地域パートナーとの協働で、九州をもっと面白く。人と街とビルをつなぐリノベーション

玄海キャピタルマネジメントでは、不動産投資を通じて、福岡をはじめとする地方都市を活性化させることを目指しています。その取り組みの試金石となったのが「8-bit AKASAKA Renovation project」。今回は、まちづくりに携わるクリエーターと協働した開発背景をご紹介します。
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不動産ストックの活用で、地域活性化を目指す

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▲株式会社DMXの長谷川繁さん(左)と、福岡事業部長の原昌康(右)

2015年、玄海キャピタルマネジメントは、九州にアイデンティティを持つ企業として自分たちの仕事を見つめ直すとともに、新たなテーマへの挑戦をはじめていました。

その挑戦とは、地域コミュニティとの協調性や発信力の強い地域パートナーと協働して、建物などのハード面に手を加えていくバリューアップ案件のプロジェクト化です。

当時、地方の不動産業界においては「空きビル」「空き店舗」などの未利用不動産ストックが増加し、これを活用することが地域活性化の命題になっていました。

またシェアリングエコノミーやパラレルキャリアなど、新たなビジネス概念が生まれ、不動産をよりソフトから考える視点が必要になりました。そのため、これまでの不動産ファンドビジネス的思考からの成長が求められていました。

通常、私たちは不動産収支とその蓋然性を確認し、投資ストラクチャーを検討し、金融商品化していくというプロセスでプロジェクトを形成していきます。

しかし、今回は「空きビル」「空き店舗」などの未利用ストックを活用するさまざまな手法を検討するために、地域経済に的確に対応した需要を掘り起こし、潜在的な利用者ニーズを捉え、不動産ポテンシャルを最大化することを目標に設定しました。

そんな中、バリューアップに適した案件が持ち込まれたのです。

潜在的なニーズを捉えた、唯一無二のリノベーション

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▲8-bit AKASAKA 5 階住居区画の一室。フローリングには、福岡の自然と気候で育った八女の杉材を使用した

対象の物件は、1987年に建築された5階建て複合ビル。福岡市内を走る地下鉄空港線・赤坂駅から徒歩1分という好立地にあるものの、空室が多く、老朽化も進んでいました。

福岡事業部長の原昌康は、地域における不動産ポテンシャルの最大化により注力したいと考えて、企画開発に乗り出しました。

原 「この場所で必要とされる不動産用途はどんなものか? 現在の建物利用状況から最適化を行なうとしたら? そのプロセスと収支は? そもそもこのビルはどんな歴史だったのか、ということを調査、議論し、投資コスト・事業収支・リーシングストーリーを検討していきました」

その際、相談に乗っていただいたのが、株式会社DMXの長谷川繁さんです。DMXは不動産・建築のクリエイティブデベロッパーとして、「未来の文化をつくる」をミッションに、「福岡R不動産」などのさまざまな事業を展開しています。ものづくりに熱意があり、企画からテナント誘致まで総合的なプロデュースを行なっていることから、地域パートナーとしての協働を打診しました。

長谷川 「自分たちが仕事をするうえで大切にしているのが、協働する企業の考え方や思いに共感・同調できることです。今回のプロジェクトでは、未利用不動産ストックに付加価値を創造することと、事業性を両立させることが、最も重要なポイントになると考えました」

そこで、いち早く取り組んだのが、エリアのマーケットとニーズの分析です。ビル周辺を朝昼晩歩くなど、客観的な市場調査も行ないました。その結果、提案されたのが、共用部の改修とビル4〜5階部分・計8区画のリノベーションでした。

長谷川 「当時は空室が多く、街とビルのつながりが遮断されかけていました。ビルの付加価値を上げて、人を呼び戻せば、もう一度街に明かりが灯る。すると、結果的に街にとってもこのビルが再生された意味が出てくると考えたんです。
プランニングについては、もともと駅近の好立地なので、1〜3階のテナント区画は、ビルのイメージが変わればある程度の需要が見込めるという想定がありました。そこで、4〜5階の住居区画を重点的にリノベーションしながら、外装を改修してビル全体をイメージチェンジすることを提案しました」

ビルの方向性を決定づけたアイデアが、もともと8区画あった住居のうち4区画をスモールオフィスへコンバージョンすること。これは、起業スピリッツを持つ県民性に合わせて、入居者のマッチングの幅を広げるとともに、事業性を高めることも意識しての提案でした。

原 「設備やスペックで競争しても新築物件にはかなわないので、ここだけの商品をつくることに注力していただきました。そこで、各部屋の内装についても、入居希望者に訴求できるようなDMXチームのさまざまな工夫やアイデアを具現化しました」

満室御礼。街とのつながりを取り戻し、新たなステージへ

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▲リニューアルされた建物のファサード

こうして、従来の構造と間取りはそのままに、8区画それぞれが趣の異なる内装に一新。リノベーションならではの個性豊かな空間に生まれ変わったビルは、「8-bit AKASAKA(エイト-ビット アカサカ)」と名付けられました。

8-bit AKASAKAの大きなアピールポイントのひとつとして、福岡県産の“八女杉”を内装の一部に用いたことがあります。福岡の自然と風土に育まれた八女杉を使用することは、入居者に訴求するアプローチになり、ビルのブランディングにも寄与すると考え、採用されたアイデアでした。

そして、ほかにもたくさんの工夫と思いをこめられたビルは、2016年12月、リスタートしたのです。

原 「実際に入居者を募集したところ、次々と入居の申し込みを頂戴し、想定よりも早く満室稼働の状態となりました。また、事業収支についても投資コストと収入のバランスが取れ、内容・利益ともに満足度の高いプロジェクトになりました」

これは地域の賃貸マーケットを知り尽くす長谷川さんが、適切な賃料を踏まえてコストを算出し、リーシングに強いタイミングで募集がかけられるように工期を計画したからこそ得られた結果でした。

長谷川 「8-bitが入居者にとって飛躍の場になったり、幸福な思い出と思い入れのある場所になったりすればいいなと考えながら、プランニングしました。
今後もストックビルはどんどん増えていきます。今回のプロジェクトを通じて、クラッシュ&ビルドが多い地域だからこそ、ストックビルでもこのような新しい価値を生み出せることをもっと広めていきたいと思いました。それが街に明かりをともし、魅力的な場をつくることにもつながるのではないでしょうか」

九州の面白さを具現化し、九州への投資を促進させたい

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バリューアップそのものは決して新しいビジネスではありませんが、企業カルチャーの異なる地域パートナーとの協働は、これまでにない新たな気づきを私たちにもたらしてくれました。

原 「不動産金融業界は、そこに住む人・事業をする人・消費する人など、利用する人がいて成立する仕事であることを改めて認識しました。またそういったことに再度注目してビジネスを構築していくことで、まだまだ面白いことが九州でできると感じましたね」

九州にいながら、不動産ビジネスでその面白さを具現化し、それを海外や東京などに発信して、九州への投資を促進させること。それが私たちの使命です。

今後は「8-bit AKASAKA Renovation project」の経験を生かして、九州での不動産再生ファンドへの展開を考えています。福岡そして九州は、まだまだ面白くなるーー。原をはじめ、メンバーの挑戦は今も続いています。

■8-bit AKASAKA Renovation project
http://www.dmx-j.com/8-bitakasaka/

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