成長するチャンスを促し、いざという時に責任をとるのがマネジメント

▲部品流通課課長の甲田 裕亮

部品流通課は、自動車のリサイクル部品の流通ネットワークである「パーツステーション」の意思決定を迅速に行う目的で営業本部直下におかれました。メンバーは課長の甲田を含めた精鋭5名。営業だけでなく、サービス企画なども行います。

甲田は2005年にブロードリーフへ入社し、さいたま営業所に配属された後、2009年には所長代理を務めました。当時マネジメントの対象は組織全体が中心。本格的に、部下一人ひとりの成長や業務をマネジメントするようになったのは、部品流通課を任されてからです。

課の発足後、初めての1on1面談では何を聞いたら良いかもわからなかったという甲田。関連書籍を読み漁り、人事の主催する研修にも積極的に参加するなどして、自身のマネジメントスタイルを確立してきました。そのころから甲田が欠かさず心がけているのは、朝の挨拶です。

甲田 「朝は必ず一人ひとりに一声かけます。そのときの反応や表情、声のトーンなどである程度のメンタルの状態が把握できます。落ち込んでないか、悩んでいないかなども、そのときに見ています。その上で各自が能力を発揮できるように、私の対応も変えていきます」

人材育成の上で重視しているのは「自発的な行動ができること」。自発的に行動する能力を向上させるには「巻き込む力が重要」だと甲田は考えています。メンバーには極力、自分を頼らず関連部署など関係者と相談することを推奨しています。

これまでリサイクル事業の営業畑でキャリアを積んできた甲田は、営業手腕も人脈においても実績があります。自分が出過ぎて成長のチャンスを奪わないことを心がけているのです。

甲田 「外から見るとかなり放任だと思えるかもしれませんが、私はできる限り本人に任せています。私は絶対、答えを言いません。成長するには失敗してでも自力でやり遂げるプロセスが必要だと思うからです。

最近では随分浸透しており、もう私がいなくてもいいくらいに成長しています。そこは間違いないですね。もちろん失敗しても私が必ず全責任を追うスタンスですから、安心して取り組んでほしいと思っています」

産休が明けても、またこのチームに戻りたいと思った

▲部品流通課の稲垣(写真左)

甲田がマネジメントしているチームに所属する唯一の女性メンバーで運用を担当している稲垣。部品流通課に配属後、結婚、出産、産休を経て、2019年春に同課に復職しました。現在は子育てと仕事の両立に奮闘しています。

2009年に入社後、営業部門のサポートからスタートし、スタッフ職、商材や展示会の企画などマーケティング、販促、さらには新規事業開発課でECサイトの構築などバラエティに富んだキャリアを積んできました。部品流通課には2017年の発足時に配属になりました。

妊娠がわかったのは、配属から1年近くが経ったころ。まだ安定期には入っていませんでしたが、期変わりで人員構成の検討時期だと察した稲垣は、甲田に早めに報告することを決意します。

稲垣 「ちょうど来期の目標設定面談があったのです。産休を取得するのは、まだ半年以上先でしたが、そこで妊娠を報告しました。その面接で、甲田さんに来期のミッションはと問われたのですが、やはり現実的に考えて産休前の半年で大仰な目標は難しいと思い、自分の業務を他メンバーが容易に回せるように引継ぎ業務を行うというようなことを話したのです」

するとそれを聞いた甲田は、思いも寄らない言葉を返しました。

甲田 「それは違う。今やるべきことは元気な子どもを産んで、その子に誇れるような母親になることだよ」

その言葉に稲垣は「正直、拍子抜けした」と言います。「でも、とても嬉しかったし、ありがたいことだなと思いました」と。

稲垣は、これまで全く異なるさまざまな業務に携わってきました。新たな業務に対しての柔軟性も自分の強みだと感じています。なので産休明けにどの部署に配属になるか、同じ業務を続けられるか、という点ではとくに不安はありませんでした。逆に言えば、執着心もあまりなかったかもしれません。でも……。

稲垣 「産休が明けたときに同じチームに戻りたい。このチームで仕事がしたいと、そのとき、強く思いました」

「家族最優先」をキーワードにフォローしあうチーム体制

▲チームの中で唯一の女性である稲垣は、メンバーを支える重要な存在

もともとブロードリーフの社内には育休・産休から復職している女性が多く活躍しています。稲垣にとっても、働き方のお手本になるような女性の先輩は多く、子育てと仕事の両立については大きな不安はありませんでした。そうした社内環境の中でも、部品流通課はいっそう働きやすい環境だと言います。

