女性のためだけじゃない。すべての社員の「働きたい想い」を支える出産・育児支援制度

出産や育児をケアする制度の整備は、多くの企業で急務となっています。しかしそうした制度は本来、女性のためだけのものではないはず。男性社員や、業務をフォローする周りの社員にとっても必要なものなのです。ネットプロテクションズは、すべての社員が気持ちよく働けるよう配慮した制度を構築することにしました。
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「出産後に働き続けられる気がしない」不安を払拭するために必要なこと

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▲新しい社内制度「ココット」を設計したプロジェクトメンバー。左から坂根、松尾、畠中、平間

「本当に働きやすい環境は、当事者へのサポートだけでは整えられないのではないか?」——出産・育児をケアするための制度づくりに着手する中で、私たちはそんな考えに行き着きました。

2018年にスタートした、ネットプロテクションズの新しい社内制度「ココット」。出産当事者へのサポート以外にも、特徴的な仕組みがあります。

たとえば「サポーター社員登用」という、妊娠して勤怠が不安定になる場合に備え、業務の再分配に協力する期間限定メンバーを雇用する制度。また「妊娠・復職時のランチパーティー」を開催し、みんなでお祝いをする機会をつくる制度などもあります。

共通するのは、「妊娠・出産・復職を、本人だけでなく関わる全員にとってポジティブなこととして受け入れる」という意識。当事者だけでなく、関わるメンバーへの配慮も含んだ、“みんなのための”仕組みなのです。

制度をつくるきっかけとなったのは、ある女性社員の妊娠でした。会社として、社員の出産を迎えるのは初めてのこと。2017年1月にさまざまな部署から集まった女性3名と人事担当の男性1名のプロジェクトチームが結成され、およそ半年かけて制度をつくりました。

プロジェクトに参画した社員にとって、制度づくりは初めて。

しかし、出産を迎える社員と同じ部署だった松尾絵美、「事例や制度がなければ自分でつくればいい、それができる会社だと思って入社した」という坂根扶美、自らの結婚を機にワークライフバランスについてより考えるようになった畠中愛子、子育て真っ最中の平間亮哉と、それぞれの動機をもつメンバーが集結。

強い当事者意識のもと、プロジェクトがスタートしました。

平間 「当社は個人の意思が極めて尊重される会社であるにもかかわらず、社員に『もし自分が妊娠、出産を迎えたら働き続けられる気がしない』と言われたことがあって。やはりきちんと制度化することが必要だなと以前から感じていたんです」

ネットプロテクションズのビジョンのひとつに、「みんなで会社をつくる」というものがあります。出産・育児のための制度構築というと、一般的には人事の管轄であることが多いもの。しかし人事部が主導するのではなく、当事者意識を持っている者が声をあげてつくっていく。

ココットはまさに、「みんなで会社をつくる」というビジョンを体現したプロジェクトなのです。

お祝い金は何のためにある?誰にとっても不公平感のない制度を模索

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▲メンバーはディスカッションしながら、制度を一つひとつ検討していった

プロジェクトを開始してまず手を付けたことは、他社事例を徹底的に調べることでした。

調べていくと、世の中には実にさまざまな制度があることがわかります。とはいえ、制度は使われてこそ意味があるもの。自社のスタイルに合っていないものを取り入れても役立ちません。

メンバーはピックアップした制度の一つひとつを、自社に導入すると何が起こりうるか、風土に合うかたちは何か、個人にとっても組織にとっても意味のあるものにするためにはどうしたらよいか、という観点で吟味していきました。すると、ある基準が見えるようになったのです。

坂根 「たとえば、子どもをひとり産んだら、お祝い金を数十万円支給する制度。確かにお金をもらったらその人は助かりますけど、会社側の目的がよくわかりませんでした。
それよりも、当事者が妊娠発覚時に最初に思い浮かべるのは、『会社の人になんて説明しよう?』ということだと聞いたことがあって。
だったらお祝い金ではなく、妊娠したことを周りに報告する場を用意できるようにと、祝賀ランチパーティーを開くのを支援することにしました。それなら本人も報告しやすくなるし、周りが祝福の意を表現することで安心できるとも思いました。
会社としても、できる限り早期に事情を把握して適切な配慮をしたいはず。当事者だけでなく、周りも会社も幸福な制度にしていきたいと考えたんです」

策定時にはこのように、日頃一緒に働いている社員の顔を思い浮かべながら、当事者が本当に困るのはどんなときなのかを慎重に検討。また「結婚・妊娠・出産をしない」など、他のライフスタイルを選ぶ社員が不公平だと感じないように、繊細に気を配っています。

