ユーザーに本質的な価値を届けるために「マジ価値指針」を策定

▲マジ価値指針

クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを開発・販売するfreeeは、ここ数年の拡大にともない社員数が急増しています。そこであらためて社内体制を整えるため、新部署「カルチャー推進」が2018年7月に誕生しました。

関口 「カルチャー推進は、いわば総務と人事の機能を併せ持つ部署で、入社後の研修やオフィス周りの問い合わせの対応、福利厚生の整備なども担当領域です。私は ICX( Internal Communication & experience)という役割を持っていて、社内のコミュニケーション設計をメインに担当しています」

カルチャー推進では、当社の行動指針である以下の「マジ価値指針」を通してコミュニケーション設計を進めています。

「理想ドリブン」は現実のリソースやスキルにとらわれず、理想から考える。「アウトプット→思考」まず、アウトプットする。そして考え、思考する。「Hack Everything★」取り組んでいることや性質のリソースを深く理解する。その上で枠を超えて発想する。「ジブンゴーストバスター」は自分が今向き合いたいジブンゴーストを言語化し、それに対するフィードバックを求め立ち向かう。「あえて、共有する」はオープンにフィードバックし合うことで一緒に成長する、というものです。

関口 「『マジ価値』という言葉は普通に仕事の中に出てくるんです。『マジ価値を追及しきれていないから、その方針はもっと考え抜こう』など、普通のミーティングで日々飛び交っています。
freeeに集まっているのは、ユーザーにとって本質的に価値があると言い切れる仕事がしたいと思っている人たち。その人たちの行動指針を明文化した『マジ価値指針』をもっと浸透させるため、社内報で特集するなど細かい施策を多く打っています」

そんなカルチャー推進で、社内交流のイベント企画もどんどん考えていました。ブレストする中で挙がってきたのが、「バレンタイン」をHackする企画。

毎年バレンタイン前になると、社内のグループSNSで声を掛け合い、代表で誰かが取りまとめて各フロアにチョコレートを置いていたりしました。準備に時間がかかり、いつしかバレンタイン自体が義務のような行事に……。各フロアに置かれたチョコレートに受け取る側も、ありがたみを感じているのかも不確かでした。

社員たちがバレンタインに価値を見いだせない中、関口と成田は、カルチャー推進が会社全体のイベントとして新しい価値を生み出したらどうかと考えます。

ワクワクと連鎖をコンセプトに、「ありがとうエコシステム」を構築

▲ありがとうが送られた人に贈られるチョコレート
成田 「 freeeはダイバーシティ推進にフルコミットしている会社。そのため、男女を区別したイベント自体が freeeらしくないなと思ったんですよね。バレンタインを『愛を伝える日』から『感謝を伝える日』にすることで、普段なかなか言えない『ありがとう』が伝えられる機会にしてみようと思いました」

このイベントを「ありがとうがバクハツする」を略して「ありバク」に決定。

当日まで2週間弱という過密スケジュールの中、マジ価値指針である「Hack Everything★」の精神を持ち、推進メンバーは理想ドリブンで考えていきます。

当日までに、社員にはありがとうを伝えたい人にメッセージを贈ってもらうことにしました。メッセージが一通でも多く飛び交うよう、Google Apps Scriptを使用して「ありがとうフォーム」を設計。関口を中心に進め、他部署の社員にも手伝ってもらいます。

チョコレートを渡すときのドキドキ感や、当日チョコレートもらえるかな?というそわそわした気持ち。そんなバレンタインならではの「トキメキ」体験を残すため、メッセージの内容と贈った人は、当日になるまでわからない設計にしました。

関口 「今回のバレンタインのコンセプトは『ワクワク』と『連鎖』。どうやったらワクワクできるか、感謝がどう連鎖していくかという軸で考え抜きました。『ありがとう』って、贈られたら嬉しいから、自分も贈ろうかなって思える。
だからもらったメッセージの末尾に『あなたも誰かに感謝を届けよう』というテキストリンクをつけ、感謝が連鎖する『ありがとうエコシステム』を構築しました。
さらにデザインが得意なメンバーにはイベントロゴや、当日オープンするカフェブースのロゴを描いてもらいました。とにかくいろんな人を巻き込んで、多くのクリエイティビティが集結する。それをみんなが感じて次のカルチャーになっていくと考えています」

