創業者の仕事に対する思い、考え方、そして一緒に働いているメンバーに伝えたいこと

「おやさいバルTIERRA」など、大阪で飲食店3店舗を経営する株式会社Sou。その創業秘話から垣間見ることができる、代表・大戸敏正の仕事に対する熱い思い、いま一緒に働いているメンバーに伝えたいことを大戸本人が綴ります。
  • eight

このままで自分は本当にいいのだろうか? 40歳を目前に起業を決意

2de8ee9469d9ea624021b14375303082152321c7
私がこの会社を起業しようと決めたのは、40歳を目前にした頃のことです。

当時はアパレル業界で営業をしていましたが、このまま会社員として働き続けるのか、それとも違うことをはじめるのか、ずっと考えていました。

新しいことをはじめるのは勇気がいること。しかし当時の私は、「会社員である以上は、本当におすすめできる商品だけを扱えるわけではない」と仕事のやりがいを感じなくなっていました。

そこで「本当に自分で自信が持てる商売で起業しよう」と、会社を辞める決意をしたのです。

起業といっても何をやるかは決めていませんでした。しかし、父が寿司職人だったこともあって飲食業界に馴染みがあり、また私自身も料理が好きだったので漠然と飲食関連を考えるように。

そして退職を決めたあとは、飲食業界のリサーチを開始しました。

お弁当屋のオーナーと仲良くなって、弟子入り志願

52d5d71d5d2b8f115b45491735afc61edc17f1b6
退職が決まると内勤に異動となり、半年間くらい会社で昼食をとるように。ちょうど会社の近くに「体にいいものを」というコンセプトで評判のお弁当屋があり、味も美味しかったので私も毎日のように通うことになりました。

するとオーナーと仲良くなり、雑談をかわすようになりました。そして、会社を辞めて飲食関連の仕事をはじめたいことを話すと、「力になれることがあれば何でも」と言ってくれたのです。

私は早速、「給与はいらないから、ここで働かせてください!」と頼みました。

お弁当屋ならば、店舗や設備など初期投資があまりかからず、自分とパートひとりくらいの人手でスタートすることができます。このお弁当屋に通ううちに、飲食業界未経験の自分がはじめるには一番いい事業形態ではないかと考えたのです。それに、いくら料理が好きといっても全くの素人、どこかで修業する必要がありました。

しかし、当時の私は40歳。かつまったくの初心者で、はじめから長く働かずに辞めるつもりの人を雇う店はないだろうと思っていたので、オーナーの申し出はまさに渡りに船でした。

こうしてオーナーが弟子入りを快く引き受けてくれて、その後の半年間は無給で働き、お弁当屋を起業するために必要な業務や知識を学んでいったのです。

忙しい会社員こそ「食べ物」が大事。健康にこだわった“手作り弁当”

07f379a30438603b7cbdaf9e07bc6623626d7161
そして、独立の準備をはじめます。

私は以前から「健康に特化したお弁当を作りたい」と考えていました。というのも、20代の頃にフィットネス関連のインストラクター経験があり、食事の知識があったことに加え健康オタクみたいなところがあったのです。

会社員時代を振り返ると、職場では「30~40代になってから調子が悪い」という話題でよく盛り上がっていたのですが、その手の話を聞くと「その食生活じゃ、調子が悪くもなるだろう」と思っていました。

そうはいっても、仕事に追われる会社員が健康管理を気遣うのはなかなか難しいこと。気にせずに食べていたらいつの間にか体調がよくなるような、健康に特化したお弁当作りはできないか……。そこで、揚げ物や冷凍食品を使わない、「健康に特化」した全部手作りのお弁当の販売をはじめたのです。

しかし、ひとりで作っていたので、こだわり過ぎて手間がかかって本当に大変でしたし、最初の1年は「いつ潰れるか」という状況でした。それでも次第にお店のファンができ、「ここの店のお弁当でないとダメ」といってくれる人も現れて、手ごたえを感じるようになります。

2年目には、正社員を雇える程度の売上が上がるようになり、お客様の紹介で調理経験者を採用しました。経験者がいるのはとても心強かったですが、九州料理の居酒屋で店長をやっていた彼にこのままお弁当屋で働かせるのは、さすがに悪いと思っていました。

そこで「お弁当屋以外のことで、何かしようか」と話し合うようになると、タイミングよくお弁当屋の前にあった店舗物件が空いたのです。

その場所ならば、お弁当屋が終わったその夜に居酒屋ができるかも。そう思って物件を借りて居酒屋をはじめようとしましたが、結果的にその物件は借りることができませんでした。

しかし、これがきっかけとなり、中津に「おやさいバルTIERRA」が誕生することになったのです。

正直な価格設定で お客様に失礼のない商売を

3991aed9d4bb90bdc9a53eb49eabee26a13c241a
私がアパレルの営業から飲食業界に転身したのは、「自分が自信を持てる価格で、お客様に失礼のない商売をしたい」という思いがあったからです。

アパレル業界ではシーズン毎にセールがあり、同じ商品でもいつ買うかで値段が大きく変わるのが当たり前。セールになると、最初に買った人が何だか損した気分になります。在庫になってしまうので致し方ないのですが、私はどこかで「せっかく最初に買ってくれた人が損した気分になるのは、おかしいんじゃないか」と感じていました。

だから自分で事業をするときには、買うタイミングで損したり、得したりするのではなく、その商品そのものの適正な価格で商売をしたいと思っていました。そのため、お弁当屋時代にも、昼間に売れ残ったお弁当を夕方になって値引き販売することはしなかった。昼間のお弁当が余るからと、夕方に安く売ってしまったら、昼間に正規の価格で買ってくれたお客様に失礼だと思ったからです。

しかし開業当初は売上がなく、3ヶ月連続赤字。パート代を支払うと自分の手取り分もなく、毎日売れ残るお弁当を、つい値引き販売をしてしまったこともありました。それまで残ったお弁当は、昼間のお客様が夕方に立ち寄ってくれた時に無料でお配りしていたのですが、どうしても資金が苦しくて代金をいただいてしまったのです。

私はお金を手にした後、自分の信念を曲げて“売れ残り”のお弁当を販売したことを非常に後悔しました。そしてこれ以降、「この値段で売る」と決めたら絶対にそこで勝負をしようと心に決めたのです。

このタイミングで購入したら安くなる。
ここで交渉したらもっと安くなる。

商売にこのような駆け引きはつきものですが、私は購入するタイミングや交渉次第で「得した」「損した」というのが好きではありません。また、「○○だから」と価格が必要以上に高額になることも、なにか違うと考えています。

たとえば有機野菜は、手間を考えれば高くなるのは当然ですが、ときに適正な価格を超えているものもあります。いくら有機野菜が体によくても、日常的に食べられる価格でなければ意味がありません。

いつでも同じ値段で、正直に商売をする。
必要以上に高くない、正直な価格設定をする。
いつ来ても値段が同じだから、損した気分にはならない。

私は、これがお客様の安心感につながる、とても大切なことだと考えています。だから「おやさいバルTIERRA」では、常に同じ価格で提供し、居酒屋によくあるハッピーアワーやタイムセール、周年記念セールなどは一切行いません。

さらに取引業者とも価格交渉はしません。「いらん駆け引きはやめような。御社も利益が出て、苦しくない値段を最初から出してきて」と伝えて、出してもらった金額で取引できるかを判断するだけです。

お客様にも正直に。取引業者にも正直に。

そうすることで、みんなで安心して気持ちよい状態が実現できると考えています。

関連ストーリー

注目ストーリー