「大学発ベンチャー×大企業」が生むビジネス革新~第4回 Mirai Salonレポート

株式会社アドライトが主催するイベントシリーズ「Mirai Salon」。第4回となる今回掲げたテーマは、「日本流オープンイノベーションによる大企業と大学発ベンチャーの未来」。異なる企業が連携することで生まれたイノベーション事例などの紹介を通じて、参加者と新たな知見を分かち合う時間となりました。
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「オープンイノベーションが進まない」を打破する、アドライトの支援

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▲株式会社アドライト 代表取締役 木村忠昭

——オープンイノベーションは本当に活発化しているのか?

近年、そう疑問を抱かせる統計が発表されました。10年前と比較してオープンイノベーションの状況を「ほとんど変わらない」と答えた企業が、なんと50%を占めているのです(出典:「新産業構造ビジョン」~第4次産業革命をリードする日本の戦略~ 産業構造審議会中間整理 平成28年4月27日)。

自社だけではなく、外部のアイデアや技術と連携することにより価値を創造するオープンイノベーションには、新規事業を生み出す手法として、強い期待が集まっています。しかし、企業外部とのイベント開催やコラボレーション自体が目的化してしまうこともあり、事業化にむけて成果を生むには乗り越えなければならない課題も少なくありません。この現状を、アドライトのハンズオン支援により打破していきたいと考えています。

アドライト 代表取締役 木村忠昭「残念ながら、国内の研究開発の63%が事業化されず死蔵しているというデータがあります。一方、研究開発において、外部のベンチャー企業と連携した事例は1%にも満たない。我々は、こうした現状を変え、オープンイノベーションによって、新規事業を生み出すための支援をしています」

アドライトのサービス特徴は、事業会社における新事業プロジェクトへの“ハンズオン支援”。これまでにないアイデアを生み出すところから支援します。アイデアをビジネスモデルとして確立させ、実際にサービス化や事業化までの支援を一気通貫でプロジェクトに入り込んで行います。

その過程でオープンイノベーションによる連携も積極的に支援しており、ベンチャー企業や大学、官公庁などとの協業を数多く実現させています。

さらにアドライトは、オープンイノベーションの認知を広げ、理解を深めてもらう場も提供しています。それが、本イベント「Mirai Salon」。

今回登壇したのは、大学から生まれた知見を活用したベンチャー2社と、オープンイノベーションを積極的に支援する2社。各社がそれぞれに取り組んだオープンイノベーションによって生み出した成果を紹介し、その後、登壇者にアドライトの木村を交えたパネルディスカッションが行なわれました。

※ 本イベントは、三菱地所株式会社様に共催いただき、EGG JAPAN(東京・丸の内)にて開催致しました。イベント冒頭では、三菱地所株式会社のご担当者様より、東京・丸の内が魅力的なビジネスセンターであり続けるために行われている、日本の中小ベンチャー企業に対してのビジネス開発支援や誘致活動等についてご説明いただきました。

大学から生まれた”知”を、ベンチャーと大企業の連携がビジネスに変える

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▲ドリコス株式会社 代表取締役 竹 康宏氏

最初に登壇したのは、ドリコス株式会社です。同社はエレクトロニクスの技術をヘルスケアに応用し、独自商品「ヘルスサーバー」を開発。ユーザーの行動分析により、不足する栄養素の粉末を調合することを可能としたのです。

このアイデアに着目したのが、飲料大手のダイドードリンコ株式会社(以下「ダイドー」)でした。ドリコス代表取締役の竹康宏氏は、事業提携の背景をこのように語りました。

竹氏 「事業連携は、互いに補い合う関係だと考えています。ダイドーさんは、食品生産のノウハウや、全国に展開している自販機などのリソースをお持ちでしたが、新たな価値の提供に課題を抱えていました。そこに、私たちのヘルスケアのアイデアや技術と掛け算したことで、ヘルスサーバーはビジネスとして成長できたんです」

ドリコスは、ダイドーのほか、美容業界の大手である資生堂とも事業提携をしました。顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスを模索していた資生堂は、ドリコスの技術監修によって、ユーザーの行動に合わせて”香り”をカスタムメイドするアロマディフューザー「BliScent」のプロトタイプ開発に成功したのです。

竹氏は、「ベンチャーと大企業がうまく組み合わされば、主力事業を成長させたり、新たな派生価値を生み出すといったオープンイノベーションを生み出すことができる」と語り、締めくくりました。

続いて登壇したのは、株式会社ispace。「宇宙を人類の生活圏にする」をビジョンに掲げ、月面資源開発の事業化に取り組む同社は、人類が宇宙で生活をするような世の中を作るために、月の水資源にフォーカスして、小型軽量な輸送システムを開発して、月と地球の間に経済圏を生み出そうとしています。同社代表取締役&ファウンダーの袴田武史氏はこう語りました。

袴田氏 「我々は『HAKUTO』というチームを組み、『Google Lunar XPRIZE』という、民間企業のみで月面にロボットを送り込むコンテストに出場しています。HAKUTOには、ispaceの社員の他に、東北大学の教授や学生、さらにはボランティアのメンバーが加わり、一緒にプロジェクトを進めているんです」

さまざまなバックグラウンドを持つ人材によるHAKUTOのチャレンジに、大企業からの支援も集まりました。KDDI、IHI、JAL、Zoff、リクルートテクノロジーズ、スズキ、セメダインの支援を得て、Google Lunar XPRIZE中間賞のモビリティ部門を受賞したのです(ミッションの打ち上げ期限は2017年末)。

袴田氏は、「これからも、東北大学で研究に関わっていた学生やボランティアスタッフを社員採用したり、さまざまな人を巻き込みながら事業を進めていきたい」と語り、プレゼンテーションを終えました。

