輝くもの、必ずしも金ならず。“裏方”を極めたからこそ見えた道筋

“名脇役”ーーその言葉がある通り、活躍しているすべての人が自ら前に出ていく「主役タイプ」とは限りません。PR Tableのコンサルタント・覚張(がくはり)真也は、裏側から人や組織を支えることにやりがいを見出すタイプ。“裏方”だからこそ見える喜びと、その原点に迫ります。
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学生時代の悔しさが、人を支えるという輝き方を教えてくれた

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▲インカレ優勝した大学のサッカー部時代

「積極的に前に出ていくことが大切」ーー周囲からそのように教えられた人は決して少なくないでしょう。

しかし覚張は、幼い頃からそうした価値観に疑問を抱いていました。

覚張 「小学生の頃とかもガンガン前にいくタイプの子どもが目立つから『もっと積極的にいきなさい』と親にも言われていたんです。
でも、自分のなかではちょっと違うんじゃないかなって。僕は昔から、一歩引いて全体を見て、適切にサポートをしていく、その感じが好きでした」

その姿勢は、小学生の頃から16年間続けてきたサッカーにも表れています。彼はまさに、ゴールを決めるというよりは、アシストを出すタイプ。そのスタイルで突き進み、小学生の頃はキャプテンを任され、高校3年間も部活に打ち込んで実力を積み上げてきました。

しかし、大学の体育会サッカー部に入部して1年ほど経ったタイミングで、チームのマネジメントや選手のサポートにあたる副務を任されることに。「一歩引いて全体を俯瞰することが好き」と語っていた覚張でさえも、このときはさすがに悔しかったと振り返ります。

覚張 「選手としてガンガン活躍しているメンバーに対して副務をやってくれという判断はあまりないですよね。それを任された時点で、ちょっと残念な気持ちというか……なんで?って」

とはいえ、当時の監督の指導や仲間のサポートもあり、覚張の目は徐々に「自分の技術を高めること」だけではなく、「チームとしてどうあるべきか」、「仲間のために何ができるか」ということに向きはじめます。

心の奥底に悔しさを抱えながらも、チームとして結果を出すために、選手がどうすれば最高の状態でプレーができるかを考え、ミーティングを重ねる日々。

そんな覚張に、神様は最高のギフトを与えてくれました。

覚張 「大学 4年生のときに、僕らのチームがインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)で日本一に輝いたんです。僕はもちろん試合に出られないしベンチの裏にいるわけなんですけれど……それでも優勝できた!って喜ぶことができて。
決して自分は主役ではない。それでも、満足感というか、みんなで目標に向かって走って形にすることができて嬉しかった。ここまでやってよかったなって思えましたね」

覚張は自身のなかに深く刻まれたこの経験を胸に、大学を卒業。新たな道を歩みはじめます。

チームでひとつのゴールに向かう。そこで見えた歓喜と渇き

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▲映像制作会社時代

彼が次に選んだフィールドは“映像”。

これまで続けてきたサッカーとは打って変わって、企業のテレビCMやWebムービーをつくる映像制作会社に就職しました。ここで彼が選んだのは、全体のスケジュール調整やスタッフのアサイン、予算の管理などをするプロダクションマネージャー。

「ミュージックビデオの流行もあり、なんとなくの興味で決めた」と彼は振り返りますが、“みんなでつくる喜び”を日々感じることになります。

覚張 「監督がいて、カメラマンがいて、編集マンがいて。そうした人たちをまとめて、“映像 ”というひとつのゴールに向かって導いていく。
そういう部分ではサッカーに似ていて、チームスポーツの経験も生きていたし、どうしたら人は動いてくれるのか、人に動いてもらうためにはまず自分がどんな行動を起こすべきか。サッカーの学びがつながっていると思えて、うまく進むと楽しかったんです」

とはいえ、監督やカメラマンには感覚を大切にするアーティスト気質な人が多かったのも事実。時には論理的な説明が難しいことをほかのスタッフに伝えなければいけない場面もありました。

しかし、そうしたなかでも「クライアントやメインスタッフの意思をただ代弁しようとするのではなく、なぜ自分はその意思を尊重したいのかを伝えていこう」と思考を切り替えます。すべてを“自分ごと化”することで、スタッフを導いていったのです。

ところがーー。

覚張 「経験を重ねるうちに、もう少し上流というか……『なぜ映像をつくるのか』っていう本質的な部分を考えていきたいと感じるようになりました。直感的な部分だけでなく、本質を理解するためにも、企画の部分から携わりたいなと」

