「Never Say Never」──妊娠を望む人に妊娠検査薬で新たな価値を

ロート製薬に受け継がれる、難しいことにもチャレンジし、今までにない価値を生み出し続ける。それは、現在のコーポレートアイデンティティ(以下、CI)の「Never Say Never」にもつながっています。

そのひとつともいえる、女性の気持ちに寄り添った商品群。

妊娠検査薬・排卵日予測検査薬の「ドゥ―テスト」も今では当たり前になった商品のひとつですが、1980年代前半から開発検討が始まりました。

数々の商品に関わってきた、プロダクトマーケティング部部長の力石 正子は、当時を振り返ります。

力石 「アメリカでは日本よりも随分と早くから妊娠検査薬をドラッグストアで販売されており、日本の遅れを実感しました。

しかし当時医療用検査薬であれば薬局で販売することができたので、アメリカの製品の輸入販売からスタートしたのです」

検査薬が一般用医薬品化される前はお客様からすると知らない商品。

広告ができないのでお客様の使用率も低く、中には妊娠していることに気づかず、風邪薬などを服用してしまい、出産まで不安が続く方や大きな負荷をかけて早期流産される方もいらっしゃいました。その事実を耳にすると、自分で早く確認ができる一般用医薬品として発売することの重要性を痛感しました。

今の世の中にはない製品であっても、必要なものであればチャレンジし続ける。

約10年の歳月をかけて開発に力を注ぎます。

社会的に初めてで、一筋縄ではいかなかった商品の開発・発売。日本にない一般用検査薬をつくるべく、ガイドラインなどの策定にも参画しました。

誤解を解いて適切な情報を伝えたい──ロビー活動から相談窓口の設置

注力をしていたことは商品企画だけではありません。

力石も含めた学術グループによる「妊娠」に対する啓発活動。製薬会社だからこそ、適切な情報をお届けしたい。全国津々浦々、情報を必要とするドラッグストアなどの薬剤師さんを訪ねてお話しする活動も積極的に取り組んでいました。

ドラッグストアなどのバックヤードで2・3人のときもあれば、大きな会場で100名程度のときもありました。当初は勉強会で男性の薬剤師の方から「妊娠検査薬は使わずに、病院に行けばいいじゃないか」と言われることも。

こういう言葉もありながら女性の薬剤師の方からは「私もこれでわかって、すぐに病院に行きました」という声をもらうこともありました。

こういったお客様の声を支えに活動は続いていきます。

全国津々浦々巡り行っていた啓発活動に付随して、お客様の電話相談窓口とは別に「マリアコール」という妊娠検査薬専用の相談窓口も設置。

ある日、お客様から「ひとり目はすぐ妊娠できたのに、ふたり目がなかなかできない」というお電話をいただきました。

妊娠にともなう適切なタイミング。その認知が正しくされていなかったのです。

大学の先生からいただいたアドバイスから、さらに子どもを授かるための排卵日予測検査薬の必要性を強く感じ、これまでの「ドゥ―テスト」のノウハウを生かして排卵日予測検査薬の開発の検討をスタートすることに。

社内での温度感もさらに高まり、学術チームの力石を含めて、女性3人でプロジェクトチームが立ち上がりました。

ここでもプロジェクトチームは商品開発のためにお客様へのヒアリングをしながら、情報の冊子をつくり、勉強会などの啓発活動を行いました。

当時は不妊の理由はほとんどが女性にあると思われていた中、ここでもこだわっていたのは、適切な情報をお伝えすること。

お客様の悩みを解決したい。開発も勉強会もこの想いが軸になり動いていました。

使いやすさ・わかりやすさ・早さ──妊娠検査薬の開発と認知の広がり

妊娠検査薬も排卵日予測検査薬も、自社で製造して、お客様のもとへ。

開発当初の妊娠検査薬は結果判明まで、2時間もかかりましたが、お客様のために日々検討を重ねる中で、今では1分で判明するまでになりました。

排卵日予測検査薬の開発も同様に、使いやすさ・わかりやすさ・早く出すことをモットーに日々試行錯誤を行いました。

一般用での発売にともない、より広く伝えることができる、広告も可能に。もちろん雑誌などの紙面を通じて、より多くのお客様に知っていただくきっかけをつくることができたのも大きな一歩でした。

ドラッグストアなど小売店からの反響も多く、勉強会の依頼もさらに増えました。適切な情報を発信したいという想いから勉強会も継続して実施しました。

力石 「説明で『へぇ!』『知らなかった!』と言ってもらうことが非常に嬉しかった」

声のトーンや表情も含めて伝わるリアルな場はすごく大切に感じています。

しっかりとした商品ときちんとした情報をお届けすること、そのふたつの角度から、現在も女性のお客様に寄り添ったサポートをしています。

最近では「妊活白書」を制作。妊娠を望む人だけでなく、パートナーや周りの人などへの調査を通じて、妊活を社会全体で見守る未来へ近づける第一歩として、「ふたり妊活」という言葉を世間にも広げ、社会全体で応援していきたいと考えています。

気持ちに添って、適切な情報を。情報があふれるこの時代にできること

今はインターネットを通じてたくさんの情報があふれる時代。

正しい情報を入手することが難しいこともあります。

今の時代だからこそと力石は、妊娠検査薬開発時に芽生えた、適切な情報を提供したいという想いを胸に日々活動しています。

力石 「もっと早く知っておけば良かったと思う人は多い。こんな時代だからこそ、リアルとインターネットの融合でできることもあるんじゃないかと。

実際に渋谷には「ロートQuality Aging サロン」という場所もあります。そういったリアルなお店での情報やホームページなどの情報など発信もたくさんしているので、ぜひ見ていただけるよう、引き続き考えていきたいですね」

医薬品を考えると、男性だから・女性だからという括りはなく、性別を超えた商品が多い。一方でロートリセのような「充血を取りたい」と思う女性に対してビタミンを入れたピンク色の目薬や、男性がかかるイメージの強い水虫も女性向けに「エクシブ」を発売するなど、女性の心理に寄り添って開発を進めてきました。

当時の商品企画や研究開発のメンバーでも女性社員が活躍していたこともありますが、さらに間違った理解や誤解を解き、適切な情報を伝えるというのは、今後もやっていきたいことのひとつです。

力石 「お客様のお声を直接聞くときにも、あまり人には話せないようなことでも、困っている人同士では会話が弾むということも実感としてあって。

これまでなかった市場でも、お客様が必要であるモノを私たちならではの視点で寄り添いながらつくっていく。モノづくりと情報提供にこれからも挑戦をしていきたいですね」

商品開発はもちろんのこと適切な情報を伝えていきたい──その想いを胸に、お客様のニーズに寄り添った力石の活動は今後も続いていきます。