熊本地震で被災した青年が、震災から1週間後にCAMPFIREに参加した理由

日本最大級のクラウドファンディング「CAMPFIRE」。2016年4月の熊本地震の際には、他社よりいち早く緊急支援募金を開始し、継続的な震災復興支援を行ってきました。今回は、自身も被災しながら、熊本からCAMPFIREに参加している椿原真が、その経緯や裏話をお話しします。
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震災復興のため、インターネットで何ができるか?

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はじめまして、株式会社CAMPFIRE 九州オフィス(所在地:熊本県熊本市)の椿原と申します。ほとんどの方から、「ばっきー」と呼んでいただいています。

2016年4月14日に発生した熊本地震。私は震災前から現在も熊本在住で、被災者のひとりです。そして、震災から1週間後にCAMPFIREに参加し、熊本で震災復興支援や九州オフィスの立上げ、「CAMPFIRE×LOCAL」の九州エリアでの展開を担当しています。

CAMPFIREでは、熊本地震発生翌日に他社よりいち早く「【熊本地震】緊急支援募金」のプロジェクトを公開。約2週間で1,000万円以上の募金を集め、熊本市内にある復興ボランティアの方々が拠点とするテント村内に九州オフィスを設置するなど、独自の震災復興支援を行ってきました。

この件に関してCAMPFIREの代表である家入一真のコメントは複数のメディアに掲載していただきました。ですが今回は、熊本からCAMPFIREに関わっている私の視点から、緊急支援募金や九州オフィス立上げの経緯、私がCAMPFIREに参加することになった理由などをお話させていただきます。

いつの間にか公開されていた「【熊本地震】緊急支援募金」

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「【熊本地震】緊急支援募金」のプロジェクトページ
2016年4月14日(木)21時半頃。

あのとき私は、妻と息子(当時生後3ヶ月)と自宅のマンションにいて、夕食中でした。突然部屋全体が揺れ始め、その揺れがどんどん大きくなっていき、部屋中の家具が飛び跳ね、食器が割れるという状況で、私は妻に声をかけ、息子を抱きしめ守るのに必死でした。これが、熊本地震の「前震」と言われているものです。

揺れがおさまると、すぐに最低限の荷物をまとめて安全な場所に避難。このとき地震発生から約10分後だったのですが、Facebookを開くとタイムラインはパニック状態で、メッセージに友人知人からのメッセージと一緒に、家入からも心配のメッセージが入っていました。

家入とは、3年程前、私が主催したトークイベントにゲストとして呼んだことをキッカケに知り合い、プロジェクト単位で一緒に活動していたこともありました。それから、1年以上連絡をとっていなかったのですが、2016年2月に家入がCAMPFIREに復帰したことや地域に特化した取組みである「CAMPFIRE×LOCAL」をはじめるということで再び連絡を取り合っていたんです。

わかる範囲で熊本の状況を伝えていると、家入から「なにかできることないかな?」と提案をもらいました。しかし、私は落ち着いて判断できる状況でなかったので、すでに復興支援のために動き始めていた熊本の地域活性や社会活動などで活躍している方々とのグループチャットに家入を招待し、そこで話し合いをはじめることに。

熊本のメンバーから出た意見は「数日後に雨の予報が出ているから、ブルーシートを準備して被害を受けた家屋に被せないといけない。そのブルーシートの購入資金をクラウドファンディングで集めれないか?」というものでした。

しかし、課題となる意見がいくつかでました。

「クラウドファンディングやっても入金されるのって募集期間が終了して最短16日だし、そんな後から入金されても遅いでしょ」
「みんな余裕ないのに、誰が責任者になってクラウドファンディングやるの?」
「募金を集めるのに手数料(5%)がかかるって、批判されないかな?」
「そもそも、募金に乗じた詐欺とかもある中で、クラウドファンディングで募金してホントに集まるの?その労力無駄にならない?」

