目指すのは、まだ誰も見たことがない“創造的で革新的な企業文化”をつくり出すこと

変革のタイミングを迎えたとき、企業はその真価を問われます。2016年、自動車関連を中心にITソリューションを提供しているブロードリーフは、まさにそのタイミングに直面しました。そこで旗振り役となったのが、常務執行役員で開発本部長の小林学でした。
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キャリアを選ぶ基準は、とにかく“経験したことがないこと”

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▲常務執行役員で開発本部長の小林学

離職率が10分の1に。加えて、残業時間は月平均80時間から18時間へと大幅削減──。

この改革を3カ月で実現させながらも、気さくでフラットな姿勢を忘れない。その人物こそが、今回の主役である常務執行役員の小林です。

新卒で富士通に入社してビジネススキルを身につけ、以降は「経験したことがない」を基準にいくつかの会社を経験しました。そこにはきちんとした理由があります。

小林 「学生の頃は、働くことに対してあまりいいイメージを持っていなかったんです。当時のぼくには、働くことによって、自由が奪われてしまうイメージがあった。やっぱり、ぼくは自分で裁量を持っていろいろなことを決めていきたいんですよね。
そこで、いずれは経営者になろうと思ってました。経営者だったら自分でいろいろなことが決められそうだなって(笑)。経営者になるなら、とにかくいろいろな経験を積んだ方がいいなと思ったので、転職の基準はとにかく “経験したことがないこと ”にしていました」

小林の前職は、仲間と共に起業したITコンサルティング会社。しかし、7年で次のことにチャレンジしたのです。  

小林 「ぼくは同じことをやりつづけるのが苦手なんですよ。その当時、会社はそこそこ大きくなっていました。また新しい事業に挑戦したいと思うようになって。それでその会社から抜けて、今に至ります」

こうして小林は、2016年に執行役員としてブロードリーフにジョインしました。

まずは基本を大切に。あらゆる事象をクリアにしていく

入社したばかりのころ、期の途中でジョインしたこともあり組織は持たず、小林は役員として会社のさまざまなところを見てまわりました。すると、特に当時の製品開発(プロダクト、サービス)には、多くの課題があることがわかってきたのです。

小林 「ぼくが入った当時は、東証一部に上場してから 3年たっていたし、業績も悪くなかったんです。それにも関わらず、開発はマネジメントに課題があり、納期もコストも今のようには管理されていなかったんです」

あるとき小林は、社長の大山堅司より、「開発本部を見てくれ」という打診を受けました。開発本部を改革するためにまず取り組んだのは、基本の環境整備でした。

今でこそスッキリ片付いている開発本部のフロアですが、当時はまったく整理されていなかったのです。

「 5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を大切にしよう」と呼びかけるも、最初は「片付けることに意味はあるのか」と反発だらけ。それでも、片付けを進めました。

こうして、開発本部のフロアは見違えるほどきれいになりました。しかし、一度きれいにしただけでは意味がありません。20個ほどの項目が並んだチェックリストをつくり、課ごとに持ち回りで毎週チェックさせ、とにかくきれいな環境を保つ習慣を組織に根づかせたのです。環境を整備し、その状態を維持することで、少しずつ個人の意識が変化していきました。

小林 「デスク周りが片付いてないのは、仕事や開発環境が散らかってることの証なんです。古典的ですけど、物理的に見えるところを片付けると、仕事や開発環境も整理されてきます。
片付けと同時に、毎日、業務実績も入力してもらいました。その結果、日次で原価実績の把握ができ、今後の開発計画も容易に作成できるようになったんです」

同じ時期、小林は、札幌・福岡・東京都3拠点に散らばっている開発チームの業務を整理しました。当時は営業メンバーが個々の開発担当者に直接作業を依頼していたため、全体で抱えている仕事の総量を誰も正確に把握していませんでした。

