ボトムアップで生み出した新しいマッチングアプリ。狙うはコミュニティの活性化

福利厚生のアウトソーシング事業を行う株式会社ベネフィット・ワンは、2017年7月「Worker’s Market」という会員同士がモノの売買やスキルを活用したお手伝いができるアプリをリリースしました。きっかけは、新規事業のアイデアを競うコンテスト。マッチングアプリの新しい形を発信しようとしています。
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きっかけは社員の声。アイデアは地方創生への想いからはじまった−−

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▲プロジェクトメンバーのひとり、辻麻梨菜

福利厚生のパッケージサービス「Benefit Station」を展開している株式会社ベネフィット・ワンは、2017年7月に福利厚生会員限定で使うことができる、「Worker’s Market」というモノ・スキルのマッチングアプリをリリースしました。

このサービスは、会員同士が無料でモノの売買や、スキルを活用したお手伝いをすることができるというもの。

誕生のきっかけは、毎年社内で開催している新規事業のアイデアを競う「社内ベンチャーコンテスト」で、最終選考に残った社員3人のアイデアでした。そのなかのひとりが、2016年当時、入社4年目で、CRM事業部に所属し営業や企画を担当していた辻麻梨菜です。

彼女は、コンテストに自分が応募する日が来るとは思わなかったそう……。

辻 「新入社員のころから、与えられたことに対して精一杯応えようという意識で仕事をしていました。どちらかというと、新たなものを生み出すというよりは、受け身で仕事をするタイプでしたね。なので、新規事業に携わりたいと思ったことはまったくなかったんです」

そんな辻を変えたのは、ある大手通信会社と共同でサービスを立ち上げる案件に関わったことでした。先方の求めるスピード感、徹底したユーザー目線へのこだわりに触れ、今までの仕事のやり方では付いていけないと気づきます。

辻 「待っているだけでは何も変わらない。自分が発信したもので周りを変えることが大切だと学びました。その案件をきっかけに、ゼロから自分で何かを創り上げていきたいと思ったんです」

さらに、もうひとつ彼女を駆り立てた出来事が、母校の中学校が廃校するかもしれないという知らせでした。大学時代は出身地の山梨県から上京し、いわゆる「外の世界」に目を向けようとしていた辻。その知らせをきっかけに、地方が抱えている課題を目の当たりにしたのです。

辻 「ずっと、自分の『外側』ばかりを見ていて、経済の中心である東京に行くことが正解だと思っていました。しかし、自分にとって身近なものがなくなる瞬間を目にして、東京で得たものや創り上げたものを地方に還元していきたいと考えはじめたんです。ひいてはそのアイデアを事業にしていきたい−−。そう思って、コンテストへの応募を決めました」

地方創生に関するさまざまなセミナーに参加し、情報を集めていくなかでたどり着いたのが“地域通貨のポイント化”。地域住民同士が、モノや時間を、地域で使えるポイントで売買するプラットフォームを立ち上げるという提案をしました。

3人それぞれの想いを掛け合わせる難しさ

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▲ベンチャーコンテストで立ち上がった3名のプロジェクトメンバー

辻 「地域通貨の流通というアイデアを深めていくためにリサーチをしていくと、私がやろうとしていることが『シェアリングエコノミー』という概念だと知りました。お互いを助け合うというこの発想に感銘を受け、ますます実現したいという想いが強くなりましたね」

辻が提案した「地方創生のためのプラットフォーム」は、最終選考にまで進むことに。また、他にもふたりの社員がシェアリングエコノミーに関するアイデアを出しており、その場で、辻を含む3人全員のアイデアの採用が決定。いよいよプロジェクトとして動きはじめたのですが、いきなり壁が立ちはだかります。

辻 「同じシェアリングエコノミーでも、具体的な提案は3人とも異なっていました。だからこそ、それぞれの案はあったもののゼロからのスタート。ベネフィット・ワンだからできることを考えることに、まず苦労しました。現在、世の中で利用されているサービスを調べ上げ、ただただ模索しましたね」

