クビ、倒産、自己都合……転職8回のWebディレクターの“スクラップ&ビルド”な人生

フライング・ハイ・ワークスにWebデザイナーとして入社し、2019年春からはディレクターの道を歩み始めた本庄則雄。20年近くデザイナーのキャリアを積み重ねてきた背景にあるのは、思わず二度見してしまうほどズラリと並んだ転職歴。逆境に立ち向かいながら着実な一歩を進めてきた本庄の経歴を振り返ります。
  • eight

マンガで養ったクリエイティブ思考。オタクがモノづくりに楽しさを見出す

2d654578ad672eb4df0aa85b2044f8c554929c59

2019年4月現在、41歳。転職回数、8回。

フライング・ハイ・ワークスの企画チームでディレクターを務める本庄則雄は、数多くの会社を渡り歩いてきました。世間一般の転職理由は大体網羅しているのではないかと思えるくらい、さまざまな理由で転職を繰り返してきました。

ディレクターになる前は、デザイナーとしてキャリアを積んできた本庄。そのクリエイティブ思考は、物心ついたときから身近にあったマンガで養われました。大学在学中に持っていたマンガの数は、1,000冊にもおよびます。

本庄 「マンガは娯楽でもあり、人生観を形成していった要素でもあります。マンガを通して知らない世界を知り、登場人物の多種多様な生き様を知る。そこから自分の考え方がつくりあげられましたね」

人がつくったモノには、必ずストーリーが宿ります。そのストーリーを探り、ときに自分の手でつくり出す楽しさを、本庄はマンガから学びました。

本庄 「モノがどうつくられたかという過程を見るのも好きですし、自分がモノをつくるのも好きです。だからこそマンガを読むことも描くことも好きで、自然と漫画家になりたいと考えるようになりましたね」

大学は経済学部を選びましたが、進学の大きな目的は、マンガを描く時間の確保。当時、一般に普及し始めしたAdobeのPhotoshopやIllustratorを使い、大学4年間をマンガ描きに費やしました。そして大学卒業後1年間はフリーターをしながら、友人が立ち上げたサイトの集客用マンガを制作。

その後、マンガを通じて楽しいと思えたモノづくりができるところで働きたいと思い、デザインの仕事を探し始めます。これが、本庄の山あり谷ありデザイナー人生の幕開けでした。

増える一方の転職回数――波瀾万丈のデザイナー人生

B82da992ed19fc48c23ea5d389b3bab50ddcb85e

まずはアルバイトとして、大手アルバイト情報誌の記事広告の作成を始めました。2年半ほど働いてデザイン力が上がったと実感したため、正社員として雇ってくれる会社を探すことになります。

そこで、サバイバルゲームのエアソフトガンをつくるメーカーに就職しました。銃のデザインやポスター作成をしていましたが、自分の圧倒的なデザインとコミュニケーション能力不足を感じ、10カ月ほどで逃げるように退職したのです。

本庄 「大学卒業後に描いていたマンガの題材がサバイバルゲームだったくらい好きな業界でしたし、今もサバイバルゲームは好きです。それでもデザイナーとしては 1年と続かなかった。自分の未熟さを痛感し、本当にヘコみましたね」

ただし、落ち込んでばかりもいられません。自分のマイナス要因ばかり考えていても転職は成功しないと思い直し、ポジティブな転職理由を探すことにしたのです。そして、「広告代理店で幅広い業界や分野のデザインに触れ、量をこなす」という目的を掲げ、転職活動に励みました。

その結果、望み通り広告代理店へ入社し、スーパーマーケットで使われるポップやポスターのグラフィックデザインを手がけることに。仕事は順調でしたが、さらに高みを目指したいと思った本庄は、3年弱で自己都合の退職をしました。

次に入社したのは、グラフィックデザインの会社です。スポーツ用品売場に使われる立体什器・ポップやポスターをデザインするのが、新しい仕事でした。そこで本庄は、マンガから学んだモノづくりの楽しさを再認識します。

本庄 「僕がつくったポップをお客さんが見て、納得することで商品を買ってくれるというストーリーを生み出せる。それがすごく楽しかったんですよね。 “漫画家になりたい ”というモチベーションも、うまくデザインにシフトできた感覚がありました」

改めてデザインに楽しさを見出し、絶好調で仕事をこなしていた本庄。しかし、これで一件落着……とはいかなかったのです。リーマンショックの影響でクライアントから仕事が来なくなり、会社は危機的状況に。本庄はほとんどクビのような形で、会社を去ることになってしまいました。

そして、グラフィック制作会社に転職。幸運なことに自身のデザインスキルを生かせましたが、今度は会社ではなく、本庄自身が原因でクビになってしまいます。

本庄 「僕は社内営業が全然できなくて。社内のコミュニケーションがうまくいかず、トラブルを起こしてしまったこともあります。そして社長から辞めてほしいと言われ、 1年未満でクビになってしまいました」

