お客様と、その先へ向き合いたい――ウェブ解析から生み出す究極のイノベーション

ウェブ解析を通じて、価値の高い仕組みと体験を提供するアイデアカンパニー・クリエイターズネクスト。「20代社長がけん引する成長企業100社」に選出されたこともあります。代表の窪田望が「僕にとって第2創業」と明かす同社の船出。そこには、窪田自身の過去の体験から得た気づきがありました。

誰かのせいにしたかった。“悪者さがし”で終わってしまわないように

▲クリエイターズネクストの提供するKOBITは、日本最大級のピッチイベント「未来2018」にて、日経BP総研賞を受賞した

ソニー創業の地として知られる、東京・御殿山にあるオフィス。営業、エンジニア、Webディレクター、外国人スタッフ、学生インターン……。オフィス内では10数名のメンバーがそれぞれ作業を進行しています。

「世界全体の富を築くためには、強烈な仕組みが必要」と穏やかな口調で話す代表・窪田望。クリエイターズネクストでは「今日は19時過ぎても会社にいますか?」という会話も日常的にあり、ピリピリとした空気はなく、キーボードを叩く音はどこかやわらかく響きます。

「価値の高い仕組みを、限られた時間の中でつくる」というのが同社のクリエイティブスタイルであり、数字データを根拠により良いマーケティングプランを練り、ディレクションし、仕組みを構築。

「Webサイト」という限定したプロダクトにとどまらず、お客様の強みや本当のゴール、“お客様のお客様”をハッピーにできる循環をつくることを得意としています。

「最終的なゴールはお客様とハイタッチすること」と窪田。彼が責任をもつ同社のクリエイティブは、お客様ごとに千差万別です。それは、課題をよくある表層的な問題として捉えず、徹底的に深掘りして本質を突き詰めることを出発点とするクリエイティブだからでしょう。

全体最適へ。最初のクリエイティブ

▲創業当初の21才の頃の窪田
窪田 「僕、おばあちゃん子だったんです。おばあちゃんは高齢になり、介護施設で生活をしていたのですが、ある時おばあちゃんの足が壊死(えし)してしまうというトラブルが起こりました。おばあちゃんは足を切断したのですが、『どうして?』という想いが強く残りました」

トラブルの原因はどこにあったのかーー。窪田は原因究明のために行動をはじめます。

窪田 「施設を訪れ、まずは従業員に話を聞きました。介護従事者の本質的な辛さとして、高齢者を喜ばせよう思って働いても罵詈雑言を浴びてしまうことだってあるんです。そこからメンタル的なストレスが生じ“バーンアウト”すれすれの状態で働いている方もいます。その方々を責めるのは違いますよね」

次に施設長に話を聞きに行ったところ、医療の問題が立ち上がりました。次に医師に話を聞けば、そこにもまた別の問題があり、医者は官僚と医局の関係について発言。官僚に話を聞けば、政治家が悪いと……。

窪田 「政治家に話を聞きに行ったとき、『政治家を選ぶのは国民だ』と返されてしまいました。そのことから、僕、おばあちゃんのことを“誰かのせいにしたかったんだ”と気づいてしまったんです」

この経験は、窪田に問題の根の深さへの気づきを与えるものとなりました。

窪田 「どこか一部だけを改善する、部分最適じゃダメなんです。全体を変えていかないと、世の中はハッピーにならないんだと思いました」

それは同時に、「自分の力で変えられることがあるのでは?」ということへの気づきでもありました。

事業の立ち上げは2003年。クリエイターズネクストの創業はその翌年のことでした。もともとWebが大好きだったという窪田は、Webサイトを通じて「全体最適への挑戦」を開始しました。当時の代表的事業として、日本最大級の介護施設のポータルサイト「老人ホームマップ」の制作が挙げられます。

窪田 「その当時、どの施設も伝えている内容が同じで、酷い場合は写真も一緒(フリー素材)。これでは、それぞれに合った施設をチョイスするのは困難です。“合う”“合わない”があるはずなのに、フリー素材を使用した広報ツールに良い所だけ書いてある状態では、実態がわからずいくらでもミスマッチが起こります。
本来記載すべき情報とは、定量的なスペックではなく、定性的な『そもそも食事おいしいの?』というような中身の部分です」

つくり上げたサイトは、サービス競争社会や品質競争社会になるためのプラットフォーム。「情報の非対称性を無くす努力をした」と言うように、見せ方だけ良くしている企業や施設が売り上げをあげる仕組みではなく、本当に地道に中身をよくする取り組みを続けているところに、必要なスポットライトがきちんと当たるような仕組みを持つサイトに仕上がりました。

Webに触れてもらうことさえ難しい時代にローンチした同サイトは、2018年現在、8万人越えの登録ユーザーがいます。

最良のクリエイティブは、目の前の人を信じきることから

▲シンガポールにて、マーケティングの重要性について、英語で講演を行う窪田

創業して、「老人ホームマップ」が軌道に乗ってきたクリエイターズネクスト。当時はインターネット黎明期で、企業は見栄えの良いWebサイトをつくるだけで、競争に勝つことができていました。