小さい子どもがいる家庭では、子どもが熱を出すなど急病でどうしても早退し、突然、休暇をとる必要に迫られることはよくあります。稲垣も同様です。

稲垣 「今の業務に関していうと、非常に柔軟に調整しやすいです。他のメンバーでも対応できるような業務フローになっていることもあります。それに急な早退で対応をお願いしても、課のメンバーから嫌な顔をされたこともないし、むしろ『早く帰った方がいいよ』と心配してくれます」

部品流通課には「家族最優先」というキーワードがあります。実は、稲垣の産休のタイミングで3人の子どもを持つ“イクメン”が課に加わりました。甲田自身も子どもを持つ父親です。

甲田 「家族最優先をあえて言葉にして課のメンバーに言うようになったのは、稲垣が復帰したころからかもしれません。これは課の重要なキーワードです。なぜなら家族がなんらかの事情で自分が駆けつけなくてはいけない状況は、私もそうですが誰にでも起こりえます。別に稲垣だけではありません。

なのでみんなに家族を最優先するよう徹底しているのです。誰かが早退したとしても『周りがカバーすれば問題ない』という雰囲気には自然となっていますね」

甲田が家族最優先を重視する理由はほかにもあります。それは、いかに仕事で能力を発揮するのか、そこに家族が深く関わっていると考えるからです。

甲田 「家族との生活が充実しているからこそ精神的にも安定し、仕事においても自分の力を最大限に発揮できると思うのです。私が朝、メンバーが元気かどうか、心配事はないだろうかと常に気にかけているのも、まずは心の健康が大事だからと思うからです」

強い信念や想いがあれば、経営陣は耳を傾けてくれる

▲お互いの信頼関係があるからこそ、仕事以外のことも相談できるチーム環境

誇れる母親になれ──。稲垣にそう言った甲田自身の目標は「子どもに誇れる父親になること」です。なので稲垣がこの言葉を後々まで“嬉しかった体験”として覚えていてくれたこと自体が「驚きでもあるし、すごく嬉しかった」と甲田は言います。

甲田「私は社内のメンバーでもお客様でも誰に聞かれても、自分の最終目標は“誇れる父親になること”と断言しています。冗談だと思われることもあります(笑)。でも本心です。ここには、いろいろな意味があるのです。

たとえば、仕事をしているときに『どこかで子どもが見ている』と思うと変なことはできません。誇らしい父親であろうとすれば、仕事においてのひとつひとつの言動や意思決定が影響されます。すべての仕事の目標がプロセスや糧に変わるのです。

誇れる父親であることに基準をおいて努力することが、結果的に自分の成長や会社の利益の達成につながります」

稲垣が復帰後、嬉しく感じるのは、以前よりいろんな人に話しかけられるようになったこと。単純に「おめでとう」と言われたり「何歳になるの?」と声をかけてくれたり。甲田は母として復帰した稲垣についてこう言います。

甲田 「最初の1on1 面談で難しかったメンバーのひとりが稲垣です(笑)。でも復帰してからは笑顔が増えたように思います。母親になって自信がついて、いろんなことに関与できる余裕が生まれたのかもしれないですね」

2017年の発足から約3年が経過。課のマネジメントにも余裕が出てきた甲田。さらに幅広く、社内の若手が活躍できるような環境づくりも視野に入れています。

甲田 「当社の幹部陣は、“こうしたい”という強い想いや信念を持っていれば、キャリアの浅い若手社員でも必ず耳を傾けてくれます。そして、その想いを無下にせず適切なアドバイスや、最終的にいろんな課題がクリアされれば承認もしてくれます。そのスタイルが私はすごく好きです。

今の若手はそれを知らない社員も多いので、ぜひ伝えていきたいですし、若手がそんなチャレンジができるステージを確立していきたいなと思っています」

男女を問わず、子どもを得て家族が増えた社員も、まだまだキャリアの浅い若い社員も、もちろんベテラン社員も、誰もが自分らしくのびのびと力を発揮できる環境──。それがあってこそ会社は成長する。それがブロードリーフのありたい姿です。