“後進国”である日本を変えるためーー決済サービス開発に挑む、ある男のまなざし

株式会社ファーストペンギンが展開する、決済サービス「アクアゲイツ」。その事業を一手に担うのが、2016年8月にファーストペンギンに入社したペイメント事業部部長の原田多聞(たもん)。13年にわたり大手決済会社の営業マンとして走ってきた「決済のプロ」が、新規事業に挑みます。

キャッシュレス「後進国」、日本

買い物をする時、あなたは現金派ですか?それともカード、もしくはスマホ派でしょうか?おそらく、「現金派」という方が圧倒的多数でしょう。

経済産業省が発表した「Fintechビジョン2017」によると、世界ではキャッシュレス化(米国で約41%、中国で55%(2015年))が進む一方、日本のキャッシュレス決済比率は18%(2015年)と非常に低い状況にあるのです。

特に、中国のキャッシュレス化は顕著。『WeChat pay』に代表されるようなQRコードを用いたスマホ決済が一気に普及。中国では町のタバコ屋さんでもスマホ決済が可能で、物乞いがQRコードを提示し、送金を依頼してきたというエピソードも。

一方、キャッシュレス化が進まない日本。その原因は、“安全な”環境が大きく影響していると言われています。日本では、個人への与信に対する審査基準が海外に比べて高く、審査に時間を要する。そのため、事業者側が決済サービスの導入にためらうといったことが言われています。 また、他にも「日本のキャッシュレス化が進まない理由がある」と原田は言います。

原田 「日本円は貨幣の安定性、信頼性も高いんですよね。さらに治安もいいので、現金を持ち歩いていても強盗に合うことなんて滅多にない。さらに、いたるところにATMが設置されているから、いつでも現金が引き出せます。これではわざわざ、カードやスマホで決済しようという発想になりませんよね。逆に言うと、日本は現金主義に最適化された国と言ってもいいかもしれません」

とはいえ、2020年に日本で開催される世界的なスポーツイベントに向けて、キャッシュレス化も加速させなければいけない。

「日本を欧米や中国のような、もっと柔軟なキャッシュレスの世界へ」

ファーストペンギンでは、こうした想いから、国内において柔軟な決済を可能にするサービス「アクアゲイツ」を展開しています。誰でも簡単に決済ができる世の中にするためにーー

“挑戦者”にとって、とっつきやすいサービスをつくろう

私たちが決済サービスをはじめた理由。それは「ファーストペンギンとなり得るような人たちを『応援』する、インフラに近いサービスを展開する」という、代表・市之川の強い想いが背景にあるのです。

そこで目をつけたのが、決済事業。「世の中には、事業規模や企業の基盤がまだまだ盤石ではないために決済が使えない場所や事業者もたくさんいる。そういう人たちが決済機能を気楽に使えるようにし、事業をスケールする手助けがしたい」と。

審査が厳しいことが、いわゆる日本の強さ。私たちはあえて、リスクをとることを選んだのです。また、決済サービスが使えるまでの時間短縮も同時に目指します。

原田「たとえば、ネットショップをつくって、契約したいと思ったら、審査に1カ月ぐらいかかるんですよ。その点は前職で営業をしていた時からストレスとジレンマを感じていました。もっとスピーディに審査ができたらって」

そうした背景もあり、個人などの業態中心に向けて、従来は審査のハードルが高かった商材にも対応し、“最速1週間”で実装可能なスピード感のあるサービス、「アクアゲイツ」の開発にいたったのです。

原田「たとえば、月謝の支払いのサービスはどうしても審査に通りにくいけれど、アクアゲイツならそういった範囲まで対応できるようにしようと」

「決済の仕事はおしまい」しかし、運命が原田を引き戻す

前職ではSBIアクシズ(現SBI フィンテックソリューソンズ)で、決済サービスの営業部長をしていた原田。実は前職を辞める際、「決済の仕事以外」の仕事を探していたのです。

原田 「SBIアクシズでは、2003年から2016年までの13年間にわたって、決済サービスの営業に携わってきました。SBIアクシズも、クレジットカード決済、および電子マネーを提供している会社で、アクアゲイツがやろうとしていること同じ業態です。
ネットで何か商売を行なっている人に対して、決済サービスを提案するという仕事で、ずっと営業畑でしたね」

決済サービスを一筋のように見える原田ですが大学卒業後は、インテリア会社である三井デザインテックに入社。3年ほど勤めた後、2年ほどフリーターに。

そしてその後、運命の仕事とも言える「決済サービス」の仕事に出会ったのが2003年頃。インターネットが消費者の日々の生活に、ようやく定着しはじめた頃です。

原田「SBIアクシズに入社する前まで、『決済』という言葉も正直、知らなかったです。これからはネットじゃないかな?みたいな、その程度でした。パソコンを初めて触ったのが2001年頃で、その時にインターネットっておもしろいなと思ったんです。
もちろん決済っていう業界があること自体知らなかったんですが、面接で話しを聞いてネットショッピングの可能性も感じ、思い切って飛び込んでみることにしたんです」

同社で13年間、決済の仕事を追求し、部長まで上り詰めた原田でしたが、突然、「決済以外の仕事をしたい」とSBIアクシズからの転職を決断します。そこで知人からファーストペンギンを勧められ、面接を受けることに。「新規事業」を任せたいという熱いオファーをもらいますが、その中身は運命的にも、「新しい決済サービス」だったのです。

原田「新しいことをはじめたいと思ってはいたものの、『自分の経験を活かせるのなら』と思いましたね。もう、僕の人生は決済から逃れられないのかなと、運命すら感じましたし(笑)」

アクアゲイツを通して、機会損失のない世界をつくる

誰もが簡単に決済ができる世の中への実現。この志は、「アクアゲイツ」というネーミングにも込められています。

原田「何百って数のネーミング案を上げました。その中で、“お客さんのニーズに柔軟に応え、透明感のあるサービスにしたい”という想いから、水(アクア)。

れと、多くの人が安心して決済処理ができる場所として、“セキュリティの高いイメージの門(ゲート)”をつくりたい。それらをあらわす言葉を組み合わせてできたのが『アクアゲイツ』だったんです」

そんなアクアゲイツに原田が込める想い、それは「いずれは日本を欧米のように柔軟なキャッシュレスの世界にしたい」というもの。

原田「もちろん、すぐにとはいきませんが、決済事業で目指すところとは、『無審査』で導入できる決済サービスをつくること。サイトの運営者であれ、個人であれ、とにかく登録したらすぐにカードで課金や個人間送金ができるようなサービスです。
アメリカでは『Venmo』という個人間送金アプリがブームになりましたし、『PayPal』も登録すればすぐ使えますよね。日本でも『ONE PAY』という小規模なお店や個人間でも使えるオンライン決済サービスなども登場しています。日本でもこの種のサービスがどんどん浸透していくと思うんです」

キャッシュレス後進国とも言えるこの日本で、いかに新しい決済文化をつくっていくのか。原田の挑戦はまだはじまったばかりです。

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