唯一無二の保育園ができるまで。ヒューマンスターチャイルドがつなぐ笑顔の連鎖

デザイン性の高い施設やこだわりの給食など、安全で工夫を凝らした保育環境が評判の認可保育所「スターチャイルドナーサリー」。2018年4月1日現在、横浜市、川崎市、さいたま市の各エリアで18園を展開しています。開発を手掛けるのはヒューマンスターチャイルド株式会社取締役の西宮裕美子。そのこだわりとは。
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知識ゼロからの挑戦!子どもファーストの視点でつくる保育園

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▲新吉田ナーサリーのコンセプトは「日々の風」。デッキが特徴的なデザイン

スターチャイルドナーサリー(以下、スターチャイルド)は保育の質はもちろんのこと、デザイン性の高さにも力を注いでいる保育所です。これは、西宮が2011年に開発を手掛けるようになってからのこと。

西宮 「 2011年当時、スターチャイルドのコンセプトを明確にしていきたいとの想いがありました。ではどんな施設をつくろうかと考えたとき、当時は知識がまったくのゼロ(笑)。制度の勉強から児童福祉施設をつくるための概要などを、まず勉強しましたね」

西宮がまず行なったのは、他の保育園の見学です。しかし、相手は同業他社。電話でアポイントを取るも、何度も断られました。しかし、西宮は諦めませんでした。

西宮 「スターチャイルドでは他の保育園のまねをするのではなく、これまでにないものをつくろうと思っていました」

粘り強く電話をかけては足を運びました。そうして2〜3カ月で20園ほどを見学し、決めたスターチャイルドのコンセプトは「自然」。

保育所は子どもたちが長時間過ごす場所であることから、できるだけ良い環境をつくりたい。そう考えたとき、人工物ではなく、無垢材やリノリウム、コルク材といった自然に返る素材にしたいと思いました。こうして、触れるもの、口にするもの、目に入るもの、すべて自然にこだわった空間をつくり出すことにしたのです。

一級建築士と相談しながらの試行錯誤がはじまりました。まずは、これから開設する園のテーマを決めます。たとえば、2017年4月に開園した新吉田ナーサリーの場合は「日々の風」。

西宮 「鶴見川沿いにある立地を活かし、子どもたちが移り変わる四季を日々感じられることに主眼を置きました。そのひとつが、 1階から 2階上部までを行き来できるデッキ部分。最上部からは鶴見川を臨め、心地よい風を感じることができるんですよ」

西宮がこれまで開発を手掛けた園は18園。各園それぞれにコンセプト、こだわりがあるのです。

家具一つひとつにも、随所に安全で使いやすい工夫

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▲角が丸いなど、安全で使いやすい工夫が施されたオリジナル家具

子どもたちが安全に過ごせる工夫は、細部にも施されています。たとえば、新吉田ナーサリーの床にはクリの木を使用しました。

西宮 「 0~ 2歳児が過ごすスペースは、ハイハイなどをするので床暖房を入れるんですが、クリの木は伸縮が少なく、季節問わず素材が隆起しないので安全なんです」

一方、机などの家具には硬く丈夫なナラの木の素材が適していると言います。できる限り安全で国産のものをと、北海道産を取り寄せました。

また、子どもたちが手洗いや歯磨きを行なう場所は「泉」と名付け、モザイクタイルを使用しカラフルな印象に。年齢ごとに色や高さを変えています。

西宮 「ここは、子どもたちが気持ちや行動を切りかえられるためのものでもあります。大人でも手を洗うことですっきりした気持ちになりますよね。それと同じで、気持ちの切りかえに大切な場所と考え、色彩や形にこだわりをもってつくり込んでいるんです」

スターチャイルドの家具は、一見すると何の変哲もないように見受けられますが、工夫が凝らされているものばかり。

上着を掛けるフックを先を丸くした葉っぱの形にしたり、棚には落下防止のために端を数ミリ盛り上げ角は丸みを帯びさせたりと、子どもが強く当たってもけがをしないように配慮しているのです。

外からは見えませんが、片側の下部にキャスターが付いていて動かせる棚もありました。しかし引っ張ってみると意外と重いことがわかります。

西宮 「わざと重くしているんです。軽いと子どもがぶつかったときに転倒して、危険が及ぶ可能性があるでしょう?便利に使いたいけれど、やっぱり安全には代えられませんから」

家具はすべてオリジナルで、西宮のアイデアが形になったもの。実際に使っている保育士の意見をもらいながらトライ&エラーを繰り返して、一つひとつ改善していきました。

こうしたこだわりが認められ、川和ナーサリーが公益社団法人こども環境学会の「デザイン奨励賞」を、金沢文庫、藤が丘、荏田北、たまプラーザ、浦和、高津溝口の各保育所がキッズデザイン協議会の「キッズデザイン賞」を受賞しています。