しかし、ただサイトをつくれば利益が上がる時代は過去のものに。“アクセス解析”の重要性が増し、新たな問題が浮かび上がってきました。

窪田 「僕はウェブ解析士です。19歳のときにホームページの制作をはじめて以来、お客様には定期的に“解析レポート”をご提出しています。しかしこのレポート作成にかかる作業的な時間や労力は、ほかのクリエイティブを阻害していないかという懸念がありました。
また、人間の時間も労力も上限がありますから、お仕事をくださる会社のあいだに優先順位ができてきてしまいます。でもそれって、フェアじゃないですよね。どんな会社にも導入できる、完全に自動化されたレポーティングシステムをつくりたいと思いました」

ちょうどその時期に、ひとりのインターン希望生の訪問があります。

彼の名は滝田潤。2018年現在ではクリエイターズネクストのコアメンバーですが、当時はまだ大学3年生でした。

「天才だと思った」と、窪田。「自分より優れた人材を積極的に採用する」という“天才採用”は同社の特徴のひとつでもあります。

窪田 「実はそれまで10年間、僕は怖くて人を採用することができませんでした。クリエイターズネクストは僕にとって第二創業。僕は10代で個人事業をスタートしてから事業規模を拡大し、スタッフを雇って運営をしていました。
きっとめちゃくちゃ威張って“調子に乗っていた”んでしょうね。スタッフ全員が突然辞めてしまうという事件が起こりました」

それから、どんな会社をつくりたいのか、そもそもどうして自分は働くのか、どうして働いてもらうのか、窪田は徹底的に考えます。

「苦しかったので、きちんと定義しようと思いました」と窪田。クリエイターズネクストのジョブポリシー(https://cnxt.jp/aboutus/job-policy/) はこうして誕生しました。

窪田 「滝田と出会ったのは、ジョブポリシーを実践していこうというタイミングでした。つくりたかったのは、ピラミッド型ではなく V字型の組織。だから弊社は、従業員はみんな社長よりも天才なんです」

「 Vの組織はvictory(勝利)の組織」、と付け足す窪田。窪田の再出発は、学生である滝田に全幅の信頼をよせたことから。学生だった滝田が組んだシステムは、現在のクリネクの根幹ビジネスである、どんなビジネスにも等しく価値を与えるウェブ解析&レポーティングシステム「KOBIT(コビット)」のプロトタイプでした。

「KOBIT(コビット)」は、窪田のウェブ解析士としての実働経験と経営者としての失敗、そして介護施設で目の当たりにした全体最適の必要性への気づきから生まれたアイデアと滝田の存在無くしては生まれえなかった仕組みです。

“能力の掛け合わせこそ、イノベーションの鍵”という同社自身の原体験とも言えるでしょう。

Webサイトは最初の体験。企業らしさから生み出す、究極のイノベーション

▲クリエイターズネクストのオフィス風景。仲間たちとともに

第二創業というよりも、ブレイクスルー。アクセス解析からはじまったクリエイターズネクストは、2018年現在アクセス解析によって得た数字に基づく“成果の出る”クリエイティブを追求・提供し、次なるステージへ向かおうとしています。

窪田 「僕はウェブ解析で世界の富そのものを増やすことに貢献したい。人々にとって、Webサイトはいわば“最初の体験”。
僕らは、Web制作をご依頼くださったお客様のその先にいるお客様に喜んでもらうことをお客様と一緒に考えます。そのために、私たちは踏み込みすぎるくらいのところまで踏み込み、一緒に涙を流せるほどの熱量でお客様の向かう先に向き合いたい。
最終的にはお客様だけでなく、『お客様のお客さま』を幸せにすることが使命です。そうしたら、お客様とハイタッチできますから」

ほかを押しのけないと自社のものが輝かないクリエイティブというのは、同社の制作スタンスに当てはまりません。目の前の相手との徹底的な対話とコンセンサス、究極に本質に迫った制作こそ同社の得意分野。

企業自身や社会がまだ気がついていない魅力や、可視化・言語化できずにいる何かを、数値によって根拠立てたうえでWebサイトに集約するクリエイティブ。究極にその企業(そのヒト)らしいサイトは、こうして同社から生まれ続けています。

本来持てる能力を発揮してこそ、企業も人も次なるステージへ進んでいけるものなのでしょう。同社が目指す「人類の進歩を促進する」という究極のイノベーションは、案外身近なところから着手できることが山ほどあります。

クリエイターズネクストは、ヒトと企業が本来持てる力に気づかせ、その能力を開花させてくれるアイデアカンパニー。

驚くほど革新的でありながらやさしい文化が香るのは、目の前の相手の能力と可能性を信じて、最大級の自由と責任を与えるという有名無実に終わりがちな哲学を、まずは代表・窪田が徹底的に実践しているからでしょう。

関連ストーリー

注目ストーリー