もう一度、夢を叶えたいーーFULLERのちょっとあつい創業秘話

千葉県柏市でデータ分析事業、スマートフォンアプリ事業を展開するFULLER(フラー)株式会社。国内初のアプリ視聴率データ調査サービス「App Ape」、スマホを擬人化した端末管理アプリ「ぼく、スマホ」などを生み出し、2011年の創業以降、仲間と共に成長を続けてきた「FULLER」の軌跡をご覧ください。

「FULLER」の原点は高専にあった

FULLERの代表取締役社長の渋谷と共同代表の櫻井は、新潟県長岡市の高等専門学校で5年間を共に過ごした同級生。互いに寮の別階の長として寮生活をも共にするなかで、寮生の教育方針などを巡ってぶつかり合うなど、当初は“犬猿の仲”でした。

いつも飄々としている渋谷に対し、生真面目な性格ゆえに対立することが多かった櫻井。しかし、寮生活2年目のある晩、彼は突然渋谷に呼び出され、朝までそれぞれの想いを語り明かすことに。櫻井はこのとき、渋谷は適当にやっているように見えて、本当は彼なりにみんなが楽しくいられる寮にしていきたいという想いを持って行動していることを知ります。性格は正反対なふたりでしたが、実は同じ想いを持っていたのです。

そして高専最後の年には、「卒業しても集まれるクラスメートでいたい。その夢を一緒に叶えてほしい」と渋谷から頼まれた櫻井は、学科対抗の演劇に出場することを決意。学校行事に冷めていたクラスメートを鼓舞しながら、クラスメート全員と共に演劇というものづくりを進めていきます。

そんなふたりの想いはクラスメート全員にも伝わり、クラスの和は深まっていきました。結果は3位入賞と良いとも悪いとも言えない中途半端な結果でしたが、クラスメートが号泣するほど打ち込んだ事実と渋谷の満足そうな顔が、櫻井にとってはなによりの喜びでした。

卒業後はお互い別々の道を歩み、別の大学に進学することになりました。しかし2年後、デザインを学ぶため大学院に合格していた櫻井に、渋谷から突然の連絡が。「もう一度、夢を叶えたい。一緒に手伝って欲しい」櫻井は、大学院進学を蹴って、何をするかも聞かないまま、ふたつ返事でOK。そして渋谷とともに大学時代を過ごしたメンバーと合流し、FULLERを創業したのです。

いざ創業、茨城県の3LDKで「最強の開発チーム」誕生

社名であるFULLERの由来は、分子構造「フラーレン」のように、組織が拡大しても安定性と柔軟性を兼ね備えた会社でありたいという想いと、ソニーやグリーのように「カタカナ2文字+伸ばし棒」にすることで、世界中の人が覚えてもらえる 会社になりたいという想いが込められています。

このふたつの想いが込められた「FULLER株式会社」は、2011年11月15日に創業。茨城県筑波大学近くの3LDKアパートで、毎日のように仲間とご飯をつくり、ざこ寝をする学生の寮生活のような日々を送りながら、自社サービスの開発準備を進めていました。

渋谷の頭の中にあった自社サービスは、B2B2Cモデルのビジネスモデル。魅力的な無料アプリをユーザーに提供することでアプリの視聴率データを取り、それを他社に有料で提供するというものです。それは、渋谷が新卒第1号として入社したGREEで開発からマーケティングまで幅広く関わっていく中で「あったらいいな」と思ったサービスの形でした。

そして創業から1ヶ月後、「日本で最も開発力のあるチーム」として、ライフネット生命保険株式会社の岩瀬氏にロンドンに呼び寄せられ、急遽プレゼンテーションをすることに。渋谷が飛行機で移動する間に、日本に残ったメンバーは眠ることも忘れてひたすら開発。その甲斐もあって、1億円の資金調達のチャンスを掴むことができ、自社サービス開発に一歩前進することになったのです。

メンバーの「面白くない」の一言が、会社の動向を変える

ユーザー向けの端末管理アプリの開発が着々と進んでいる最中、ある事件が起きます。櫻井が、端末管理アプリのデザインを「楽しくない」と言い出したのです。ただの端末管理では、エンドユーザーの喜ぶ顔が見えない。それでは仕事をしていても楽しくないと……。

その言葉を聞いた渋谷は、メンバー全員を緊急招集します。何のために仕事をしているのか、もう一度皆で考えたい。渋谷にとっては、メンバーがひとりでも「楽しくない」と思うことは、会社存続の危機ともいえる一大事だったのです。

櫻井 「FULLERのメンバー全員が、自分たちが楽しいと思える仕事をずっと続けられること。それこそが渋谷が叶えたいと言っていた『夢』の一つの形なんじゃないかと思いました。僕らは、誰かが作っていて面白くないと思えば、1ヶ月でサービスをイチから作り直すことだってあります。だからこそ個々のスキルや、チームとしての実行力を磨き続けて、『徹底的に仕事を楽しむこと』ができるチームでいたいんです」
そして、“どうしたらメンバー全員が楽しめるか”をとことん話し合った結果、「スマホの擬人化」というアイデアが生まれました。

スマホを“人間”に近い存在にすることで、きっと性別年齢関係なくアプリを楽しんでもらえるはず。こうしてサービスをイチから作り変えた結果、可愛らしい見た目の“スマホおじさん”を育てる端末管理アプリ「ぼく、スマホ」が誕生。その後も“スマホおじさん”がシリーズ展開するほどの大ヒットアプリとなりました。

シリコンバレー合宿を通し、組織として次のフェーズへ

その後メンバーを増員し、ついに共同生活から卒業することに。国内初のアプリ視聴率データ提供サービス「App Ape」もリリースし、ビジネス的には順調に進んでいました。

そんな中、渋谷と櫻井は、会社の更なる成長のために何が必要なのかを知るために、スタートアップ聖地のシリコンバレーに行くことにしました。そこでふたりは、日本にはないシリコンバレー流の働き方やネットワークづくりの仕方などに衝撃を受けます。

この衝撃を言葉で伝えるだけでなく、仲間たちに実際に感じてほしいーー。渋谷は帰国後「みんなでシリコンバレーに行こう!」と 、仲間を連れてシリコンバレーへ開発合宿へ行くことを決めたのでした。

合宿中には、渋谷と櫻井が期待していた以上のものを得ることができました。現地では、多くの人々との縁も得て、新しい仲間、そして会社の新たなサポーターを得ることになります。帰国後には、拠点を千葉県の柏の葉オープンイノベーションラボ(KOIL)に移転し、その年末には大手企業やシリコンバレーで出逢った大物投資家から総額2.3億円の資金調達に成功。今後の事業拡大に向けてさらなる成長を遂げました。

FULLERはどの会社よりも、会社の仲間や支えてくれる人々の”想い”を大事に決断をしてきました。 だからこそ、ピンチのときは仲間で一致団結して乗り越えてきただけでなく、周りの人々が応援してくれ、ここまで成長して来れたのだと思います。

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