このように、登壇したベンチャー2社は、いずれも大学で生まれた知識をビジネスに昇華し、大企業との連携を得てさらに成長しています。それでは、こうしたベンチャーを支援する側にとって、オープンイノベーションを生み出すにはーー? 続く2社のプレゼンに、そのヒントが見いだせます。

”知”を埋もれさせないために、会社にできること

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▲京都大学イノベーションキャピタル株式会社 八木 信宏氏

次に登壇したのは京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下「京大キャピタル」)です。国立大学法人京都大学(以下「京都大学」)の100%出資子会社として設立された同社は、京都大学の研究成果を活用した産業の創造に、投資活動を通じて貢献することを目的として設立されました。

これまでの産学連携と異なり、大学と企業の間に京大キャピタルが介在することで、新規事業のリスクが分散したり、人事や資金サポートがスムーズになるなどのメリットが生まれます。同社で投資部のプリンシパルを務める八木信宏氏は、京都大学がベンチャー支援を行う理由について、このように考えます。

八木氏 「今は、大学も自立しなければならない時代。いかにして知識を社会に還元していくかを問われているんです。私たちは、大学と、大学の外の企業をつなぐことで、自然発生的にオープンイノベーションを生み出すような場づくりをしていきます」

京都大学には、山中伸弥教授の研究による「iPS細胞」など、未来の社会を変える知見が集まっています。八木氏は「京都大学は総合大学であり、あらゆる分野を研究している。私たちは共同研究などを通じてオープンイノベーションを生み出すためのハブになっていきたい」と語りました。

最後に登壇したのは、TomyK Ltd.です。世界初の携帯電話向けウェブブラウザなどを開発するなど、モバイルインターネットの技術革新を牽引した鎌田富久氏がCEOを務める同社は、未来を切り開くテクノロジー・ベンチャーの起業を支援し、世界をリードできる若手ベンチャー企業の育成を手がけています。

鎌田氏 「インターネットがパソコンやスマホを飛び越えて、人や物と直接つながるようになりつつある今、ロボットや宇宙、医療などといった分野には、ベンチャーがイノベーションを起こす大きなチャンスがある。我々は、そうした分野で世界に先回りをして勝ち抜いていけるベンチャーを育てるため、起業前から相談に乗ったり、投資や経営支援をやっています」

TomyKが支援した東京大学発ベンチャー「SCHAFT」は、DARPA(米国防高等研究計画局 )の主催で開催された災害救助ロボット競技会「DARPA Robotics Challenge TRIALS 2013」で優勝し、さらにはその実力に目をつけたGoogleにより買収されるまでにいたりました。

他にも、TomyKが支援しているプリンテッド・エレクトロニクスのAgIC株式会社が、インクジェット印刷の技術などで大企業と連携して推進している事例を語った鎌田氏。「大企業でもベンチャーでも、社会をよくしていきたいと思いのある方と一緒ビジネスを成長させていきたい」と語り、話を締めくくりました。

以上の登壇者4名によるプレゼンに続き、パネルディスカッションが行われ、オープンイノベーションを成功させるための議論が活発におこなわれました。

”日本流”オープンイノベーションは大きな可能性を秘めている

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▲登壇者を交えたパネルディスカッション

続いて行なわれたパネルディスカッションでは、プレゼンに登壇したドリコスの竹氏、京大キャピタルの八木氏、TomyKの鎌田氏の3名が、イベントを進行するアドライトの木村や参加者からの質問に答えました。ドリコスの竹氏からは、日本流のオープンイノベーションの生み出し方について、このような意見が出されました。

竹氏 「日本では、アイデアそのものの面白さよりも、コンプライアンスや安全性といった議論が先行しがちです。だから、事業提携によって大企業のノウハウに基づいたお墨付きをいただけると、スムーズに話が進めることができる。これは日本流のオープンイノベーションのひとつの立ち上げ方だと思います」

このように、日本ではオープンイノベーションが未だ定着していないがゆえの配慮が必要となります。しかし竹氏は、「ベンチャーのスピード感を大企業に伝え、大企業がベンチャーと連携する背景を理解するなどし、成果をあげることができた」といいます。残る2社からは、日本の大学発ベンチャーのもつ未来の可能性について語られました。

鎌田氏 「過去にも、たとえば家庭用ゲーム機のジャンルでは、日本からハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、プラットフォームとして世界中を席巻しましたよね。同じようなことが、ロボットやパーソナルモビリティー、ヘルスケアなど、ものづくりの分野から生まれそうな気配は感じています。難しいかもしれませんが、決して不可能ではありません」

八木氏 「実際、京都大学の現場で、先生から『こんなことができます』と言われることがあるんです。なかには、世界が大きく変わると思うような技術もあるんですよ。ビジネスとして実現させるまでは我慢も必要になりますが、日本発の大きなイノベーションが起きる可能性は、十分にあると思っています」

これまで、オープンイノベーションにより工業のデジタル化を進める企業や、あらゆるモノをインターネットでつなぐIoTによる事業を生み出す企業などが登壇した「Mirai Salon」。第4回目となる今回は、4社の企業が日本の大学発ベンチャーが秘めたイノベーションの可能性を感じさせてくれました。

アドライトは、オープンイノベーションに取り組みたい企業にとって実践的なハンズオン支援を行なっています。

大企業やベンチャーなどの新規事業立ち上げ推進のため、10,000社を超えるスタートアップ企業のデータベースを駆使するなどし、当事者が調和的に機能するためのハブとして徹底的にサポートをするのが私たちの役割です。

私たちアドライトは、こうした顧客視点の支援サービスを多くの企業に提供することによって、日本の産業にイノベーションが数多く生まれることを期待しています。

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