「人生をありのままに記録するカメラ」の開発秘話

FacebookやInstagram、twitterで共有する綺麗で、リア充な写真たち……。構図を考え、綺麗に切り取った写真だけが本当の世界でしょうか? デジカメやスマホでは撮影できない人生の中の何気ない瞬間、SNSには載らないたわいもない情景こそが本当のあなたの人生であり、私たちは、それを記録するためのカメラ「Blincam」を開発しています。その開発背景を、当社CEOの高瀬昇太がお話しします。
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開発のきっかけは、「子どもの何気ない表情を記録したい」

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Blincamチームメンバー(の一部)
子どもが生まれ、たくさん写真を撮るようになりました。

一眼レフやスマホを使い分け、子どもの成長を記録ーー。しかし、どうしても撮れない瞬間がありました。スマホやカメラを向けると、カメラに笑顔を見せてくれる。それは嬉しいのですが、もっと何気ない自然な瞬間や表情を、見たままに撮りたい。

子どもは日に日に成長していきます。私は、その一瞬を逃さずに記録に残したいと常々感じていました。

No Talk All Action 〜 仲間との出会い

私は前職(外資系医療機器メーカー)で働いているとき、スタートアップウィークエンドという起業家支援プログラムの「Startup Weekend」(以下、SW)を手伝っていました。こうした起業系イベントで大事だとわかったのが、原体験や身近な課題ということ。自身の身近な課題を振り返ったときに思い起こしたのが、子どもとの時間でした。

子どもを見ていると、ふとした瞬間に見せる表情や行動が可愛いと思うようになります。しかし、そのときデジカメは手元にありません。あるいはスマホを取り出しても、カメラアプリを立ち上げていては間に合いません。レンズを向けると嫌がったり、ポーズを撮ったり、変顔をしたりするので、自分の思ってた自然な表情が撮れない……。さらに、撮影するときは自分の目で子どもを見ていないことに気づきました。

直接子どもを見るのではなく、スマホの画面を見て、どの構図がいいか、撮影に集中しているのです。結局撮った写真は自分が見ていたそのままの表情とは異なっていることが多い。私はこのような違和感を解決するために、「ウインクするぐらい瞬間的に、見たままを撮影するカメラ」を作りたいと思ったのです。

あとはSWでの教えの通り、“No Talk All Action”、行動あるのみ。自分が企画したSWで運営者から参加者に変わり、「Blincam」のもとになるアイデアをピッチしました。優勝はできませんでしたが、その後も活動を続け、仲間を集め徐々に前進。幸いモチベーションも高く、優秀なメンバーが多く参加してくれることになり、なんとか今まで進めてきた感じです。

チームは、ハードウエアやソフトウエアのエンジニアだけでなく、MBAホルダーなど事業開発やマーケティングが専門のメンバー、クリエイティブが専門のメンバーなど、いずれもそれぞれの業界で経験が豊富なメンバーが揃いました。モノを作るだけでなく、世の中に出していくための総合的な力を持ったチームです。

プロダクトコンセプトの策定から開発へ

プロダクトのイメージは着想の時点ではっきりとしていました。まず、ウインクで撮影できること。瞬きで撮ると山のように撮れてしまい、どれが本当に撮りたかったのかわからなくなります。自分が撮りたいと思った瞬間に取れるーー。その感情が大事だということです。

気軽に使えるということも重要。メガネ一体型の大きなウエアラブルデバイスコードが付いたヘッドマウントディスプレイでは気軽に使えません。プライバシーのことを考えると公共の場では外せる必要もあるため、メガネへの取り付け&取り外しが簡単なデバイスであるべきと考えました。

また、ウエアラブルという以上は着けていてかっこいいデザインが必要です。こういった考えからプロダクトの形状やスタイルのコンセプトを初期の段階で決めて以来ほとんど変えていません(重量制限の問題から、アルミをやめて樹脂に変えましたが)。

形状やスタイル、機能は簡単に決まりましたが、それを実現するための基盤やモジュールの選定、ファームウエアの開発には苦労しました。開発した基盤が動かず捨てることになったり、センサーがうまく動かなかったり……試行錯誤の連続。しかし、幸いにも、優秀なエンジニアがジョインしてくれたので、なんとかここまで続けこれました。

世界の真実を映し出したい

BlincamのPVです。
現在、弊社はシードステージで、Blincamのプロトタイプがようやく完成したという段階。改めて、ものづくりは大変だと実感する日々です。今後はクラウドファンディング(国内及び海外)をはじめて、世の中にプロダクトを打ち出していくフェーズ。そこに向けて、試作機の開発、先行量産、量産と進めていきます。

現在はそのための見積もり、EMS先の検討・交渉、資金計画・資本政策の更新などを行っています。エンジニア、マーケティングともにフル回転です。2016年度中には、クラウドファンディングの支援者向けにプロダクトを届けられるように進めています。

当面はハードウエアの開発に注力していますが、そのあとはBlincamを通じて記録される写真を活用したサービスの展開を予定しています。たとえば、サイクリング中に撮影した写真、釣りや登山、あるいは料理中……子どもの目線の写真なども面白いかもしれません。Blincamはメガネに取り付けられるので、その人が見ている世界を主観的に映し出すことができます。“主観写真”というこれまでと違った味のある写真を活用して、新たなコミュニティを作っていきたいですね。

さらに、震災などの現場にいる人たちの目線でリアルな状況を報道するようなメディアができればと考えています。これまでは大手メディアやインフルエンサーを通してしか得られなかった情報を、直接現地から得られるようなメディアです。

加えて、さまざまな企業様ともお話をさせていただいてます。医療の記録、工事現場やデータセンターなど手がふさがっている状況での記録、BtoBtoC企業でのテストマーケティング・リサーチでの利用検討など、Blincamの応用は多様です。

私たちは、これまで記録できていなかった世界、瞬間を可視化して、世界をビジュアライズすることを目指していきます。

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