プライドを捨てて前例なき道へーー“勘違い野郎”がWeb メディア運営チームを束ねるまで

エン・ジャパンに新しいキャリアが生まれようとしています。Webメディアを通じて、世の中に情報を発信する編集者。Web業界で注目される職種のひとつです。エン・ジャパンで前例のないこのポストに挑戦するのが白石勝也。求人広告のコピーライターだった彼は、いかにしてWeb編集者の道を見つけたのでしょうか?
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「異動直後のことはトラウマです」

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2007年にエン・ジャパンに新卒入社した白石。求人広告のコピーライターとして腕を磨き、2013年からサイト企画部(現デジタルプロダクト開発本部)へ異動しました。

2017年現在は、デジタルプロダクト開発本部 HRメディアラボのリーダーとして6つのオウンドメディアを手がけるチームを束ねつつ、CAREER HACKの編集長を兼任しています。

ーーWeb編集者。Web業界でも注目度の高いポジションですが、社内に前例もなければ、体系化された業務マニュアルがあったわけでもありません。異動当初のことを、彼はこう振り返ります。

白石 「コピーライターから異動したての頃は、“がんばりたい”という気持ちが空回りして、できもしない領域に生半可な知識で足を突っ込んで、勝手に溺れるという……。周りから見ていたら『なんでそんな浅いところで溺れているの?』という状況だったと思います」

浅瀬で溺れる……活躍のイメージがまったくできない状況から、いかにしてWeb編集者というキャリアを切り拓いたのでしょうか。白石の入社からこれまでの足跡を辿ってみたいと思います。

入社1年目。早すぎる挫折

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コピーライター、編集……白石のキャリアの軸には「文章を書くこと」があります。学生時代にはブログを書いたり、友人が運営するフリーペーパーで執筆したり(ブログがキッカケで、音楽雑誌の編集者から声がかかり、寄稿したことも)。

新卒でコピーライターを志したのも、「文章を書くことが好き」という気持ちがあったから。しかし、なぜその舞台がエン・ジャパンだったのでしょうか?

白石 「エンの選考やセミナーを通じて、当時の自分の考え方が広がったから。具体的には、もともとは“やりたいことをとことん突き詰めていく”という考えだったんですが、“ビジネスを通じて社会を良くしていきたい”という気持ちが芽生えてきたんですよね。そこから、エン・ジャパンのコピーライターとしてがんばりたい、と」

学生時代から文章を書いていたのであれば、入社1年目から即戦力として大活躍ーーと思いきや、現実はそんなに甘いものではありませんでした。

電話の取次もできない、Excelも使えない、報連相ができない、敬語も使えない……。ビジネスパーソンとしての基礎が全くない状況だったため、コピーがどうこういえるレベルではありませんでした。

白石 「入社するまで内定者のプレゼンもうまくやれたし、かなり『やれる』と勘違いしていた大バカ野郎でした。自分以外の同期は全然大したことないと見下していて、逆の立場だったら一緒に働きたくないタイプです(笑)。

でも、そんなプライドは一瞬にして砕かれました。当時は、上司や先輩にチェックしてもらえる環境から早く独り立ちすることが目標だったんですけど、当然できるはずもなく……。”ボク、学生時代にちょっとライターやってました”みたいなオーラが出ちゃってたばかりに、超カッコ悪かったです」

入社早々の挫折……しかし、この経験は白石の意識を変えました。とにかく謙虚に、仕事があれば手を挙げて積極的に行動を起こすようになったのです。

また、組織とミッションが変わったことも後押しになりました。エン・ジャパンのコピーライターは「社内で担当営業と打ち合わせして求人広告を書く」という仕事の進め方が一般的。しかし、2年目に配属された組織では、「クライアントへの取材から求人広告制作、校了まで」をコピーライターひとりが担当することになったのです。

貪欲に行動するその姿勢は社内で評判になり、営業からは「白石のコピーっていいよね」「今度●●社を受注するから一緒にやろうよ」といった声をかけられるまでに。それは、白石の自信につながりました。しかし……。

ひとりのメンバーが教えてくれた、マネジメントの醍醐味

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自信が芽生え、前向きに取り組む白石が直面したもの。それがリーマンショックでした。組織が縮小し、業務量が増加。完全にキャパシティを超え、ミスがミスを呼ぶような状況に陥ってしまいました。

白石 「当時の上司からは、オフィス中に響くんじゃないかってくらい大きな声で怒られたこともありました。今となっては笑い話ですけど、あのときは本当に心が折れましたね。あぁ、思い出したくなかった……」

成功と失敗を繰り返しながらも、着実にコピーライターとして結果を残していった白石。そして、入社5年目の頃、彼に転機が訪れます。それが、マネジメント職への着任の打診でした。

白石 「もともとマネジメントに興味はありませんでした。大変そうだし、メンバーの原稿を何度もチェックしなきゃいけないし……。ただ、ある中途入社メンバーを迎え入れて考えが変わった。日本を代表する自動車メーカーで働いていたんですけど、コピーライターになりたくてエン・ジャパンに入社したメンバーです。

安定が約束されたような環境を抜けてまで挑戦する姿を見て、『文章を仕事にする』という覚悟を一緒に背負う気持ちになりました。教えれば教えるほど吸収してくれて、メキメキ育ってくれたのが嬉しかったですね」

もともとコピーライターの職人気質な部分に惹かれていた白石。しかし、奮闘するメンバーの存在が、白石にマネジメントに興味を抱かせていきました。すると、彼自身の視野も徐々に広がっていったのです。

白石 「自分ひとりでできることには限界があるんです。個人戦よりチーム戦にしたほうがよりインパクトのある成果が残せる。どんどん成長して、結果を出しているメンバーたちを見ていると、自分の与える影響範囲が広がっていく感覚がありました。マネジメントのおもしろさに気づいた瞬間でしたね」

