競争ではなくお互いの“成長支援”を。人事評価制度「Natura」が実現する世界

ネットプロテクションズには、部署の垣根を越えてさまざまなプロジェクトに参画できる制度があります。仕事が横断的なものに変わるなか、ひとりのマネージャーがメンバーを評価する従来の人事評価制度では、十分なマネジメントができないという問題が発生。そこで考えついたのが、社員が“みんなで育て合う”仕組みでした。
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これまでの人事評価制度に感じた“限界”

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▲執行役員の秋山瞬。ネットプロテクションズが新たに設定した人事評価制度「Natura」の策定に携わった

人事評価制度とは、一体何のためにあるのでしょうか。自分の仕事を第三者の目で評価してもらい、給与やボーナス、役職などに反映するため……というのが、一般的な回答だと思います。

ですが、私たちネットプロテクションズはそう思っていません。むしろ、その考え方を変えていきたいと感じています。

そこで私たちが2018年からスタートさせた人事評価制度が「Natura(ナチュラ)」です。一人ひとりが自分らしく働ける会社であるために、執行役員の秋山瞬を中心に策定しました。

もともとは、いわゆる普通の人事評価制度を採用していた私たち。マネージャー職のメンバーが、目標管理制度によりメンバー一人ひとりの人事評価を行なっていました。

こうした制度を見直すきっかけのひとつになったのが、「ワーキンググループ制度」の浸透。これは、ひと言で言えば各自が本来の業務以外のプロジェクトにも自由にチャレンジできる制度です。

採用や研修、予算策定など、一般的には人事部や経営企画部が担っているような業務を、プロジェクトベースで部署横断でやりたい人が集まって行なうというもの。

自身のなりたい姿を実現するために、各自が率先してプロジェクトに参加していますが、人によっては複数の業務に参加しているという状況に。ひとりのマネージャーがメンバーを評価するという仕組みに限界が生じるようになってきました。

秋山 「ワーキンググループ制度は2012年からはじめました。制度が活発に活用されるようになったことで、誰がどの業務にどのくらい時間を割いているのかを適切に見ていくことに限界を感じはじめたんです。人事評価制度自体を抜本的に見直す必要が出てきたと判断しました」

そこで、外部のコンサルタントの力も借りながら新しい人事評価制度づくりがはじまったのです。

誰もが評価し、評価される新人事評価制度

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▲Naturaは、1年以上かけてつくりあげた制度。制度発表時には大きな反響があり、社内でミートアップを開催した

新しい人事評価制度を策定するにあたり、私たちが追求したのは、メンバーの「成果、成長、幸福」です。

秋山 「成果を求めるのはもちろんですが、それと同じくらいメンバーの成長や幸福を大切にしたいと考えていました。
では、どんな時に人は幸せと感じるのかーーそれは、何かに夢中になっている時なのではないでしょうか。本当に自分が素のままでいられるような状態にあると、安心して仕事に取り組め、パフォーマンスが上がる。そして結果的に成果につながる。社員自身も、周りも幸せになれると感じたんです」

そこで、評価ではなく“成長支援”に重きを置いた制度こそが理想だと考えました。それはどんな制度なのか。私たちは1年以上議論を続けました。

そうしてたどり着いたのが、Naturaという解なのです。

秋山 「Naturaでは、一人ひとりが評価者であり、被評価者です。それまでのように、マネージャーだけが評価するのではなく、いろいろな人が360度で評価しています。と言っても、多くの人の目で監視されているということではなくて、お互いに育て合い、支え合うというイメージです」

評価するための月に1度の面談では、面談相手が毎回変わります。評価者は、「自分が面談担当になるのならこの人をきちんと見ておこう」という意識が働いたり、面談をすることで新たな関係性を生み出したりしているようです。

一人ひとりが評価者になるにあたり、マネージャーという役職を廃止。その業務を担う役割としてカタリストを設置しました。とはいえ、この役割も流動的に交代が可能。対外的な責任はカタリストが負いますが、主体となって事業を進めるのはメンバー自身です。

