教育の現場からグループ全体のM&A担当へ。「社内公募制度」で見えてきたもの

教育・人材・介護事業などを展開するヒューマングループでは、グループ企業のさまざまな職種に自ら応募できる「社内公募制度」があります。ヒューマンホールディングス総合戦略室でアシスタントマネジャーを務める沢田裕太は、この制度を利用してキャリアチェンジを実現したひとり。彼の仕事に対する考え方の変化に迫ります。
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新たな挑戦の場と自己成長を求め、社内公募に応募

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▲面接では「経験値がないなかで、熱意しか伝えるものがなかった」という沢田

国立大学の大学院を修了し名古屋で教育関係の仕事に就いていた沢田は、より挑戦できる環境を求めて転職活動を行い、2014年11月にヒューマンアカデミーへ入社。東京の事業所に配属されました。

沢田 「ヒューマンアカデミーでは『ロボット教室』のスーパーバイザーとして、フランチャイズ加盟の教室への指導や運営のサポートを行う仕事を担当しました」

2009年に事業を開始したヒューマンアカデミーロボット教室は、日本全国に1300教室以上を展開。在籍生徒数2万人を超える日本最大級のロボット教室です。今や海外でも43教室を展開するほどの人気を誇っています(2019年2月末現在)。

沢田の入社当時は、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。全国的に注目を集め、教室数や在籍生徒数を大きく伸ばし始めた頃でした。

ロボット教室の拡大とともに走りつづけてきた沢田でしたが、2年余り経った頃、心境の変化が訪れます。

沢田 「自分のなかで『やり切った感』が出てきたんです。違う環境に身を置いて、これまでとは違う仕事に挑戦してみたい、という気持ちが膨らんでいました」

そんな時、沢田の目に留まったのが「社内公募」の情報でした。

ヒューマングループでは入社2年以上の社員に、グループ内で増員が必要となった部署や、成長を加速させていく部署などの求人情報が年に数回届きます。

沢田はその公募情報のなかにあった、グループ全体を統括するヒューマンホールディングス総合戦略室の求人に強く引かれました。

沢田 「これまで私は、教育事業の現場の最前線で仕事をしてきましたが、総合戦略室は現場だけでなく、グループ各社の事業を広く見て、改善策や今後の方向性などを打ち出していく仕事です。
ダイレクトに企業経営にかかわり、より広い視野でビジネスを捉えることができそうだと感じ、ぜひ挑戦したいと思ったんです」

社内公募制度でも、通常の採用と同じく試験や面接が行われます。戦略策定や事業企画、マーケティングなどの業務を経験したことのない沢田が面接でアピールできるのは、熱意だけでした。

沢田 「総合戦略担当の役員面接では、『最初の 1~ 2年は勉強のつもりで頑張ってほしい』と言われました。即戦力として期待されているというよりも、将来性を買っていただいた感じです。
未経験の自分に挑戦の機会を与えてもらえる懐の広さに、正直ありがたいと思いましたし、ますます闘志がかき立てられました」

こうして2017年4月、沢田はヒューマンホールディングス総合戦略室に異動を果たします。

自分で考え行動する「抽象度の高い仕事」の難しさを実感

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▲キャリアチェンジを果たしたものの、自らの力不足を痛感するばかりの日々だったと言う

最初のうちは勉強のつもりで、と総合戦略室に入った沢田でしたが、仕事を始めて2カ月足らずで上司が産休育休に入り、ひとりで仕事を任せられることになります。

事業戦略やマーケティングといった部門の業務は、外からはなかなかイメージしづらいもの。実際に仕事に取り組むなかで、沢田はこれまでの仕事との違いを実感します。

沢田 「私たちの仕事は、グループの各企業に経営指導や事業運営のアドバイスを行うものです。机上の空論では意味がなく、市場環境などの現実を踏まえた上で、グループ全体の事業戦略に沿ったアドバイスをしなければならない。
そのためには、もっと外へ出て、現場の様子や競合他社の実態などを自分の目で見て、生の情報を集める必要があります。
また事業戦略の仕事は、具体的に何をするかを自ら考えて行動するという、抽象度の高い仕事でもあります。『まだ十分にできていない』と自分の力不足を痛感し、忸怩たる思いをすることも多いですね」

