人生を凝縮した10分間のプレゼンーー自分をさらけ出すことで生まれる揺るぎない人間関係

完全なオーダーメイドウエディングを提供し、1年足らずで業界に革命を起こしたCRAZY WEDDING。事業においても人においても本質を追究し続けるCRAZYでは、入社する社員が10分間の“ライフプレゼンテーション”を行います。単なる自己PRではない。社員全員の前で弱みや葛藤もさらけ出すプレゼンは、まるで家族になるような、強固な信頼関係を築きます。
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大手企業の管理職――。きっかけは、あまりにも優秀な7人目の社員の参画

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▲現 CRAZY WEDDING 事業責任者・中西章仁(右から2番目)、採用責任者・吉田勇佑(右)

2012年、CRAZYは「株式会社UNITED STYLE」として創業。
最初はCRAZY WEDDING創業者の山川咲、現CRAZY WEDDING最高執行責任者の遠藤理恵、それに山川の夫で代表取締役の森山和彦、ウェブスペシャリストの榊伸一郎を加えた4人からはじまりました。

森山、山川、遠藤の3人は同じ人材コンサルティング会社でかつて一緒に働いていた仲間。榊も森山と大学時代に接点がありました。創業当初は、元から社員と強いつながりのあるメンバーが加入していったのです。

そういった流れのなかで、7番目のメンバーとして2013年4月に加入したのが、森山のかつてのクライアントだった中西章仁(現 CRAZY WEDDING 事業責任者)。

彼は、新卒で大手商社に入社して海外市場開拓に成功した後、社会保険労務士の資格をとって人事部へ異動。国内シェアNo1の交通インフラ系企業に転職し、そこでも人事責任者として活躍しました。

中西が抜群に優秀な人材であることは自明。しかし、だからこその不安が芽生えました。

輝かしいキャリアを持ち、制度も設備も整った大企業の管理職にまで昇りつめている、高年収の40代男性。一家の大黒柱で、二児の父。

何も整備されていない創業期のベンチャー企業に引き入れるためには、彼が背負っているものを丸ごと受け止める覚悟がなくてはいけない。家族も不安がるのではないか……。CRAZYは中西を受け入れるにあたり、ずっしりと重い責任を感じていたのです。

――本当にCRAZYに入社していいのか? お互いにその覚悟はあるのか?

森山は、1対1だけが深くつながるような信頼関係の構築の仕方ではなく“社員全員”と中西が深く理解し合うべきだと考えました。

そこで思い出したのが、森山が前職時代に研修で行ったことがあるプレゼンテーション。過去の自分を受け入れ、自分の人生における意志・生き方を明確にするためのプレゼンでした。

生まれてからこれまでにどんな出来事があり、自分にどんな影響を与えたのか。何を大切にし、どんな未来を作っていくのか。なぜ、CRAZYという場で生きていくのか。過去の経験や弱さも含めてさらけ出し、そこから生まれた志や人間性を社員全員と共有する。

そういった内容のプレゼンを行えば、全員が中西のことを深く理解することができると考えた森山は“ライフプレゼンテーション”の導入を決めたのです。

森山は中西と2週間かけてプレゼンに関する打ち合わせを重ねていきました。
中西の心に引っかかっていたのは、家族との関わり方――。

彼はこれまでビジネスで成功を収めることに対して、強い執着心と誇りをもって生きてきました。そして、実際に100年企業でトップ昇進してきたのです。

しかし、いつの間にか子どもたちは10歳と6歳になっていました。もう自分で寝床に行き、勝手に本を読むようになっている。6歳の息子の横に寝転がってみたら、幼い頃はふっくら丸みを帯びていたひじが、やけに大人びてきていることにも気づきました。

自分は、夢中で前を向いて走ってくるなかで、ものすごく大切な何かを置き去りにしてきてしまったのかもしれない。自分は家族のことを全然見てこなかったのかもしれない。どこで何をするかではなく「何のために、だれと生きるのか」ということこそが大切なんじゃないか?
という葛藤が生まれてきたのです。

中西がCRAZYに来た大きな理由は、子どもたちに対して “誇れる選択肢”を選びたいからでした。

父親として、人として本質的なことを大事にし、エネルギッシュに人生を楽しんでいる姿を見せ続けていきたい。娘と息子がこれから大事な意思決定をするタイミングが来たときに、父の背中から何かを感じ取ってくれていたらうれしい、と考えたのです。

プレゼン前夜、中西はその想いを手紙にしたため、妻と子どもたちに向けて読みました。

家族の「がんばって」という応援を受け、迎えたプレゼン当日。決意が込められたプレゼンを社員たちはみな身の引き締まる思いで聞き、中西とともに働く覚悟と勇気をもらったのです。 

“ライフチェンジ”としての覚悟を決める場にもなる

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▲ライフプレゼンテーションを見守るメンバー

“初代人事”としてCRAZYに入社した、採用責任者の吉田勇佑。
彼は、CRAZY WEDDINGで結婚式を挙げたことをきっかけに、CRAZYという会社の世界観・ビジョンに共感。同様にCRAZYに魅せられた妻(森裕美)に続き、2014年11月に入社しました。

