東京ではなく福岡でーー10年間インターネットに挑み続ける「個性のミカタ」

福岡で創業して10年ーー。3度のピボット(事業転換)を経験した(株)エニセンスが展開する自社サービス『myAppシリーズ』はノンプロモーションで総計180万DL(※2017年現在)されるサービスに成長しました。疾走感をもって駆け抜けた、激動の10年間とこれからをお話させていただきます。
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メーカー勤務時代に感じた危機感と、新しい市場の可能性を信じて

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▲代表取締役 熊谷 昭彦

モバイルコンテンツベンチャー絶頂期だった2007年。当社代表の熊谷昭彦は、大手電機メーカー勤務時代に東京で携帯のiモードの開発に携わっていました。

コスト圧縮により、パートナーだった日本国内企業がだんだんと中国やインドなど東南系の開発パートナーに変わっていく現場で、感じたのは次の市場に目を向けなければという危機感でした。

熊谷 「このままデバイスが高機能化して、インフラも整っていくのであれば、その上のアプリケーションやコンテンツの世界の方が可能性があると思ったんですよね」

そして2007年、故郷である福岡でモバイルコンテンツプロバイダとして起業します。

「起業するなら東京」ーーそのような周囲の声や反対もありましたが、東京一極集中を打破したい、どこででもやっていくと決心。

熊谷 「ひとりで起業しようとは、はじめから考えてなかったですね。ひとりでは何もできないし、ひとりより仲間が居たほうがより面白い事ができる、はじめはそんな感じでした」

エンジニアと熊谷のふたりで立ち上げ、外部パートナー3人でスタートしたエニセンス。

社名は「any」と「sense」の造語で、senseが人の個性や強み、役割で、それらの集合体として成長していこうという想いから名づけられました。ロゴの星は「個が輝く」という意味と創業当時のメンバーが5人だったことに由来しています。

個性を活かす、個がつながることで新たな価値を提供するーー。その信念から「コニュニケーションの進化」にこだわりを持ち、サービス展開をしていくことになります。

独自のマーケティング力とスピードで目指すは、コミュニケーションの進化

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▲創業当時のメンバーと、引越したばかりの六畳一間のマンション

掲示板サービス、チャットサービスなどが主力だった創業当時、自社サービスとしてはじめたコミュニティーサービス『レンタル掲示板』が月間8億PVのサービスに急成長しました。

マンションの一室からはじまったエニセンスも、3年目には念願のオフィスを構え、目標だった売上1億円を達成しました。

熊谷 「注力したことは、カスタマーサポートですね。いかにしてお客さまの要望を吸い上げ、スピーディに反映し、顧客満足度を高めてサービス利用率および継続率を高めるかが勝負でした」

2017年現在も行われているエニセンスのマーケティングプロセスは、当時から「ターゲットを絞りこむこと」からはじまります。ターゲットによって打てる施策も変わってくるためです。

ターゲットを決めたら、スピーディにPDCAをまわすこと。そんな中で生まれた代表アプリ『My日記』は余計な機能を備えず、あえて単機能にこだわったことで、数年間にわたって愛用されるサービスに成長しました。

想定する利用者を極端に絞ることでコアユーザーが増え、そのコアユーザーがライトユーザーを呼び込むーー。そのような流れを作ることに成功したのです

ガラケー時代の終焉と事業転換……諦めなければ、会社はつぶれない

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▲2017現在、30名ほどのメンバーはみんな個性豊か
2012年、順風満帆だった掲示板サービスに危機が訪れます。ガラケー時代は世の中の予想よりもはやく終焉を迎えることとなり、一気に売上は激減。会社は自社サービスからクライアントワーク事業に全スタッフをシフトせざるを得ない状況に……。

しかし受託開発を一気に加速させることで、3ヶ月後には売上をどうにか元に戻すことに成功。どのターニングポイントにおいても常に、意思決定の速さ、先見性をもった的確な方向性のピボットにより、いかなる障がいも乗り越えてきました。ただ、熊谷はそれだけではないと考えています。

熊谷 「そのときの危機を乗り越えられるのは、運とチームのおかげだと思います。僕の意思決定の速さや、方向性への導きはあくまで賭けであって、それをやり遂げたスタッフがいてくれたからだと思います。当時のスタッフは少なからずジブンゴトとして受け止め、自主的な行動で私を助けてくれました。私は何もしていません……(笑)」

2017年現在、エニセンスでは受託開発と自社サービスを並行して展開しながら、常に新規事業を視野に入れ「事業を生み出す」ことにも注力。いずれは事業が分社化していくことを目指し、今もなお挑戦し続けています。

しかし過去に失敗したことで、諦めかけたことなどはなかったのでしょうか。

熊谷 「諦めようと思ったことは一度もないですね。……まあ、ひとりになったらエニセンスじゃなくて、熊谷センスになってしまうので、辞めたかもですが(笑)。

コミュニケーションの進化を目指して、個々の関わり方をより良くしようという想いからサービスを展開しているのに、代表ひとりだったら、ただの独りよがりになってしまいます。メンバーひとりでも一緒にやってくれる人がいる限り、続けると思います。コミュニケーションってひとりじゃ成り立たないじゃないですか。

あとは、まだまだ小さな会社ですし、一緒にやるってことは、まだ『熊谷』と一緒にやりたいって人がいてくれるということなので、諦めるなんて絶対にないですね」

グループシナジーを活かし、クライアントに新たな価値を提供する

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▲『ミカタカード』
自社サービス開発、クライアントワーク事業の統合・分社を繰り返しながら、2016年春に再度統合。2年間の分社化により自社サービスのアプリ開発を集中的に行い、グロースハック力に特化することができました。統合の狙いは、クライアントワーク事業とのグループシナジーを活かすためです。

創業から10年間、3度のピボットにより毎回スタッフも入れ替わり、「ついてくる方も大変だったと思う」と語る熊谷の手にあるのは『ミカタカード』です。

2014年、企業理念「個性のミカタ」に基づく行動指針「個性のオキテ」をようやく言語化しました。行動指針とは、スタッフが行動する上での、バックボーンとなるものです。

「”エニセンスらしさ”とはなにか?」エニセンスで働く上で大切にしているマインドが6枚のカードに書いてあります。ユーザーファーストのサービスを展開している以上、ユーザー目線でグロースしていくことを最も大事にしているマインドです。

熊谷 「人に興味を持たなければ、ユーザーの気持ちにもなれないし、いいサービスは生まれないと考えています。まずはスタッフ同士お互いに興味を持つこと、そんな環境づくりを目指し行動指針にまとめました」

あらゆる個を一瞬にしてつなげることができるインターネットの世界で、個を繋ぐことで新たな価値を創造できると信じて走り続けてきたエニセンスの10年間。

自社サービス開発で培ったグロースハック(GrowthHack)力で、“制作・納品したら終わる”関係ではなく、お客様の“パートナー”として寄り添ってサービスを一緒にグロースハックしていき、新たな価値を提供するーー。それが私たちのミッションであり、エニセンスはこれからも加速していきます。

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