薬剤師の働きを数値化して評価していく――スマート薬歴「GooCo」の新たな挑戦

医薬品業界や薬剤師、患者のサポートを手がける株式会社グッドサイクルシステム。薬局やドラッグストア向けのスマート薬歴「GooCo」を中心に、順調に事業を拡大しています。今回は薬局業界に新しい風を吹き込むべくリリースしたGooCoのサービス機能について、代表の遠藤朝朗が語ります。
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薬剤師の働き方を変える、スマート薬歴GooCo(グーコ)

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▲代表を務める遠藤朝朗

スマート薬歴GooCo。電子薬歴というと、一般の人には聞きなじみのない言葉かもしれません。しかしながら、電子薬歴は薬剤師が行なう調剤や服薬指導の内容を記録する薬剤服用歴の管理において欠かせないツールとなっています。

弊社の主力サービスであるGooCoは、2012年のリリース以来、多くの薬局で採用されており、iPadを使った電子薬歴では高いシェアを誇っていると自負しています。

これまで弊社が開発したパソコン版薬歴の実績を継承しつつ、持ち歩けるというiPadの特長を活かし、患者さんのそばで使え、紙の時代でやっていたことをより簡単に実現できるシステムです。在宅訪問指導や24時間対応など、かかりつけ業務の導入によってますます忙しくなる薬剤師にとって、使い勝手のよさというのは大切なポイントですからね。

医薬業界では2年に一度、大掛かりな診療報酬・調剤報酬改定があります。その際にはGooCoもシステムを一斉にアップデートさせなければいけません。アップデートに加え内部的なメンテナンスが必要なこともあり、常に最新の技術と薬局からのニーズを追求していく必要があります。

今回の診療報酬改定対応で私たちが新たに開発したのが「薬歴マネジメント機能」です。このマネジメント機能とは、全店薬歴未入力チェックや薬剤師別に服薬指導数を数値化できるようにしたものです。

まず今回新たに薬歴マネジメント機能を開発しようという話になったのは、チェーン薬局のガバナンスの問題があったからです。複数店舗を運営しているチェーン薬局は、一店舗あたりの薬剤師が多くて一人ひとりの業務内容に目が行き届かず、薬歴がきちんと書かれていないという問題がありました。

当然ながら、薬歴の記載は今回の診療報酬改定以前から必須条件になっています。過去には17万件の未記載が発覚し、社会的な問題になったのは、業界関係者なら記憶に新しいと思います。

店舗ごとに記入漏れをチェックするようなシステムはあるかもしれませんが、今までは紙に記載していたことが多かったため管理も甘く、未記載や内容的に不足があっても確認ができませんでした。研修でしっかりやりなさいと言われても、ほかの業務に追われてつい後回しにしてしまい、いつの間にか未記載分が溜まってしまった、という具合です。

それに、いざチェックしようとしても一枚一枚紙をめくったり、電子薬歴の画面を一人ひとり見たりするのは現実的ではありません。全店舗一括でクラウド管理した方が圧倒的に効率的です。そういった要望に応えたいという想いから開発に着手しました。

薬剤師をきちんと評価すれば、いい人材が集まる

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開発にあたっては、今後の薬局経営の方向性や診療報酬の改定の流れを考えて、これらを盛り込みつつ薬剤師の成果を測れるようなものにしようと考えました。

具体的にいうと、薬歴マネジメントシステム機能の導入によって、経営者(評価する立場の人間)がその場にいなくても薬剤師一人ひとりの仕事量や内容をある程度わかることができるようにしたんです。そうすることで薬剤師の行動ログが残り、それをもとに薬剤師を評価することへとつながっていきます。

量から質を求められる時代へ、業界は大きくシフトチェンジしています。

そのためには、薬剤師としてやるべき副作用のチェックや必要な疑義照会、服薬指導など調剤業務以外の部分をきちんと評価できるようにしないと業界全体の水準アップにならないかなと。旧来の調剤だけやっているような薬剤師と、患者さんの話を親身に聞いて丁寧な対応をしている薬剤師とでは評価に差をつけるべきだと思ったんです。

