外国籍の学生たちに寄り添い、その成長を見守る――。日本語学校で働く喜び

外国籍の方のための日本語教育で30年以上の実績がある、ヒューマンアカデミー日本語学校。学生の街・高田馬場に校舎を構える東京校では、約2000人の外国人留学生と約300人の在住外国者の方が日本語を学んでいます。同校の学校運営に携わる鳥居あかりが、日本語学校の仕事とその魅力について語ります。
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「人を育てることに関わりたい」との思いで日本語学校を志望

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▲採用面接時、鳥居は面接官に逆質問。そこからヒューマンアカデミーが第一志望になったという

大学では中国語を専攻し、中国への留学経験もある鳥居は、「中国語や英語の語学力を活かせる仕事」「海外と関わる仕事」という希望に加え、「学校」をキーワードに就職活動を始めました。

鳥居 「私はもともと学校が好きで、『学校で働きたい』『人を育てることに関わる仕事がしたい』と思っていたんです。ヒューマンアカデミー日本語学校は、そんな私の希望にぴったりでした」

教育や人材関係の企業など約20社にエントリーしたなかから、ヒューマンアカデミー日本語学校が第一志望に絞られていった理由は、面接を通じて得た印象が大きかったと言います。

鳥居 「他社とは採用プロセスが違い、ヒューマンアカデミーは面接重視で、毎回 1時間たっぷり使って社員の方とじっくり話をするんです。
私の場合は最初、全日制専門学校の総合学園ヒューマンアカデミーにエントリーし、途中から日本語学校に志望を変えたこともあり、全部で 6回面接を受けました。
いろんな社員の方がいらして、皆さんそれぞれ魅力的でしたし、緊張はしましたが自分の話したいことをたくさん話せ、また聞きたいことを十分に聞けたのがよかったですね」

面接のなかで、鳥居にとって特に記憶に残っているやりとりがあります。

鳥居 「 2回目の面接で『将来どうしたいか』という話になったとき、自分の考えを話したあとで面接官に『将来はどんなキャリアプランを考えていらっしゃるんですか?』と逆質問したんです。
すると、『僕は将来、自分で学校をつくりたいと思っている。その夢を実現するために今ここで働いているんだ』という答えが返ってきました。私のなかにはない考え方でしたね。
『人それぞれいろんな道があるんだな』と思うと同時に、『将来は自立・独立したいという社員も応援してくれるような、前向きで懐の深い会社なんだな』と好感をもちました」

入社数カ月で海外出張へ。1週間で200人以上の留学希望者を面接

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▲いきなり任された裁量の大きな仕事に、「戸惑うより楽しもうと思った」と語る

2017年4月、ヒューマンアカデミー日本語学校に入職した鳥居は、東京校に配属されました。

「当時、東京校は職員があまり多くなく、新卒は私ひとりだけ。右も左もわからない新人でしたが、1年目からいろんな業務を幅広く経験しました」と振り返るとおり、重要な仕事を次々と任されました。

留学生の募集チームに配属された鳥居は、入社後わずか数カ月でスリランカへ出張することに。現地の日本語学校を訪問して、日本への留学を希望する学生と面接し、留学生を選抜して日本へ送り出すことが、出張のミッションです。

本社勤務のスリランカ国籍の社員が出張に同行しましたが、途中からは別行動で、ひとりで業務を回さなくてはいけません。

鳥居 「スリランカ出張では約 1週間で 200人以上の学生を面接し、70人くらいを選抜しました。
面接では、日本で生活するために必要な最低限の日本語能力があるか、日本に興味をもったきっかけや留学の志望理由、日本の留学ビザ取得のために必要な保証人との関係性や、家庭の経済状況などをチェックします。
留学できるかどうかはその人の将来や人生を左右する大きな出来事ですから、私の責任も重大です」

鳥居の仕事は、留学生を選抜して終わりではありません。

日本の入国管理局への申請書類を作成して申請をおこない、審査に通った人だけが留学できるシステムのなかで、細かい入管手続きから留学生たちの入学時オリエンテーションまで、つまり募集から入学までの一連の業務すべてを経験したのです。

国民性の違いのなかでコミュニケーションをとることの難しさ

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▲授業の合間の15分間は学生対応に追われるが、「顔見知りが増えるので嬉しい」