この2週間で想定以上の「ありがとう」が飛び交い、運営側が発注していたチョコレートの数では足りないという事態に。急きょお店に走ってギフトボックスを調達し、他部署のメンバーともプレゼントを手作りして当日に備えました。

社員全員を巻き込む!評価ではなく、純粋な「ありがとう」を伝える機会に

▲「ありバクの儀」当日の様子

バレンタイン当日。

2週間弱の準備期間でしたが、細かい工夫を随所に散りばめました。会場にはコーヒー・紅茶を淹れるのが得意な社内メンバーによるカフェブースがオープン。贈った人にはfreeeのロゴが描かれたチョコマシュマロをプレゼントし、「ありがとう」を贈った人も贈られた人にもお菓子がもらえるしくみをつくりました。

また、参加してないメンバーも食べられるチョコレートファウンテンも設置。全社員を巻き込んだイベントとして盛り上がります。

さらに中央には爆弾型の風船を用意し、最も多くのありがとうをもらったTOP3の社員が、一緒に風船を爆発!その瞬間、感謝を贈られた人全員に「ありがとう」メールが届きました。500通という目標に対し、結果的に贈られたのは2040通!目標メッセージ数の400%を達成しました。

成田 「 TOPに選ばれたのは、プロダクトのサポートメンバーでした。『日々の業務を取りまとめてくれてありがとう』など、一つひとつのありがとうって、必ずしも大きな功績をたたえたものばかりではないんです。ちょっとした手伝い、かけてくれた言葉、そういう些細な行為にたくさんの感謝が集まっていましたね」

雇用形態・役職関係なく、ありがとうメッセージは贈られていました。

普段、レポートラインからもらう「ありがとう」は、評価としての言葉が多い。しかしこの「ありがとう」は、純粋な感謝です。ありバクのシステムでわざわざ感謝を贈り合うことで、「本当に感謝してくれているんだな」と、実感するメンバーが多かったのです。

ありバクを終えて、自ら個人SNSに投稿するメンバーが相次ぎ、「ありバク良かった」「最近freeeの雰囲気がよくなった」という声が経営陣も含め多方面から挙がりました。

また月に一度の組織サーベイ(全社員に向けたEXや会社の満足度に対して問うもの)でも、前Qと比べて好評価を得ています。

カルチャーへの無関心層を少しでも減らすことがミッション

▲カルチャー推進のメンバー(前列右から2番目が成田美和、後列1番左が関口聡介)

これまでfreeeでは経営者と社員の距離を近づけるために、「スナック燕」というイベントを開催するなど、社内での交流を深めてきました。ありバクも含めたこのような交流イベントを、今後も定期的に続けてカルチャーを浸透させたいと考えています。

成田 「開催後、社内にいる人間が外でカルチャーの話をするときにありバクが語られることや、感謝されることも少しずつ増えてきました。『うちのチームでこのしくみを利用してアワードをやって、賞賛の機会を作りたい』といった相談がうちのチームに入ることもあります」

大きなイベントのみならず、価値観を考えるきっかけや感謝しあうことの重要性を伝えるため、細かい施策をどんどん実行していきたいと思います。

関口 「カルチャーに対する興味って、社内で『関心を持つ層』『関心は持つけどアクションは起こさない層』『無関心な層』の 3つに分かれると考えていて、だいたい 2:6:2くらいの比率に分かれているのが実情。
組織カルチャーが崩れるのはこの無関心層の割合の多さが大きな原因だと思っています。「ありバク」のようにカルチャーとのタッチポイントを増やすことでその割合を少しでも減らすのが、カルチャー推進の大きなミッションのひとつです」

カルチャーが浸透したかどうかは目で見えるものでもなく、数値でも簡単に表せません。効果はなかなか見えづらくて、難しい課題だと日々実感します。しかしカルチャー推進が介在することで、徐々に浸透していくと信じて進めています。

イベントや福利厚生など、規模の拡大により合わなくなったものを、今のfreeeに合わせて正しい形にフィットさせ、アップデートさせる。この取り組みに大きな価値を感じながら、今後も会社のカルチャーに対して真摯に向き合うチームであり続けたいと思っています。