目指すは“21世紀の松下村塾”。クルイトグループの想う人、教育、そして未来

株式会社クルイトの代表取締役CEO・大濵裕貴は、学生時代から中国やカンボジアの地で自ら事業の立ち上げを経験してきました。貧困や地域格差などの現状に直面し、教育という切り口から社会問題の解決を目指そうと決意。多様な“人”を育てることで、多様な社会課題の解決へ──クルイトの紡ぐ教育の可能性に迫ります。

山口県から東京、中国、カンボジアへ。自ら成長の道を拓いてきた

▲カンボジアで事業を展開していた頃の大濵

あらゆる経営者は、自分の企業の事業活動や経営状態、そして従業員の雇用などに全責任を負っています。

しかし時々、思いがけず、誰かの人生を左右してしまうこともあるようです。

大濵 「僕にとっては、それが高校の同級生のお父さんでした。僕は山口県出身なんですが、その方は県内で飲食店などの FC経営を広く展開されていたんです。『山口県の若者にも、東京に引けをとらない食の体験をさせたい』『雇用を生み出し、地域を活性化したい』とビジョンを語る姿が本当にかっこよかった」

いつか自分も、熱い想いや、自らの信じるビジョンを語れる経営者になりたい──。

この出会いこそ、大濵が起業を志す原体験になりました。東京の大学に進学した大濵は、より実践的にビジネスを学ぼうと他大学の起業サークルに参加。企業でのインターンも経験します。

大濵 「学びが多く実りある経験でしたが、『これがやりたかったんだっけ?』と感じたんです。僕の夢は、ビジョンを熱く語れる経営者じゃなかったか、と。起業や経営には、ビジョンとビジネス能力が不可欠です。でも、当時の私にはビジョンを描くほどの人生経験がなかった。だからまずは、ビジネス能力の方を身に付けるべきだと考えたんです」

思い立ったら即行動。大濵はビジネスに欠かせない0(ゼロ)から1(イチ)を生む力を鍛えるべく、知人の海外事業立ち上げにジョイン。すぐに大学を休学し、中国へ渡りました。

大濵 「現地の日本人向けクリニック事業の立ち上げから運営まで、まさしく自分の欲していた能力を培えました。今度は、自分でゼロから始めよう──そんな想いを抱き、カンボジアへ移りました」

アンコールワットを訪れる日本人観光客向けの事業を、仲間とともに始めた大濵。しかし、法令や気候の壁に直面し、窮地に立たされます。赤字続きの日々、共同創業者の帰国……それでも大濵はあきらめませんでした。自らを奮い立たせて巻き返しの施策を展開し、事業を軌道に乗せるまでやりきったのです。

また、このカンボジアの地で、大濵は起業家としての志を立てる経験をしました。

大濵 「辺境地で目にした貧困、そして教育格差。『生まれた土地で人生が決まってしまうんだ』という気付きは、あまりにもショッキングでした。十分な教育を受けられなければ、職業を選ぶことすらできない。知識としてこうした社会問題を認識してはいたものの、それが初めて切実な問題として焦点を結んだんです」

それは、ビジネス能力を身に付けることに注力してきた大濵が、人生を懸けて臨むべきテーマとして“社会問題の解決”を認識した瞬間でした。

模索していたビジョンを携えて、大濵は日本へ帰国。

そして、教育事業を立ち上げることにしたのです。

イトグチ創業から激動の日々。自分と真摯に向き合い、導いた答え

▲日本に帰国し、株式会社イトグチを創業。またしても壁にぶつかることになる。

帰国した大濵は、知人から「千葉県で運営している学習塾の閉鎖を検討している」と聞かされます。

大濵 「だったら買います、と。親戚に頼み込んでお金を借り、2013年 2月に株式会社イトグチとして経営を始めました。集客と認知向上のために思いっきり広告費を投じたものの、最初はまたしても赤字の連続。生徒が集まりだすまでの数カ月間は本当に大変でした」

地道な活動を続けて見事に黒字化したものの、もっとも大切にすべきビジョンを見つめるまなざしが、だんだんとくもっていってしまったのです。

10代の終わりに中国へ渡り、カンボジアと日本で起業し、事業運営に奔走する日々。休むことなく走り続けてきた疲労が一気に噴き出し、大濵は心身のバランスを崩してしまいました。

俺、なんのためにこんなにがんばっているんだっけ──?

一度立ち止まり、大濵は自らの胸に問いかけます。

大濵 「『世の中を変えるようなビジネスを展開する経営者になりたい』という想いが、自分のスタートラインでした。そしてカンボジアで『社会問題を解決したい』というひとつの答えを得た」

社会課題は、価値観や社会情勢によって多様化していくものです。たとえばLGBTや発達障害への理解、5080問題などは、近年になって顕在化してきた新しい社会問題と言えます。

まだ答えが見えていない部分も多いからこそ、多様な価値観や考え方でもって解決策を生み出していかねばなりません。

大濵 「自分ひとりが関われる領域や成果には限界がある。あらゆる課題を解決する原動力となるのは、ほかならぬ“人”だ。だから、教育に関わるビジネスを通して、多様な社会課題を解決できる多様な“人”を送り出していきたいんだ──。ひとつずつ整理し、自らのビジョンを見つめ直しました」

そして、大濵の胸に深く刻まれていたカンボジアでの経験が、進むべき道を照らし出す光となりました。

大濵 「たしかに、カンボジアでは貧困や教育格差が社会全体の課題でした。でも、インターネット環境はきちんと整備されていたんです。それって、すごい可能性が秘められていると思いませんか?スマホさえあれば、ITを駆使してどこにいても誰にでも、いろいろな教育を届けられるんですから」

