50兆円規模の建設業をデジタル化するための大変革に挑む

▲BRANU株式会社 FOUNDER/CEOの名富 達哉

私たちが取り組んでいるのは、建設業界のデジタルトランスフォーメーションです。

日本での市場規模は自動車産業に次ぐ50兆円超ともいわれています。建設は日本の屋台骨を支える産業ながら、人口減少時代の流れで多くの建設関連企業が変革を迫られるという予想があります。

しかしながら、きつい・汚い・危険の3Kのイメージから若者には敬遠されがちです。さまざまな業界で技術革新が進む中で建設業界にはほとんど変化が起きておらず、プロモーションも積極的ではないため、若者が働きたくなるきっかけもありません。

いかに未来に向けて継続させられるかの重要な局面にあり、新しい価値を生み出すことに最もやりがいを感じられる業界だと思っています。だからこそ私たちは、この課題を本気で解決したいと思っています。

2009年に創業したBRANUは、2016年には建設業界向けのプラットフォームやSaaSプロダクトをローンチし、さらに建設業界へ特化していくことで、大きくリブランディングしました。

「継承と変化」をテーマに、CI(コーポーレート・アイデンティティ)とVI(ビジュアル・アイデンティティ)を再定義。私たちの発信するメッセージをさらに尖らせ、ロゴやWebサイトなどのビジュアルを研ぎ澄ませたのです。

社会をより良く変えたいという価値観と想いを私は持っていますが、それを実現するのはそんなたやすいことではありません。ただ、社会の革新は難しくても、ひとつの産業を変革していくことなら、手が届くかもしれない。

創業当初からブレることなく、テクノロジーで「中小企業のバックヤードを担い」「産業構造の変革に貢献し」「個が強い世の中をつくる」ことを哲学として続けてこれたからこそ、そう思えます。

巨大な建設業界の変革を通じて、社会が変わっていく、時代が変わっていく。そこにはやりがいしかありません。

「そのサービス待ってた」──建設テックを浸透させ、カッコいい業界へ

▲「CAREECON 建設DX Platform」構想

2019年7月に『CAREECON 建設DX Platform』構想を発表しました。建設人材のシェアリングプラットフォーム『CAREECON』を基盤に、建設業のデジタル・トランスフォーメーションの実現を目指すものです。

建設業界の最大の課題は圧倒的な人手不足にあります。たとえば、過半数の建設作業員は翌月の仕事が決まっていないともいわれているのです。一方、多くの事業者が、働き手が不足しているともいっています。つまり、情報の非対称性からミスマッチが起きているのです。そして、それを私たちがCAREECONをはじめとしたテクノロジーで解消します。

もうひとつ挙げられる深刻な課題は、中小企業の生産性の低さです。いまだにFAXや紙、黒板で情報を伝達している現場の人々。建設現場の写真を撮ったあと、深夜に事務所へ帰ってきてタグづけ作業を行います。これらはクラウドとデジタルデータを駆使すれば時間と場所の制約を受けません。デジタル化すれば解決できる課題がまだまだ多く残っている業界だといえるのです。

私たちはテクノロジーを駆使し、業務改善からプロモーションまで含めて建設業界をアップデートし、「カッコよく」したい。かつては憧れの職業だった大工さん。もっと若者が入りたくなるカッコいい業界にしたいんです。

現在、建設業界に特化したデジタル・ソリューションは日本ではまだ多くないですが、アメリカではすでに隆盛しています。やっと最近、建設テック関連のスタートアップが日本でも増えてきました。それに呼応するようにクライアントやユーザーの意識も変わりつつある状況です。

日本にある企業の99%は中小企業で、その中でも建設業界の比率は多くを占めています。現在の状況を変えていくには、とくに、多重下請けピラミッド構造の土台側にいる中小企業をエンパワーメントする必要があるのです。テクノロジーの力を投じれば、施工管理や経営支援、現場の進捗管理などアナログに頼っている場面での非効率を改善できます。

「そのサービスを待ってました!」という声をお客様からいただくこと多く、現場は本当に困っているんです。デジタルがあたり前になるまで現場に根づかせたい。もちろんどのようにプロダクトの価値を伝えればいいかは今でも悩みますし、事業や組織運営がすべてうまくいっているわけではありません。ただ、前に進んでいる感覚はあります。進みさえすれば文句なしで、あとは速度の上げ方を考えるだけですから。

サバイブすることだけを目的とせず、ビジョンで走り、ビジョンに忠誠を誓う

▲Webサイトや名刺、封筒など、様々な場所でBranuの哲学が込められたビジュアルを表現

Crazyな発想でないと、建設業界の根深い課題の解決は難しいと思います。

建設業界をブレークスルーするのであれば、自分たち自身がまずブレークスルーする必要があると考えました。過去の習慣にとらわれずむしろ変化を楽しみ、積極的に課題に挑める先鋭化されたチームでなければ変革は起こせません。その状態で初めて、クライアントにベネフィットを提供できるのだと信じています。

