官民みんなで取り組んだまちづくりの歴史。 だから北九州地域は住みやすいっちゃ?!

豊かな自然と食、利便性に恵まれ、移住先や創業地として注目を浴びている福岡県。60市町村からなるその土地は、地理・歴史・経済的特性から「北九州」「福岡」「筑後」「筑豊」の4地域にわけられます。今回は北九州の歴史的背景を紐解きながら、創業の土地としての魅力をご紹介します。

北九州市・遠賀・京築の3地域からなる「九州の玄関口」

▲関門海峡

皆さんは、北九州地域がどこにあるかご存知ですか? その名の通り、九州の北部に位置し、本州と九州を結ぶ「九州の玄関口」となっています。

北九州地域は、福岡県北東部に位置する人口128万2,000人(2015年10月現在)のエリア。福岡県の人口の25%ほどが住んでいます。この地域は大きく3エリアにわけられ、政令都市の北九州市をはさんで、西に遠賀地域(中間市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町)、南に京築地域(行橋市、豊前市、苅田町、みやこ町、吉富町、上毛町、築上町)が広がっています。

北九州地域を語るキーワードとして、まず浮かぶのが「ものづくり技術」「環境」です。この地域には、九州で最も高度な工業や技術が集積しています。鉄鋼や化学などの素材型産業をはじめ、自動車や半導体、ロボットといった加工組立型の産業も集まり、ものづくりの技術を活かした地域の活性化が進められています。

また、環境問題を克服した経験をもとに、日本最先端の環境産業や循環型の都市づくりに取り組んでいます。さらに、北九州学術研究都市があり、科学教育や研究開発を行う大学や研究機関が集まっているのも、この地域の特徴です。

日本初の官営製鉄所により発展! 深刻な公害問題に声をあげたのは母親だった

▲東田第一高炉跡

では、なぜ北九州で「ものづくり」と「環境」の分野が発達したのでしょうか。その背景を探るべく、歴史をさかのぼってみましょう 。

1901年、官営八幡製鐵所が操業して以来、北九州地域は鉄鋼業をはじめとする重化学工業地帯として発展しました。戦前は国内有数の軍需工場として稼働し、戦後は造船、自動車、電機、電力、土木・建設業界などに鉄鋼を供給。日本四大工業地帯のひとつに数えられ、日本の近代化や高度経済成長の牽引的な役割を担ってきました。

今日では規模こそ縮小しましたが、自動車用鋼板や鉄道用レールなど付加価値の高い製品を生み出し、日本はもとより世界に貢献しています。そして、今なお八幡製鉄所創業期の4つの建物が残されており、2015年には世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」を構成する資産として登録されました。

北九州が現在まで産業都市として発展している礎は、八幡製鐵所によって築かれたといえます。

産業が盛んになる一方で、日本ではかつてない公害問題が発生。北九州でも深刻な被害が広がりました。北九州で公害問題に対して声を上げたのは、子どもの健康を心配した母親でした。自分たちで大気汚染の状況を調査し、企業や行政に改善を求める住民運動を起こしたのです。

そんな切実な声を受け、企業も行政もスピーディに対応を行いました。市民と行政、企業が一体となって公害対策に取り組んだことで、北九州市の環境は急速に改善し、1980年代には「環境再生を果たした奇跡のまち」として国内外で紹介されるまでになりました。

日本初の近代的製鉄所の繁栄、それに伴う深刻な公害問題との戦い――。北九州地域の歩みは、まさに官民一体となって形づくられてきたものなのです。

世界有数の自動車生産拠点が、官民一体により「子育て環境日本一」に?!

▲北九州市立子育てふれあい交流プラザ

さて、八幡製鐵所が大いに発展した要因は、近くの筑豊炭田から石油、中国から鉄鋼石を輸入してきたことにありました。しかし、第二次世界大戦は中国からの輸入がなくなり、さらに石炭から石油へエネルギー資源の転換が進んだことから、衰退の一途をたどりました。

その後、北九州を支えてきたのがものづくりの力です。公害問題を克服した技術やノウハウをもとに、低燃費車やロボット、半導体など、環境に関わる最先端技術や産業がこの地に集積しています。

中でも、行政のリーダーシップのもと、北九州地域はアジアをリードする自動車の一大生産拠点を目指してきました。

1975年に九州初の自動車工場として生産を開始した日産自動車九州㈱の工場は、京築地方の苅田町にあります。さらに2010年には、同じ苅田町に日産車体九州㈱がグローバル日産の最新工場を新設。また、1991年に設立されたトヨタ自動車九州㈱は、苅田町と北九州市に工場を有しています。

「福岡」地区のダイハツ九州㈱を合わせると、北部九州には4つの自動車メーカーが立地し、年間154 万台の生産能力を持つ世界有数の自動車生産拠点となり、多くの関連企業も集まっています。

また、北九州市は「日本一子育てしやすいまち」と称されています。NPOが全国20政令市の子育て支援について調べた「次世代育成環境ランキング」では6年連続1位を獲得するなど、全国的に高い評価を得ているのです。

その背景には、小児医療や子育て支援施設、子育て支援サービスの充実などがあげられています。人口の減少が続く中、子育て環境の良さをアピールして若い世代を呼び込もう。こちらも官民が連携した取り組みが功を奏した結果といえます。

伝統ある神楽、豊かな食、水辺の楽しみなど、暮らしの魅力も多彩にそろう

▲京築神楽

北九州市はもとより、遠賀・京築地域も合わせて、子育て環境の充実を図っている北九州地域。子育てに限らず、暮らす場所としての魅力もたくさんあります。

北に位置する遠賀地域は、古代から農耕文化が栄え、稲作文化発祥の地として知られています。また、遠賀川と響灘に面しており、海水浴やマリンスポーツ、カヌーなどのリクリエーションも盛んです。自然あふれる住環境と交通の利便性から、北九州市のベッドタウンとしての役割を担っています。

東の京築地方は、こちらも北九州市への通勤圏でありつつ、自動車関連産業が集積していることから、職住近接型の定住圏といえます。五穀豊穣・無病息災を願う「京築神楽」が脈々と受け継がれ、国重要無形民俗文化財に指定されています。春と秋には多くの神社で神楽が奉納されるほか、地域外でも公演を行い、子どもや若者にもしっかり継承されています。

また、「豊前海一粒かき」「豊前本ガニ」など京築ならではの海の幸や、いちじくやスイートコーンをはじめ多種多様な農産物が栽培されています。

官営八幡製鉄所に端を発し、ものづくりの技術や環境都市として発展してきた北九州。官民一体となったまちづくりは、子育て環境日本一という評価にもつながっています。高度な技術と暮らしやすい環境を誇るこの土地は、仕事と育児を両立しやすいといえるかもしれません。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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