入社2年目から、鳥居は学校運営の担当に。在学中の学生たちのサポートが、主な仕事です。ヒューマンアカデミー日本語学校に通う学生は、中国、韓国、台湾、香港や東南アジア、スリランカ、ロシア、欧米など国際色豊か。それぞれ国民性も違います。

鳥居 「中国や韓国の学生は、進学や就職など明確な目的をもって来日する人が多いので、非常に意識が高いですね。ベトナムやミャンマーの学生は、礼儀正しくて純朴な方が多いです。
いつも学生たちと接するときに気をつけているのは、『できるだけ平常心で、怒らない』こと。外国籍の方には日本の常識が通じない部分ももちろんあります。日本で生活するうえで守らなければいけないルールはしっかり伝えますが、なかなか理解してもらえないことも。
そんなとき、『どうしてわからないの』と一方的に叱りつけてしまうと、学生は萎縮してしまいますから。でもこれは簡単なようでいて、実はとても難しいんです」

休み時間になると、鳥居のいる教務室のカウンターの前には、相談事のある学生たちが集まってきます。学校の提出書類に関する質問からクラス替えやコース更新の相談、「風邪ぎみなので病院に行った方がいい?」といった生活にまつわる相談まで、内容はさまざまです。

一人ひとりの学生にてきぱきと丁寧に、笑顔を絶やさず穏やかに話しかける鳥居の表情からは、内心そんな葛藤があるようにはとても見えません。

しかし、時には厳しく学生に指導しなければいけない場面もあります。

日本の留学ビザは通常、初回は1年3カ月の在留期間ですが、ヒューマンアカデミー日本語学校の留学コースは2年間が基本。在留中にビザの更新が必要となります。その際、授業の出席率が悪かったり規定以上の時間アルバイトをしていたりすると、ビザの更新が認められないこともあるのです。

鳥居 「欠席が続いている学生や授業態度の悪い学生には、先生も交えて面談をおこなうほか、本国の親御さんに直接お電話して話をすることもあります。
大切なお子さんをお預かりしている責任もありますから。同時に、学校全体の信頼にも関わる問題でもあるので、非常に気を遣います。
何が本人にとってネックになっているかを聞き出したうえで、解決策をアドバイスしたり粘り強く説得したりして、卒業まできちんと学校に通ってもらえるようケアしています」

いつも「誰かのためにサポートできる立場」にいたい

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▲課外活動後に学生がまとめたレポート。鳥居も同行し、学生のサポートをおこなう

まもなく入社3年目を迎える鳥居は最近、嬉しい出来事を経験しました。

鳥居 「 2018年 4月に入学したフィリピン国籍の学生が英語教師として日本で就職することが決まり、私が最後の面談をしたんです。
その学生は入学の受け入れも私が担当したので、感慨もひとしおでした。最初は日本語がほとんどしゃべれなかったのに、1年弱でものすごく上達して。『これくらい話せるようになれば、自信をもって社会に送り出せるな』という感じにまでなりました。
入社1年目のスリランカ出張で面接して日本に招いた留学生たちも、この 3月で卒業を迎えます。最初に彼らに会ったときと比べると大人っぽくなり、『しっかりして頼もしくなったな』と、お姉さんのような気分になりますね。
そうした学生たちの成長を見ることができるのが、この仕事の一番のやりがいだと思っています」

「実はあまり上昇志向がない」と控えめに語る鳥居ですが、今後のキャリアプランについて、こんなふうに思い描いています。

鳥居 「いつも思うのは、『誰かのためにサポートができる立場にいたい』ということ。キャプテンではなく副キャプテン、学級委員長よりも副委員長のようなポジションが私にとって一番居心地がよくて、自分のよさも発揮できる気がするんです。
これまでに私は、学生募集から学校運営全般まで、ほぼすべての業務を経験してきました。この東京校は新しく入ってきたスタッフも多いので、自分がこれまでに培ってきたいろいろな知識や経験を伝えていけたらいいなと考えています」

学生だけでなく、学校で働くスタッフたちにとっても「頼れるお姉さん」になるべく、今日も鳥居は笑顔で校舎を飛び回っています。

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