「多くの障がい者に働く場所と機会を提供する」No.1にこだわる営業マネジャーの挑戦

障がい者の家族や友人がいるわけではない。当事者でもない。それでも障がい者の雇用に情熱を燃やす人がいる。森田健太郎は、ゼネラルパートナーズで法人営業のマネジャーを務めています。「多くの障がい者に働く場所と機会を提供したい」そう話す森田が、自身を変えた体験やGPで実現したいことを語ります。
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新規事業立ち上げに惹かれて転職、それがたまたま障がい者の雇用支援だった

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▲法人営業統括マネジャー 森田健太郎

株式会社ゼネラルパートナーズ(以下、GP)は、2003年に民間初の障がい者専門の人材紹介会社として創業しました。それまでハローワークしか選択肢のなかった障がい者雇用分野に、民間という風をいれ、働ける人と働ける場所を増やしてきました。

2018年現在で創業から16年目を迎え、今では人材紹介事業だけではなく、就労移行支援事業所の開設や求人メディアの運営、定着サービスの展開まで幅広く事業を行っています。

また、障がい当事者向けライフスタイルメディア「Media116」や、障がい者にアンケート調査を行ない発信している「障がい者総合研究所」の運営も行なうなど、障がい者雇用をワンストップで支援しています。

私は2017年にGPに入社し、現在は、atGP紹介事業部の法人営業統括マネジャーに就いています。前職でも7年間、精神障がい者雇用に携わってきました。

“障がい者雇用”という分野に最初からこだわりがあったというわけではありませんでした。もともと新規事業の立ち上げに興味があって参加したら、それがたまたま精神障がい者雇用だったんですね。身近に障がいのある方がいたわけでもないし、自分自身がつらい経験があるわけでもない。

実は新卒で入社したのは、福祉とはまったく関わりのない、大手旅行代理店でした。旅行が好きだったし、誰でも知っている大企業だし、安易な気持ちで就職を決めました(笑)。

その後、培ったさまざまな業界への営業スキルを活かして、より活躍できる場所を、と人材業界に転職しました。

人材会社で媒体営業やシニアの派遣事業などを経験したのち、2011年に大手人材会社のなかの、うつ病や統合失調症などの精神障がい者雇用の新規事業の立ち上げに参画することになりました。

この時にはじめて、“障がい者雇用”という仕事に触れることになったんです。もともとシニアの雇用というニッチな分野に取り組んでいたこともあり、抵抗感はありませんでした。もちろん不安はありましたが、それ以上に新しいことに取り組むワクワク感が勝っていましたね。

社会のなかにも自分のなかにも、精神障がい者への偏見が隠れていた

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▲前職の創業メンバー。障がい者への理解を深める日々でした

当時は、企業でもまだ精神障がい者への差別や偏見が今よりずっと大きく、精神障がい者というと、アポ獲得率は1%切っていたような時代でした。

試しに”精神障がい者の雇用”であることを隠して”障がい者雇用”で営業をかけてみると、アポ獲得率は20%。こんな大手企業の看板を背負っていても“精神障がい者雇用”はこんな状況なのか……とショックでした。

精神障がい者を知らないがゆえの根拠のない恐怖や、「犯罪を起こすのでは」「刃物を持って暴れるのでは」といった間違ったイメージがついて回っていることが、精神障がい者雇用へのハードルをつくっているのではないか、と考えこんでしまいましたね。

でも正直、自分自身にもそういう偏見はありました。

自分の考えが変わった原点は、2011年に企画したはじめての登録会なんです。登録会は、精神障がい者の方にサービスに登録してもらうためのイベントで、サービスの説明やマーケットの情報提供のあと、興味のある方には個別面談まで進んでもらうという、というパッケージになっています。

今思うと本当に恥ずかしいんですが、登録会の前に社内のメンバーの前で「すみませ~ん、警備員とかつけなくて大丈夫なんですか?」なんて聞いたくらい、精神障がい者への偏見があったんです。

初回の登録会当日は、100人収容できる会議室に5人しか集まりませんでした。ただ、来てくれた方たちと接してみると、みんな極めて”普通の”人たち。

「なぜこの人たちが就職できないんだろう」「僕や、普通に就職しているほかの人たちと、この人たちは何が違うんだろう」とものすごく衝撃を受けたことを覚えています。

同じ年には、今度は企業と当事者を招待して、グループワークをするような交流会を開催しました。企画の段階では、「それぞれの感想が聞けたらいいな」くらいだったのに、その交流会がきっかけで2件も採用が決まったんです。

企業様からも「交流会に来ていたあの方を採用したいんですけど、他社さんも採用したいって言ってますよね?」とか「実際にお会いして、精神障がい者の方に対する考えが180度変わりました」というような言葉をいただけたんです。

認識のズレや単純な誤解が招いている機会損失を感じ、精神障がい者雇用支援での人材紹介会社の介在価値がある、と強く思いましたね。

その後2013年に、法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられることが決まり、2012年~2013年にかけて飛躍的に事業が成長しました。

