12の市町が独自文化を育くんできた魅力の宝庫・筑後。みんなで連携・補完しあうネットワーク型都市圏へ

豊かな自然と食、利便性に恵まれ、移住先や創業地として注目を浴びている福岡県。60市町村からなるその土地は、地理・歴史・経済的特性から「北九州」「福岡」「筑後」「筑豊」の4地域にわけられます。今回は筑後の歴史的背景を紐解きながら、創業の土地としての魅力をご紹介します。
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美しい自然を残したまま、農業・水産業・先端産業・伝統工芸などが発展

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▲八女市の茶畑
筑後は、福岡県の南部にある9市3町からなるエリアです。かつての行政区分「筑後国」からその名が付けられています。福岡県の人口の15.9%にあたる約81万3,000人(2015年10月現在)が生活しています。

筑後川や矢部川などの河川、有明海、耳納連山など、豊かな自然に恵まれた筑後地域。昔から農林水産業や地場産業、商工業などが発達してきました。米や麦、フルーツ、お茶、海苔など農林水産物の一大産地として知られています。

また、川下りや歴史ある建造物など観光資源に恵まれ、先端産業や伝統工芸が盛んです。人びとがにぎやかに交流し、独自の文化が育まれてきたこの地では、美しい自然と暮らしが見事に調和しているのです。

それぞれの市や町に特徴があり、魅力があふれているのも筑後の大きな特長です。しかし、少しずつ若い世代が流出し、高齢化が進んでいます。そのため、地域特性を生かした活性化を図るべく、さまざまな取組を展開しています。

日本一の医療都市を有する久留米圏域、農業や文化に注力する八女・筑後圏域

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▲久留米リサーチ・パークセンター
筑後地域は、3つの圏域にわかれます。北から久留米圏域(久留米市、大川市、小郡市、うきは市、大刀洗町、大木町)、八女・筑後圏域(八女市、筑後市、広川町)、有明圏域(大牟田市、柳川市、みやま市)となっています。

それぞれの圏域の特徴をみていきましょう。

久留米圏域は、筑後川の上流から中流にかけて筑後平野が広がる地域。その中核的な存在である久留米市は、10万人あたりの医師数が日本1位(2014年末現在)という医療都市です。子育て環境にも恵まれており、保育料は国の基準より低く設定され、小学校から大学・高専まで学校数が多く、幅広い選択肢があります。

また、久留米はバイオ産業の振興の中心地であり、2017年現在、200 社を超えるバイオ関連企業が集積して、バイオ産業の拠点化が着実に進展しています。

大川市は、江戸時代から木工を中心としたインテリアのまちとして発展。大川家具はその名が全国的にも知れ渡っています。小郡市はベッドタウンとなっており、女性の再就職支援に力を入れています。

同圏域を見てみると、歴史ある白壁の町並みや古民家などが広がるうきは市は、ほぼ1年を通して旬の果物が実るフルーツ王国。ショップやカフェ、農園などを営む移住者もいます。大刀洗町は子育て支援、大木町は環境問題と農業支援にそれぞれ力を入れています。

八女・筑後圏域は、県南東部に位置し、中央を流れる矢部川が有明海に注いでいます。八女市は古くからお茶どころとして有名で、仏壇やちょうちん、手すき和紙などの伝統工芸が受け継がれています。

筑後市は、全国トップクラスの農業先進地域で、米や麦、梨の栽培が盛んです。2013年に芸術文化交流施設「九州文芸館」、2016年には福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地「HAWKSベースボールパーク筑後」が誕生し、多くの人でにぎわっています。そして広川町は、利便性のよさからベッドタウンとして人気が高く、国際色豊かな教育も魅力です。

炭鉱からエコ産業へ転換を図った大牟田市など、それぞれの道を拓く有明圏域

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▲三池炭鉱宮原坑跡
最後に、有明圏域を紹介しましょう。有明圏域は、東になだらかな稜線の山々が連なり、西は有明海に面した温暖な気候で、個性が光る3市で構成されます。

大牟田市には、かつて日本の近代化をけん引した三池炭鉱がありました。1997年の閉山により一時は廃れていましたが、新しい方策として環境・リサイクル産業の集積を図り、大牟田エコタウンではレアメタルリサイクルなどの環境産業が行われています。

