成長企業は必ず存在する。新興市場の躍動感と力強さを体感し続けた30年

▲大和企業投資株式会社 代表取締役社長 平野 清久

平野 清久は、1986年に大和証券に入社し小型成長株のアナリストとして17年間活動、その後大和証券グループの投資銀行部門、PE投資部門を経て、2014年より大和企業投資に着任。所属が変われど、一貫して大和証券グループで、小型成長企業や東証マザーズ・ジャスダックなど新興市場の調査や投資に携わり続けたプロフェッショナルです。しかしそのキャリアの始まりは、意外なものでした。

平野 「私は理工学部出身です。ちょうど金融業界で理系採用が始まったばかりのころで、しかしその多くがシステム部門での採用だった中、『どんな仕事をやるかわからないよ』と言われた大和証券を志望し入社しました。そして配属されたのが調査部で、たまたま担当したのが、新興企業向け市場だったのです」

「たまたま」配属された担当分野でしたが、平野はほどなく新興企業向け市場の魅力にのめりこんでいきます。折しも時代は戦後の高度成長から、新たな成長を指向していた時期で、90年代半ばのインターネットの出現と相まって、Yahoo!を筆頭に日本の次なる成長を引っ張る新興企業が目覚ましい躍進を遂げていました。

しかし平野が、真の意味での新興企業の力を感じたのは1998年、旧山一証券の破綻に端を発した日本の金融危機のときでした。

平野 「戦後の高度成長がすべてなくなってしまったような危機的な市場環境の中でも、株価が上昇している企業があった。それらの企業の業績を調べてみると過去10年間で業績が10倍になっていた。『マーケットがどんなに悪くても、業績が伸びれば投資家は必ず評価する』。成長企業の力強さを体感しました」

さらに、平野は続けます。

平野 「よく『有望業種は?』と聞かれますが、私は『すべての業種に有望企業はあります』と答えます」

実際、成長企業といえばIT関連などに目が行きがちですが、平野は幅広くすべての業種を調査し、その中でのちに業界大手となるような成長企業を発掘してきました。

どんな状況下でも、どんな業種にも、必ず成長企業は存在する──この確信ともいえる信念に支えられ、平野は成長企業と向き合い続けてきました。

投資判断の大きな基準は「経営者を信じられるか」。名だたる経営者と伴走

まだ世に知られていない成長企業を発掘し、投資するベンチャーキャピタルで、平野がその投資判断の基準としているのは、大きくふたつ。

平野 「ひとつは、世の中において、その商品・サービスが大きくなればいいなと純粋に願えること。そしてふたつ目は、経営者を信じられるか、ということです」

とくに「経営者」は、平野にとって重要な判断基準だといいます。

平野 「私たちの仕事は、失敗することも少なからずある。しかしこの人に投資して失敗し、『お前クビだ』と言われても諦めがつくかどうか、というところまで突き詰めて投資判断を行っています。もちろん定量的な数字の裏付けとの整合性をとりながら」

アナリスト時代を含め、平野はこれまで3,000人を超える経営者と会い、投資判断を行ってきました。その中には、いまや日本をけん引する錚々たる経営者たちも数多く名を連ねます。

平野 「彼らが上場する以前の小さな会社のころから付き合いがあり、見守り続けました。そうした優秀な経営者とともに走り続けてこられたことは、この仕事のひとつの醍醐味です」

そうした仕事の醍醐味を感じながら、一貫して大和証券グループで成長企業、ベンチャー企業を担当してきた平野。しかしキャリアアップのための転職が当たり前の金融業界にあって、同じ組織の中で、同じ業務に携わり続けることは、珍しいとも言えます。

平野 「成長企業、ベンチャー企業を支援する仕事をするのなら、私の中では大和証券グループが一番いいのです。環境の良し悪しにかかわらずベンチャー支援をやり続けるにはある程度の“企業規模”が必要ですから。

また古くは京セラから2000年代の主なITベンチャーの上場時の主幹事をしてきた大和証券は、遺伝子的にベンチャー企業に対する理解がある。同時に私自身も、組織の中でやりたいことをやり続けるための努力はしてきたつもりです」

