経理メンバーの手をわずらわせていたファイリング業務の改善で社内表彰!

手塚は社内の経理メンバーが苦労していたファイリング業務を改善すべきという想いから、QRコードを導入し、年間約5000時間分に当たる作業効率をアップ。導入にいたるまでに周囲の理解を得るため粘り強く行動し、実現したことで、エイベックスで実施している社内表彰制度 (2019年6月に開催された第4回目「Really! Mad+Pure award」)で受賞を果たしました。

手塚 「実は、関連部門の決裁者に改善案を伝えたとき、『業務効率はあがらないのではないか』という指摘からこのプロジェクトが始まりました。現場に長くたずさわる方々がそう言うのなら、そういうものかもしれないと一度は思ったのですが、 1日単位で見ても、やっぱり業務効率化は図れる。そう確信した私は賛同メンバーと話しながらテスト結果を証明していきました。
ダミーファイルをつくって、誰がやっても早くなることを示せたとき、首を横に振り続けてきた上長たちに改善案の承諾を得られました。ただ、テスト結果を示したことだけが重要だったのではなく、改善に向けて動く中、上長自身もファイリング業務にあらためて向き合ってくれて、改善案の魅力を感じてくれたことが何より大きかったです」

2009年に2度目の転職でエイベックスに入社した当初は、こんな表彰を受けることになろうとは思っていなかった手塚。好きなエンタテインメントの業界で、学生時代からずっと意識していた経理にたずさわろうという決意を絶やさなかった結果、このファイリング業務以外にも数々の改善を遂げていきました。

経理にまつわる業務リスクを減らす「現場目線」が生み出してきた改善の数々

手塚が最初に取り組んだのは、社内に現金入金機を導入することでした。2009〜2012年、財務課で働いていた手塚は、ライヴを終えた現場スタッフが持ち帰る現金売上を財務課メンバー複数名で数える作業が発生しており、当時はとても苦労していました。

現場の終業時間と銀行の開店時間が合わなかったり、ATMの入金限度額を超える売上だったりすることが多く、その総売上と持ち帰った金額が合っているかを手作業にて数えていました。特にグッズ販売の多いアーティストの売上には小銭が多く含まれます。当時とある人気アーティストのライヴでは、ライヴ会場でのグッズ販売終了後に、大量の小銭の含んだ売上を会社まで社員が持ち運ぶケースも発生していました。

手塚 「この手作業はものすごく時間のかかるものでした。売上を数え終えるまで現場スタッフに立ち会ってもらう必要があったり、間違えれば数え直す手間が増えたりするリスクもはらんでおり、常に改善したいと考えていました」

そこで手塚は現場担当が持ち帰ってきた売上 (小銭含め)を手塚ら財務担当が数える必要なく、瞬時に、正確に機械で数えられるようにするための手段として現金入金機の導入を上長に提案しました。

現金入金機を扱う業者とのやりとりから、すべて手塚自身で手配。未経験の仕事ばかりでしたが、周囲から「こんなに便利なものを入れられて良かった」と喜ばれる経験を得ることにつながりました。

映像事業経理に異動してからも、手塚による業務効率化を進める提案は続きます。映像配信サービスdTVをはじめ、視聴数に応じて各権利元への払い出しが決まる事業では、払い出しの計算に必要な膨大なデータの処理と検証作業が生じてしまうのです。それにともなう会計のしくみは複雑で、システム化に苦労する状況が続いておりました。

手塚は、そんな映像買付処理にまつわる改善に取り組んでいきます。これが一癖も二癖もある挑戦でした。計上金額にミスが出ないシステムを築こうとするも、一向に金額が合わず、会計処理自体の改善やシステム自体の再検討などを繰り返す日々。改善範囲は経理にとどまらず、システム開発者や監査法人との折衝も必要になりました。

手塚 「一緒に取り組んでいたメンバーが退職することにもなって、新しいメンバーに引継ぎながら続けました。夢中になって試行錯誤を繰り返す中で、システムサイドへの理解も深まったんです。工程管理や進捗管理、会議への通し方といった、さまざまなことを身につける経験でした。
これまで誰も成しえず、社内で実現不可能といわれていたこのシステムを 5年かけて完成することができました。これ以上に難しいことはもうない。そう思えるようになって、以降の仕事を楽に感じられるようになったんですよ」

この経験は、QRコードのファイリング改善にも役立ちます。そして、社内表彰制度「Really! Mad+Pure award」受賞にいたった年間約5000時間分の効率化を図ることにこぎつけたのです。

