福岡県発!日本初!地域資源を活かしたビジネスコンテストが“あたたかい”理由

福岡県には、日本初のユニークなビジネスプランコンテストがあります。その名も「福岡よかとこビジネスプランコンテスト」。よくある“ドライ”なビジコンとは一線を画し、“あたたかい”という評判が広まっている当コンテストは、2017年度で3回目を迎えます。その舞台裏には、紆余曲折と並々ならぬ情熱がありました。
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地産地消のユニークさが特徴の、「よかとこビジコン」

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2015年度にスタートした「福岡よかとこビジネスプランコンテスト」(略して、よかとこビジコン)。博多弁の「よか」は「良い」で、「よかとこ」は「良いところ」のこと。主催は、福岡県と福岡県ベンチャービジネス支援協議会です。

福岡県は、豊かな自然や都市機能に恵まれ、生活やビジネスを充実させる環境が整っています。県内各地の地域資源を活かして、新しいビジネスを創出しようというのが、このよかとこビジコンの狙いです。

コンテストの募集テーマは、次の2つです。
・福岡県内の地域の魅力や強みを活かす新しいビジネスプラン
・福岡県内の地域課題を解決する新しいビジネスプラン

応募要件は「福岡県内で創業を予定する方」で、創業予定地域(市町村)を特定する必要があります。例年のスケジュールは、10月末に募集を締め切り、11月の一次審査から2月の最終審査まで続きます。そして、最終審査では大賞(1名)50万円と副賞、優秀賞(3名)10万円が用意されています。

よかとこビジコンの特徴は、大きく3つあります。
1つは、福岡県の豊かな地域資源と、県内で創業を希望する方のアイデアを掛け合わることで、地域経済の活性化を図ろうという点。このような視点に立ったビジコンは、事業を開始した2015年度には、全国を見渡しても他にありませんでした。つまり、日本初のユニークなビジコンということです。

2つ目は、自治体の支援が充実している点です。先ほど紹介した応募要件に「創業予定地域(市町村)を特定すること」とあり、応募者は創業を希望する市町村に担当課があればサポートを受けることができます。

2017 年8月現在、福岡県内60市町村のうち44市町村が創業支援プログラムを作成しており、積極的に支援する姿勢を表明しています。また市町村では、独自にテーマを定めて市町村賞を授与します。

3つ目として、自治体のみならず、事務局やその他のサポートも豊富な点が挙げられます。応募前には、事務局主催でビジネスプランの作り方セミナーを開催。

さらに、一次審査合格者が対象のワークショップでは、トーマツベンチャーサポート㈱、福岡県ベンチャービジネス支援協議会コーディネーター、市町村担当者、商工会議所・商工会担当者、地域金融機関とディスカッションを行い、事業企画のブラッシュアップを図るなど、手厚い支援体制が整っています。

ビジネスプランの作り方がまったくわからない人でも安心して応募できるのは、このビジコンの強みといえるでしょう。

初年度は認知不足から、協力自治体と応募者数が伸び悩んだ

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▲初年度(2015)は集客がうまくいかなかった
よかとこビジコンは、今年度(2017年)で3回目を迎えます。今でこそ協力自治体や応募者が増え、知名度も上がっていますが、立ち上げから順風満帆だったわけではありません。

2015年当時、日本では政府のリードにより「地方創生」の熱が高まっていました。私たち福岡県庁内でも、地方創生に関連した事業を立ち上げようと、担当者が議論を重ねました。

地方創生のキーワードは、ひと・まち・しごと。いろいろな方に福岡へ来てほしいけれど、仕事を探すのが難しい地域もある――。そこで視点を変え、「福岡県の地域資源に興味を持って、起業してくれる人に来てもらえれば」という発想から生まれたのが、よかとこビジコンです。

ベンチャーやテクノロジー系のビジネスプランコンテストは他にもあるけれど、「地域の魅力や強みを活かす」「地域課題を解決する」という視点は目新しく、斬新な企画でした。

1年目は、福岡県の担当者を中心として、県内60市町村に協力を呼びかけるところからスタートしました。具体的には、各市町村は創業支援プログラム(※)を作成し、応募者から自分の市町村で創業したいという申し出があった場合に、応募前から創業までサポートするという役割を担う仕組みになっています。

着々と準備を進めて、いざ募集をスタート。しかし……。

初年度は集客がうまくいかずに、協力自治体は14市町村、応募者はわずか27人にとどまる結果となりました。このままでは終われない、来年こそ、このユニークな企画を、もっと多くの人に知ってほしい――。担当者たちの模索が続きました。

(※)創業支援プログラムとは、地域内外から創業希望者を呼び込むため、地域資源や創業支援施策、地域の魅力を情報発信するもの

応募者を地域ぐるみでサポートし、すでに創業したケースも

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▲第1回よかとこビジコンの大賞に選ばれた、映画監督・完山京洪さん
さて、2年目のこと。1年目はUターンやIターンを強く意識していましたが、2年目は少し方向転換を図りました。「すでに福岡に住んでいて、福岡で創業しようという人もしっかりサポートしよう」という思いから、応募の間口を広げたのです。

