国内外で起業を経験した取締役が、徹底した目的思考で会社を “次のステージ”へ

WEBマーケティングやEC、メディア運営など、多岐にわたる事業を展開するベーシック。一ツ木崇之が当社の取締役に就任したのは2017年3月末のことでした。彼は入社以来、人材育成や人事制度改革に着手しています。なぜ起業家であった一ツ木は、当社の経営に参画し人材育成を担うようになったのでしょうか。
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学校では教えてくれない“起業する”という生き方

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▲取締役の一ツ木崇之

一ツ木は、大学在学中に事業を立ち上げた経験を持つ起業家です。最初の事業こそうまくいかなかったものの、彼は卒業にあたり、将来の起業を見据えた勉強のための就職、という道を選択。約6年間、3つの企業で経営などを学びます。そして2010年、自身の会社を設立しました。

一ツ木 「仕事は人生の多くの時間を費やします。それならばその時間を楽しく過ごし、自分らしく生きたいと考えました。そして、一番自分らしい生き方の答えが“挑戦すること=起業”だったんです」

日本の教育では学生たちに、良い大学、良い就職……という道は示すものの、「起業」という選択肢を伝える場や機会はほとんどありません。しかし、祖父が事業をしていた一ツ木は、学校では教えてくれない生き方、働き方があることを知っていたのです。

そして一ツ木は、昔からある考えを持っていました。起業は、「自分はこれができる」ということだけでは成り立たない。大切なのは、“困っているひと”がいること。そして、それを自分が解決したいという強い思いがあること。そのふたつがあるからこそ、事業が生まれると考えていたのです。

彼が当時展開していたビジネスは、インターネット上でクリエイターが手掛けたコンテンツにチップを贈り、彼らを経済的にサポートする「Grow(グロウ)」というサービスでした。クリエイターたちの経済的な問題を解決したい、と思う一ツ木の心が、この事業を生みだしました。

一ツ木 「これまでやってきたビジネスを、いま俯瞰して見ると、自分の心の動きが映し出されているように思います。起業って、起業家の心を描いているストーリーに他ならないんですよ」

そんな一ツ木とベーシックの道が交わったのは、2011年、アメリカ・シリコンバレーでのこと。当社代表取締役である秋山勝との出会いから、新たな動きが生まれたのです。

シリコンバレーでの出会いが、協業の機会につながる

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▲ベーシック代表取締役の秋山勝(左)とは、2011年のアメリカで出会った

2011年、一ツ木はアメリカでサービスを展開するために奔走していました。

「Grow」を事業化するにあたり、法律的にも文化的にも、そして投資支援を受けるうえでも、拠点を、日本だけでなく海外にも置くことが現実的かつ有効だと考えたのです。

そんな最中、一ツ木がピッチイベント(投資家向けのプレゼン大会)に参加するためシリコンバレーを訪れたときのことです。ちょうど同じ時期、アメリカのIT企業を視察する日本の企業団がありました。その中に、秋山がいたのです。

現地でこそ初対面のあいさつを交わした程度でしたが、その後、東京で改めて事業について話をしていくうちに、秋山は一ツ木のビジネスへの出資を決め、ふたりは出資者と起業家の間柄となりました。

その後も、クリエイターを支援するビジネスを続けていた一ツ木。しかし、なかなか軌道に乗せるのが難しく、メンバーや株主に迷惑をかけ、周りの人に助けてもらい、何度も倒産寸前まで追い込まれながらも、何とか会社を続けているような状況でした。

そんな会社の危機を前に、新たなチャンスを求めさまざまな機会を探っていた2015年。一ツ木は秋山から、「ベーシックのEC事業部を手伝ってくれないか?」と声を掛けられます。

当時、インターネット上で個人が無料でネットショップを開設できるサービスが登場していました。ベーシックではスマホケースを販売するサイト「phocase(フォケース)」を運営し、工場を有していたため、ショップオーナーに商品の製造元として利用してもらおうと考えていたのです。

当初はBtoBビジネスとして事業者へ展開することを考えていましたが、そうではなく、 BtoC向けに自分たちでやれるのではないか——。ふたりはそう考えるようになります。

もともと、クリエイターを支援することを掲げていた一ツ木は、「個人がオリジナルグッズを作成し、無料のネットショップで販売することで生計を立てられないか?」と考えます。その後、秋山と共にネットショップオーナーのためのサイト「Canvath(キャンバス) 」を構想し、すぐに事業化に着手します。

Canvathは、1個単位で安価にオリジナルグッズを作れる点が支持され、2015年のサービス開始から約2年で、個人のネットショップオーナーから、大手ECモールに出店する法人まで、20,000人が利用する(2017年6月現在)サイトに成長しています。

一ツ木の会社が同サービスを展開するようになり、他の事業も上手く回るようになったころ。秋山は、一ツ木の思考や行動力に、大きな魅力と新たな可能性を感じるようになっていました。

「やるべきこと」ではなく「やらないこと」を決める判断力と決断力

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▲秋山は、一ツ木を「目的思考の権化」と評している
一ツ木 「スタートアップの経営者は、やらなければならないことが山積みです。営業、顧客対応、広報・PR活動、採用。すべて必要なこと。でも、時間や資源は限られています。だから、“いまは、何をやらないか”を決めることが重要なんです」

