日本一は難しくない!? “お山の大将”だった起業家が選んだ「勝負する土俵」とは?

中小規模事業者、個人事業者向けビジネス支援クラウドサービス「Bizer(バイザー)」を運営するBizer株式会社(旧BizGround(ビズグラウンド))。代表取締役社長 畠山友一の半生を振り返りながら、その創業秘話をお話しします。
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大学時代、日本一になるために選んだ勝負の土俵は「水上スキー」!?

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畠山少年の父は堅い企業に勤めるサラリーマン。親戚一同を見渡してみても、銀行や役所、ガスや電気などのインフラ産業に従事するなど、“お堅い”職業に就く人ばかり。そんな超“保守系”一族の中で、畠山少年だけが異質の存在でした。

身長もひとりだけ突出して高く、いつでも周囲の人々から注目を集める“お山の大将”。自分自身でも違和感を抱いていたのかもしれません。

畠山少年は“保守系”とはまったくかけ離れた価値観の中で自由奔放に生きていくことになります。それでいて常に自分の中で「何か」が不足しているような感覚を持ち、何事にも負けず嫌い。小さい頃から「一番」にこだわる性格だったそうです。

たとえば、大学生活の中心だった水上スキー。はじめたきっかけは、たまたま学内で目にしたポスターから“キラキラ”“キャピキャピ”としたイメージを受けたからでした。

ところが、それはまったくの見当違い。顔を出してみれば、そこはイメージとはすっかりかけ離れた上下関係の厳しいガッツリ体育会系の世界。しかし畠山青年の心に、ある先輩の言葉が突き刺さります。

「水上スキーはほとんどが大学生からのスタート。しかも全国で14校くらいしか参加していないから、誰しもが全国大会で“日本一”になれる可能性がある」

確かに、ごく普通に大学生活を送っているだけでは、まず“日本一”になる機会はない。だがそのチャンスが目の前にある。畠山青年のやる気スイッチがバチン!と入り、即入部。練習と試合に明け暮れ、結果的には2000年から2004年の間まで、誰にも破られることのない記録を打ち立てながら日本一になりました。

畠山 「水上スキーはニッチなのかもしれない。でも、勝つためには土俵を絞ることも大事なんです。その土俵は自分が勝手に決めればいい。その中であれば、“日本一”になることは、それほど難しいことではないんです」
小さい頃から持っていた“一番“へのこだわりは、勝負の世界で生き抜くコツを青年に教えてくれました。そしてこの思想こそが、のちのBizerを生み出すことになるとは、当時の畠山青年は知る由もありませんでした。

“お山の大将”が起業家になったきっかけは「ヒトの役に立つ仕事がしたい」

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大学4年まで部活動に熱中していた畠山青年にとって、就職活動は短期決戦。職種も業界も何でもよかったのです。海外合宿時にフロリダからエントリーシートを送信し、最初に内定をくれた会社にSEとして入社。

しかし、次第にどんどん社会から遠くなっていくような感覚が畠山を襲います。あたりを見渡せば、大学の同級生は日経新聞を読んで、さまざまな会社を訪問し、どんどん社会を知っていく。

一方の自分は、職場に缶詰めになってカチカチとキーボードを叩いているばかり。不安を覚えた畠山は、SE職に見切りをつけ、営業職の代名詞ともいえるリクルートの門を叩きます。

その後リクルートを経てGREEの子会社の社長となり、新規事業の立ち上げを経験。それでも彼の中には常に「何か」が不足しているような感覚があり、GREEを退職します。子どもと一緒にキャンピングカーに乗り、半年ぐらいかけて日本一周しようと思い立ったのです。

畠山 「当時は、起業をしようという思いなど、これっぽっちだってありはしませんでした。GREEを退職した時にも、特別な将来プランがあったわけでもない。その先のことは、日本一周から帰ってきてから考えよう……。そんな風に考えていました」
しかし旅の準備を進めていた9月のある日、畠山に転機が訪れます。GREE時代の同僚の計らいで、ベンチャーキャピタルの人と会うことになったのです。そして何気ない会話の中から、新しいビジネスのヒントが生まれます。

それは、畠山がリクルート時代に経験した、中小企業向けの業務支援がベースにありました。当時、サービスやソリューションの情報が回ってこず、非効率な作業をしている中小企業が多く、業界構造としての抜本的な問題を感じていた畠山。中小企業の裏方として業務効率化を支援したい、という使命感にも似た気持ちが湧き上がってきます。