熊本側もこの議論だけに付きっきりになるわけにもいかず、その晩はなにも答えが出ずに話し合いが終わりました。

そして翌日の正午過ぎ、いつの間にか「【熊本地震】緊急支援募金」というプロジェクトがCAMPFIREで公開され、SNSで拡散されていました。

前日の夜にでていた課題については、CAMPFIREがプロジェクトオーナーとなり決済手数料を負担し、入金は募集期間の途中であっても現地で活動する団体に渡していく……という特例づくしの対応で公開されていました。

これは後から知った話なのですが、CAMPFIREは、2011年の東日本大震災の直後にリリースされたもの。当時、初動で震災復興に関するプロジェクトができなかった反省が家入の中に残っていたそうで、今回の熊本地震ではどこよりも早く急ピッチで対応したとのことでした。

プロジェクトページを見ると、すでに募金が集まりはじめていて、同時に応援コメントも増えていました。その状況がWeb上でリアルタイムで可視化されているというのは、見ていてとても勇気づけられましたし、たくさんの支援や声を集め増幅させるインターネットやクラウドファンディングの力に、純粋に感動したのを覚えています。

熊本のため、日本のため、CAMPFIREに感じた可能性

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自宅に一時帰宅したら届いていたCAMPFIREの名刺
そして、緊急支援募金のプロジェクトが公開された日の夜、25時半頃。

私たち家族は妻の実家に避難していて、私は妻と息子が寝ている布団の横で「震災復興に向けて自分たちはなにが出来るか?」と友人たちとチャット会議をしていました。

そんなとき、熊本地震の「本震」がきました。

地鳴りのような音がした次の瞬間、明らかに前震とも違う規模感の揺れ……。バキバキ、メキメキと、建物自体の何かが割れたり壊れたりしているような音がして、私は咄嗟に「ヤバい!」と思い、妻と息子に覆いかぶさりました。

揺れがおさまるまで耐えると、今度は家にいた全員のスマホから津波警報、町内放送でも高台の方に避難するようにというアナウンスが。東日本大震災の津波の映像がフラッシュバックし、いろいろな覚悟をしながら、枕元においていた荷物を持って、車で高台へ避難しました。

結局、津波被害はなかったのですが、地域によってはかなり大きな被害が出てるという情報も入り、避難生活がしばらく続くことも予測できる。まわりの友人達が既に震災復興のために動き出している中で、自分は震災復興にどう関わるか?ということを車の中で一晩考えました。

大きな余震も続いてる中、妻と息子の側から離れることはしたくありませんでした。ですが、私はこれまでインターネットやクリエイティブに関わる仕事をしてきて、手元にあるMacBookとスマホのテザリングは使えます。

「インターネットを通してできる出来ることをやろう」と決め、早速動きはじめました。

まずは「熊本地震情報掲示板」というWebサイトを、東京にいる友人達と一緒に運営。サイトの内容は、避難所・炊き出し・給水などの情報でフォームで集めてスプレッドシートで表示し、SOSなどに関しては連携したボランティア団体に情報渡して対応を依頼するというものです。

このサイトは、1週間で約50万PV/約37万UUの閲覧があり沢山の方に利用していただきました。ですが、運営を開始して3〜4日目の時点でライフラインや物流が復活しはじめます。そこで、このサイトとしての役目が終わった後、「次は何をするか?」ということを並行して考えていました。

結論としては、CAMPFIREに入ることを自分の中で決めるのですが、その理由はいくつかあります。

まず、最初の理由は、Facebookの投稿で銀行口座の情報を公開し資金を集めようとしている方が本当に沢山いたこと。

資金を集める理由は、炊き出しや避難所の運営のため、神社や仏閣などが壊れたため、自社の事業を立て直すためなど本当にさまざま。ですが、Facebookの投稿だとタイムラインで流れていってしまいますし、信用度も上げづらいように見えます。また、決済方法も銀行口座のみというのは支援する側も手間がかかり資金も集めづらいのではないかと感じました。これはCAMPFIREを使ってもらえたら、手数料が5%で決済方法も複数選べますし、CAMPFIREから与信を与えることもできます。

次の理由は、CAMPFIREと各地の企業や団体が提携することで、地域のクラウドファンディングを盛り上げていくという取り組み「CAMPFIRE×LOCAL」に可能性を感じたことです。