ほぼ残業なし!ホワイト保育園である秘訣

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▲SPM(スターチャイルド・ポジティブ・ミーティング)会議では、活発な意見が飛び交う

スターチャイルドが評価を得ているのは、デザインだけではありません。保育の質でも、「第三者評価」において各園ともに利用者満足度が90%を超えるなど、保護者の方や行政からの評価が高いのです。

その秘密は、保育士が安心かつ業務に集中して働ける環境を整えているから。スターチャイルドでは、保育士の残業が、6時間程度(2017年度実績)と少なく、働きやすい環境の整備に余念がありません。

西宮 「おかげさまで、保育士さんの定着率も上がってきています。残業もほとんどありませんし、ワークライフバランスが取れていて、働きやすいと言ってくださっています」

他の保育所では、園長先生は経営や運営に対する事務作業に追われているという話を聞くこともあります。しかし、スターチャイルドでは経営にかかわる事務を本社が担当。すべてのスタッフが子どもたちと向き合える時間が長く、保育の質向上につながっています。

また、2017年11月からは、「働き方向上プロジェクト」をスタートしました。その取り組みのひとつにSPM会議があります。SPMとは、「スターチャイルド・ポジティブ・ミーティング」の略。隔月ごとに、各園から参加を希望する保育士が一同に集まり、現場の課題解決に向けた取り組み案を話し合います。

西宮 「議論するテーマは、効率的な時間の使い方から、保護者対応やチーム保育など、さまざま。他の園ではどうやっているのか、アイデアをもち帰って、自分の園でもやってみるなど、活用してもらっています。会議のタイトル通り、ポジティブに、どうやって改善していくかを考えていますね」

保育士の確保が課題になっている中、採用も大切な要素のひとつ。採用の条件は「喜びをともに分かち合える人」だと言います。面接ではその人がどこに価値観を見出しているかを引き出し、共感できるポイントを探します。

西宮 「牛乳を飲めなかった子が飲めるようになったり、よちよち歩きだった子がつかまり立ちで歩けるようになったりしたときに一緒に喜べる人、人の喜びを自分の喜びと思える人を採用しています
その結果、保育に対して同じ価値観をもった人たちが集まっているので、自然といいチームワークができているのではないでしょうか」

自他ともに認める「世話好き」。西宮が心がけているもの

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▲いつも笑顔があふれているヒューマンスターチャイルド取締役の西宮裕美子

新園の開設など保育所の企画開発、研修などを含む保育所運営にかかわるマネジメント、人材採用や新規事業のフォローなど、多岐にわたる業務をこなす西宮ですが、時間がない中でも大切にしていることがあります。それは、現場の声を聴くこと。

西宮 「実際に保育所を訪問できるのは月に 1~ 2回なんですけど、現場とのコミュニケーションは大切です。やっぱり現場で働くスタッフの声が一番大切ですし、その声に改善のヒントが隠されています。さらに良い職場環境やサービス内容、施設をつくり上げていきたいですから」

もうひとつ、西宮がコミュニケーションのうえで大切にしているのが、プラス面を引き出すこと。

西宮 「子どもたちに対してはもちろんですが、スタッフに対しても、やるべきことを明確に伝えたうえで、プラス面を多く伝えるようにしています」

確かに、西宮の周りにはいつも笑顔があふれています。ヒューマンスターチャイルド株式会社で西宮の部下にあたる井桁由佳は、西宮のことを「天真爛漫」と評します。

井桁 「気さくで素直で明るくて、時々鼻歌を歌って、社内を和ませる一面もあるんですよ。仕事に対しては的確なアドバイスをしてくれて、私自身とても勉強になっています。厳しいときは厳しく、優しいときは優しく、人の気持ちを第一に考えてくれる人です」

悩んでいる人がいると声をかけずにはいられないという、自他ともに認める「世話好き」な性格が、周りを巻き込んでいきます。そんな西宮のモットーは「凡事徹底」。

西宮 「どんなに大きな仕事も、当たり前の積み重ねがあって成し遂げられると思っています。日頃から、自分の言葉で語れるように、とは思っていますね。そして、できないことで悩むより、どうしたらできるかを考えます。その方が絶対いいですから」

どうしたらできるか、どうしたらよくなるか――。スターチャイルドに通ってくる子どもたちはもちろん、保護者、保育士や現場スタッフの笑顔が、西宮の仕事の成果を物語っています。

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