社員全員がエンターテイナーだからこそ実現! 常識破りの新商品開発の裏側

2016年秋冬限定で発売された「ZIMA 魔女の林檎」。若者を中心にハロウィンシーンを盛り上げたこの製品は、社内初のアイデア公募から生まれ、異例のスピードで実現されたものでした。社内で生まれたひとつのアイデアを、さまざまな立場のスタッフが一丸となって結実させていった、商品開発の裏側をご紹介します。
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社内初のアイデア公募から新商品の開発が決定

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モルソン・クアーズ・ジャパン(以下、MCJ)の主力商品であるZIMAは、時代に合わせて若者を中心に魅了し続けている無色透明、クリアな味わいが特長のアルコール飲料です。

この無色透明のZIMAが、真っ赤な妖しい色味に――2016年秋冬限定商品「ZIMA 魔女の林檎」が発売されました。商品は国内オリジナル開発。しかも社内初のアイデアコンペから生まれた製品です。

きっかけは、近年日本でも盛り上がりを見せている「ハロウィン」にちなんで、ZIMAで若者たちのパーティーシーンやSNSシーンを盛り上げるプロモーション施策を検討していたときのこと。2016年4月、マーケティング本部ブランド・マネージャーのビンセント・ニコルが、アイデアを社内公募しようと思いついたことがはじまりでした。

流行してまもないハロウィンは、まだ決まった型がなく、若者たちが自由に楽しんでいるイベント。ビンセントは、より自由で斬新な施策を打ち出すには、通常のマーケティングリサーチや分析だけでなく、さまざまな角度からのクリエイティビティに満ちたアイデアが必要だと考えたのです。

ビンセント「『社員全員がエンターテイナーであれ』というのが当社の理念です。社内コンペは初の試みで、アイデアをそのまま採用するのか、自分でアレンジするのかなど、具体的なことは正直考えていなかったのですが、一人ひとりのクリエイティビティを引き出して、いい案が集まるだろうと期待していました」
早速、ビンセントは、プロジェクトの取りまとめを担った浅野志朗(営業本部 営業企画部部長)とともに社内公募の告知を開始。

社内の反応は思っていた以上に好評でした。普段からプロモーションを企画、実践している営業チームはもちろんのこと、経理や人事といったバックオフィス部門のスタッフも積極的にアイデアを応募してくれたのです。応募の経過は、運営チームから随時社内SNSやメールで報告し、締切までの期間を盛り上げていきました。

浅野「私が社内のスタッフを盛り上げる役割で、確かに最初の時点で多少声をかけたりしましたが、そんなものはたいした力ではありませんでした。各部署のリーダーのみなさんがチームのモチベーションを上げてくれたんです。おかげで、自然に盛り上がっていく流れができていきましたね」

「りんご」を起点にZIMAとハロウィンを結ぶ

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約1ヶ月の応募期間を経て、32チームから40のアイデアが集まりました。個人応募もあればチームでの応募もあり、10種類ものアイデアを出してきたチームも。どのアイデアもユニークで完成度の高いものでした。

審査チームで3つまで案をしぼり、約60名が集まる全社会議で発案者がプレゼンテーション。最後に勝ち残ったアイデアは、サプライチェーン本部のカスタマーサービスチームが提案した「魔女の林檎」でした。

実はZIMAには、隠し味として原材料にりんごが含まれています。そこから、発案チームのリーダー・石橋冴子(サプライチェーン本部 ロジスティックス・ディストリビューション・マネジャー)は、「ハロウィンに現れた魔女と毒りんご」のアイデアを思いついたのです。

石橋「私たちは普段の仕事で商品ラベルをよく見る機会が多いからか、ZIMAにりんごが入っていることを知っていたんです。ZIMAをいかに面白く飲むかという方向で考えるなかで、魔女の『毒りんごシロップ』をつけるという提案をしました」
プレゼンテーションには、全員で魔女のコスチュームを身にまとい、りんごを持って登場。正直、他の営業チームのプレゼンがすごかったので、「負けたな」と思いながらも、プレゼンした石橋チーム……。ところが、このアイデアが、さまざまな面でZIMAのハロウィンプロモーションに適していると評価されました。

日本では、ハロウィンというとイメージが強いのはカボチャ。しかしアメリカやヨーロッパでは、りんご飴を飾ったり、りんごを樽に浮かべて掴み取りゲームをしたりと、ハロウィンにりんごは欠かせないものです。

マーケティング本部アシスタントブランドマネージャーの野登愛子は、「りんご」をキーワードにすることで、ZIMAがハロウィンを盛り上げていく必然性を持たせられると考えました。

野登「女性のハロウィン仮装の一番人気は魔女という背景もあり、プロモーションのイメージもしやすいと考えました。ZIMAが原材料にりんごを使っているというのと相まって、強いストーリーが作れると確信しましたね」
こうして採択されたアイデア「魔女の林檎」でしたが、決定したのは5月の末のこと。実はここから商品発売に至るまで、MCJにとって前代未聞の挑戦がはじまったのです。