2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、三池炭鉱と三池港などが世界遺産に登録されました。また、全公立小・中・特別支援学校がユネスコスクールに加盟し、持続可能な社会づくりの担い手として特色ある教育を受けています。

柳川市は、掘割が流れる美しい水郷で、川下りや旧藩主立花氏の別邸「御花」、北原白秋記念館など豊富な観光資源があります。見渡す限りの農地、独特の生態系を持つ有明海などの自然にも恵まれたエリアです。

みやま市には、有明海と矢部川、筑後平野の田園風景など、日本のふるさとの原風景が広がっています。そんな心安らぐ自然と歴史を楽しめるトレッキングの「みやま・清水山コース」は、「九州オルレ」に認定されました。今後、オルレを目的とした外国人観光客の増加が見込まれています。

それぞれの魅力が輝く12市町が連携して、みんなで補い・高め合う

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▲ちくご子どもキャンパス (筑後田園都市推進評議会事業)
筑後地域は、個性豊かな都市がそれぞれの機能を連携・補完しあうネットワーク型の新しい都市として発展するために「筑後ネットワーク田園都市圏構想」を推進しています。

9市3町のすべてが参加し、「ちくご定住促進プロジェクト」「筑後の観光魅力発信プロジェクト」「ちくご子どもキャンパス」「ちくご認知症高齢者等SOS ネットワーク広域連携事業」など、具体的な取り組みを精力的に展開しているのです。

その中のひとつ「ちくご子どもキャンパス」では、21世紀を担う子どもたちが、筑後地域に集い、それぞれの個性を活かしてつくられたプログラムを通じて、体験し、遊び、学ぶ場を提供しています。

子どもたちは、5つの学部からなるプログラム・出会いによって、「まち」への誇りと愛着、そして責任感を自然と身につけていきます。プログラムづくりの主役は、NPOなどの地域づくり団体や、地域の大学、企業です。地域住民の皆様にもサポーターとして参画していただいています。

また「ちくご認知症高齢者等SOS ネットワーク広域連携事業」は、大牟田市の好事例を拡大したものです。大牟田市では2002年度から、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、さまざまな取り組みを推進しています。

警察をはじめ交通機関や企業などで構成するSOSネットワークは、「認知症になっても、安心して外出できるまち」を目指し、認知症の人を地域で見守り、行方不明になったときは地域ぐるみで捜索・保護する仕組みです。

大牟田で行われる訓練には、毎年3,000名を越える市民の参加があり、意識の高さがうかがえます。かつての「炭鉱のまち」は、地域の人を地域で支える意識が広がり、「みんなに優しい福祉のまち」へと変貌を遂げています。この取り組みは各地で高く評価され、筑後地域全体へと広がっています。

また筑後地域では、「筑後の観光魅力発信プロジェクト」として、外国人観光客の拡大に向けた取り組みを実施しています。2016年度には、筑後地域の観光資源を外国人観光客にPRするため、外国人視点によるモデルコース(英語・韓国語・中国語(繁体字))を作成し、インバウンド向けの情報誌やwebサイト「ちくご観光案内所」などを通して情報を発信。

2015年に約15万人の外国人が訪れた柳川市では、その半数以上が台湾からの旅行者で、日本語を勉強して来る人が多いことから、「やさしい日本語」でおもてなしをするという取り組みを。2016年に5,000人以上の外国人が訪れた久留米市では、田主丸地区で外国人への対応を学ぶ研修も実施されています。

ほかに、長い歴史を刻んできた久留米絣や大川のインテリア、八女などの伝統工芸の分野には、若い世代が新しい風を吹き込みはじめています。

筑後地域は、美しい自然に囲まれ、のんびりと心豊かに暮らせるエリア。それぞれの地域資源を大切に育みながら、まわりとゆるやかに連携することで、よりよいまちづくりに取り組んでいます。

そんな筑後地域の人たちは、穏やかで朗らかな人が多いといわれています。それは、農林水産業や伝統工芸をベースとして、コミュニティを大切にする文化が根づいているからかもしれません。筑後地域で、ゆったりとしたときの流れを体感してみませんか。

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