大事にしたのは、当事者だけを手厚くサポートするのではなく、多角的に見てすべての人にメリットのある制度かどうか。

その結果、物理的な状況だけでなく、一人ひとりの心情にも寄り添った制度になりました。これは、現場で働く社員だからこそできた配慮かもしれません。

制度で支えたいのは、すべての社員の「働きたい想い」

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▲「ココット」のロゴ。女性だけのものではなく、すべての社員に向けた制度であるため、使うカラーにもこだわった

他社事例の研究をし、要素をたくさん並べてみたものの、「ここから何をすればいいんだっけ?」と議論が止まってしまうこともありました。

そこで全員が再確認したのは、ワークとライフのうち“ライフ”だけ、出産・育児だけを支援するのではなく、全社員の「働きたい想いを支援する」ということ。

それをコンセプトにしようと決めた日から、視点がそろい、アイデアも出やすくなったのです。

また、思いがけず「当事者」の気持ちを垣間見ることもできました。

松尾 「土曜日に集まって議論しているときに、平間が自分の子どもふたりを連れてきたことがあって。それまでは、私たち女性メンバー3人は、つい考え方が『バリバリ働く』方向に寄ってしまっていたんです。『子どもがいてもこれくらいできるのでは?』と。
でも実際に小さな子どもと触れあってみると、やっぱりものすごくかわいい。その途端に、みんなの雰囲気が変わったんです。『こんな子が家にいたら、確かに仕事したくなくなるかもね!』と、意見が柔らかくなったりして(笑)」

平間以外にも、社内には子育て中の男性が多かったため、彼らにもヒアリングをし、女性に特化しない「みんなのための制度」を意識。「ココット」のロゴも中性的なイメージを出すため、オレンジ色にしました。

こうして始動から4カ月ほどで、新たな制度「ココット」が完成。それを浸透させるために、メンバーは広報施策を練っていきました。

畠中 「制度はつくっただけでは意味がなく、メンバーに使ってもらえるかどうかが最も重要です。そのためには、自分も対象者であるという当事者意識を持ってもらうこと、制度の中身を理解してもらうこと、そして、気軽に使ってもらえるよう親しみを感じてもらうことが必要だと考えました。
わざわざ制度名に名前を付けたこと、ロゴをつくったことも、制度に対する親しみを持ってもらうための工夫のひとつです。また月に1度の全社会議のほかに、社内向け制度説明会を開催することにしました」

「女性だけが対象ではありません。ネットプロテクションズで働く、すべての人に知ってもらいたい・活用してもらいたい制度です」——リーダーである松尾の熱い告知に呼応するように、「ココット」の社内説明会には多くの社員が参加し、この制度は強い共感を得ました。

その反響の大きさは、メンバーが想定した以上のものでした。

当事者がつくった制度だからこそ、「つぎのアタリマエ」になっていく

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▲社員に向けた制度説明会のようす。女性だけではなく、男性社員も多く参加し、関心の高さがうかがえた

「ココット」という名前の由来は、「個々」の事情や状況を解決して「フラット」に働ける環境をつくるというものです。女性にだけ手厚くなりすぎずフラットに、すべての社員の「働きたい想い」を尊重するというコンセプトからこの名前を付けました。

食器のココット皿にもかけて、さまざまな制度から自分に合ったものを盛っていける器になっていってほしいという願いも込められています。

そしてメンバーにはもうひとつ、この制度に込めた願いがありました。

畠中 「ぜひ他の企業の方々にも、この制度自体はもちろん、背景にある考え方を知ってもらいたいと考えています。
大切なのは、自社に合った制度とは何かを問い続けること、当事者意識を強く持つメンバーで創り上げていくこと、そして女性社員だけでなく、その会社で働くすべての人が幸せになるためにどうしたらいいかを考える観点を持つこと——。
そうした制度がつくられることが、どんな会社にとっても“アタリマエ”な世の中になれば、もっと幸せに働ける人が増えるのではないでしょうか」

当社のミッションでもある、「つぎのアタリマエ」を目指していくために。出産・育児をする当事者だけでなく、関わる人全員の働く環境を真剣に考え抜き、この制度は完成しました。

予算が潤沢かどうかに関係なく、社員に寄り添った最適な制度は構築できる。メンバーは、確かな手ごたえを感じています。

「ココット」は、妊娠・出産・育児時のサポートに特化しているため、制度としてはまだ第1フェーズ。今後は時短勤務やリモート勤務を汎用化し、よりさまざまなライフスタイルの選択を自由にする段階に進みます。

社員の働きたい想いをよりサポートするためには、会社としてまだまだ仕組みの整備が必要だと考えているのです。

制度は社員のためにあるので、策定して終わりではありません。私たちは今後、使いやすい風土づくりを進めていきます。その中で、今回つくった制度を変更することも出てくるでしょう。

そんな要望や課題に一つひとつ応えていくことが、当事者意識を持ったネットプロテクションズらしさなのです。

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