新卒で入社して7年。30歳を前に、外の世界に目を向けはじめた覚張。そんなとき、彼の目に飛び込んできたのが“戦略PR”という言葉でした。

いざ、PRの世界へ。やりがいを感じつつも疑問が生じる

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▲オズマピーアール時代、同僚とフルマラソンにも参加

彼が目にしたものーーそれは、半世紀にわたり日本のパブリックリレーションズ(以下、PR)の歴史を築いてきた、オズマピーアールの求人情報でした。

募集職種は、「PRプランナー」。PRのプロフェッショナルとして、クライアントの要望に応えながらPR戦略を練る仕事です。

覚張 「当時、 PRや PR会社についてはまったく知りませんでした。『戦略 PR』という言葉はなんとなく聞いたことがあったんですけど。
でも、求人情報を読み込んでいくうちに、『企業のプロダクトやサービスを広めるために、世の中の空気を醸成していく』ということに興味がわいてきて。
今まで、自分は前に出ずに裏側で支えていくということをしてきました。その部分は生かしつつも、戦略をたてて、コミュニケーションを考えるのが、映像の仕事とリンクする部分もありながら、もっと上流のところに関われるのはおもしろそうだなと。
そう思って受けてみたら、あれよあれよという間に決まってしまって(笑)」

こうして飛び込んだPRの世界。そこにあったのは、「自分がやりたかったことに存分に取り組める」という充実感でした。

お客さんの悩みを聴き、戦略を練り、ディスカッションをする。時には、年単位でお客さんと伴走していくーーしかし、お客さんと向き合えば向き合うほど、“葛藤”が生まれはじめたのです。

覚張 「お客さんと話をしていくなかで『こういういい話があるので、世の中の人にもっと知ってもらいたい!』という要望があるわけですね。
たとえば、会社を立ち上げた背景やその裏にある想いとか。すごくいい話ですし、僕にとっても心に響くもので、世の中の人たちに知ってもらいたいなって思うんですよね。
でも、その話を広めるために『メディアに出していく』のが、PR会社に求められる一番大きな結果です。それはつまり、メディアに出せる情報の選別をしなきゃいけないということ。せっかくのいい話を、『メディアだと取り上げにくいです』とお断りすることもあって、非常に悲しかったんです」

メディアの力を借りて情報が拡散されていくことにも意味がある。しかし、それだけがすべてではないと、彼は考えはじめました。

もっと本質的なPRをしていきたいーーそんなときでした。PR Tableと関わりを持ちはじめたのは……。

裏側にいるからこそ、あえて本音を出していく。彼が見出した真の“PR”

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▲2019年現在の覚張真也

実は覚張は、PR Table取締役の菅原弘暁と元同僚。数カ月ほど一緒に仕事をしたことがあります。そのつながりもあり、PR Tableの存在はもともと知っていました。

覚張 「PR Tableが立ち上がり、徐々にサービスが大きくなっていくのは陰ながら見ていました。当時は『入社したい』と強く思っていたわけではなかったんですけどね。そんなとき、たまたま菅原と連絡を取る機会があって、代表の大堀航と海も交えて会うことになりました」

オフィスの近くにあった飲食店で、ざっくばらんに語り合った4人。仕事で抱えていた葛藤、PR Tableの事業、これから成し遂げていきたいことーー。みんなと話したことで、覚張のなかに気づきが生まれました。

覚張 「恥ずかしながら、 PRの本質を忘れてしまっていたんです。『あらゆるステークホルダーと良好な関係構築をすること』であるはずなのに、『メディアに対してアプローチをしていく』という意識になってしまっていて。
PR Tableがやろうとしている『本来の PRの考え方を広めていく』ことは、理にかなっているというか……そもそもそれ自体が PRだし、納得感があった。当たり前のことを積み重ねることで、PR業界全体を良い方向に変えていきたいという考え方もすごくいいなって」

会食や面談を重ねるうちに「一緒に挑戦していきたい」という気持ちが芽生えてきた覚張。

そして2018年7月、PR Tableの一員となりました。入社後は、企業の経営方針や課題をヒアリングし、課題の解決に向けて「PR Table」でどんな情報を発信していくのかを提案しています。

企業のなかに眠る“ちょっといい話”を形にしていくなかで、変化が生まれました。

覚張 「それは、お客さんに対してもっと本音を出していくという意識です。これまでの僕は、一歩引いて見ていることが多くて、感情の浮き沈みもあまり表に出さないタイプでした。
でも、日々の仕事を通して、お客さん自身が気づいていないところにもアプローチしていかないと良い関係性は築けないと気づいたんです。そのために大切なのは、お互い “本音 ”で向き合うことなんじゃないかなと。
お客さんがやりたいことを形にするだけでなく、その先にある課題を根の部分から解決していきたい。ゴールに向かって何かを成し遂げようとしている人を全力でサポートをしたいという想いは、今も昔も変わっていないんだなって」
前に出ることだけがすべてではないーー。自分なりの“輝き”を見つけた覚張は、お客さんが最高のゴールを決められるよう、ともに走りつづけています。

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