きっかけはインド。広く社会のためになるような働き方をしたいと思うように

▲インターン先のインドにて

現在の仕事に行き着いたきっかけは学生時代にあります。

高校生のとき、中国に約2週間渡航し、初めて物乞いの方を見たときの衝撃が忘れられません。

そのころから、自分の育った家庭環境からも、貧困問題に関心を抱くようになり、大学入学前には国際協力の世界で働き、貧困問題を解決したいと考えるようになりましたね。

大学生のときにはJICAのプログラムやトビタテ!留学JAPAN奨学金などを通じて、ラオス、アメリカ、インドへ足を運ぶ機会をいただきました。ラオス滞在中には、少数民族が暮らす村での宿泊・調査や現地で活動する国際機関・民間企業・NPOを訪問しました。あるNPOの取り組みで、障がい者の方が現地の方よりも稼げる仕組みがつくられている現場を目にしたんです。

この経験が、貧困問題の中でも、マイノリティの世界とその周りのサポート、そして、ソーシャルビジネスに関心を持つきっかけとなりました。

アメリカでは協定校留学を経て、国際協力関連機関で働く方々とお話しする機会をいただいた後、インドで聴覚障がい者の方に対して職業訓練事業を行う民間企業のボランティアインターンに参加させていただきました。

とくにインドでの経験は私の中で大きなターニングポイントになっていて。

ある日、インターン先の企業を設立した方と、その方が元々いた外資銀行で今なお勤める元同僚の方とお話しする機会をいただきました。

今は対極の世界で活躍するふたり。脱サラしてソーシャルビジネスをしている方と、金融の世界で今もなお活躍する方。

ふたりの姿を目にして、働くモチベーションは人それぞれなんだと気づきましたね。自分は、より草の根の立場で社会課題を解決して、広く社会のためになるような働き方をしたいなと思うようになりました。

同じ時期に私にはもうひとつ悩みが。それは海外と日本、どちらで働くかということです。

長年の興味、テーマであった国際協力の仕事を海外でやりたいという想いがある一方、離れて暮らす家族にもしものことがあったらという想いもあり、すごく悩んでいて。決断できずにいた私に、ソーシャルビジネスをしている彼はこう伝えてくれました。

「あなたがやりたいことを実現するには海外に出なくてもいいよね。たとえば日本でも、男性の自尊心の低さから自殺率が高いという問題があるように、いろいろな社会課題はあるから、国内の問題に目を向けてみてもいいんじゃない?」

こうした人との出会いやインターンでの経験は、私がこれからどこでどういった働き方をしていきたいか、どういう人でありたいかを考える上で、大きな影響を与えてくれました。

とくに、自分の目指したい方向性を明確にすることができましたし、自分自身の仕事へのモチベーションや、仕事を通じて社会課題の解決に直接携わりたいという想いは、学生時代のこの経験が今につながっているように感じます。

GPとIBDとの偶然的な出会い。──この出会いが、人生の転機となった

▲IBDイベントに登壇

インドからの帰国後、就活サイトを通じてGPと出会いました。

人事の方から連絡をもらって、「悪い会社じゃなさそうだから会ってみようかな」くらいの軽い気持ちが始まりでしたね(笑)。

実は志望業界はコンサルも考えていました。大学3年次にお会いした、あるIT企業の創業者の方がコンサル出身で、その方のような課題解決スキルを身に着けたいと思ったのがきっかけです。

ですが、「課題解決の提案までを行い、実行するかどうかは依頼主次第、コンサルはあくまでサポーターという立ち位置といった印象」を当時持っていたことや、業界関係なく道は自分で切り開いていくものだと考えるようになりました。そうした中で、自分が社会課題を解決する側に立ちたかったので、GPを選んだんです。

GPへの入社を決めた同じ時期にIBD(炎症性腸疾患)の方との出会いもありました。

私は社会課題を解決するビジネスの創出を、大企業在籍者の方々と一緒に目指すプログラムに参加していたんですね。

そのチームの方と一緒に、IBD患者さんのお話を聞いたんです。そこで知ったのが、外出するときにトイレの場所がどこにあるのかがわかるだけでも安心するということ。それなら、IBD患者目線でトイレマップをつくろうと、それをビジネスにするにはどうするかを本気で考えるようになりました。

「トイレマップに関する事業」 は大学卒業後もGP入社後1年目が終わるくらいまで考えていて、アプリの試作品をつくっていましたが、頓挫してしまいましたね。

ですが、IBDの方の患者会には参加し続けていました。そこで困りごととして挙げられていたのは、薬をはじめとする日常生活のこと、トイレのこと、就職のことの3つ。

お世話になっている患者会の代表さんは、その中でもとくに就職に対して強い想いを持っている方で。

昨今の障がい者雇用だと、法定雇用率に換算されるのは障害者手帳を持つ方のみです。なので、障害者手帳を持つ方が雇用されやすいというのが現実としてあります。しかし、IBDの患者さんすべてが、必ずしも手帳を取得できるわけではありません。