総合戦略室の役割や自身の課題が見えてきた頃、沢田は新たな仕事を任せられました。グループ内で唯一のM&A担当に任命されたのです。

沢田 「経験のない私にいきなり大きな仕事を任せていただけることが恐れ多く、身の引き締まる思いがしました。
同時に、大きな喜びを感じたことを覚えています」

M&Aによってどのようなシナジー効果が得られるのか、その意義を見極める

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▲従業員の心理的な一体感をつくり出すことも、M&Aの大切なミッションのひとつ

M&A担当としての初仕事は、グループ企業のヒューマングローバルコミュニケーションズと、以前から取引のあった京都の翻訳会社、アラシアスの合併買収。2018年8月に話が具体化し、2019年4月のM&A完了を目標にプロジェクトがスタートしました。

沢田 「プロジェクトで特に難航したのは、両社が合併した場合にどのようなシナジー効果が得られるか明確にし、関係者を納得させることでした」

ヒューマングローバルコミュニケーションズは、学術論文や技術情報、ビジネス文書の日英・英日翻訳を得意とする企業。アラシアスは、英語以外を含めた多言語翻訳を手がける企業です。

沢田 「機械翻訳のレベルが向上するなか、多言語翻訳の事業をグループ内に取り込む意義については、もちろん議論もありました。
しかし少なくとも 10年スパンで見れば、アカデミックな分野など高度で専門的な翻訳は、 AI(人工知能)では追いつけないだろうと予測されます。
多言語翻訳のノウハウを取り込むことで、ヒューマングループの成長戦略のひとつである、語学、通訳・翻訳、留学ビジネスのさらなる強化につながる。そう考え、M&Aの意義を説明したんです」

ヒューマングローバルコミュニケーションズとアラシアスのM&A案件は、当初の目標どおり2019年2月に契約締結を終えました。4月中にはアラシアスの全事業を取得する予定です。

沢田 「今回は当初からアライアンス先が決まっている案件だったので、すべての決定権があったわけではありませんでした。次回はその選定も含めた、M&Aの全プロセスにかかわる経験をしたいですね」

次の案件の実現に向けて、沢田は精力的に動き出しています。

ヒューマングループを「もっといい企業体」にしていきたい

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▲沢田は「キャリアチェンジが社内公募でかなう。この制度の認知度を高めたい」と語る

総合戦略室で働き始めて間もなく3年目を迎える沢田は、現在の思いをこう語ります。

沢田 「私たちの仕事は、グループ各社のことを深く知っていなければできない仕事です。
『このグループ企業はこんな会社で、こんないいところがある』と、いつでも言えるようにしておかなくてはいけませんし、実際により良い会社にしていかなければ、という思いも日に日に強くなっています。
10年後、 20年後にヒューマングループがどういう企業体であるべきかを常に考え、企業価値とブランド力を最大化したい」

そのためには過去に固執せず、より良い方向へブラッシュアップしていく必要があると語る沢田は、「より良い会社」をこう考えています。

沢田 「ステークホルダーの方々、特に顧客や社員にとって『価値がある』と思ってもらえる会社です。
顧客の皆さんからは『ヒューマンのサービスは信用できる、だから利用したい』と思っていただけるように。そして社員一人ひとりが『すばらしい事業に携わっている』『この会社で働くことが、自分と世の中にとって価値のあることなんだ』と実感できるように。
そのために私自身が『ヒューマンでこんな活躍ができる』ということを示すモデルケースになれたらいいな、と考えています」

現在は「この仕事は自分次第で大きく成長できるからこそ、もう一段ステップアップしたい」と、8月に行われる中小企業診断士試験の科目合格を目指し、目下勉強中です。

社内公募制度を活用し、挑戦と自己成長を求め新しい環境に飛び込んだ沢田は、その先でまたひとつ大きな目標を見つけたようです。

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