PRは企業経営そのもの。膝をつき合わせて考えよう、よりよい社会をつくるために

「どのようにPR活動を展開していくか?」どの企業でも、悩みがつきない課題のひとつでしょう。しかしそもそも、「PR」とは何を意味するかご存知でしょうか。PR会社勤務、事業会社での広報立ち上げ、そして自社事業を通して「PR」の本質を探究・実践し続ける、PR Table代表取締役社長の大堀航が語ります。
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それは広告でも、単なるプロモーションでもない。「PR」の本質を知る

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「PRって何だろう?」——2008年、大学在学中にこの世界に飛び込んでからずっと、そう考え続けています。それは、今も変わりません。

日本では「PR」という言葉の意味が、さまざまな方向に広がってしまっている現状があります。広告? プロモーション? そんな勘違いをはじめ、定義の仕方も人によって異なる場合が多々見受けられます。

私が、そしてPR Tableが追いかけている「PR」は、「Public Relations - パブリック・リレーションズ」のこと。本来の意味は、「社会との良好な関係構築」です。

はじめてその考え方にふれたのは、新卒で入社したPR会社でのことでした。

とある一冊の本に出会い、私はそこに書かれている内容に釘付けに。

「(パブリック・リレーションズは、)目標達成のためにさまざまなステーク・ホルダーとの良好な関係構築をはかるリレーションシップ・マネジメントといえる」

「パブリック・リレーションズの生命は双方向性をもった関係構築活動にある」

井之上喬先生(株式会社井之上パブリックリレーションズ 代表取締役CEO)の著作である、『パブリックリレーションズ』(日本評論社,2006)の一節。

分厚いその本を読み進めるうち、「本質的なPRとはこういうことだったのか!」と、とても感銘を受けたのです。

それが、すべてのはじまりでした。

「PRってなんですか?」納得できる答えには、たどり着けなかった

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▲オズマピーアール在籍時の大堀航

双方向性をもった、良好な関係構築による目標の達成。もともと、根っからの平和主義者である私は、その考え方にひかれていきました。「PR」の仕事が本来持っている可能性にも。

ただ、現実は少し、違っていました。

PR会社での仕事は、基本的にメディアを通したプロモーションが中心。もっと他の手段もあるはずじゃないか? これは刹那的な施策にすぎないのではないのか? パブリシティの仕事をこなしながら、そんなことを考えてモヤモヤするようになったのです。

折しも2011年当時、TwitterをはじめとするSNSが日本で浸透しはじめ、コミュニケーションの手法が一気に多様化しはじめた時期。

「PRって何ですか?」——先輩たちに、そんなことを聞いて回ったこともありました。でも、そのときは心の底から納得できる答えに、たどりつくことはできませんでした。

そのモヤモヤを、私は同じくPR業界で働いていた弟の大堀海や、PR会社の後輩だった菅原弘暁にぶつけるようになります。偶然にも3人とも、同じような疑問を抱えながら働いていたのです。

当事者として、PRの可能性を体現したい。そんな思いを抱くようになり、私は2013年、ある事業会社に転職して、広報部門の立ち上げを担うことに。

本質的なPRを、ここですべてやろう。そう心に決めました。

現場との板挟み、役割の軽視……多くのPRパーソンが抱えていた悩み

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▲レアジョブ在籍時にはIPOも経験した

「パブリック・リレーションズは、『人』、『モノ』、『金』、『情報』というこれまでの4つの経営資源を個々に強化し、それらを統合する『第5の経営資源』であるといえる」(井之上喬著,『パブリック・リレーションズ』より)

PR会社でさまざまなクライアントと接し、また事業会社に転職してからは、ベンチャー企業の広報担当者とのつながりが増えていきました。

みんな、同じことで悩んでいました。トップと現場との板挟み。仕事の重要性が理解されず、役割が軽視されてしまう……。

PRの仕事は、そんなものなのだろうか。しっかりとパブリック・リレーションズの役割を担えるようになれば、PRパーソンはもっと経営の上流に食い込めるはずではないだろうか。そう思いました。

事業会社で広報部門を立ち上げるにあたり、私はとにかく経営陣と徹底的なコミュニケーションを取り、あらゆるボールを拾い続けることにしました。

メディアとの関係構築も、もちろん大切です。でもそれだけではなく、コーポレートブランディングの見直しから、ユーザーとのコミュニケーション、オウンドメディアでの情報発信——とにかく会社の周りを360度、すべて見渡して施策を企画し、実践していったのです。

ステークホルダーとの良好な関係、それが少しずつ築かれていく。そんな手応えがありました。

この2年の経験を経て、私は、PRの可能性を拡張していくには、企業の経営層にその重要性を知ってもらうことが先決だと考えるようになりました。

そのために、自分も経営当事者になろう。そしてその会社で、パブリック・リレーションズを実践していこう、と。

会社として繰り返していく、パブリック・リレーションズの探究と実践

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▲PR Tableの創業メンバー

かくして私は、PR Tableという会社を立ち上げることになりました。2014年12月のことです。

試行錯誤の末にひとまずたどり着いたのは、企業に眠っている“ちょっといい話”を掘り起こして伝える、ストーリーテリングサービス。

メディア・リレーションズとは異なる角度からのアプローチ。2015年10月に提供をスタートしてから、その基盤を地道につくってきました。

2017年9月現在、「PR Table」を利用して自社の情報発信を行なっているユーザー企業は800社を超え、掲載ストーリーは500本に達しています。

企業経営の当事者になって2年。いま実感しているのは、顧客、社員、パートナー、投資家、採用候補者など、ステークホルダーとの目的意識を明確にもったコミュニケーションの重要性に他なりません。

ビジョンの実現に向かって、各ステークホルダーに共感・応援してもらうために、どのようなコミュニケーションを取るべきなのかを考える。一見、当たり前のことのように感じるかもしれない。でもそれを実践できている企業は、決して多くないんです。

ただストーリーテリングは、あくまでもパブリック・リレーションズを実践するための手法のひとつ。ほかにも、アプローチの仕方はたくさんあります。

だから私たちは、これからもさまざまな事業を展開していきます。

パブリック・リレーションズは、企業経営そのもの。だからこそ私たちは事業を通じて、会社と社会の関係性を、 より良くするための探究と実践をくりかえしていく——。

それこそが、PR Tableの原点なのです。

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