この経験は、白石にとって大きなターニングポイントとなりました。当時、社内のクリエイティブコンテストで頻繁に受賞するのは腕利きの先輩コピーライターたち。彼らと同じステージで戦っても勝ち目はない……。そのように感じはじめていた頃だったからです。

自分が存在感を放っていけるキャリアを模索し、いろいろな角度から誰かに必要とされる方法、組織貢献の仕方を考える日々ーー。そして、たどり着いたのがマネジメントという道でした。白石自身に、武器や強みがなかったからこそ、見つけられた道のかもしれません。

恥ずかしさを捨てて、一歩を踏み出せ

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CAREER HACKが定期開催するイベントでは、モデレーターをすることも
白石のキャリアを語るうえで無視できないのが、後に編集長となるWebメディア CAREER HACKです。2012年6月にオープンしたCAREER HACK。白石は、コピーライターチームのリーダーをやりながらも、オープン当初から積極的に関わっていました。なぜ彼は、“業務外”でありながらチャレンジしたのでしょうか。

白石 「CAREER HACKが立ち上がってすぐ、『書き手が足りない』という声を聞きつけて、手伝わせてほしいとお願いしました。そこから記事の企画書を出したり、取材に同行したりを自発的にやっていましたね。“新しいチャレンジがはじまるときにはとりあえず手を挙げる”。これも僕なりの生存戦略だったのかもしれません。

当時の上司にCAREER HACKにチャレンジしたいと相談したら『やったらいいよ』と言ってくれて。早起きしたり、仕事おわりにカフェで記事を書いたり、勝手にいろいろとやっていました」

この主体的な取り組みを見ていたのが、2017年現在白石が所属するデジタルプロダクト開発本部(当時のサイト企画部)のトップ。部署異動が決まり、白石の新しいキャリアへの挑戦が幕を開けました。ところが、異動後、早々に白石は大きくつまずくことになってしまいます。

白石 「まったく通用しませんでした。人生で一番くらいダメ(笑)。役員や協力会社、エンジニア、プロダクトに関わるみなさんとお仕事する機会が増えたんですが、周りを巻き込む力やプロジェクトの意思決定を促す力が圧倒的に足りなくて……」

要因は、プロジェクトの規模が大きく変わったことでした。当時の求人広告制作は、営業とコピーライターがコンビを組んで取材・制作・納品を進めていたため、コミュニケーションに大きな手間はかかりません。

また、白石ほど経験を積んでいれば、信頼貯金もある。ツーカーでコミュニケーションが成立していた部分もありました。しかし、関わる人数が増えると同じやり方は一切通用しなくなってしまったのです。

白石 「いきなり100%の結果を目指しても、プロジェクトに関わるみんなの認識や捉え方が統一できていないことのほうが多い。わからないことをわからないと素直にいえず、コミュニケーションを疎かにしていくようになりました。プロジェクトの意思決定者に声をかけるのが億劫だったり、指摘されるのが怖くて……。うまくいくわけないですよね」

萎縮していく白石を救ったもの。それはある人物のひと言でした。

白石 「上司に『優秀さを履き違えているんじゃない?』と言われて、その言葉の意味をよく考えるようになりました」

この言葉をきっかけに白石は変わりました。周りからはどう思われてもいい。それよりも、どんどんコミュニケーションを取りにいくというスタイルに変化を遂げていったのです。

白石「間違っていたらどうしよう、かっこ悪いと思われたくない。そんな気持ちがあって、それまでの実績もあったし、“自分はやれる”というヘンなプライドがあったのかもしれません。また入社1年目に逆戻りしていたことに気づかされました」

恥をかくことを恐れない。泥臭くても構わない。最初から100%の出来を目指すのではなく、50%だとしても早めにアウトプットして、そこからコミュニケーションを取りながら100%以上を目指すーー。このやり方で、白石はさまざまなメディアを次々にリリース。Web編集者としてのポジションを確固たるものにしていきました。これまでのキャリアを白石はこのように振り返ります。

白石 「自分の強みって何だろう?ってよく考えていました。何でも愚直に受け入れて、自分のなかに取り入れていく。自分ひとりじゃできないことも、いろんな人の力や要素を組み合わせていけば解決していける。今はそう感じています。あと、フットワークってめちゃめちゃ大事。小さな話ですけど、“わからないことがあったらすぐに電話する”とか“メールする”とか。まずは一歩踏み出すことが重要だと思います」

白石にとって大きな成長のステージとなったであろうエン・ジャパン。彼自身は、自社をどのようにとらえているのでしょうか。

白石 「エン・ジャパンが社外からどう見られているかちょっとわからないのですが、たぶん想像以上にベンチャーで。指示されて動くことはほとんどない。『どうしたい?』『“おもしろく働けてる?』というコミュニケーションが日常的にあります。

また、主力事業が好調で、企業体力があるからこそのチャレンジもできている。私のチームでも直近2年で、4つのメディアが立ち上がり、並行して運営するなか、いずれも順調に成長しています。

実は、キャリアプランやキャリアパスみたいなことを考えたことはないんですよね。Web編集者っていわれてもあまりピンとこないことも多くて。必要としてもらえる、期待してもらえる、そこに全力で応えていくーー。そんなキャリアもいいのかもしれませんね」

白石の言葉に宿る、「期待に応えたい」「おもしろいことに挑戦したい」という想い。前例がないキャリアからこそ、自分が切り拓いていくんだという意志を胸に、白石は今日も自身の仕事と向き合っています。

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白石が編集長を務めるCAREER HACK
http://careerhack.en-japan.com/

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