今まで10年に一度くらいの頻度でしか変わらなかった雇用率が、そこから数年で数ポイントずつ上がっていくこととなり、企業側の障がい者雇用への取り組みは加速していきました。

しかし、法定雇用率ありきの障がい者雇用のあり方には疑問も残ります。

最近は少しフェーズが変わってきたけれど、根底にあるものは変わらないと感じてます。「障がいを持っている」ということだけがクローズアップされて、その人個人が持つ特性やスキルなどの特長はまだまだクローズアップされない。言ってみれば、障がい者の採用は加点方式ではなく減点方式なんです。

どれだけスキルや経験があっても、「週に一度通院がある」という条件だけ見て採用できないと判断されてしまうのは不本意ですよね。解決すべき問題はまだまだたくさんあると思っています。

「共通言語で話せる仲間」を求めて、GPへ

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▲atGP求人メディア事業部、キックオフ合宿にて

前職の「すべての人に雇用機会を創出する」というビジョンには、すごく共感はしていました。でも、その企業のなかで障がい者雇用に携わっている人はたった10人。

「障がい者雇用や社会問題解決に100%コミットしている企業で働きたい」 という思いが次第に募り、GPへの転職を決意しました。

ソーシャルビジネスという共通言語で話せる仲間がいて、投資の大部分が社会問題に費やされる。気軽に精神障がいについて話のできる仲間が200人もいる会社はほかにありません。それってすごく幸せなことだと僕は思うんです。

GPの社員は、サービス対象者、特に登録者である障がい者の方、個人に向ける力や思いが本当に強いです。前職ではまず売上目標・利益目標があって、そのためにサービスを改善するというようにやっていましたが、GPは逆。個人に対する思いの強さが、売上や利益アップにつながっている。

それに働き方もすごく好きですね。制度も整っていますが、それ以前に、新しいものを受け入れる力が社員みんなすごくあるから、本当の意味での「働き方改革」ができている。

フリーアドレスやフルフレックスは制度としてある企業も多いですが、ここまで浸透している企業は少ないのでは?本当に毎日みんな違う席に座っているんですよ!

それでいて、組織としてバラバラになっているわけでもなく、チームも強い。2年前までネクタイ締めて朝礼やっていた会社が、たった2年でここまで変われるって、人間力のある人たちの集まりなんだなあと思います。

”福祉”ではなく、”ビジネス”で障がい者雇用の課題を解決していく

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▲ミッションに掲げている「社会問題を”ビジネスで”解決する」ことにコミットしているーーそう語る森田

私個人としては、障がい者雇用について、究極のところ、“マッチング”は必要ないと思っています。精神障がい者への偏見の強い時代でも、交流会で実際に会ってもらえればすぐに採用が決まるという前例があるように、情報と機会さえ与えれば企業と当事者間で自然とマッチングは起きると思っているんです。

エージェントサービスでは、ひとりがマッチングできる数に限りがありますよね。その点求人メディアでは、バイアスの入らない情報と機会が企業と候補者両方にたくさん与えられる。そのことで、より多くの人に働く場所とキャリアアップのチャンスを提供できるはずです。

そしてマッチングの難しい人や企業については、法人営業やキャリアアドバイザーのきめ細やかな対応でカバーするような構図になっていくといいなと思っています。そんな思いをこめて、2019年には新しい求人メディアをローンチする予定です。

そしてもうひとつ目指したいのが、やっぱり“シェアNo.1”なんですよね。実はGPは2017年度、障がい者の人材紹介サービスシェアNo.1の立ち位置を奪われてしまっています。

シェアNo.1を目指すためには、ノウハウをチームで共有することが重要。

上期にMVPをとった若手社員が、自分がMVPになれた理由について社内SNSにあげていたのですが、本当にすごく良い動きだと思いました。というのも、人材業界全般的に言える傾向として、「ノウハウが属人的になっている」という課題があるんです。実際に私自身も、前職にいた当時は“属人の象徴”でした(笑)。

この反省を糧に、プロセスをシンプルにマニュアル化してみたところ、誰でもすぐに基本となる仕事を覚えられるようになりました。

GPでは、一人ひとりにものすごいスキルや経験の蓄積がある。それをどんどん言語化してノウハウ共有を進めることで、それぞれの個性が少しでも早く活かせるような体制をつくりたいと思っています。

「目の前にいる困っている障がい者を助けたい」という思いだけでは”福祉”になってしまう。GPは株式会社として創業し、「社会問題を”ビジネスで”解決する」というミッションを掲げているので、あくまでビジネスとしてコミットしていかないといけません。

そして、社会問題解決のためには、インパクトの大きさも重要だと思っています。だからこそ、シェアNo.1はもう一度目指したい。

目の前のお客様一人ひとりに向き合うことも大切にしながら、常に「自分たちは障がい者雇用という社会問題を解決しているか?」ということを自問自答しながら、これからも邁進していきたいと思います。

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