社内起業家が大手企業を、日本経済を変える 〜 「イントレプレナーは未来をつくる」

トーマツベンチャーサポートは、有限責任監査法人トーマツの社内ベンチャーとして2010年に発足。現在までに3,000社以上のベンチャー企業を支援してきました。その経験を生かし、イントレプレナー(社内起業家)への支援を本格化。その第一歩となる、セミナー「イントレプレナーは未来をつくる」を開催しました。
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2020年、時代は大きく変わる。 “イントレプレナー黄金期”の到来

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▲NewsPicks 佐々木編集長

「イントレプレナー」——。事業を立ち上げる情熱とベンチャーに勝るとも劣らない行動力を武器に、企業のなかで新規事業を立ち上げていく社内起業家のことをいいます。

2017年現在、日本は世界的に見ると、新規事業を生み出す力が弱い傾向にあるといえるでしょう。フランスのビジネススクールINSEADによると、2014年時点で、日本は新規事業を生み出す力が世界で27位と、先進国としては低いレベルとなっています。

その要因として考えられるのが、人材やマネジメントの「最適化」です。日本の企業は、人材やマネジメントを、既存の事業に最適化することで効率化をはかり、サービスの質や売り上げをあげてきました。

しかし、テクノロジーが進歩し、製品寿命が3年以下の製品の割合が、電機業界においては10年間で19%から36%と約2倍に増加するなど、(出典:デロイトトーマツコンサルティング「我が国のイノベーション創出環境整備に関する調査研究」2015年)製品やサービスの寿命が短くなっている現代において、最適化だけでは、破壊的イノベーションを起こす他の企業との競争に敗れてしまいます。

さらに、ベンチャー企業支援の現場では、こんな声があがっています。

「なぜ、新しい取り組みがいるのか」「それは、すでに考えたことがあるアイデアで、自社でやれる内容だ」「自社の品質基準に満たない」

日々問われ続けている課題に対し、挑戦しない理由は、いくらでも挙げることができます。しかし、これらはすべて、的外れの指摘といえるのです。

たとえば、「すでに考えたことがあるアイデアだ」という指摘。そもそも問題は、アイデアがないことではなく、実行できない点が根本的な課題のはずです。しかし、このように考えられてしまうのは、日本企業のマネジメントが、既存事業の維持に過剰最適されてしまった結果といえます。

「過剰最適」を打破し、日本の状況を変えるカギとなるのが、情熱と行動力を武器に、新規事業を生み出すイントレプレナーなのです。

「時代の変化」と「イントレプレナーの必要性」について、セミナー序盤、2010年に有限責任監査法人トーマツからTVSを立ち上げた事業統括本部長の斎藤祐馬と、経済情報に特化したニュース共有サービスNews Picksの佐々木紀彦編集長のスペシャルセッションが行われました。

佐々木編集長は、イントレプレナーが必要とされる理由について、若い世代が活躍できるテクノロジーの発達が関係しているといいます。

佐々木編集長 「年齢は関係ない、むしろ若い方がテクノロジーをよく知っているだけあって有利な時代が確実に来ていますし、加速するのではないかと。

たとえば、若手が活躍できる舞台としてあげられるのが、AI(人工知能)です。東京大学でAIの研究をしている教授に取材をしましたが、AIはスポーツ選手と舞台が一緒で、20代が研究の全盛期といえるんだそうです。

だから、20代の研究者を中心にした方が絶対に発展する。しかし、その可能性を狭めているのが、年功序列なんです」

ところが、佐々木編集長は、その年功序列が、2020年ごろに崩壊するとみています。

近代の日本は、約70年のスパンで時代の流れが変わっていると、佐々木編集長は分析しています。明治維新から第二次世界大戦の終戦、終戦から経済が大きく発展した現在(2017年時点)、そして、2020年前後から新たな時代がはじまると見ているのです。

その新たな時代こそが、年功序列が終わり、若い世代が活躍する「ボトムアップの時代」。

さらに、最適化から変革へと時代が大きく変わる理由は、テクノロジーの発達や年功序列の崩壊だけではありません。カギを握っているのは、労働市場と商品市場のバランスの変化だと、トーマツベンチャーサポート(以下TVS)の斎藤は話します。

斎藤 「以前は、商品市場の方が大切という考え方でした。商品やサービスを売るのは難しいけど、人はどんどん酷使して使える。しかし、その考えが大企業の労働環境の悪化につながってしまいました。

そこで働き方が見直され、労働市場の価値が上がったんです。大企業からすると、新しいことを生み出せる優秀な社員が、より働きやすく自由な環境を求めて、安易に辞めてしまうのが現状です」

そこで大企業が打ち出したのは、「優秀な人材に、裁量と自由を与える」こと。年功序列が崩壊に向かい、大企業の考えが変わりつつあるからこそ、社内に革新をもたらす“イントレプレナー黄金期”の到来が迫っているのです。

新規事業成功のカギは “圧倒的当事者”を見つけ出すこと

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▲ソニー 八木氏(中央)と富士ゼロックス 大川氏(右)

イントレプレナーは、何を原動力に進んでいるのかーー。

続いては、イントレプレナーとして活躍する、ソニーの八木隆典氏と、富士ゼロックスの大川陽介氏が登壇し、その本音を話しました。

2013年、ソニーに入社した八木氏は、2年目の2014年、新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」に応募し、オーディションに合格して選ばれます。そして5人の同期とともに、新規事業をスタート。2016年、複数の家電を1台で操作できるリモコン「HUIS REMOTE CONTROLLER」を発売しました。(http://huis.jp/