創業10周年を目前に控えたタイミングでビジョンの実現に向けて、これまでの収益構造からビジネスモデルまでをゼロベースで考え直しました。会社が悲鳴を上げるくらいガラッと変えたのです(笑)。これは目指すべき軸があるからこそできることで、他の企業では簡単にまねできないことだと思います。

そして一度方針を決めたらそれに向かって突き進みます。方針にそぐわないものは捨てざるを得ません。実現したいすべてに手をつけて力を分散させるのではなく、フォーカスするべきことに力を集中すべきだと思うからです。

本当にメンバーは大変だと思うけど、これはサバイブすることだけを目的にしていないチームだからです。革新しなければ業界が先細りするのは目に見えていますし、変えていかなければ自分たちも楽しくないですからね。

だからこそ、ビジョンで事業を走らせるのがベンチャーで、ビジョンに共感してくれた人が集まる状態をつくるのが重要です。ビジョンやミッションからすべてを逆算して私たちのブランドを具体的に再定義していきました。

もちろんプロダクトの精度も重要です。精度が上がればプロダクトのユーザーも増え、データが蓄積されることでまたプロダクトを磨き上げることができる。いかにデータを集めていけるかというのは今後の成長を左右する大きなポイントです。意思決定をデータから、その戦略をデザイン思考で進める、「データドリブンデザイン」でビジネスを推進していきたいと思います。

哲学やアートなど、より本質的な価値が重要な時代になっていくからこそ、メンバーに伝えているのは、会社ではなく、ビジョンに共感して、ビジョンに忠誠を誓ってほしいということです。それならば各メンバーがそこに向けて、自由と責任を前提とした、自分なりのやり方で突き進める楽しさが生まれて、強い組織になれると信じているからです。

「After us」の精神で建設テックの先頭に立ち続ける

▲2019年11月に行われた社員総会

目指しているのは国ですらまだ解決できていない、建設業界の課題解決です。客観的にみればCrazyな野望ですよね。だから、私たちが求める仲間の人物像も「Be Crazy」です。BRANUでは野心がある方を求めます。

Crazyとは、普通じゃないレベルの発想と行動を体現する実行者をいいます。たとえばつい先日、ある求職者が深夜バスで私のもとにやってきました。弊社の「建設業界の産業構造をデジタルで変えたい」という考えに共感してくれたそうです。エンジニアは未経験ながら、独学するので雇ってほしいという気持ちをぶつけられましたね。

それ以外にも、15年近くリフォームや建築会社で働いている方から、「今まで疑問と思っていた建設業界の習わしを変えたい、BRANUのサービスに一緒に関わらせてほしい!」とコンタクトがありました。その方は建築士の資格も持っていて、今はシンガポールに在住し、施工管理を実際に行っている方でした。

また、社内のメンバーも、営業成績やデザインなどに対してこだわり抜く人間ばかりです。みんながCrazyにがんばる体現者なんですよね。

つまりBe Crazyとは、あたり前であることを否定し、新しいことにチャレンジし続ける姿勢と行動のことです。自分の中のあたり前を捨てた先にある、“Crazy”といわれるような発想と行動を持っている状態を指します。

つまり、組織のベースはやはり人だなと。だからこそ、Crazyな人たちに集まってほしいですね。

BRANUの経営哲学「After Us」も、私たちらしさを示す言葉です。After youの意味を反転させた造語で「誰よりも先にいく」と「安心してついてきてほしい」のふたつの意味を込めています。この姿勢と結果でスモールビジネスを前進させていきます。

また、スモールビジネスのBtoBサービスを展開していく上では間違いなく、お客様にもビジョンに共感して導入してもらうために熱い想いを伝える場面が必ずあります。泥臭さが必要な課題に対峙しても粘り強く実行できる方とこれからの未来をつくっていきたいです。

というのも、中小企業が強くなれば建設業界が変わるんですよ。リソースに余裕のない中小企業みんなが集まり、人・モノ・金・データをシェアすれば仮想の大企業になれる。孫受け、ひ孫請けまであるピラミッド型の多重下請け産業構造を効率化し、フラットにもできますしね。

そんなコンセプトのプラットフォームが、私たちのCAREECONなんです。

建設業界から始めていますが、建設テックやSaaSプロダクトを提供するだけで終わるつもりはありません。日本の99%を占める中小企業の潜在能力を解き放てば日本の生産性はもっと上がり、もっとワクワクできる世の中になりますから。

After Us!