その後、大手家電メーカーのカタログ・ポップ制作の契約社員を3年間の期間満了で退社してからイベント制作会社に就職し、グラフィックデザインを担当しました。すると今度は、会社が倒産。またしても職を失ってしまいました。

アドバイスを真摯に受け止め、心機一転Webデザインの世界へ飛び込む

31a2b47afa32dc7ff637d0166bef7f1aa6404fb0

能力不足による逃避、リーマンショックによる解雇、コミュニケーション不足による人間関係の悪化、そして倒産……。さまざまな理由で会社を転々とした本庄は、ハローワークに足を運びます。そこで指導員の方から言われた言葉が、本庄の進む道を大きく変えました。

本庄 「 “もう紙は駄目だよ ”とキッパリ言われたのが、すごく心に刺さったんです。僕はずっと紙媒体のグラフィックデザインをやってきたので、次も懲りずに同じような仕事ができる会社を探すつもりでいました。そのうちWebデザインをやらなきゃいけないと思いつつ、なかなか踏み出す機会がなかったんですが、指導員の方の言葉で世の中の動きを知って考えを改めましたね」

とはいえ、10年以上紙のデザインを続けてきたところから、突然Webデザインに切り替えるのは容易なことではありません。しかし、これまでの転職経験から身につけた“スクラップ&ビルド”の精神が、本庄の決断を後押ししたのです。

本庄 「たくさん転職するなかで、駄目なことは素直に受け入れるという思考を身につけました。感情と論理的思考をしっかり分けて、今何ができて何ができないかを素直に分析して進むことが、仕事をする上でとても重要。だから今後は紙じゃなくて Webだと言われたときも、今までやってきたことを更地にする勢いでやってみようと素直に思えたんですよね」

ハローワークで勧められた4カ月間の職業訓練校に通い、ゼロからWebデザインを学ぶことに。そして訓練校の研修先がフライング・ハイ・ワークスだったという縁や、一緒に働きたいと思える変わった上司の誘いもありそのまま就職することになりました。

フライング・ハイ・ワークスでは、未経験からWebデザイナーの仕事を始めた本庄。今までの経験はなかったことにするつもりでWebデザインの世界に飛び込みましたが、これまで紙で培ってきたスキルは、Webでも存分に発揮されたのです。

本庄 「 Photoshopや Illustratorが最低限使えれば、あとはこれまで積み重ねてきたデザインスキルを生かせました。デバイスの違いや Webでの制約など、新しい知識を都度入れていったし最新技術を追っていくのが楽しかったので、特別困ることはなかったですね」

プライドを捨てて素直さと冷静さを忘れなければ、未経験から成長できる

5f0f60c63611cb66c6b320c21aaa302bb866bd10

本庄は未経験でWebデザイナーになってからも、素直に受け入れることを大切にして成長を続けてきました。

本庄 「未経験だからこそ至らないところがあり、いろいろ言われることもありますが、一旦自分のなかに溜め込んでなんども反芻して分析し、翌日落ち着いてから考え直すことを心がけています。

デザイナーのように多数の人が関わるクリエイティブな仕事には、冷静さが絶対に必要。時間を置いて冷静になってから、言われたことを素直に分析してクライアントが納得できる根拠を提案したり、クライアントの言うことを自分が納得する。それが成長するためのポイントですね」

そんな本庄は2019年3月にデザインチームから企画チームへ異動し、ディレクターになりました。クライアントのイメージを具現化してデザイナーへ渡すことに特化したディレクターになろうと、日々奮闘しています。

本庄 「モノづくりが好きなのでどうしても自分でデザインしたくなる時がありますが、ディレクターの僕がデザインに手を出すと、デザイナーの自由度を阻害してしまいます。だから今は、下手に自分のデザイン力を出さないように気をつけています。
その一方で、これまでデザインできるディレクターが弊社にあまりいなかったので、グラフィックに理解のあるディレクターでいようと心がけています。ディレクターがクライアントの求めるイメージをデザイナーへ正確に伝えることで、要望に沿ったデザインが完成しますからね」

自分が手を動かしてデザインする機会は減りましたが、これまでデザイナーとして身につけてきたスキルは、ディレクターの仕事に生かされています。

自分がデザインするのではなく、俯瞰してビジネス全体を把握し、必要な情報をクライアントやデザイナーに伝える。デザイナーとは大きく異なる仕事内容に悪戦苦闘しつつも、素直な気持ちと持ち前の“スクラップ&ビルド”の精神でチャレンジしています。

これまでの経験を生かす一方で、頑なにならないよう周りの意見を素直に聞き、さらなる成長につなげている本庄。あらゆる逆境を経験していながらも新たな挑戦を恐れない精神で、これからもフライング・ハイ・ワークスのディレクターとして歩み続けます。

関連ストーリー

注目ストーリー