また、誰もがきちんと面談を行なえるよう研修も実施。リレーションシップ研修では、人と人との関係性を築くうえで何がどういう効果をもたらすのか、関係構築のために大切なものは何かを学んでもらいました。デベロップメントサポート研修では、面談での傾聴の仕方を体感してもらいました。

そうして2018年4月にトライアルとしてNaturaを開始。本格始動は同年10月からという試験的な段階ではありますが、いまのところ順調です。

厳しい目ではなく、温かい目で見守る人事評価制度に

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▲私たちは、会社とメンバーの対等なパートナーシップを目指している

Naturaが体現したいのは、新しい人事評価制度の姿です。

従来の人事評価制度では、私たち会社員は、目標を達成しようと踏ん張り、評価されようと人の目を気にしていました。すると、ストレスが溜まりやすくなり、気持ちよく働けているとは言いにくい状況に陥りやすくなります。

目標は、評価されるためではなく、成長するために設定した方が健全だと私たちは考えています。組織が達成するべきミッションに向けて自分はどんなスキルが必要かを判断し、成長し、パフォーマンスの精度を上げる。そこに、会社員としての幸せがあるはずです。

秋山 「究極的には、人事評価制度というのはなくてもいいものだと思っています。誰かが誰かを評価するというのはどう頑張っても限界があると思うので。
しかし、現実的に考えて、そういう補助ツールがないと評価が成り立たないからNaturaを使っている。言ってしまえば、Naturaは人事評価制度をなくすためのステップなんです」

制度があって評価をするのではなく、自然とお互いを評価し尊重しあえる関係を築ければいい――。Naturaはその第一歩です。

秋山 「Naturaでまず実現すべきことは、メンバー一人ひとりが、人事評価制度を自分が評価してもらうための制度と考えるのではなく、お互いが成長し合うための制度だと考えるように導くことだと思うんです。
実際、面談してもらうだけではなく、自分も面談する立場になることでメンバーの意識が変わってきています。そうすると、人との関わり方や仕事への取り組み方も変わってくると思うんです」

相手を面談することで、実は自分自身の成長にもつながっているのです。

メンバーの自主性と関係性、自社への理解――Naturaが育てたもの

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▲制度運用後のアンケートをもとに、改善予定案も発表

Naturaはまだはじまったばかりですが、確実にいい方向へと向かってきている。私たちはそう感じています。評価者と被評価者の両方を経験することにより、メンバーの視座が上がり、成長していくための観点を持てるようになってきているのです。

Naturaがはじまってからアンケートを実施したところ、メンバーからは賛否両論の声が上がりました。

多かったのは、「いままで業務上関わっていたけれど、こんな風にきちんと話したことがなかった。話すことでお互いのことを知ることができ、関係が密になった」という声。

これは、評価の目的が成長支援だったからこそ、メンバー同士がいい関係を築けた結果だと思っています。

逆に「普段の関連度が低い分、何を話していいかわからなかった。どうフィードバックしたらいいのかわからなかった」という声もありました。面談相手の選び方や、各自のスキルアップを支援するという点で、改善の余地がありそうです。

と同時に、自主的に毎週面談を行なうメンバーも出てきました。

秋山 「これは、ある意味当然の結果だと感じています。評価のためではなくて、成長や幸福という本質的な目標があるからこそ、毎週面談をやってフィードバックが欲しいと思うようになるのではないでしょうか。
お互いがお互いの目指す方向にまい進できるよう面談し合うという関係性は、まさに成長支援だなと思っています」

Naturaを実施することにより、競争し合うのではなく、お互いを支え合い、高め合うという関係性が自然と強くなっていきました。また、面談をしながら、お互いの思いを言語化することで、社員同士はもちろん、会社への理解も深まりつつあります。

とはいえ、まだまだ改善の余地あり。日々アップデートし、メンバーの成長を促進しながら運用しつづけたいと思っています。

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