身近に存在する課題をロートならではの観点で取り組む

1909年に「ロート目薬」を発売し、目の研究を重ねてきたロート製薬。

ドラッグストアなどの小売店で販売する一般用医薬品はもちろんのこと、それ以外にも大学や医療機関の先生方との研究を通じて、社会課題となっていることに取り組むチームがあります。

これまで研究開発や商品企画などを行ってきたヘルスサイエンス研究企画部の青柳 寿枝がこのチームに加わったのは、10年前のこと。

2020年現在は大学の先生・医療機関の先生方とのつながりをもとに、商品企画・開発・販売、太陽笑顔fufufuでの情報発信、研究基金事務局運営などを幅広く行っています。

今回のお話である、「近視の取り組み」はそのうちのひとつです。

日本ではもちろんのこと、中国・韓国・台湾などとくに東アジアでの患者が増加している近視。「これをしたら治る、完全にストップする」という治療法はまだありません。

さらには子どもの成長期に進行しやすいと言われ、対策は子どものころから必須です。

近視が強くなると、単に生活が不便になるだけでなく、歳を重ねた際に緑内障や加齢黄斑変性症などの失明につながる疾患のリスクが高くなるため、眼科の先生の中でも重要な課題として注目が集まっているのです。

ロート製薬の子どもの近視に対する取り組みは、5年前に慶應義塾大学の眼科の先生とともにスタートしました。

青柳 「子どもの成長期には身体だけでなく、眼球も大きくなり、近視はその過程で発症・進行します。一度大きくなったら小さいときに戻すことはできません。だからこそすぐにアクションをしていく必要があると感じました」

肌で感じる課題。一刻も早く解決するために

近視とは主に「眼軸」と呼ばれる目の奥行きの長さ(眼軸長)が伸びて、網膜にピントが合わなくなる状態。近視になると遠くはぼやけてしまい、近くのどこかにピントが合うようになります。

2019年度では、小学生の3人に1人以上、中学生では半数以上、高校生では3人に2人以上が視力1.0未満という結果が出ています。

驚くことに、調査を開始した約40年前と比較すると、視力1.0未満の小学生の割合は倍増しているのです。

さらに近視の子どもの割合が増えているだけでなく、“近視になる時期の低年齢化“と”近視の強さ“も進行しているという研究結果もあり、大きな問題になっています。

近視になる年齢と近視の度合いの強さには関連があり、“近視になる年齢が低くなるほど、将来の近視の度合いが強くなる“と考えられています。

そもそも近視になる原因には遺伝もありますが、それだけではありません。近くを見ることが増えているだけでなく、屋外活動(外遊び)が減っていることも大きな理由と考えられています。

これに着目したのが慶應義塾大学眼科学教室の研究。屋外活動と近視抑制遺伝子のひとつであるEGR1が関連している可能性があることがわかりました。

さらにロート製薬との共同研究で、207個もの成分の中から「クロセチン」という食品成分にこの遺伝子を活性化する効果があることがわかったのです。

青柳 「近視はパンデミックを起こしていると言われています。だからこそ少しでも抑えることができる方法を、いち早く届けることが必要だと感じていました」

眼科へコンタクトレンズなどの営業をしている社内の他部署のメンバーにも協力を仰ぎ、患者さんに適切な情報をしっかりと届けてくださる眼科の先生を通じて、この近視の啓発活動をスタートしました。

積み重ねた結果がより強い信頼へ。たくさんの人を味方に

子どもの近視について課題と捉える先生が多かったことから、近視抑制効果としての「クロセチン」をきちんと説明をすると反応してくださる先生方が多くいたと話す青柳。

近視抑制に対するアプローチはさまざまあり、その選択肢のひとつとして歓迎を受けましたが、先生から求められたのは「しっかりとした効果があるのかどうか?」ということでした。

改めて大学との共同研究により臨床試験を行うことに。

6カ月間の小児への使用試験から、クロセチン7.5mgを配合したソフトカプセルの近視進行抑制に対する効果がしっかりと確認でき、論文としても発表されました。

実際に眼科でこのお話をさせていただくと、さらに高い評価と信頼をいただき、2020年現在では患者さんに近視抑制の選択肢のひとつとして、説明をする資料を自らつくってご紹介してくださる先生方も増えてきました。

青柳 「眼科に来るお子さんは学校の検診などで指摘受け、受診される方も多く、子どもを持つ親御さんの近視に対する理解もこれからより高めることができると考えています。私たちが大切にしていきたいのは、正しく理解していただくこと。だからこそ強力なパートナーとして、先生方と一緒にタッグを組むことが必要だと改めて感じました」

これからも続く挑戦。その根源にある社会課題のために

青柳 「少しずつ眼科の先生にも知っていただくことができています。これは営業メンバーが先生方と密なやり取りをすることで紹介する際に工夫をしてくださっているから。私たちも実際に営業先に同行させてもらい、先生方から学ばせてもらっています。

一方で、海外では国策のひとつとして子どもの近視に対する取り組みが行われている国もありますが、日本にまだその波は来ていません。これから学校現場でタブレットを使った授業などが増えていったり、Webでの授業も増えたりするでしょうから、子どもの目の健康を改めて考えていくタイミングになっていくと思います。

だからこそ商品だけでなく、近視の原因や抑制方法など商品以外の部分で啓発活動なども行っていきたいですね」

子どものリスクは増えているけれど、それを守ることができるのは親などの大人しかいないという使命感が青柳を含めたチームメンバーにはあります。

近視の啓発活動もより幅広くやっていきたいと話す青柳。

学校など教育現場で活用いただくための近視に関する冊子をつくり、配布するなどの活動も実施しました。

今後はそれだけでなく「子どもの目はこんなしくみだよ」など、自分自身の身体についてわかりやすく理解してもらうしくみづくりなどもしていきたいと話します。

今の社会には、子どもの近視以外にも目やスキンケアなど健康にまつわるたくさんの課題や研究のテーマがあります。

青柳 「私たちが普段お付き合いをしている、大学や病院の先生方は社会課題に興味を持っており、解決に向けて尽力されている方々。人を救うという使命感のもと活動をされています。

だからこそ、私たちもそれらの課題に向けて一緒になって解決方法を考えていき、少しでも貢献をしていきたいと思っています」

日々研究が続き、新たな情報や知見が入る世界。

社員一人ひとりが最新情報にアンテナを張りながら挑戦を続けています。