社会課題を独自のアイデアで解決に導く――ASAC受講生が挑む多彩なビジネス

東京から世界に誇るリーディングカンパニーを!——その掛け声のもと、ASACでは、これまで約40社がアクセラレータープログラムを受講しています。今回は4期生の9社が学びの集大成としてデモデイに登壇しました。ASAC生ならではの、自らの想いに向き合い社会課題に果敢に挑むビジネスが生まれています。
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豊かな日本の食文化を守り育て、世界中の人々に届けるITサービス

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▲ASAC第4期受講生

ビジネスの成長のためには、その中核となる「ビジネスプラン」の価値が常に問われることになります。

ASACの「デモデイ」は、約5ヶ月間のプログラムを受講したスタートアップが、投資家や事業会社などに向け、ビジネスプランを発表する場。この5ヶ月間の成果が、明らかになります。

2017年10月24日に開催されたデモデイでは、今回卒業する第4期生9社と、すでに卒業した2社が、自分たちのビジネスプランを発表しました。

はじめに紹介するのは、私たちにとって身近な“食”の課題解決に取り組む企業です。

まずは、日本の豊かな食を世界に届けるビジネスを展開するゴハンスタンダード。同社が注目したのが、世界中に日本食への強いニーズがあるにもかかわらず、輸出が少ないという矛盾です。その原因はコストのかかる流通システムにあると見抜き、ITを用いた解決に挑んでいます。

ゴハンスタンダード株式会社 代表 齋藤英一
「私たちが開発した『WASHOKU Catalog』は、WEB上で日本の生産者と海外のバイヤーをつなぎます。自動翻訳機能を使って取引をしたり、試食品をスムーズに送ったりと、取引を低コスト化することで、世界中に日本の食文化を広げていきたいと思います」

農業の抱える課題解決を目指すビビッドガーデンは、新鮮な朝どり野菜を自宅に直送するサービス「食べチョク」を開発。誰でも簡単に農作物をWEBで出品でき、消費者はオーガニックの農作物を気軽に購入することができます。さらにーー。

株式会社ビビッドガーデン 代表 秋元里奈
「『食べチョク』では、農作物に込められた“想い”も知ることができるんです。サイト上に、栽培のこだわりなども記事形式で掲載しています」

秋元氏は、こうした農家の想いを伝えることで、「こだわり農家が正当に評価される世界」を作りたいと語りました。

さらに、好き嫌いやアレルギーなど母親が持つ子供の食の悩みを解決しようと立ち上がったのが、シェアダインです。プロの料理家が、利用者の自宅キッチンで家庭に合った食事を作る「出張作り置きサービス」をはじめました。

株式会社シェアダイン 代表 飯田陽狩
「お客様はレシピを教えてもらい自分でも再現できるようになります。私は、家庭料理の食文化を絶やしたくないんです。ビジネスを通じて、家族が家庭料理を囲んで笑い合える未来を作っていきます」

健康的な生活のために欠かせない“行動習慣”をスマホアプリでサポート

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▲ASACデモデイにて。第4期生のピッチの様子

次に、「ヘルスケア」の分野です。スマートフォンを用いた最新技術を医療と掛け合わせることによって、誰でも手軽に健康を手に入れられるビジネスが誕生しています。

医師の岡部大地が立ち上げたジャパンヘルスケアは、ヒールに取り付けたデバイスから“歩くクセ”を認識し、スマートフォン上で可視化する「スマートヒール」を開発しました。

株式会社ジャパンヘルスケア 代表 岡部大地
「内股か外股か、膝の伸び具合はどうか……そういったポイントをデバイスが測定し、美しい歩き方にするための改善点を提案します。美しい歩き方は美脚をつくるだけではなく、腰痛予防などの健康上のメリットにもつながるんです」

一方で、「睡眠」に注目したビジネスを手がけるのがO:(オー)。同社が開発したのは、スマートフォンで個人の睡眠状態を管理し、食事や睡眠といった改善行動を提案するアプリ「O:SLEEP」です。企業単位で使ってみると、こんなメリットが。

株式会社O: 代表 谷本潤哉
「従業員の睡眠状態を把握して社内の生産性を高めるという使い方もできます。睡眠不足は生産性を大きく損なうもの。働き方改革のひとつとして、まず睡眠にアプローチするのはおススメです」