入社当時は社員数25名ほどでしたが、2017年現在75名程度にまで増加。中西以降、全員がライフプレゼンテーションを行っています。

この制度が長く続いている背景には、“メンバー一人ひとりが自立した存在である”という考えがあります。

吉田 「CRAZYでは、転職をキャリアチェンジではなく“ライフチェンジ”と位置付けています。入社するときには、起業や創業と同じくらいの熱量や想いで自分の人生を見つめ直すプロセスが必要。ライフプレゼンテーションという仕組みは、その文化にマッチしていると思いますね。
プレゼンを行うことで改めて自分を見つめなおし、『働く意味』が明確になっていきます。自分の考えが深まり、醸成されていくようなイメージです」

また社内では、何か感じたことがあればすぐに話し合う文化が根付いています。仕事に関しても人間性に関しても、厳しいフィードバックは当たり前。時には喧嘩をすることもあります。でも、それは互いを信頼しているからこそできることです。

吉田 「新しいメンバーと会話すれば、好きな食べ物や経歴などはわかると思います。でも、人生背景まで理解しているケースは少ないと思うんですね。
何をしてきたか、どういった葛藤を超えてきているのか、何を大事にしてきたのか。そういった部分まで理解していれば、相手との関わり方が変わってくるし、深いコミュニケーションをとることができます。
たとえば、プレゼンを通じて、小さい頃体験したいじめや、親に反抗してひどい言葉を投げかけてしまったことなどを話してくれることもあるんです。そういったトラウマ体験を共有していると、本人も無駄なカッコつけやプライドがなくなってくるし、こちらも『そういった経験がこういう言動につながっているのかな』と考えられるようにもなります。
また、何かを乗り越えて頑張ろうと思っているメンバーに対しては『本気で応援しよう』と思えますね。実際にその子が苦労を乗り越えて目標を達成すると、感動して僕も本気で泣いてしまいます」

既存メンバーの学びにもつながる“バディ”制度

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森山が中西に寄り添ったように、ライフプレゼンテーションを行う際は、社員のなかから“バディ”を選ぶ仕組みを整えました。バディはプレゼンターと綿密な打ち合わせを行い、状況に合わせてフィードバックをしていきます。

吉田 「その時々で最適だと思うメンバーをバディに選んでいます。バディの成長機会にもなるので、若手の一生懸命がんばっている子に任せることもありますね。信頼関係の構築という観点を重視して、受け入れ部署のメンバーにお願いすることもあります。
実は、プレゼン中は本人だけじゃなくバディもとっても緊張するんですよ!バディを担当した人間が『どれほどプレゼンターの人生にコミットできたのか』ということがわかる場でもあるんです。僕自身がバディになることもありますが、プレゼン当日は口が乾きます(笑)。
75名いる社員全員の時間を10分間もらうということは、会社として投資している時間ですからね。

いいプレゼンにするためには厳しいフィードバックもしますし、深く対峙します。また、相手の人生を深掘りする過程で、バディも自身を見つめなおしますね。いろんな意味でいい学びになります」

ライフプレゼンテーションを通じて、家族との絆を再確認することも。

吉田 「バディとして、『家族や親友にプレゼンをしてみて』とアドバイスすることがあります。
あるメンバーは、教育者のお父様に長年恐れを抱きながら生きてきたんですね。でも、改めてお父様の前でプレゼンをして入社の決意を伝えたら応援してもらえた。それが彼のなかですごく“承認”された経験になっているそうです。
親御様からすると、お子様がベンチャー企業に入社するのは不安があると思いますから、きちんと自分の決意を伝えることは大事ですよね」

家族の存在はとても大きなもの。大事な人に決意を表明することで、相手も安心でき、自分自身も前を向いて進んでいくことができるはず。CRAZYでは、新卒で入社した社員の入社式に家族を呼ぶ、毎年家族を呼べるイベントを催すなど、社員の家族も含めて大事にしていきたいと考えています。 

メンバーが何人になっても続けていく――多様性を受け入れるために

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▲2018年新卒メンバーの入社式

かつては入社直後に行っていたライフプレゼンテーションですが、2017年現在は会社の変化に合わせて入社3か月後に実施するようになりました。

吉田 「人数が少ない頃にはほとんどのメンバーが採用過程に携わり、入社時点でコミュニケーションがとれていました。でも、今は人数が増えて入社時点で初対面というケースも多くなったんです。
新しいメンバーと少しでも接点をもってからのほうが、しっかりとプレゼン内容を受け止められます。たった10分しかない時間を最大限有効に使うために、3か月という時間を設けるようになったんです。
新入社員にとっても、実際に働いてCRAZYのことを理解してからのほうが働き方のイメージがつき、しっかりとしたプレゼンができるメリットがありますね」

吉田のなかでは、過去のライフプレゼンテーションのアーカイブを残す、プレゼンテーションに親御さんやパートナーを呼ぶ、といった今後の構想もあります。

――地球の未来を変えていけるのは私たち「人」。

人の数だけ当然生き方と働き方が存在します。多様性を受け入れ、違う考え方を本気でぶつけ合うからこそ、新しいものが生み出せるはず。

CRAZYが本質的で美しくユニークな事業を創り出すために、メンバー間の信頼関係は必要不可欠です。これから社員が100人、200人と拡大していっても、ライフプレゼンテーションをはじめとするメンバーの“人生”に向き合うための取り組みを大事にしていきます。

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