日本中に埋もれている“事業の種”を、起業家支援によって社会へ送り出す

Beyond Next Ventures株式会社(以下、BNV)が取り組む、大学発ベンチャー起業家の支援プログラム「BRAVE」。そのコンセプトに共感し支援・参画してくださった組織のひとつが、国立研究開発法人NEDOです。今回はイノベーション推進部の吉岡恒さんに、後援を決めた理由や背景を伺いました。
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研究開発型ベンチャーの支援を行う、NEDOと伊藤の出会い

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NEDOの吉岡恒さん

NEDOは日本最大級の公的研究開発マネジメント機関であり、「エネルギー・環境問題の解決」と「産業技術力の強化」のふたつのミッションに取り組んでいる国立研究開発法人です。イノベーション推進部ではその一環として、研究開発型ベンチャーの起業家支援事業を手がけています。

BNV代表の伊藤毅と、NEDOのイノベーション推進部 グループ長である吉岡恒さんがはじめて出会ったのは2013年のこと。当時、伊藤はベンチャーキャピタル大手の株式会社ジャフコに在籍していました。

ジャフコが育成をサポートした企業をNEDOが支援したり、NEDOが支援している企業にジャフコが出資したりと、両者には以前からさまざまなつながりがありました。

吉岡さん 「伊藤さんのお名前は、ジャフコ時代からよく知っていました。とくに技術的なことに対する目利きや、ハンズオン支援(投資先の企業経営に深く関わること)に関しては、VC業界でも指折りの方だと感じていましたね。技術系ベンチャーでビジネスを苦手とする起業家の方たちを、うまく導く能力が非常に高いんです。起業家からの信頼もとても厚かったです。」

そして2014年夏に吉岡さんは伊藤からジャフコを退社して独立することを聞く。

吉岡さん 「この若さで、しかもジャフコのような会社を辞められるのはすごい決断だなと思いました。そしてご自身で新しい会社を立ち上げられると聞き、伊藤さんなら何か大きなことを成し遂げてくれるだろうと、期待が膨らみましたね」

「NEDOは毎年新しいことにチャレンジしている」と語る吉岡さん

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審査員としてBRAVE最終日のピッチコンテストに参加する吉岡さん

独立してBNVを設立した伊藤は、起業前のプロジェクトを中心に支援する「BRAVEアクセラレーションプログラム」を立ち上げます。主な支援対象は、自身の研究の事業化を検討する研究者や技術系のベンチャー企業。立ち上げにあたり、伊藤はNEDOにぜひ「BRAVE」に賛同してもらえないかと考えました。そして2016年の春、吉岡さんに相談を持ちかけたのです。

話を聞いた吉岡さんは、「いいですよ」とふたつ返事で快諾してくれました。

吉岡さん 「まず内容自体が、賞金を出して起業家を発掘し技術系ベンチャーを育てるというものなので、公共の目的にも合うと判断したんです。またBRAVEを通じて見出された起業家に、NEDOの提供するさまざまな支援制度を活用していただくことにもつながると感じました」

伊藤がNEDOにこの話を打診したのには、ある大きな理由がありました。

伊藤 「私はBRAVEを、『起業家をはじめ、チャレンジする人を後押しするプログラム』にしたいと考えていました。だから関わる人にも、挑戦する姿勢を持っていてほしい。そう考えたとき、ここ数年のNEDOの取り組みが非常にチャレンジングだと思ったんですよね。だからぜひ、一緒にやっていただきたいと思い、お声がけしたんです」

スタートアップの支援を行う場合、起業する側だけではなく、投資するVCや提携先の企業なども、それなりのリスクを負ってチャレンジするべき。まったくリスクを取ろうとしない人は信頼できない――伊藤はそうした考えを持っていました。だからこそリスクを取り、新たな挑戦をし続けるNEDOに白羽の矢を立てたのです。

実際、NEDOは常にバラエティに富んだ支援プロジェクトを展開しています。スタートアップ向けの助成金プロジェクトや、起業家に対する人件費の支援などは、今までになかったユニークな取り組みでした。

吉岡さん 「確かに近年、NEDOは毎年新しいことに取り組んでいます。私たちの管轄元である経済産業省にも前向きな若い方が非常に多く、それも強力な後押しになりましたね。国の姿勢が大きく変わり、日本の沈滞ムードを打破したいという空気が強くなったことも、起業家に対する追い風になっていると思います」