そうだ、オレは直接ヒトの役に立つ仕事がやりたかったのだ――これまで不足していた「何か」の正体がわかったような気がしました。会社の立ち上げ時に起業家たちはバックオフィス業務に困っている、そんな現状を聞いた畠山は、その場で重大な決断を下します。

「ヒトの役に立つ仕事で起業するのだ!そして一番を目指そう」再び、畠山のやる気スイッチがバチン!と入ります。それは、かつて“お山の大将”だった少年が、ひとりの起業家になった瞬間でした。

こうして生まれた会社の名前はBizGround(ビズグラウンド/現Bizer)。当時事業内容はまだ決まっていませんでしたが、「ビジネス(bissuness)」の「土台(ground)」になるという強い想いが込められました。

再び日本一になるために。次の勝負の土俵は「バックオフィス」!?

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他の起業家と違って、「このビジネスをやろう!」という具体的かつ明確な目的がなかったため、とりあえず登記や会社設立に関わる手続きのすべてを自分でこなしていました。時間だけはたっぷりあります。専門家に頼らずに、すべて自分の手で、何度も何度も名前や住所を記入し、似たような書類を何通も作成。

SE職を経験していた畠山は、“インプット1→アウトプットn”ではなく、“nのインプットで1のアウトプット”を行う一連の作業が、次第に不毛だと感じるようになっていました。「いったい何回書けばいいんだよ!」とイライラ。しかしそのイライラがひらめきを生みます。

この作業にみんなも困っているのではないか? ならばそれを自動化してサービスにすれば助かるのではないか? 早速、ベータ版をリリースして周囲の起業家に紹介すると非常に評判が高く、畠山は手ごたえを感じます。

畠山 「起業から会社が成長していく段階において発生する一連のバックオフィス業務は、結婚式と同じで、ほとんどの人が初めての経験になります。そして誰もが同じようなことで困り、悩みます。そこにビジネスチャンスがあるのではないかと考えたんです」
さらに事業を進めていくうちに、税理士のサポートの必要性を実感。しかし、調査すると顧問料がとても高い。スタートアップ企業にとって年間50万円の負担は痛手となるのです。もっとライトにできないのか? 会計ソフトへの記帳は自分でもできるのではないか? 畠山はスモールビジネスにあった顧問契約の形を模索します。そして自らが納得した形を、サービスに組み込んだのです。

こうして会社を設立するための文書はシステム上で自動生成し、細かい不明点を専門家に気軽に相談ができるクラウド型バックオフィスサービス「Bizer」が生まれました。

そしてこのバックオフィスサービスこそが、畠山が水上スキーの次に選んだ、“日本一”になるための土俵となったのです。

起業家をバックオフィスの呪縛から解放する。その先にある未来とは?

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私たちは、Bizerの存在によって起業のハードルが大きく下がると信じています。実際に、現在ユーザー数は600、このサービスを使って会社を設立したケースは200件にも及びます。しかし畠山が目指すのは “日本一”。スケールが大きい夢ではありますが、その手ごたえを確かに感じています。

畠山 「10万社、20万社がサービスを導入してくれるイメージは、もうハッキリと見えてきています。目指しているのは『1社に1 バイザー』という状態。だから月額2,980円で提供できる価値をどんどん増やしていきたいんです」
まだまだサービスの拡充は続いています。現在4名の社員を抱える畠山自身、Bizerのユーザー。だから自分がほしいと思うものをどんどん取り入れていく。BizGround(現Bizer)が存在し続ける限り、Bizerの進化が止まることはありません。

畠山 「毎日、毎週発生するルーティンならまだしも、月に1回発生するかしないかの雇用や、1年に1回発生する税務処理など、手順をしっかり覚えていられるはずもありません。ならBizerに常にノウハウが詰まっている状況にすれば、多くの起業家や実務担当者をバックオフィス業務の呪縛から解放し、本来やりたかったビジネスの根幹に専念できる時間を作ることができる。それが今後も変わらないBizerの本質価値ですね」
起業した後の数年間においても、起業家は「経営力」を身につけなければいけません。そのためには経営のコアな部分を税理士任せにすることなく、自らが学び、ヒト・カネ・モノの流れを完全に掌握する必要があります。そこにBizer継続利用の価値があるのです。

Bizerが日本一のサービスになることで、「経営力」を持った起業家が増え、世の中の経済がダイナミックに加速していくーー。私たちが目指しているのは、そんな未来なのです。

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