PR業界には、改革の余地がある。日比谷尚武がPR Tableにコミットする理由

「“弱いつながり”を、ビジネスに活かす」ーーSansan株式会社の「コネクタ」や一般社団法人 at Will Work 理事などをはじめ、多様に活動している日比谷尚武。彼は2014年、社外取締役としてPR Tableの立ち上げに携わります。その背景にあったのは、PR業界に対する課題意識でした。
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業界に感じた違和感。そしてひとつの出会いが、すべてのはじまり

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▲PR Tableと日比谷との出会いは、2013年末までさかのぼる
「これは、一体なんなんだろう……?」 そのとき日比谷は、胸の奥からわきあがる違和感を抑えられずにいました。

ときは2013年。彼は当時、クラウド名刺管理サービス「Sansan」や「Eight」を提供するSansan株式会社の社員でした。同社でマーケティング・広報部門を立ち上げた後、人脈によりビジネスに貢献する「コネクタ」としての活動をはじめたころです。

あるとき知人にすすめられて参加した、とあるPRのセミナー。事業会社側の参加者が、ほとんどいなかったからでしょうか。日比谷はそこで議論されていることが、本質的であるとは思えなかったのです。

日比谷 「PRの仕事が広告より下に見られているとか、正しく理解されないとか……。そんな内向きの議論でカロリーを消費している場合じゃないし、もっと視野を広くもてるはずだと思ったんですよね」

今思えばそのとき芽生えた課題意識が、後に続く新たな道につながったのかもしれません。

日比谷はその後、たまたま顔を出していた別のイベントで、ひとりの青年に出会うことになります。その瞬間から、歯車は静かに回りはじめました。

「PR業界を変えたいんです! いろいろ新しいことをやりたいと思っているので、今度お話させてください!!」

それはPR Tableを創業する前の、大堀航(現 当社代表取締役社長)。

日比谷 「やたら前のめりでしたよね(笑) でも話してみると、PRの仕事に対して自分と同じ課題意識をもっていることがすぐにわかって。『それいいね!』と意気投合したんです」

2013年12月。大堀航(以下、航)を中心とした、後のPR Table創業メンバー3人が、匿名のブログ「PR Table」(当時)を立ち上げ、細々と記事を更新しはじめたころのことでした。

「創業メンバーとして一緒にやりたい」社外取締役として起業に立ち会う

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▲2014年12月、株式会社PR Table設立の日。右から日比谷、エンジニアの芹沢、大堀航・海

日比谷が航と出会ってから共に新たな事業を創りはじめるまで、そう長い時間はかかりませんでした。

日比谷 「そのころ僕はすでに、Sansanの仕事とは別で個人的にいろいろなスタートアップを支援したりしていたんです。もっと、新しいことにチャレンジしていこうとする人たちと関わりたいと思っていました。そこに航くんが現れて、PRにも興味があったのでドンピシャなタイミングだったんですよね」

当初は何も具体的なことは決まっていませんでしたが、定期的にディスカッションしていく中で、PRパーソンと企業のマッチングサービスのイメージが固まりはじめます。

日比谷はサービスの開発チームをつくるため、旧知の仲だったエンジニアの芹沢孝広やデザイナーの近藤享亮を航に紹介。少しずつメンバーが集まり、2014年12月、株式会社PR Tableが誕生しました。日比谷は社外取締役として、当社の創業に立ち会うことになったのです。

日比谷 「僕自身はSansanの社員でもあったので、手を動かすのは難しいけど、人を紹介したり、出資したり、アイデアを出したりすることはできるぞ、と。気持ちのうえでは、創業メンバーの一員だと思っていましたよ」

創業まもないころ、航の最大の弱点だったのは、人的ネットワークやつながりの少なさ。そこを次々にフォローしていったのが、日比谷がこれまでに培ってきた「弱いつながり」にほかなりませんでした。

航 「開発チームもそうですが、日比谷さんから紹介してもらった人たちがフックになって、それから2年の間に僕のネットワークの規模は、本当に5倍くらいに広がったと思います」

しかし創業直後から、メンバーにとっては正念場が続くことになります。

まるで宇宙人!? 試行錯誤の日々のなかで垣間見た、創業メンバーの情熱

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▲創業1年目は、芹沢らと共に夜な夜なプロダクトミーティングを重ねていた
フリーランスの優秀なPRパーソンと企業をつなぐコミュニティの思想は、社会的にも意義があるはず。当初は航も、日比谷自身もそう考えていましたが、マネタイズ面での課題は小さくありませんでした。