こうしてBRAVEは、NEDOという心強い賛同者を得ることができたのです。

「なかなか起業に踏み切れない」大学発ベンチャーが抱える課題とは

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NEDOの吉岡さん(左)とBeyond Next Ventures 代表の伊藤

2017年現在、BRAVEがNEDOから受けている具体的な支援はふたつあります。まず、最終ピッチ大会の審査員として、吉岡さんに関わっていただいています。また、後援としてプログラムの周知活動をしていただいており、そうした形で、これからのベンチャー起業家の卵たちを、一緒にサポートいただいています。

NEDO、そして吉岡さんがBRAVEへの支援を決めた理由のひとつに、大学発のベンチャー企業が抱える大きな課題がありました。

吉岡さん 「いざ事業を興そうとした人でも、なかなか起業に踏み切れないことや、研究を続けるために途中で挫折してしまうことがよくあるんです。また、研究室の教授がせっかくいいネタを持っていても、ビジネスにできないまま埋もれてしまう、というケースも多々あります。だからこそ、起業に至る前の段階で手厚い支援を行うというBRAVEのコンセプトは重要だと感じました」

まずはBRAVEのメンタリング(自立支援の助言)やコンテストを通じて技術系ベンチャーの種を発掘、育成する。さらにそこから、VCやNEDOが支援を行い、投資や助成金などで芽が出るように起業家を育ててゆく。最終的に事業の利益が出て会社が大きくなったら、今度は投資側に回る――。そのような“エコシステム”を生み出すことが、両者に共通する大きな目的なのです。

しかし日本ではまだまだ、絶対的な起業家数が足りていないのが現状です。そしてそれが、起業家を輩出するための“エコシステム”を構築するうえで、最大のネックにもなっています。

吉岡さん 「私たちはBRAVEのような起業家を発掘・支援するためのプログラムが、民間主体でどんどん生まれてほしいと思っています。支援する体制ができて起業する人がどんどん増えれば、NEDOの制度を活用してもらうことにもつながりますから。」

起業家にとって一番大切なものは、技術や事業に対する熱いパッション

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BRAVEの第1期である "BRAVE 2016 Winter" ピッチコンテストの様子

先進的な技術を持つ大学発のベンチャー起業家を増やしたい――共に同じ想いを持つ伊藤と、NEDOの吉岡さん。ふたりがさまざまな起業家の将来性を見極めようとするとき、重視しているポイントにも共通点がありました。それはその起業家自身がもつ「パッション」です。

吉岡さん 「やはりまずは、1にも2にも3にもパッション、本人に熱意があることが大前提ですね。そう考えたとき、私が真っ先に思い浮かべるのはミドリムシで有名な株式会社ユーグレナの出雲充さん。彼はプレゼンテーションも非常にうまく、絶対この技術をモノにしてやる、という熱意が強烈に伝わってくる人でした」

ただし当然のことながら、プレゼンテーションの良し悪しだけで起業家の資質を図ることはできません。起業家自身が、事業のストーリーやビジョン、ミッションを明確に描いているかどうか……。伊藤はそれを重視しており、吉岡さんもそうした伊藤の目利きを信頼してくれているといいます。

しかしどんなにパッションがあって世の中に出してあげたいと思っても、自分たちの技術のよさをうまく伝えられない人もやはり多いもの。それでは人もお金も、協力者も集りません。そのためBRAVEでは、起業家の想いや事業のミッションを外部の人に対して分かり易く伝え、ビジネスにつながるようにブラッシュアップする支援を行っています。

吉岡さん 「せっかくいいネタがあるのに、形にできないのは非常にもったいないですよね。そうした事業をいかに形にしていくかというのが、BRAVEやTCP(NEDOのベンチャー育成支援プログラム)などの果たすべき役割だと思っています」

技術系のベンチャーに必要なのは、「技術」「人」「事業」という3本の柱。ハイレベルな「技術」をもち、「人」の熱いパッションがあるならば、「事業」は外部の専門家が支援していける領域です。

自分たちの技術を社会に役立てたいという強い想いを抱いている方はぜひ、研究室から一歩出て、起業家としての道を歩んでほしい。NEDOやBRAVEは、そうした熱い気持ちを持った人を全力で支援していきます。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO):http://www.nedo.go.jp/
BRAVEアクセラレーションプログラム:http://brave.team/

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