数々の改善を進める経理が「この仕事についていたい」と強く思う原点

学生時代は父の存在がとても大きかった。

父親は公認会計士をしており、そんな父親を手塚は尊敬していました。父親が望む「同じ学歴で公認会計士になるように」という強い教育方針のもと、宇都宮高校と慶應義塾大学商学部(以下、慶應商学部)に入学することが決められていた青春時代です。

ひたすら勉強に打ち込む日々は、それ以外の景色が目に入らないくらいだったと言います。無事に慶應商学部への入学が決まったことは不幸中の幸いでした。なぜ“不幸中”なのかというと、入学を目前に尊敬する父親と離れることになってしまったのです。

手塚 「父親を亡くし、強烈なレールも失いました。大学に入ったらダブルスクールで勉強して、公認会計士になるはずだったのが、周りの誘惑に流されてしまい、いろんな景色を見たい気持ちにかられたんです。
映画を見に行ったり、友達とカラオケに行ったりすることが増えました。流行りの曲で盛り上がるのが楽しくて」

自分のやりたいことを優先する手塚に母は何も言いませんでした。きっと公認会計士へのレールを手塚に無理強いしていたという意識もあったのでしょう。友達に囲まれる大学生活を過ごす中、手塚はサークルにも入ります。そこは、OB・OGと同じ会社に就職しやすいサークルでした。

知り合いと同じ会社であれば、うまくやっていけそうだと思い、その流れで生命保険会社に就職することを決めたのです。

手塚 「 1年目は商品課の配属で、保険約款をつくっていました。 2年目に異動で滋賀県の支社に転勤し、営業補佐をします。会計とは遠い仕事です。こういう仕事をしたかったのか、という疑問は自然と浮かんできました。何がしたかったんだろう。やっぱり会計・経理なんだろうなと気づくきっかけになったんです」

とはいえ、経理未経験。最初の転職は未経験可で経理として採用してくれる未上場企業に入りました。その後、エイベックスに再転職します。

手塚 「未上場から上場へ成長する経験と上場企業の基盤でチャレンジする経験、どちらを選ぼうか悩んだ結果、エイベックスへの転職を決めたんです。
決め手は自分の興味・関心と重なったこと。慣れ親しんだ映像や歌手を手がける『あのエイベックス!』という気持ちで魅力を感じました」

2009年10月のことです。25歳だった手塚は、こうしてエイベックスの経理・財務としてスタートします。尊敬した父親との時間と自分が興味・関心を示すものに出会った時間が結実した結果でした。

自分が望んだ経理だからこそ、耐えないモチベーションで未来を見据える

手塚の経理改善へ至るモチベーションは、考えることが好きという気持ちに根づきます。その根っこがエイベックスの社風と合って、社内表彰制度「Really! Mad+Pure award」受賞にいたる行動力を産みました。全社にアイデアを生み出す雰囲気が満ちているエイベックスで、やりたいことへ向かう背中を押された結果です。

提案が提案に終わらず、効果が生まれることをロジカルに説明して、どんどん進めていく。そんなエイベックスでの経理を手塚自身が好きで満足しています。

手塚 「表彰をきっかけに相談を受けるようにもなりました。経理は管理の仕事ですが、そこにクリエイティブな波が生まれているように感じます。その波を少しでも大きくしていけるように、これからも貢献していきたいです。
ロジカルに突き詰めた結果がクリエイティブにつながる。右脳から出てくる、ワンスパイスの発想を加えることで。そんな体験をたくさんしてきたからこそ、経理はもっとクリエイティブに取り組んでいける仕事だと思っています」

受けた相談に協力できることがあれば、進んで支えていきたい。エイベックスで経理の改善を続けてきた手塚には、周囲と一緒にアイデアを実現していくモチベーションも備わりました。

手塚 「私だからできるということではなくて、シンプルな発想とアプローチを続けていけば、みんなができると思うんです。ひとつアプローチを試したら、ひとつ壁が見つかり、その壁を越える手段を考えたら、また次の壁を見つける。その繰り返しの先に達成がある。
相談が来たことでも、自分自身の着想でも、これからもアイデアの種を育てていくことはみんなと続けていきます」

次の一手は、QRコードのファイリングにおける改善をさらに応用することだと手塚は考えます。他に改善の余地はないか、何か良いアイデアはないかとまだまだ考える姿がそこにはありました。これからもクリエイティブな経理で、みんなが気持ちよく働けるエイベックスを盛り上げていくために。