ひたすらミーティングを重ねるも、なかなか結論が出ない毎日。時間だけがどんどん過ぎるばかりで、メンバーの焦りは大きくなっていきました。

日比谷 「とはいえ当時は僕も他のメンバーも別の仕事と兼務だったから、そのころ事業についてフルで試行錯誤していたのは航くんひとりだったんですよね。今思えば、もっと力になれる部分があったんじゃないか……と反省するところです」

正式な経営メンバーとなる、航の弟・大堀海(現 代表取締役)と、菅原弘暁(現 取締役)がPR Tableにフルコミットしたのも、2015年秋から冬にかけてのこと。創業からしばらくのタイムラグがありました。

ただ日比谷は、ひとり事業を生み出すことに異常な集中力を見せはじめた航に、ある種の頼もしさのような感情を抱くようになります。

日比谷 「資金もギリギリで、マネタイズもできていない。このままじゃダメだと思いつつも、ふとドライな視点でみると、なんだか経営者として迫力を増してきた航くんがいて。本人は辛かっただろうし、切羽詰まって目も血走ってきているんだけど、もうね、なんか宇宙人っぽかったよね。雰囲気が。こいつ、なんかすげぇ面白いな! と」

そんな紆余曲折の末にたどり着いた事業が、「企業の“ちょっといい話”を届ける、ストーリーテリング・サービス」。2015年9月に方向性が決まると、さらに怒涛の日々がはじまります。

航 「まず僕と菅原がサービスの営業をはじめたわけですが、当時は何ひとつ専門知識がなかったんですよね。日比谷さんに『どうやって売るの?』と聞かれて『気合いです!』と答え、『バカやろう!!』と怒られる、みたいな(苦笑)」

そんな経営陣の壁打ち相手として、日比谷は営業やマーケティングの戦略策定をするためのサポートに回ります。

どんな人たちに向けて売っていくのか、営業資料はどう作ったらいいか、イベントでは何を訴求すべきか、組織としてどう仕組み化していけばいいか……。

経営陣と日比谷の、そんな細かいやりとりの一つひとつが、一歩ずつ、少しずつ、PR Tableをかたちづくる基礎となっていきました。

事業は自走をはじめた。次に見据える「PRの未来」

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▲日比谷が理事を務める一般社団法人 at Will Work主催の「Work Story Award」に、サポーター企業として参加
2017年12月、ストーリーテリング事業をはじめて2年と少し。日比谷はPR Tableの社外取締役を退任し、広報アドバイザーとしてチームに関わっていくことになりました。

それはPR Table社内でメンバーが増え、組織化や事業の仕組み化が一定のところまで進んで、日比谷の手が離れはじめたことを意味します。

日比谷 「多少は、もうちょっとこうしたらいいのに……というようなもどかしさはありますよ。でもここまできたら、多少時間がかかったとしても、もう中のメンバーが自分たちで試行錯誤して積み上げていった方がいい。
僕自身のスタンスも、この2年の間に変わってきているんですよね。1社だけに力を注ぎ、自分自身が組織を率いるのではなく、本質的な社会課題を解決する、イノベーションを起こすチームの後押しをしたい、と。だから自然と、フェーズが移るにつれてPR Tableとの関わり方も変わってきています」

ただ、かつて日比谷が違和感を抱いたPR業界の課題は、以前として目の前に転がっている状態です。それは、航をはじめとする創業メンバーが解決を目指している課題でもありました。

そこで会社として4期目を迎えた2018年、PR Tableは新たなステージに上がるため、ある大きな目標を掲げました。創業当初、一度はマネタイズ面から断念したコミュニティ構想「PR Table Community」を、形を変えて実現すること。

さらに、4期に注力する「PR Table Community」活動の集大成として、2018年11月27日、PR=パブリック・リレーションズをテーマとした、大規模カンファレンスを実施することーー。

これから社会に対してどんな形で問題提起をし、ムーブメントを起こしていくか。航を中心に、急ピッチでディスカッションが重ねられています。

日比谷 「いろいろなところで言及されていますが、僕自身もこれからは“個の時代”がくると考えています。そうなったとき、広報やPR業務に従事している人だけではなく、一人ひとりがそれぞれのステークホルダーと関係性を築いていく必要がある。
つまり、“一億総PRパーソン(コネクタ)”にならなければいけない時代が、もうすぐそこまできているわけですよね。 そうした社会の到来に備えるべく、PR Tableとしてもっといろいろと仕掛けていってほしいですし、引き続き僕もそこに関わっていきたいと思っています」

課題も多く、考えるべきことは山積み。それでもパブリック・リレーションズについて地道に探究し実践を繰り返していけば、きっと業界のあり方も、社会も変わっていくはずです。

▼日本初・PRの大規模カンファレンスを開催!
- 日時:2018年11月27日(火)時間未定
- 場所:虎ノ門ヒルズ
- 事前登録は
こちら

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