壁はひとつではありません。3人それぞれが別の業務を兼任しており、時間の調整やタスクの管理が難しくなることも……。

また、会社としては初の試み。巻き込まなければならない社員も増えていきました。

辻 「プラットフォームの提供を実現するためには、システム部門の社員の協力は必須。それにも関わらず、企画が先行してしまい、いざシステム部門に相談すると、考えがもれている部分がたくさんあり、スタートに一気に戻されることがありました。
3人とも会社を巻き込んで新しいものを産み出すということははじめてで、プロジェクトの進め方がわかっていなかったんです」

手探りでプロジェクトを推進していくなかで、辻を支えていたのは、自分自身を変えた、大手通信会社の案件での経験でした。

辻 「壁にぶつかってもユーザー目線で物事を考える大切さ、サービスを創るうえでどこにこだわらなければいけないのかを教えてくれたのは、自分にとっての転機となった、大手通信会社との案件でした。企画で立ち止まったら、そのことを想い出し、ユーザーの立場に立つことを心がけていましたね」

どこよりも安く、どこよりも安心して使える新しい形のモノ・スキルのマッチ

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▲Worker's Marketイメージ図

ベネフィット・ワンだからできること。そして、ユーザーにとって魅力的なもの−−。

それを思考錯誤して生まれたのが、モノ・スキルのマッチングアプリ「Worker’s Market」です。

2017年現在、注目されはじめてきたシェアリングエコノミーのサービスは、空間やモノ、スキルなど多岐に渡ります。そのなかで、当社が提供する福利厚生との親和性を考えて、まずはモノの売買とスキルの活用からスタートすることになりました。

辻 「モノの売買からはじめると決めましたが、この分野は競合が多いです。ちょうどフリマアプリが浸透しつつあったので、差別化をいかにするかが大切でした。その差別化こそが『どこよりも安く、どこよりも安全』だということ 。

『Benefit Station』はすでに企業から会費を取っているサービス。だからこそ新たに収益化をする必要はありません。つまり、入会も手数料も0円。ですから、どこよりも安く買える、どこよりも高く売れるという世界観をつくることができると考えました。

また、あえて福利厚生会員に限定することにより、利用者は企業を通じて身元を特定することができます。だからこそ、より安心して利用することができます」

『Benefit Station』は、映画や宿泊施設の割引はもちろん、グルメ、レジャー、育児や介護など、さまざまなサービスを一番おトクな形で好きなだけ利用できる福利厚生サービス。

そのため、アプリにおいても、ユーザーから手数料を取らず「おトク」という世界をつくり、「Benefit Station」内のキラーコンテンツにしていこうと考えたのです。

さらに、「Worker’s Market」はただのマッチングアプリに留まりません。

あえて“限定”することによって生まれるコミュニケーションのきっかけ

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▲Worker's Marketが社員同士のコミュニケーションのきっかけにもなる

「Worker’s Market」の利用者は福利厚生会員に限定をしています。だからこそ、企業単位に限定して利用していただくことも可能です。つまり社内のマッチングが実現でき、社員同士のコミュニケーションが生まれるきっかけにもなるのです。

社内に限定すれば、より安心して社員同士のモノやスキルの共有ができるかもしれません。

「社員同士が助け合える社内環境をつくる」
それは、シェアリングエコノミー本来の概念に沿ったサービスです。

辻 「私自身の構想は、いつかこの仕組みを自治体に持っていくことです。自治体から住民に利用してもらう新しいコミュニケーションのプラットフォームとして利用することができれば、地方創生の助けになるのではと考えています」

福利厚生会員限定−−。
それは、会社や地区、マンションなど、ユーザーの絞り方は無限に広がります。

限定するということは、一見、手軽さを欠くように見えるでしょう。しかし、会員制だからこそ身元が把握でき、安心して人とつながるキッカケを生むことができるのです。

社員のアイデアから生み出された「Worker’s Market」。まだまだ可能性は未知数。

社会に新しい価値を提供するきっかけになる−−。
そんなアプリを目指し、利用者のみなさまとともに、走り続けていきます。

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