もっとビールの多様性を楽しめる日本にするためーー独自の研修プログラムに込めた想い

モルソン・クアーズ国際部の中で、全世界に先駆けとして独自のビール国際認定プログラム「ビアチャンピオン」を立ち上げたモルソン・クアーズ・ジャパン。ビールの多様性や楽しさをもっと日本の消費者へ伝えていきたいという想いに支えられた、プログラムの開発ストーリーをご紹介します。
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全社員が誰よりもビールの知識を深くーービールの楽しさを世の中へ発信する

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皆さんは「ビール」というお酒にはどれだけの種類があるか、ご存知でしょうか?

「とりあえずビール!」という言葉があるように、日本人にとって最もなじみ深いお酒のひとつであるビール。一般的に飲まれているビールは、分類するとどれも同じ「ラガーのピルスナータイプ」1種類です。

ワインでいえば、赤と白があって、産地や造りかたによって異なる香りや味わいがあって……と、さまざまな種類があることはよく知られていますが、ビールも同じように多様な世界が広がっています。世界には100タイプ以上ものビールが存在し、楽しまれているのです。

日本でも、ここ数年のクラフトビールの流行で、多彩なビールを楽しむ方が増えてきました。スーパーやコンビニでもクラフトビールの棚がつくられるようになり、ビールの多様化の流れは、一時的なブームではなく、日本の市場に定着しようとしています。

日本に海外ビールなどを輸入・販売しているモルソン・クアーズ・ジャパン(以下、MCJ)は、2013年に全米売上No.1のクラフトビール『Blue Moon』(ブルームーン)を日本で販売開始するなど、日本でのクラフトビール市場を築く一端を担ってきました。

このような市場の変化のなかで、ビールの魅力を消費者に伝えていくには、自社のビールに関する知識だけでなく、多種多様なビールの世界をしっかり理解する必要があります。そのうえで私たちMCJは、“ビールを楽しむ”ことを提案できるようになるべきだと考えるようになりました。

そう考えはじめていた2016年春、アメリカのモルソン・クアーズ本社から、社内研修プログラム『ビアチャンピオン』が誕生することになったとの連絡を受けました。このプログラムは、ビールの歴史にはじまり、製造法や原材料、ビールのスタイルやテイスティングなど、ビールに関する知識を網羅したプログラムです。

このプログラムを世界のモルソン・クアーズに先駆けて日本で開始しようーー。プロジェクトのリーダーを務めた、営業本部マネジャーの正林猛史は熱い想いを抱いていました。

正林 「日本では、売上の99%を大手メーカーのラガーピルスナータイプが占めているのが現状。でも、世界中のビールが集まってくる国でもあります。いい土壌があるのだからそれを育てるべき。それを実践するのはまず自分たちでありたい。そういう想いで、日本からスタートを切ることを決めました」

こうして、MCJの『ビアチャンピオン』プロジェクトがスタートしたのです。

準備期間は2ヶ月。短期間で日本オリジナルの研修プログラムを作り上げる

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ビールを学ぶプログラムで代表的なものに、日本ビール文化研究会が主催する「ビール検定」が挙げられます。当社の社員も多くが認定を受けており、「ビアチャンピオン」もビール検定と共通する部分が少なくありません。

それでも、社内独自の研修プログラムを立ち上げるに至った背景には、「ワールドビアエンターテインメント」というMCJの理念がありました。

正林 「ビール会社の人間でも、自社製品以外のことは意外と知らないものです。しかしクラフトビールが日本でも普及し、流通関係者や消費者の知識が深まっているなか、私たちが知識をつけていかないと、提案力が失われてしまう……。私たちこそが、海外のさまざまなビールの楽しさを日本に伝えていく『エンターテイナー』でなければならない。そういう自負を社員にあらためて持ってほしいという想いがありました」

プロジェクトを担当したのは、正林と、マーケティング本部ブランド・マネジャーの佐々木英俊、営業企画部の神山貴の3名。

正林と佐々木は外部のビールプログラムを取得しており、ビールへの造詣が深い人物です。ビアチャンピオンが立ち上がる前に、社内で希望者を募り、ビール検定受検に向けての講習会を開いたことも。一方、神山は当社に入社して初めてビール業界に携わりました。講習会に参加し、その熱心さを買われてプロジェクトに参画することになったのです。

そして、英語版の本社オリジナルテキストが2016年8月末に日本に送付されてきました。プログラム研修の日程は11月と決まっていたため、準備期間はたったの2ヶ月……。