病気を理由に採用可否を判断してはなりません。しかし、人・タイミングによりますが、仕事と治療を両立するための通院や、体調に波があることなど、配慮が必要な人がいらっしゃることも確かで。

持病がある方で就業上なんらかの配慮が必要でも、障害者手帳がない方に向けた、働く上での法的な後押し・サポート体制はほとんど整備されていません。適切なマッチングが難しいという理由などから、企業さんも乗り気にならないこともあるんです。

GP先輩社員のサポートを受け、障害者手帳の有無を超えた働き方を目指す

▲同期のみんなと

GPで働き始めて2年がたったある日、私がカウンセリングをした方は偶然にもIBD患者さんでした。

「辞めてくれ」

その方は病気を理由に派遣先から言われたつらい体験を涙ながらにお話をされました。

ひと回りも年上の方なのに、社会人2年目の私を前に涙ながらに話されている姿を見て、「本当につらい経験だったんだな」と。「GPとしてもっとやれたことはなかったのかな」と考え込んでしまいました。

この方との出会いが、IBD患者の働き方について、GPのキャリアアドバイザーとして何か役に立てることはないかを考えるようになったきっかけです。

そんな時期に私には大きな転機が訪れます。

派遣社員として就業していた当時、その方は障害者手帳を持っていなかった。けれど、本当に救うべき、サポートすべき対象は誰なのか。理念に照らし合わせてみたら障害者手帳の有無は関係ないはずです。

GPのキャリアアドバイザーとして、ただ求人を見つけて、右から左に流しているだけでは、自分の介在価値はないなと。

自分がより大きなやりがいを感じられるのは、まだサポートされていない、制度のはざまで苦労している方たちを支援することだと考え、サポートの道を模索し始めました。

そこで2019年5月に立ち上げたのが、難病の方の就業サポートプロジェクト「ベネファイキャリア」です。

ただ、プロジェクトを始めて間も無く1年がたとうとしていますが、今もずっと試行錯誤という感じですね。

私自身、法人営業の経験が皆無のため、法定雇用率に換算されない求職者さんを企業の方にどう提案すると刺さるのか、というところですごく苦労しています。

私だけではなくて、ソーシャルビジネスデザイン本部にいた八鍬慶行、リドアーズ・ベネファイの染野あゆみ、旧メディア事業部の徳永惇士、ジョブトレ企画担当の田中知美はじめ、たくさんのGP社員にも手伝ってもらいながら、事業としてのスタートを目指しています。

自分ひとりだったら続けられていない部分も、チームとしてだから続けることができています。そして、すごく尊敬できる人たちと一緒に活動できるのはとてもありがたいです。

今後も難病当事者の方々や自分よりも経験値が豊富な人たちにアドバイスをもらいながら、やりたいことの実現に近づけていきたいと思っています。

サポートの限界は決めない、課題解決のプレイヤーとしてできる限りのことを

私は「障がい者雇用枠」というしくみがあまり好きではありません。法定雇用率を実現させるため、障害者手帳を持つ、配慮事項の少ない障がい者の方が採用されやすくなっているという側面が強いように思います。そこに歪みというか、ねじれの部分をすごく感じていて。

もちろん、「障がい者雇用枠」の後押しがあって働く機会を得られる方は少なからずいると思います。けれど、多様な働き方が唱えられている今でも、「病気のことを言うと採用されないんじゃないか」と、面接の中でそれを伝えられずに隠しながら働いている方が多くいるのもまた事実です。

カウンセリングに来ることですら、よほど転職に慣れている人でない限り、すごく勇気のいることだと思います。

その人たちがGPに寄せてくださっている期待は、求人を紹介してもらって、就職につなげることです。私たちの目標もまたそうでした。

だからといってただその結果だけを追い求めることはしたくない。私がひとつの求人を紹介してGPからの紹介実績がひとり増えることと、ひとりの候補者の方が就職先を決められることは、同じひとつの出来事でもやっぱりその重みは全然違うんです。このことはしっかり理解しておく必要があると思っていて。

もちろんビジネスをする以上、目先の結果を追い求めることも大切ですが、自分のことだけを考えるのではなく、どれだけ相手のことを考えられるかが最終的な結果につながるんじゃないかと思っています。たまたま私が紹介した会社だったらいいなくらいの感覚がちょうどいいんです。

なので、自社の目標は頭の片隅に置いた上でサポートの限界を決めつけないようにしています。

障がい者人材紹介のスキームでは難しい方も中にはいらっしゃいます。そのときは、GPができないとしても、最大限情報を提供できるよう努めていますね。ごくわずかでも可能性があるなら、求人紹介をして就職活動のサポートをすることも欠かしません。

今のGPの仕事では、障がい者の多様な働き方をメインに業務に取り組んでいますが、福祉の業界には、まだ解決できていない問題がたくさんあるんです。そういった部分にもアンテナを高くして、見逃さないように気を付けたいと思っています。

私は、GPでの仕事を通じて、障がい者雇用はもちろん、本当の意味での差別・偏見をなくしていきたい。

これからもさまざまなことに課題意識を持ち、いつでも課題を解決できるプレイヤーでありたいです。