているものが何か」ではなく「どのぐらいの距離があるか」に特化しています。そのため、自動車や建機だけではなく、ロボットや地図作成など応用範囲は広い。小倉氏も自動車から地図作成まで、幅広いメーカーと協力、共同開発を行い、ビジネス化をしていきたいと意気込みを語りました。

続いて、「自動運転を軸とする先進的なモビリティで、社会に貢献する」を理念としている先進モビリティ株式会社の原田努氏が登壇。同氏は、トヨタで20年近く自動運転を研究していました。

「自動走行は4つのレベルで考えられています。たとえば、ブレーキなどドライバーを補助するシステムがあればレベル2の自動走行。弊社が目指すのはドライバー、人の手を必要としないレベル4の完全自動走行です。現在取り組んでいるのが電子牽引隊列走向。先頭車両はドライバーが必要ですが、そのあとに続くトラックは完全自動走行。4mの車間距離を空けて、先頭車両に追従します」(先進モビリティ 取締役 原田努氏)
ソフトバンクと共同でスマートモビリティのサービス化を目指す合弁会社を設立など、積極的に企業と連携しています。原田氏は「課題によって自動走行技術の生かしかたは違います」と語り、今後もさまざまな業界と連携して新たな活用範囲を見いだしていきたいと締めくくりました。

シリコンバレーに勝つレベルまで人材を育てる

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最後に登場した株式会社ティアフォーは自動運転の技術を開発し、オープンソースとして提供。さらにアカデミーを設立し、エンジニアの育成にも積極的に取り組んでいます。同取締役の加藤氏は、人材のスキルの高低が直接ソフトウェアの品質につながるため、最先端の技術を持つ人材を生み出したいと語りました。

「Tier IVアカデミーでは5日間のコースを運営しています。自動運転のソフトウェアを4日間学んでいただき、最終日には実際に車を使って自動運転を経験してもらう。中学生や高校生には大学や企業では学べないこと。社会人には座学と実践を通して自動運転を学んでいただいています」(Tier IV, Inc 取締役 加藤真平氏)
「シリコンバレーに勝つためには、エンジニアの育成が必要」と加藤氏は断言します。アカデミーで学んだ生徒が新たな生徒に教えていくなど、育成の仕組みを作っていき、自動運転を含めて日本の技術力を一緒に底上げしたいと考えている人材、企業と提携をしていきたいと語りました。

今回のテーマである「ドローン・モビリティ」は、ここ数年、新たな技術の象徴として注目を集めています。政府も力を入れており、経済産業省ではロボット、ドローンが活躍する小エネルギー社会の実現を掲げ、ドローンの性能判断基準の設定や管理システムなどのプロジェクトを進めると発表しました。

今後は、今回登壇した5社を含めてさまざまな企業が開発、サービス化を進めて、過疎の地方における人や物の移動をスムーズにする。危険な場所における人命救助のような困難な仕事をさせるなど、より私たちの生活に溶け込んでいくことが予想できます。

NEDOピッチは、このようにさまざまな技術を持つ企業同士が、それぞれの技術や展望を語り、互いを知ることで、新たなアイデアを生み出す、事業パートナーとつながる場所です。今回のNEDOピッチを通じてつながった技術が、どんな未来を創りだしていくのか、私たちもとても楽しみです。


※経済産業省「第4次産業革命への対応の方向性」

http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/005_04_03.pdf


【第12回NEDOピッチのご案内】
- テーマ: アグリテック特集
- 日 時: 2016年11月22日(火)18:00~20:00(受付開始:17:30~)
- 場 所:NEDO川崎本部5F
- 参加費:無料
- 申込み:https://www.joic.jp/news/news_i27_u1.htm

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