大和証券グループというステージを存分に生かしながら、平野は自らの専門性を高めキャリアアップを果たしてきました。

「一緒にやってほしい」と言われるようなベンチャーキャピタルに

そして2020年4月1日付で、大和企業投資の社長に就任した平野。

平野 「これまでグループの他部署から社長に就任してきた大和企業投資で、内部昇格による社長就任は、エポックメイキングなこと。ハイブリッド型の総合証券を目指す大和証券グループ全体の方針の中での、期待の高さを感じています。もちろん結果を求められますからすごく緊張しています。

そう力強く覚悟を語る平野が目指す方向性は明確です。

平野 「成長企業を発掘・支援し、新しい産業を育てるのがベンチャーキャピタルの使命。その使命を果たし、ベンチャーキャピタルの業態を発展させていくこと。さらにその中で、大和企業投資のポジショニングを確立すること」

数あるベンチャーキャピタルの中で、大和企業投資のポジショニングとは。

平野 「大和企業投資の明らかな強みは、大和証券グループであることです。大和証券グループは多くの事業会社や金融機関、投資家とつながりがあります。リテール業務は全国に拠点を有します。

こういったグループのアセットを活用すれば、たとえば、私たちの投資先企業と大企業の資本提携や、地方の成長企業の発掘が実現可能に。また、ベンチャー企業が上場する際も投資家とのコミュニケーション方法などで有益な助言ができるでしょう」

「大企業とベンチャー企業」、「地方と都市」、「上場マーケットと未公開マーケット」──この3軸でそれぞれの橋渡し的な存在となることで、大和企業投資としての付加価値を創造し、独自のポジショニングを確立していくことを、平野は目指します。

平野 「それにより、ベンチャー企業や他のベンチャーキャピタルから、『一緒にやってほしい』と言われるようなベンチャーキャピタルになりたいですね」

他方、大和証券グループにおける大和企業投資の役割について、平野はこう説明します。

平野 「大和証券グループがハイブリッド型総合証券として新たな価値の創造を目指していく中で、大和企業投資は新産業育成の中核的な役割を担っていきたい。そして将来的なビジネスにつなげ、グループの収益源の多様化に貢献していきます。大和企業投資にとって大和証券グループであることが強みであるように、大和証券グループにとって大和企業投資の存在が強みとなることを目指していきます」

ポジショニングを生かし好循環をつくることで成長を実現していく

社会が目まぐるしく変化し、災害や未知の病との戦いなど不安要素も加わり、時代はより不確実性が高まっています。

平野 「リーマンショックに震災、そして今般の新型コロナウィルス。人々の価値観が揺らぐような大変な出来事の後には、必ず社会は変わる。私たちは常にその変化の先にある新しい世界を捉え、成長企業を発掘・支援していきます。

そのときに、大和企業投資ならではのポジショニングを生かし、きちんと成果を出してクオリティを維持していくこと。それによって大和企業投資と『一緒にやりたい』というベンチャー企業が増えていく──そういう好循環をつくっていくことで成長を実現していきます」

独自の成長戦略を描く平野は同時に、自身のやりがいを吐露します。

平野 「変化の先に携わり、いずれ新しい世界をリードしていくような企業や産業の最初の一歩をお手伝いできることは、ベンチャー企業を見続けるこの仕事の醍醐味であり、私のやりがいです。『ベンチャー企業が大好き!』という人は、ぜひ一緒に仕事をしましょう。大和証券グループ内の人も大歓迎です!(笑)」

平野には、夢があります。

平野 「ベンチャーキャピタルとして、次世代の成長をけん引する新産業を育て社会に貢献していきたい。そして大和証券グループにおいては、新しいビジネスへとつなげていくグループのハブ的な存在となって収益に貢献していくことを目指します。

あとはいつか引退した後に、昔自分が投資した会社の株主になって、株主総会を見て回ること。しかも最前列で(笑)。また、会社の創成期を支援するベンチャーキャピタルは、人生でたとえるなら、小学校や中学校の先生のような存在といえるかもしれません。

いつか投資先の会社や経営者にとっての、“人生を変えた恩師”のような存在になれたら。そして『私の履歴書』にでも、偉大な経営者が昔世話になった会社として、大和企業投資の名前が載ったらうれしいですね(笑)」

大いなる夢と高い専門性を備えた新社長・平野が導く大和企業投資の今後にご期待ください。