佐々木 「翻訳は業者に発注しましたが、専門用語が多く、みずから訳して文章を作成することも多々ありました。日本のビール検定などのプログラムと齟齬がないか確認しなければなりませんし、化学用語もあり、ビールのことを理解しないと日本語で文章が作れない部分も多かったですね。アメリカ本社との2時間の電話会議で、ぶっ通しで資料の細かい部分を確認したこともありました」

短期間での作業には苦労も伴いましたが、短期集中でモチベーションを保ちながら、115ページにもおよぶテキストを完成させたプロジェクトチーム。おかげで無事、研修当日を迎えることになります。

社員全員が合格。さっそく得た知識を営業活動に活かす社員も

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2016年11月、全社員が3時間にわたるビアプログラムを一斉に受講しました。座学だけでなく、テイスティングなどの実技も豊富に取り入れ、ビールの原料であるホップを用意して香りを体験してもらったのは好評でした。

実はこのホップ、ネット通販で購入したもの。当社は輸入・販売のみで製造はしていないため、原料ひとつ用意するにも苦労がありました。しかしその労力を惜しまず準備をしたことで、受講者のビールに対する理解をより深めることができたのです。

神山 「大手メーカーなら、原料もすぐ調達できるし工場見学もできる環境が整っています。私たちはそれがないからこそ、知識のある方から学び、それを展開していくプログラムを自分たちの手で作り上げていった。当事者として取り組むことが、一人ひとりの意欲の源になり、MCJ全体の強みになっていったと思います」

試験結果は、当初の目標通り“全員合格”。そして、さっそく研修内容を実務に活かしはじめている社員も。そのひとりが、営業本部営業企画部プランナーの仲谷朋子です。仲谷は営業活動の一環として、酒販店で使えるプライスカードを開発しました。

消費者にとっては、ビールの種類が多すぎると、かえって自分の好みのものを選べないことも……。さらに店舗側からは、豊富なビールの特徴をお客さまに伝えきれないという悩みを耳にすることが多々あります。

そこで、お客様が自分の好みのビールを選べるように「ラガーとエール」「苦みの強さ」「色」の3つの基準に絞った、視覚的にもわかりやすい特徴を示したのです。

MCJが取り扱うビールは6種類ですが、他社も含めると900種類以上。その分類は細かく枝分かれしているため、基準をどう定めるか簡単に決めることはできません。そこで仲谷は、研修のプロジェクトチームと何度も議論を重ねながら、「消費者目線でわかりやすいこと」を第一に考えて開発していきました。

仲谷 「自社のビールが売れれば良いというのではなく、ビールの裾野を広げることに貢献したいと思ってつくりました。プライスカードを使って、いまの棚に足りないタイプの製品を割り出すことが可能になりましたね。さらに提供しているフードとのペアリングを考えて勧める、といった新しい提案もできるようになりました」

こうして、約100種類の全輸入・クラフトビールのカードが完成。すでに一部店舗での活用がはじまっており、好評を得ています。

日本のビール市場の活性化のためにーー外部へビールの多様性を発信していく

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社員全員がビアチャンピオンプログラム受講、認定という目標を達成した2016年——。今後は、新入社員研修にも取り入れることが決定しました。さらには、近々トレーナープログラムの導入が決定し、参加希望者はすでに10人が手を挙げています。

私たちのこのような社内の知識と意識の向上は、あくまでも第一ステップと考えています。第二ステップとして、2017年からビアチャンピオンという知見を礎にした、日本のビール市場の活性化へと踏み出しています。

現在は、社内向けの研修プログラムであるビアチャンピオンですが、今後は社内だけにとどまらず、ビールの知識を得たい方にオープンに対応していく方針です。

さらに現在準備しているのが、ビールの分類が一目瞭然でわかるビールアプリです。プライスカードからさらに進化したこのアプリを使用することで、流通担当者や飲食店に対して、さらに幅広い提案ができるようにしていきます。

私たち自社製品の紹介だけでなく、ビール全体の知識を高めていこうという取り組みは、ありがたいことに取引先からは好意的な声をたくさんいただいています。

正林 「クラフトビールの世界は、マニアックな楽しみになりがちです。でもそれだけでは、ビールの多様な楽しみ方が日本全体に根付いていくには遠い道のりになってしまいます。私たちの活動は、その突破口になるためのもの。その姿勢は、流通関係者の方々にも支持をいただいています」

これまで知られていなかったビールの多様性が、日本でも当たり前のこととして受け入れられるようになる未来へーー。それをつくることができるのは「ワールドビアエンターテインメント」を掲げる私たちMCJだからこそ。その自負をもって社員一丸となることで、これからもビールの楽しさを伝えていきます。

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