緊急支援募金では、たまたま家入と連絡を取り合っていた私がいたことで、現地の状況などを伝え連携することもできました。しかし、他の企業の方からも自社のWebサービスを通して支援をさせてほしいと連絡をいただいたのですが、そちらとは震災後から話をはじめてもスピード感が間に合わずうまく連携することができませんでした。今後、別の地方で震災などが起こったとき、その地域にCAMPFIRE×LOCALのエリアパートナーがいれば、現地の状況をすぐに把握し、スピード感をもって、本当に求められている対応をとれる体制づくりもしておけるのではないかと考えました。

そして最後の理由は、震災後に人命を守るためのフェーズの後には、かならず経済を復興させるフェーズがくるということです。

そのとき事業者の方達は資金が必要となりますし、県内での消費活動も低下することが予測される中で県外に販路を求める事業者さんも出てきます。それはインターネットの出番ですし、クラウドファンディングの需要が必ず出てくるはず。

これらのことから、CAMPFIREの成長は熊本の復興のためにも、日本の未来のためにも必要だと思い、家入に連絡。私の思いをメッセージにまとめ送ったところ、すぐに承諾してもらうことができ、その日からCAMPFIREに参加することになりました。

被災地にも、小さな声も拾い上げられる場所を

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間借りさせていただいた、テント村内のコンテナオフィス
CAMPFIREに参加してからは、CAMPFIRE×LOCALの運営チームに入り、九州でクラウドファンディングに挑戦される方や提携している企業のサポート業務を担当。そして、それに並行して、勝手に企画書書いて数日おきに提案していました。

ですが、家入から「確認しなくていいよ、ばっきーがやりたいことどんどんやって!やばそうだったら止めるから!」と言われたので、まずは熊本市内に九州オフィスを立ち上げることに。

これは、私が仕事をする場所が必要だったというわけではありません。認知度もまだまだ低くハードルが高いと思われているクラウドファンディングに対して「担当者が近くにいるなら」ということで少しでも気軽に相談をしてもらえる状況を作れたらという思いではじめたことです。

場所は、地元のボランティア団体が熊本市内に活動拠点となるテント村を作り、その敷地内にコンテナオフィスを作るということで、そこを間借りさせていただきました。ちなみに、家入に情報共有したのは「九州オフィスを立ち上げたいです!」と勝手に場所を決め、プレスリリースの下書きまで終えたタイミングでした。

実際、この九州オフィス立上げをきっかけに、熊本県内の方からクラウドファンディングの相談を多数いただくことができました。そして最近では、クラウドファンディングだけでなく企画づくりの段階からご一緒させていただく機会も増えています。また、その他にも、被災した熊本のために「自社サービスを通して支援をしたい!」というスタートアップの方から改めて連絡もいただき、共同でセミナーやイベントの開催もしています。

CAMPFIREは手数料が国内最安の5%で、最短で即日公開、募集期間終了から入金までも最短16日ということもあり、利用される方のアイディア次第で様々な見せ方や使い方が出来るクラウドファンディングです。そして、それに加えて地域、ファッション、ソーシャルグッドなど特定の分野に特化したクラウドファンディングサービスも展開しています。

私の担当は、地域に特化したCAMPFIRE×LOCALの九州エリアですが、地域に寄り添って小さな声を拾い上げるためのサービスであれば、東京ではなく地方にいる私だからこそできることがあると思います。これは、ファッションやソーシャルグッドなど、ジャンルに特化したクラウドファンディングに関しても同様です。いづれは、地方から各サービスに横断的に関われたら……。クラウドファンディング・プラットフォームに地方から何ができるか……そんなことを、これからも模索していきます。

また私のように、震災で自らも被災しながら、「クラウドファンディングを使った被災地支援」に関わる経験をした人は少ないと思います。ですので、この経験は今後またどこかで震災が起こったときのために、CAMPFIREを活かした体制をつくれたらとも個人的に考えています。

最後になりましたが、緊急支援募金をはじめとする、熊本地震の震災復興に関するプロジェクトを支援・拡散していただいた皆さん、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

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