開発期間わずか2ヶ月……全員が同じゴールを目指して全力を尽くす

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実は、もともと社内コンペにあたっては、「商品開発が不要なもの」という条件が課されていました。石橋チームが提案したアイデアも、既存のZIMAにりんご味のシロップをつけるというもの。しかしビンセントは、あえて自分が出した条件を曲げ、新商品開発に踏み切るのです。

ビンセント「単なるプロモーション施策では、どうしても東京、広げても大阪の一極集中にならざるを得ない。もともと地方から広がって行ったZIMAは、地方での販売に自信があります。MCJとしては、全国の流通網に乗せたいと考えました」
ただし、この時点ですでに、普通では考えられない大きな制約がありました。それは「時間」です。

流通サイドからは、ハロウィン向けの商品は8月末には出荷するよう求められます。ところが「ZIMA魔女の林檎」の開発が決まったのは5月末……。出荷に要する期間も考慮すると、実質、たった2ヶ月で開発を成し遂げなければなりませんでした。

開発を担当したサプライチェーン本部 テクニカルマネージャーの竹内誠は、「相当な無理がある。間に合わないかもしれない」と思っていました。しかし、ビンセントの熱意に負けて、なんとかしようと決意したのです。

通常の商品開発では、中身の設計が一回目のサンプルで決まることはほとんどなく、イチからやり直しになるのが常。それが何回か繰り返されるのですが、今回は一回目のサンプルがほぼイメージ通りで、それを改善するだけで済んだため、工程が大幅に短縮されました。

竹内「新製品開発では、最初のコンセプトがきちんと捉えられているかどうかで勝負が決まります。今回は、どんな製品をどう売りたいのか、そのストーリーが明確でした。そこがぶれなかったことで、考え得る最短期間での開発が可能になったんです」
一方、時間の制約は営業チームにも困難を強いることにーー。すでに、ハロウィンの商談タイミングとしては遅いとされる6月の時点で、試飲サンプルすらない状態。しかし営業チームは、コンセプトや商品のデザインサンプルを見せながら、熱意を持って商談を進めていきました。

浅野「小売店の方に味を試してもらうこともできないなか、『真っ赤』という、ある意味どきつい色が受け入れられるのか不安もありました。幸い、不安をくつがえしてバイヤーさんの反応はとてもよく、面白いと受け入れていただくことができました」
商品の発売に伴って、「魔女のいたずら」をテーマとした動画の配信や、店舗の協力を得て看板に魔女が張り付いたようなデコレーションを施すなど、リアルとSNSをミックスさせたプロモーションを展開。これも営業チームの尽力によって、店舗の協力を得られ、盛り上がりを作ることができました。

結果、当初の狙い通り、「ZIMA 魔女の林檎」は若者、特に女性を中心に、SNSの投稿や拡散アップに成功。若者たちのハロウィンシーンを盛り上げ、彩りを添えることができました。

MCJ社員が忘れてはいけない「エンターテイナー」としての矜持

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「ZIMA 魔女の林檎」の開発によってMCJが得たものは、単に新商品の発売成功だけではありません。社員一人ひとりが同じ方向を向き、それぞれに100%のパフォーマンスを発揮して良い流れを作っていけたことが、なにより得がたい経験でした。

なにもかもが「イレギュラー」の連続——。通常では失敗したときのリスクを考えて、もっと時間をかけていたことも、全員の協力を得ることで、スピーディに決断し、進めていくことができたのです。

竹内「それは、しゃかりきになってやっている人、ビンセントや皆がいたからです。『これをやるんだ!』という強い意志が伝わってきたから、開発チームとしても、なんとか実現しようという気持ちにさせられましたね」
また、普段はエリアごとに独立してプロモーション施策を立てて実行している営業チームが、同じゴールに向かって活動していったことも、これまでにはない動きでした。

浅野「MCJの営業スタイルは地方発信。それぞれの担当エリアを向いていた営業チームが、今回はひとつ同じ方向を向いて、同じモチベーションで取り組む経験ができました。ときにはバラつきが見られることもあったブランドコミュニケーションが、今回は統一されたことで、より強いストーリー発信に結びついていったと考えています」
そして、社内公募を発案したビンセントは、想像よりもはるかに素晴らしいアイデアが集まったことに改めて驚き、今後も社員のクリエイティビティを活かした取り組みを増やしていきたいと考えています。

ビンセント「社員の皆が持っているアイデアも素晴らしいし、自発的に楽しんでどんどん参加していくマインドセットも、想像以上でした。このような機会は今後もっと引き出していきたいのでマーケティングだけでなく、コーポレートブランディングなど、どんどん領域を広げていきたいですね」
誰かに言われることなく、社員全員が「エンターテイナー」としてアイデアと力を発揮していくーー。それがなによりも強い推進力となって、これからのMCJの未来を広げていきます。

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