ビジネスでは、目標をもとに戦略を練り、実現するための戦術を描いていきます。目標を実現するためには“やらないことを決め”、やるべきことだけを徹底的にやり抜く。

これは、学生時代に立ち上げたビジネスを皮切りに、新しい事業を手掛けてきた一ツ木が、経験から学んだことでした。そんな彼を、秋山は「目的思考の権化」と評します。

仕事をするうえで、ゴールから考えることが当たり前になっている。この思考力と行動力がベーシックに必要だと感じた秋山は、彼に協働の話を持ちかけたのです。

一ツ木は、出資者や共同事業者として秋山やベーシックのメンバーと接していく中で、そのビジョンに共感するようになります。新しい分野で次々と事業を展開し、グロースさせていく——当社の挑戦する企業文化に魅力を感じていました。

そして彼は、自社の事業をベーシックに売却後、他の株主の株を買い戻し、ベーシックに参加することを決断。2017年3月、当社の取締役に就任し、経営に参画したのです。

一ツ木 「僕が思うに、ベーシックは“いぶし銀”のような会社です。IT関連企業ですが、キラキラ、ギラギラしているのではなく、渋い魅力があるんです。社員は真面目で、いわれなくてもコツコツと努力し、モラルも高い。けれど現状としては、それが一部、裏目に出ている部分があると思いました」

良くも悪くも目の前のことに真面目に取り組んでしまう企業風土。一ツ木の目に、ベーシックという会社はそう映りました。外部の目線を持ち、ひとりの経営者としても経験のある一ツ木は、秋山がメンバーに求めていることが何なのか理解できました。

しかし企業文化にあった方法で人材の育成を進めていけば、メンバーは自分に求められていることを、きちんと理解できるはず。その可能性を感じた一ツ木は、当社の人材育成を担うことになったのです。

また彼は、もうひとつ大きな改革、人事評価制度づくりにも取り組むことになりました。推奨される人材が明確になれば、それを満たした人材の評価も伴わなければなりません。真面目に取り組むメンバーに、きちんと報いる制度があっての人材育成だと考えたからです。

これらの業務を、彼は一体、どのようなアプローチで進めているのでしょうか?

次のステージへ会社を押し上げるためにも、中途半端なやり方はしない

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▲チームメンバーとともに、”次のステージ”を目指す

2004年の創業以来、これまで50以上の事業を立ち上げてきたベーシックは、つねに新しいビジネスに取り組んでいる、といってもいいほどです。

一ツ木 「ベーシックには挑戦する文化がある一方、良さそうなことは何でも手掛けてしまうところがあって。そこで目標にそった戦略を立て、“これ以外は手を出さない”という方針を決めたうえで、それを徹底的に実行するよう指導しています」

たとえば、「利益を最大化する」という目標を立てたとき。売上が未達だったとしても、あくまで利益を上げるための施策にフォーカスし、こだわること。たとえ売上だけがカバーできそうな新たな施策があったとしても、そこには手を伸ばさない——。

目先の対応に囚われ、中途半端な判断をしないために。目標から考えた戦略を一つひとつ実行に移すことで、一ツ木は“やりとげる”人材の育成に注力しているのです。

まずは、役員・部長クラスに対するアプローチから。そして、その学びはトップマネジメント・管理職層からマネージャーへ伝えていきます。次は、マネージャーからメンバーへーー。順を追って伝承し、全社的な動きなるよう、体系的に人材育成を進めていく予定です。

秋山から託された“人材の明確化と育成”・“人事制度改革”。このふたつのミッションを、自分のスタイルで完遂することも自身の役割であると、彼は認識しています。

一ツ木 「メンバーがどうしたいか? ではなく、顧客がどうあるべきか? を考えて行動する。その考え方を全員が理解することで、真面目に努力をする社員たちだからこそ同じ方向を見続けて行動することができる。実際、どうあるべきか? から考えるという思考については、少しづつ共通言語になりはじめていると感じています」

さらに一ツ木は、ベーシックが次のステージに上がるために必要なことに取り組もうとしています。それは、認知度の向上です。

一ツ木 「会社を世の中に知らしめるためには、ある種の“尖った部分”が必要なんです。こんな会社だよね、という特色を示すものとして。それは、会社のビジョンや社長である秋山のアイデンティティから落とし込まれたもので、社員も納得できる、ベーシックらしいものでなくてはなりません」

社内外の人たちから自社がどう見られるのかは、人材育成のあり方や採用にも大きな影響を与えます。それによって新卒採用のエントリー数が倍増……それどころか4倍、5倍以上の成長も夢ではなくなるかもしれないほど、インパクトがあることなのです。

将来的な株式公開を視野に入れているベーシックでは、会社の成長を支える人材育成、企業ブランドの構築がまさに急務となっています。2017年から、その急先鋒を担うことになった一ツ木。かつて学生の頃から自分自身で事業を起こし、国内外でさまざまな挑戦を続けてきた彼は、いま、ベーシックで“次の未来”を描こうとしているのです。

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