また、“痛くて時間のかかる”インフルエンザ検査の常識を覆そうと、新技術の開発を行なっているのが、ナノティスです。

ナノティス株式会社 代表 坂下理紗
「鼻汁を専用の高感度チップにつけてスマートフォンで撮影をするだけで、どこでも1分以内にインフルエンザ検査をすることができます。将来的には唾液での検査も検討しています」

ナノティスでは、2021年までの製品ローンチを目指し、将来的にはデング熱などの感染症への応用も視野に入れています。

ファッション、社会問題、習慣化——多様な課題を解決に導くビジネスの視点

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▲デモデイには約100名のオーディエンスが来場

ファッション業界は今や「同じような商品が店頭に並んでいる」と、同質化が叫ばれています。そこでSPRING OF FASHIONは、ファッション業界の多様性を目指し、クラウドファンディングサービス「Sof DESIGNERS」を立ち上げました。

株式会社SPRING OF FASHION 代表 保坂忠伸
「大手の商品ばかりが店頭に並ぶのは、高コストの流通システムに理由があります。しかし『Sof DESIGNERS』は、初期費用ゼロでデザイナーが服を販売し、それを消費者が買うという仕組み。多様なファッションをリーズナブルに手に入れるようになるんです」

また、障がいや難病を抱える人々や、その家族に向けたビジネスを展開する企業も。兄弟が難病を抱えているというイースマイリーの矢澤修は、障がいや難病のある人々に必要な情報が行き渡っていない現状を変えようとしています。

株式会社イースマイリー 矢澤修
「インターネットで障がいや難病について調べると、不安をあおるものや、出どころが不明な情報が多いと感じます。私は当事者や家族、支援者をつなぐプラットフォームを作って、信頼性ある情報共有やコミュニティ構築をすることで問題を解決します」

そして「習慣化」に対する課題の解決を目指すのが、エーテンラボ。彼らが開発した三日坊主防止アプリ「みんチャレ」は、同じチャレンジをする匿名のチームで励まし合いながら、挑戦を続けることができます。

エーテンラボ株式会社 代表 長坂剛
「ひとつの行動が習慣化する割合は8%程度だとされています。『みんチャレ』を使えば、この割合が約8倍まで上昇します。チャレンジに成功したことで自信がつき、さらに新しいチャレンジに向かっていける――そんなアクティブサイクルを続けていけるんです」


4期生のピッチからは、それぞれの視点で社会課題を見つけ出し、その解決に向けて取り組もうとする気概が感じられました。その気概は、ASACの卒業生も同様です。

生活に潜む課題。解決のカギは独自の視点と技術

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▲(左)株式会社ネイン 代表 山本氏/(右)株式会社ハチたま代表 堀氏

最後に登壇したのは、3期生のネインと、2期生のハチたまです。

ASAC卒業後、ビジネスプランを実地で取り組んできた2社は、大手企業との提携など、それぞれに成長した姿を見せてくれました。

ネインが着目したのは、画面を見なければ操作ができないデバイスが、「ながらスマホ問題」を生んでいること。そこで、音声認識によってデバイスを操作できる「ヒアラブル」技術を開発し、音響機器の大手であるオンキョーなどと提携。グローバルにビジネスを展開しています。

株式会社ネイン 代表 山本健太郎
「ヒアラブル技術を使えば、ウォーキングやジョギング中でも、しゃべるだけでスマートフォンを操作し、メールのやりとりなどができるようになります。運転手やプログラマーなど、なかなか手を放すことのできないユーザーに向けてサービスを開発しています」

一方、ハチたまが取り組むのは、「世界中の猫をもっと幸せにする」こと。「猫は大切な家族」との想いのもと、IoTデバイスを用いた猫用トイレ「ハチたま」を販売しています。

株式会社ハチたま代表 堀宏治
「猫の健康問題の多くは泌尿器の疾患です。予防のためには、こまめなトイレ掃除のほか、尿の回数や量を把握する必要があります。『ハチたま』は、自動でトイレ掃除をしたり、画像認識技術によって、猫ごとに尿の管理をしたりと、猫の病気を予防します」

食やヘルスケアなど、扱う領域はさまざまですが、11社の起業家が、それぞれの問題意識に向き合い、志をもってビジネスに取り組んでいる様子を感じることができました。

ASACでは、行政だけでは解決するのが難しい社会課題を、ビジネスにより解決しようとするスタートアップを支援しています。彼らのビジネスが成長し、より良い社会を生み出していけるよう、これからも受講生に寄り添った支援を続けていきます。

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