一人ひとりが改革を“自分事”に――「総務省働き方改革チーム」の奮闘

働き方改革に正解はありません。だからこそ自分たちでそれを探っていかなければなりません。私たち総務省も、2018年より「総務省働き方改革チーム」を立ち上げ、答えのない問いに向き合い始めました。少しずつ成果が見えてきた取り組みを、活動の中核を担うメンバーの一人・飯田美保の言葉と共にご紹介します。
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閉塞感のある職場を変えるため、立ち上がった「働き方改革チーム」

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2016年度より内閣が働き方改革の実現に向けて動き出してから、3年半ほどの月日が経ちました。次年度からの「働き方改革関連法案」が施行され、企業では今後ますます、具体的な労働環境の改善がはかられるでしょう。

そして、私たち総務省にとっても働き方改革は、取り組むべき課題です。職員の属性も多様化し、ワークライフバランスを重要視する人たちも増えている中で、これまでのような長時間在庁・長時間勤務を前提とした働き方は、限界を迎えています。

飯田は省内の労働環境について強く問題意識を持っていました。

飯田「職場に対して“閉塞感”を覚えている人が、若手を中心に多いなと感じていました。ここにいる職員は皆、一般的には厳しい試験をパスして『日本をよくするために頑張ろう』というモチベーションを持って入ってきたはずです。それなのに、『仕事量が多い』『最近、仕事が疲れる』といった声が、ときどき周りから聞こえてくるんです。

このままではいけない。この職場にぼんやりと漂う閉塞感を打破する方法を、真剣に考えていかなければならない――そんな思いが、日に日に増していきました」

2018年1月、私たちは本腰を入れて省内の組織的課題と向き合うため、動き出しました。25名の有志職員が集まり、政務官3名を顧問とした、所属部局の垣根を越えた「総務省働き方改革チーム」が結成されたのです。

上司と部下との間にある、意識のズレ

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省内ではこれまでにテレワークの推進など、「働き方改革」にまつわる一定の取り組みを行っていました。しかし、本気で課題解決に向き合うならば、現場の職員からの意見や提案を取り入れながら、抜本的な意識改革や業務行程の改善が必要です。

そこで、改革チームは意識改革班・業務改革班・インフラ整備班の3班に分かれ、それぞれに企業視察や有識者との意見交換を実施。得られた知見は月例の全体会議で共有し、「いま現場が抱えている問題とは一体何なのか、その解決に向けて具体的にどのようなアプローチが必要か」と、検討を繰り返していきました。

ひとつ、議論の中で明確になってきた大きな課題があります。それは、幹部職員と若手職員の間にある、意識のズレです。

飯田「一人ひとりの仕事量が多いこともあって、皆がお互いに『いま誰がどんな仕事をしているか、どのくらいの仕事量を抱えているか』を把握できていないんです。管理職側は、自分の部下の仕事について『自分が任せているものがすべて』だと思ってしまうこともあります。

一方、部下側は、『自分の抱えている仕事を確実に上司に申告できていない』ことがあります。部下側が管理職に変に遠慮してしまうんです。管理職側からしたら、遠慮は不要で、むしろ抱えている仕事を共有してほしい気持ちがあるのに、部下は共有しない。相互のコミュニケーションがはかれていない――こういった現状が、職員に対して実施したアンケート結果などから見えてきました」

調査と議論を続けていくうちに、省内の日常に潜んでいたさまざまな課題が言語化されていきました。改革チームはそれらを包括的に取りまとめて、2018年7月に「総務省働き方改革における8つの方針と28の対応策」を発表。以降、具体的な現場への働きかけに着手し始めます。

「働き方宣言」で、職場の改善を皆の“自分事”に

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幹部職員による定時退庁日のアナウンス実施や、ペーパーレス会議の励行を促すためのシステム整備、幹部職員のスケジュールを可視化する専用のポータルサイトの構築…。方針を打ち出してから実施した施策は、職場のハード面からソフト面に至るまで、多岐にわたります。

その中でも、働き方改革チームが確かな手応えを感じているのが「幹部及び管理職の働き方宣言」の作成です。幹部職員向けに働き方改革に関する研修を実施し、その内容を踏まえて、自らの働き方のルールについて部下にお願いしたい事項を『働き方宣言』という形でまとめてもらい、省内で公開しました。

飯田「一人ひとりに、働き方改革を“自分事”にしてほしいと思ったんです。誰かに言われて取り組んでも、本質的な改善には至らない。だから、まずは自分の働き方を振り返って、よりよくするためにどうしたらいいのか考えてもらう。その上で、暗黙のルールのように職場に存在していたさまざまな事柄を整理して、明文化してもらいました」

働き方宣言を公表したことがきっかけとなって、各部局で「どうしたらもっと働きやすくなるか」という対話が、以前より行われるようになりました。上司と部下の間のコミュニケーションも増え、これまでに存在していた“意識のズレ”をなくしていこうという動きが、少しずつ生まれてきています。

飯田「改革チームは、いくつかの部局を“モデル課”に指定して、この取り組みを引っ張っててもらった上で、『あの局みたいにやってみてください』と全体に促そうと考えていて。

けれどもふたを開けてみたら、私たちが促すより先に、いろいろな取り組みが自発的に広がっていったんです。決してパソコンが得意とはいえない幹部職員から『このポータルサイト、もっとうまく活用したいんだけど、相談乗ってくれる?』などと、声をかけられることも度々あります。そんな時、『働き方改革を“自分事”に』という思いが少しでも届いたように感じられて、とても嬉しくなりますね」

“働き方改革”という言葉が必要なくなる組織を目指して

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▲「総務省働き方改革チーム」メンバーの飯田美保

働き方改革は、一朝一夕で果たせるものではありません。これまでの取り組みをさらに推進、そして定着させていくために、2018年10月からは第2期の改革チームが稼働しています。

飯田「第1期チームで注力したのは、意識へのアプローチでした。今まで向き合うことを避けていた、働く現場にある課題に意識を向けてもらい『これは変える必要があるね、皆で考えていかなきゃいけないね』という認識を各々に持ってもらうこと――それが、この職場を変えていく一歩目になると信じて、ここまで活動を続けてきました。

地道な働きかけの成果もあって、まだまだ十分ではありませんが、少しずつ『働き方改革に取り組もう』という機運が職場全体に育ってきています。なので、2期ではより具体的に“意識から行動へ”の移行を目指し、実務面の改善に着手していきたいと思っています」

時代の動きとともに、社会の在り方は目まぐるしく変わります。かつては良しとされていた働き方や人間関係が、今の社会にはそぐわない形になっていることも多々あります。そしてそれは、今うまくいっている働き方についても、同じことが言えるのでしょう。

飯田「だからこそ、考え続けなければならない。『以前はこれでよかったから』と決めつけないで、今この場所にとっての最適解を、皆で一緒に考えていかなきゃいけないんだと、この取り組みをするようになってから、強く感じています。
日々、一人ひとりがよりよく働くために思考し、それぞれ工夫や改善をしていけば、わざわざチームをつくって仰々しく“改革”に取り組む必要はなくなっていくと思います。私たちは、私たちの組織から“働き方改革”という言葉がなくなる未来を目指して、今後も課題を一つずつクリアしていきます」

総務省の働き方改革は、これからが本番であり、これからもずっと本番です。私たちは、今を生きている人たちにとって働きやすく、働きがいのある環境を模索し続け、時代に即した働き方改革を進めていきます。

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