教育におけるITの可能性。大濵の目には、IT×教育の先に広がる多彩な可能性がはっきりと見えました。そして、そのビジョンを具現化するために、大濵は株式会社Cluexを創業したのです。

リアルとITの事業特性を使い分け、多様性の実現と教育格差の解消を

▲ビジョンを見つめ直した大濵は、ITの力を活用した株式会社Cluexを立ち上げた

イトグチでは、高校生向けのキャリア教育事業や、勉強にゲームのエッセンスを取り入れて学習方法を身に付けていく「キミノスクール」など、学校教育とは一線を画する新しい学びを提供しています。

一方、「ままのて」をはじめとする情報サイトを運営し、地域や周囲の環境に左右されることなく教育関連の情報をユーザーに届けているのがCluexです。

これら2社を展開することでシナジーを生み、新しい教育の提唱からビジョンの実現を目指していこうと大濵は考えました。

大濵 「僕の目指す教育は、子どもたちが自ら興味や素質を伸ばし、自分の進む道の選択肢を広げていける力を養えることです。人生って、答えが見えない中でも自分で考えて、決めて、進んでいくしかないもの。そのために必要な能力も、人によって違うはずなんです」

イトグチとCluexをそれぞれのやり方で、日本に、世界に、届けていこう。とはいえCluexも、最初から順風満帆だったわけではありません。

大濵 「当初は知育アプリの開発から事業を始めたのですが、全然うまくいきませんでした。そもそもまったく未経験の IT分野で、エンジニアをうまくディレクションをするのが難しかった。それに、知育アプリは無料提供が主流で、収益性を確立するのは厳しいと判断したんです」

そこで、大濵は事業のピボットを決意。ターゲットを“ママ”に転換して「ままのて」をつくります。

大濵 「イトグチで大勢の生徒や保護者と接した経験から、子どもの教育にとって家庭がいかに大切な場であるかを痛感していました。そして、母親の存在の大きさも。だったら、ITを使ってママに対して育児や教育に関する情報を届けよう、と。それこそ、東京にいても山口県にいても、情報格差がないように」

「ままのて」は、妊活・妊娠・子育てに役立つ情報メディアというスタイルを確立。業界最大級のママメディアに成長していきました。ユーザーに価値ある情報を届けることで支持を伸ばし、今後は本丸である教育系コンテンツの拡充も推進する予定です。

大濵 「『ままのて』によって、ママの悩みを解消し、子育てを楽しめるようになる。ゆとりと自信を持って子どもと向き合えるようになれば、教育にも良い影響を与える好循環が生まれるはずだと考えています」

教育とITの掛け合わせから、社会を変えていこう。揺らぐことのない大濵の信念は、事業の根底に流れ、息づいているのです。

レガシーな教育業界に変革を。クルイトは“21世紀の松下村塾”へ

▲21世紀の松下村塾をつくるため、大濵はクルイトを誕生させた

2018年11月に大濵は、イトグチとCluexのグループとしての結束力を高めるために、株式会社クルイトを立ち上げました。より良い事業展開のために、ホールディングス化を行ったのです。

大濵 「 Cluexは ITの力を使い、500万人を超えるユーザーとの結びつきを育んでいます。一方、イトグチに通う生徒さんは 1,000人足らず。数値の差は歴然ですが、リアルだからこその深いつながりも確実に存在します。ITとリアルの掛け合わせこそ、教育をより良くする最短ルート。それに、直接的な教育事業だけがクルイトの領域ではありません。社会問題の数だけ、解決する人や手立てを送り出す企業群にしていきたい」

言うなれば“21世紀の松下村塾”を目指したいのだ、と大濵は語ります。

大濵 「多彩な偉人を世に送り出した松下村塾のように、クルイトはビジネスの力で社会問題を解決する人材をどんどん輩出していきたいです。もともと僕は、吉田松陰がすごく好きで。彼は『諸君、狂いたまえ』という格言を残しました。狂人こそが世の中を変えていくのだ、と。彼の言う狂人とは、自らのビジョンを掲げ、実現まで一心不乱に突き進める人なんですよね」

クルイトという社名には、Cluexとイトグチ、そして“狂い人(くるいと)”も包含しているのです。

一方で、教育業界がレガシーな世界であるのもまた事実。理想やビジョンの実現には、突き破るべき壁や慣習が多数あります。

大濵 「教育を取り巻く環境は、学校・民間・家庭の 3つ。今後は学校の領域にも進出していきます。5教科だけではない、子供たちの可能性を広げるような、多様な教育を届ける学校づくりも行っていきます。
ほかにも、教育従事者向けの業務効率化 ITシステムの開発も計画中。先生方にもっと子どもたちと向き合う時間やゆとりが生まれれば、教育をより良くするための価値ある提案ができるようになるでしょう。進出すべきフィールド、解決すべき課題が多いほど、クルイトの成長可能性も広がります」

10代から起業家を志し、その足で走り続けてきた大濵。これほどまでに没頭できるものに出会えたこと自体が、彼を前進させてきた推進力に違いありません。

大濵 「人にとって一番幸せなのは、人生を懸けて没頭できるほど好きなものに出会い、自分でそれを選び取って生きていくことじゃないでしょうか。クルイトの教育を通して、多くの子どもたちに多彩な選択肢や可能性と出会ってほしい。彼らの未来が、そして教育の未来がより良いものになるように」

多様な“人”を育て、多様化する社会問題を解決していく。大濵は“世の中を変えるビジネスを展開する経営者”として、そしてクルイトは教育の新たな可能性を描き続ける先駆者として、信じる道を進み続けていきます。

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