富士ゼロックスの大川氏は、2005年にSEとして入社。入社から10年ほど経ったころ、「自分が心から売りたいものを作りたい」と、新規事業をはじめます。プラットフォームを利用して一般顧客から商品コンセプトやアイデアを募る「共創型イノベーション」を推進し、2017年現在、会議のサポートやアイデアの発想を手伝ってくれるコミュニケーションロボットの顧客価値を検証しています 。

八木氏が新規事業をはじめたきっかけは、入社前から感じていた、ある可能性でした。

八木氏 「生活のなかで『これが変われば面白そうだな』と思うことが結構あって。そのなかで、リモコンは変わってほしいもののひとつであり、今後、絶対変わるだろうと思っていました。この活動は絶対に意味があると思ってやらせていただいています」

また、富士ゼロックスの大川氏は、新規事業に携わることが、社内の魅力の再認識につながったと話します。

大川氏 「最初は社内を頼らず、社外の人たちとタッグを組んで新規事業を進めようと思っていて……。でも、段階が進んでいくにつれて、社内のものづくりの現場に足を運ぶと良いものがあって、会社の再発見をしちゃうんです。この会社、いいじゃないかって。社内と社外、どちらも同じくらいに目を向けることが大切なのかなと思います」

そして、イントレプレナーのふたりが何よりも意識したのは、“圧倒的な当事者”をつくること。ビジョンに共感してくれて、フルコミットしてくれる仲間が、事業の成功には欠かせません。その仲間を見つけ出すために、大企業は絶好の場所なのです。

八木氏 「ソニーだと、電気に知見のある人がいる、メカの人もいる、ソフトウェアの人もいる。若手ながら製品を出すことができたのは、走り回って社内の協力者を見つけたことが大きいのかなと。そうした人たちにサポートいただけたことで、圧倒的に早く開発することができたんだと思います」

しかし、新規事業の成功は、一筋縄ではいきません。イントレプレナーには、さまざまな試練が待ち受けます。

社内ベンチャーだからこそできる、伴走型のイントレプレナー支援

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▲イントレプレナー支援のサービス概略図

イントレプレナーが新規事業を起こし続けるために必要な要素は、何が何でもやりきるという「熱量」、周囲を巻き込みチームで進むための「巻き込み力」、そして事業を成し遂げる「やりきり力」です。

しかし、大企業には、この要素を下げてしまう要因があります。

熱量を下げる要因として挙げられるのは、「新規事業をやっても儲からない」という声や、さまざまな事業を試すなかで生まれる「遊んでいるように見える」という周囲の誤解などが代表的です。

続いて、巻き込み力を低下させるのは、そもそも事業化する体制が整っておらずメンバー集めにも十分な協力が得られないことなどです。イントレプレナーにとって、新規事業を生み出しやすい環境は、まだまだ発展途上にあります。

そして、やりきり力を下げる要因は、「教育目的」で事業を進めてしまうことが挙げられます。会社に新規事業を立ち上げる覚悟がないと、イントレプレナーは本気になることができません。

そんな現状を踏まえ、3,000社以上のベンチャー企業を支援してきたTVSは、起業家がベンチャー企業を立ち上げることと、大企業で新規事業を生み出すことに共通点を見出し、イントレプレナーを徹底的にサポートするプログラムを開発しました。

それが、マインド・ネットワーク・ノウハウを強みとした、すべてのイントレプレナーに寄り添うための3種類の支援です。

まずは、「社内で実施するボトムアップ型新規事業開発プログラム(Asterisk Enterprise)」。

プログラムの設計からアイデアの募集審査、新規事業を生み出すまでのプロセス、事業化の判断を、14ヶ月にわたって支援します。

次に、「社外で実施する新規事業開発プログラム(Asterisk)」。大企業に所属するイントレプレナーが、3ヶ月にわたり、社外で製品やサービスのプロトタイプを開発するサービスです。このプログラムで開発したプロトタイプを、社内へ提案するほか、クラウドファンディングや展示会への出展に活用してもらいます。

2016年には、「Plantern」という、植物に触れることでライトが灯る「インテリア」と「植物の癒し」を融合させたインテリアライトの開発などをサポートしました。

最後に、「イントレプレナーの熱量とスキルを高めあう場(Asterisk Lounge)」の提供です。月に1度、セミナーや講演会、懇親会を開催し、社外のイントレプレナーや起業家と交流し、講演会やワークを通して、スキルや熱意を高める場を提供します。

TVSは、これまでに支援してきた3,000社以上のベンチャー企業のネットワークやノウハウはもちろん、自らも有限責任監査法人トーマツから立ち上げられた社内ベンチャーだからこそ、高い熱量を持ってすべてのイントレプレナーに寄り添った支援ができるのです。

抜擢を待つのではなく、自分で手を挙げ事業を生み出す時代に

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▲セミナー「イントレプレナーは未来をつくる」参加メンバー

テクノロジーの発達、そして年功序列の崩壊とともに、既存事業だけでなく、新たな事業を生み出すことが求められる時代が、すぐそこまで来ています。

「これからは、抜擢されるのではなく、自分で手をあげる時代」。スペシャルセッションに参加したNewsPicksの佐々木編集長はそう話します。

佐々木編集長 「ポテンシャルがあって誰も取り組んでいないところって、大企業にはいっぱいあると思うんですよ。上司に期待せずに、ここはチャンスだなと思ったら飛び込んでいくことが大事なんじゃないかと」

自分の力で未来を切り拓き、新たな事業を生み出す——。まさに、これからの時代に欠かせない存在となるイントレプレナーの姿でしょう。

TVSは、支援プログラムによって、イントレプレナーが活躍しやすい社会を作り出し、さまざまな新規事業が生み出される世の中を実現していきます。

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