後世に残るもの。その開発に携わりたい

小森が薬学部を目指すようになったのは、大手化学メーカーで開発職をしている父親の存在が大きく影響しているといいます。

小森 「物心ついた頃から当たり前のように生活のなかにあった商品の開発に、父親が携わっていると聞いて育ってきて、開発の仕事に憧れをもっていました」

“何かを生み出すこと”。漠然とした憧れは持っていたものの、高校までは部活中心の生活だった小森。薬学部を目指すようになったきっかけも高校2年生のとき、当時は「受験科目が少なかったから」という理由でした。

小森 「とにかく自分の興味はクリエイティブなところにあるんです。一流の作品や製品には “作者の息吹 ”があると自分は感じていて、そういった一流を生み出したいんです。
ただ、すべてを自分でつくりたいっていうことではないんです。そこに自分のアイデアが少しでも入っていればよくて。その商品が多くの人の生活のなかに行き届いていることの方が重要ですね。それが後世に残るようなものになったらいいなと思っています」

薬学の奥深さに夢中になる

▲薬剤師という仕事を“おもしろい”と感じるのも大学で薬学を学んでからだった

専門の領域ごとに、より深い知識が求められる医師に対して、薬剤師は広い領域の知識が必要になります。また、個々の患者に合わせた薬の飲み合わせや、体質による処方の判断をおこないます。

小森 「薬学は、一番身近な未知を解明してくれる学問だと思います。自分の身体のことって自分にとって一番身近な未知だと思うんです。それでいて、すべて解明されてない神秘性をもっている。たとえば、人類は遺伝子をすべて解析できているのに、いまだに病気を完全に克服できていないんです。
深く掘るというより横に広げていく必要がある学問。また、机上の空論ではなく実臨床に応用されている学問。さまざまな観点を必要とし、全体像をつかむ必要がある学問だったことが、夢中になった理由です」

薬剤師という仕事の魅力を感じながらも、大学2年生の頃から徐々に就職を意識しはじめた小森。開発をしたいという想いは強く、この頃から就職先として食品メーカーを視野に入れるようになります。

小森 「食べものが好きで。食べログは有料会員です(笑)。
それと、食品メーカーに就職をした大学の先輩から、その業務内容を聞いた影響もありました。そこから食品業界に決めて、関係する勉強もはじめていたのですが、今思えば進路を一点に決めすぎていて考えが煮詰まっていましたね」

ビジネスの世界も全体像をつかみたい

▲内定者同士の自主的な研修の企画をするなど、関東の内定者をリードする存在となっている小森

食品メーカーの開発職を軸にはじめた就職活動。しかし、その軸に“矛盾”を感じていたと小森は振り返ります。

小森 「結局、自分が本質的にやりたいと思っている『開発』が広義すぎました。薬学という専門分野を 6年間勉強しても、やりたいことの本質は、何かを生み出すこと。その “何か ”にこだわりはなかったんですよね。
対して、 “働き方 ”から考えれば、若いうちから裁量が多くて、様々なアイデアが求められるベンチャー企業の方が向いていると思っていましたし、すごく安直な発想ですけど一番自由にやりたいことができるのは起業かなと。
そこまで考えたのですが、一度決めた食品メーカーに、自分は行くんだろうなって思っていたんですよね」

そんな小森がベンチャー企業を目指す“きっかけ”となったのは当社取締役、白石 怜也との出会いでした。

小森 「僕は、開発をするにしても、マーケティングを意識しなければ売れるものも売れないと思っていたので、マーケティングや開発などについて書かれている本は読んできました。あくまで間接的学習のため、著者との距離感を感じてしまい、自分の進路選択に影響を与えるほどではなかったのかなと思います。
インターンシップ内での課題に対して、自分たちの考えをまとめて発表をしました。その内容に白石さんがフィードバックをしてくれるのですが、もっている知識だけではなく、経験談や感覚からのアドバイスがきたんです。そのすべてが自分にとって腑に落ちていきました。
その白石さんの姿をみて、自分も “全体像 ”をつかむまでビジネスの世界を経験したいと思いました。白石さんに手が届くとはまだまだ思えませんが、そういった経験や感覚を若いうちから得ていきたいと思いました。そこが、自分のなかの “変なプライド ”が無くなったきっかけでしたね」

小森は、6年間学んだ“薬学”という知識をこのタイミングで生かすよりも、本質的にやりたいことのために“経験を広げる”という選択をしました。

一般論は必ずしも善でなく、自分が善と思うから善になる

▲「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく「二兎を追う者だけが二兎を得る」という言葉が最近のブーム

経済哲学者のマイケル・サンデル氏の“正義”について考える、ハーバード大学の授業が世界的に有名になりました。書籍も発売され、多くの人が影響を受けましたが、小森もそのひとりです。

小森 「トロッコ問題からサンデル氏は『社会通念や周囲が唱える善は、善ではなく、自分がそう思ったことが善だ』と言いました。それを聞いて腑に落ちました。直感に素直になって、自分がいまやりたいことを “善 ”だと解釈して決断することができています。
これから、自分が主導で何かを生み出すとなったときも、 “自由な選択 ”をより多くの人ができるようになる何かだったらいいなと、漠然とですが思っています」

最先端の情報を学んでいきたいという小森は、システムエンジニアとしての道を希望してプログラミングの勉強もはじめている。

小森 「僕は、生きるために働くのではなく、楽しむために働きたいんです。仕事をする 1日 8時間の時間、苦労もあると思いますが、それらを楽しみたいんです。
それから、自分という存在も未知が多いですよね。業務の向き不向きも、組織で求められる能力も僕にはまだわからないんです。だから、何でも経験しないといけないかなって思っています。まずは好き嫌いせず、決めすぎずにさまざまなことに挑戦していこうと思います」

自分の好奇心や直感を信じて、これまでにない新しいものを生み出すという目的に向かって、小森は挑戦していきます。