小林 「他の業務はワークフローが決まっていたのに、開発への案件依頼だけは口頭かメールだったんですよね。なので、既存のワークフローに乗せてもらい、必ずぼくのところを通るようにしました。そこから業務の必要性や優先度を考慮したうえで、メンバーに仕事を割り振ることを徹底しました。アウトプットを整理するにはまずインプットからです、アサインマネジメントです」

ほかにも、わかりにくかった開発リソースの管理フォーマットの一新や、開発プロジェクトに関わるさまざまなルールの整備をしていきました。職場環境の整備やプロジェクト推進の仕組みの構築を通じて、組織改革は少しずつ進んでいったのです。

当初は反発していたメンバーも、改革を受け入れ始めた

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▲組織改革を経て、社内の雰囲気はガラリと変わった

100日間の組織改革後、開発本部は少しずつ仕事の流れがスムーズになっていきました。当初は小林の施策に疑問を抱いていたメンバーたちも、「仕事が見える化され、ムダな作業がなくなった」と、少しずつ改革を受け入れていきました。メンバーが改革を受け入れ、仕事が整理されたことで、一人ひとりにゆとりが生まれ、以前より社内コミュニケーションが活発になったのです。

小林は、毎年「開発本部の約束」を設定しています。ここに盛り込まれているのは、小林が開発メンバーに期待していることです。2017年の「案件を担当者同士で決めない」という約束は、組織が成長した結果、2018年には姿を消しました。

組織の成長を実感する社員は、「小林は判断が早く、こちらも早いレスポンスを求められるんですけど、その分仕事の流れがスムーズになりました」と言います。またある社員は「小林がやってほしいことを明確に発信するので、メンバーが何をすべきなのか迷うことがなくなりました」と。

改革を進めた結果として、離職率の低下や残業時間の削減だけでなく、一度卒業した社員が戻ってきました。

小林 「うちは一度辞めた社員でも、本人と会社の双方が希望すれば戻れるんですね。実際に戻ってくる社員は増えています。最近だと 2人の社員が『ほかの会社に行ってみたけど、もう一度ブロードリーフで働きたい』と戻ってきました」

小林が入社した当初は、職場環境や業務が混沌としていた開発本部。しかし、人の動きも仕事の流れも非常に円滑になりました。今では、開発メンバーの誰もが変化を受け入れ、自律的に組織を活性化させています。

お互いをリスペクトし、フラットに意見を言い合う会社に

開発本部に変化をもたらした小林。次に見据えるのは会社の未来です。

小林 「ひと言で言うと、もっとフラットにしたい。会社は安定しているけど、将来のためにイノベーションを生み出しつづけられる組織にしたい。だから、役職に関係なく、正しいことを言う人が正しいと認められ、チャレンジできる企業文化にしたいんです。開発本部は徐々にそういう雰囲気になってきたけれど、もっとフラットにしていきたいなと感じます」

会社全体で新しいことに挑戦したり、イノベーションを起こしたりするためには、ボトムアップでさまざまなアイディアが出てくるような、フェアでフラットな組織になる必要があると小林は言います。

肩書きではなく、お互いの能力や成果をリスペクトする組織風土が理想です。そうして全員がお互いの意見を臆せず言えるようになれば、新しいサービスや企画がどんどん生まれ、顧客への付加価値が向上するでしょう。

そんな未来のために、小林には取り組みたいことがあります。

小林 「組織の階層を減らしたいです。今は本部長、グループ長、部長、課長という形になっていますが、本部長の下は課長がずらっと並んでいるくらいでいいんじゃないかなと思います。また、採用を通じて若い人をどんどん採用して少しずつ上下関係を薄めたいですね。
その結果として、階層が本当に必要かそうでないかという “本質的な価値 ”にみんなの目が向くようになったら最高です」

その第一歩として、2019年4月からは、若い課長を増やしました。経験の浅い課長向けに管理職の業務内容をまとめた資料をつくって上司や部下全員で共有しているため、上司が管理職の業務を怠っていたら、部下が指摘できる仕組みを構築しています。

こうして階層を最適化し、開発本部全体でのコミュニケーションを増やしていくことが、フラットな会社につながると小林は信じているのです。

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