担当者は初年度以上に情熱を燃やし、60市町村への声かけも地道に続けました。その努力は実を結び、2年目は46もの市町村が意欲的に参加するイベントへと成長。その裏側には、私たち福岡県庁だけでなく、各市町村の担当者の熱意もありました。

それではここで、第2回目までの受賞者を一部ご紹介しましょう。

2015年の第1回に栄えある「大賞」に選ばれたのは、国際映画祭での受賞歴もある映画監督の完山京洪さんでした。家具のまち・大川市の地域おこし協力隊員として、まちの魅力を映像でPRしていた完山さん。大川にある空き倉庫を撮影スタジオに再生し、美術品は全て大川家具でそろえ、海外の撮影スタッフを呼び込むという構想をプレゼンして、大賞を獲得しました。

応募のきっかけは、市役所職員から声をかけられたこと。市役所職員や商工会議所のスタッフなどの協力を得て、見事に優勝。受賞後は、まちの人が空き倉庫探しなどを手伝ってくれて、この夏、念願のコワーキングスペースをオープンしました。

2016年の第2回は、「九大ジビエプロジェクト」と題して西村直人さんが提案したプランが大賞に輝きました。糸島市を拠点に、農林被害対策で捕獲される猪などを、食肉や皮・毛を使った商品に加工。鳥獣事業の新しいモデルを確立し、多地域で連携展開することで、人と生物の良好な関係を築いていくことを目指す産官学連携事業でした。

ほかに受賞した3プランは、女性の視点を活かしてうきは市で創業する「バスにステキな人と本とおいしいものを詰め込んで、福岡のよかとこバスハイク!」、ふるさとの味を手軽に味わいたいと願う留学生の発想から生まれた「Home Market」、東峰村に24時間英語漬けの環境を作る「東峰英語村構想」でした。

先に述べたよかとこビジコンの特徴のひとつに、自治体が応募者を支援する点がありました。たとえば、バスハイクのプランはうきは市長の表彰も受けて、役所も商工会も地域ぐるみで応援を続けており、すでにトライアルで事業が動き出しています。

ちなみに、「Home Market」を提案したのは太宰府の大学に通う留学生。市の担当者は彼に寄り添い、資料や計画書などの日本語をわかりやすくブラッシュアップしてあげたそうです。

ほかにも、関東在住でプランを作成した応募者の方は、広川町の農家の課題を知りたいけれど、遠くて通えずにもどかしい状況に陥ったそうです。しかし、町の担当者が応募者と連携を取り意欲的にサポートすることで、アンケートやヒアリングを実施することができたのです。

このように、よかとこビジコンの魅力は、応募者と地域が一体となり、プランを創り上げていくところにあります。さらには地域ぐるみで応援し、単なるプランニングで終わらず、創業までサポートするところが醍醐味なのです。

応募者は地域の宝!みんなで地域を盛り上げていきたい

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▲2016年度のよかとこビジコンの様子
さて、3年目となる2017年度のよかとこビジコンは、8月1日から10月31日まで応募を受け付けています。今年度の創業支援プログラム作成市町村数は44市町村です。

行政の力だけでは、地域を活性化できない時代が来ています。そんななか、自らリスクを取り、福岡県の地域資源を活かして創業しようと手を挙げてくれる応募者は、地域にとってかけがえのない宝物です。

そんな応募者を、行政も商工会も地域の人たちも一丸となって応援し、地域をよりよく変えていこうという前向きなパワーが、このよかとこビジコンを通じてどんどん生まれています。

最終審査の会場には、サポートする人たちも駆けつけ、みんなで応援します。授賞式には笑顔があふれ、応募者はもちろんサポーターが感動の涙を流すシーンも――。そんな光景を目にした審査員や会場の方々から、「よかとこビジコンは、とてもあたたかいですね」とうれしい言葉をいただくことも多々あります。

さらには、よかとこビジコンの噂を聞きつけた他県の人などから、「自分たちもやりたい」という問い合わせが入ることも増えてきました。

オール福岡で情報を発信して、みんなで地域を盛り上げようという土壌を耕してきた“あたたかい”よかとこビジコン。さらなるムーブメントを巻き起こし、地域資源を活かした創業の地として福岡県が選ばれるように、これからも応募者の方々を全力でサポートしていきます。

【2017年度 福岡よかとこビジネスプランコンテストの概要】
- 8月1日(火)  福岡よかとこビジネスプランコンテスト募集開始
- 9月2日(土)  東京周知イベント
- 9月23日(土)  ビジネスプラン作成セミナー東京(福岡県東京事務所)
- 9月下旬以降   福岡周知イベント(土日開催予定)
- 10月8日(日)  ビジネスプラン作成セミナー福岡(福岡アジアビジネスセンター)
- 10月31日(火)  福岡よかとこビジネスプランコンテスト募集終了
- 11月中旬     一次審査(県書類審査)
- 12月16日(土)  ワークショップ
- 1月5日(金)   事業計画書提出期限(一次審査通過者)
- 1月下旬     二次審査(外部審査委員書類審査)
- 2月24日(土)   公開審査会・最終審査・表彰式

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