真面目に取り組んでいる薬剤師を評価できる(評価制度や給与制度をつくれる)薬局には、いい薬剤師が集まります。それに、よい人材を採用したいという願いは何も薬局業界に限ったことではなく、どの業界を見渡しても尽きない悩みです。

薬局の経営者に悩みを尋ねると「薬剤師が足りない」とよく言われます。でもリクルーティングの部分だけに力を入れるだけでは厳しい部分もあります。入社後の評価体系がしっかりしていないと、せっかくいい人材が入社しても不満を感じて退職してしまうことも少なくありません。

今まではひと口に薬剤師の評価といっても、薬剤師の成果を数値化できなかったんです。薬歴マネジメント機能に残った行動ログがすべてその人の評価につながるわけではないけれど、少なくとも不公平感をなくすひとつの指標になるはずです。

新たなGooCoは、薬剤師の人気バロメーターにもなる!?

さらに薬剤師の評価の部分に関しては、新たに二次開発で入れようと思っている機能もあります。

考えているのは、とある薬剤師が担当する慢性疾患の患者さんの、薬局来訪の継続率を数値化する機能です。慢性疾患の患者さんは、自覚症状があまりないため継続して薬を受け取りに来なくなることが多いんです。

でも、薬剤師の服薬指導によって患者さんの薬に対する理解度を高めることができれば、患者さんが定期的に薬を受け取りにくることにつながるんじゃないかなとーー。

初回にこの薬剤師が指導すると継続率も上がっているということであれば、患者さんにとっても飲むべき薬をきちんと飲んでいることになり、続けることで病気の進行予防につながっていくことが立証されます。さらには、薬局も医療機関も患者さんをきちんと診ることができ、三者が幸せな関係を築けますね。

私自身、服薬指導をした場合とそうでない場合との来訪継続率を比較したことがあり、結果は服薬指導をした方が明らかに高かったんです。薬剤師による服薬指導があったからこそ患者さんが継続して通っていると言えるので、そこはきちんと評価すべきだと思います。しかし、継続率とひと口に言ってもその指標の算出方法は簡単ではなく、まだまだ問題が山積みです。

ただ薬を調合するだけといった従来通りの薬剤師ではなく、「どうして薬剤師が存在するのか? 」「患者にとって最善の行動は何なのか?」

新たなGooCoが目指すのは、今までの役割に加え、薬歴を通じた人材マネジメントの発展です。これからの薬局や薬剤師には、選んでもらうための付加価値が必要不可欠だと考えています。

家族を連れて行きたいと思える薬局づくりをサポートするのが我々の役割

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高齢化が本格化した日本では、薬剤師の果たす役割は、今後ますます大きくなっていきます。国策による医薬分業により、保険薬局は1990年代以降大きく店舗数を増やしました。さらに、2015年の「患者のための薬局ビジョン」は、重視すべきものが「モノから人」へと変わるターニングポイントだったと言えます。

これまでの薬局システムは在庫や調剤支援など、どちらかというと「モノ」の管理を担うものがほとんどでした。これからの薬局の財産は「人」になります。人材の適正管理=薬剤師を適正に評価していく仕組みが求められていると考えています。

そうした中で薬歴データの利活用はずっと言われていたこと。それが2018年の改定を受けて、グッと本格化して来たように感じます。

薬歴データは薬剤師の評価にも活かせるはずです。社内でも公平さを重視するべく定量データを導入したのが、人事評価の部分です。公平な人事評価の数値の目安として、定量的な数字は大切です。

経営者や上司、同僚や部下、後輩、そして自分自身ーーそれぞれの評価に感情が入った結果、客観性が欠け、ギャップが発生するケースは多々あります。

評価面談の際に感情が入ると公平な判断にはなりません。もし私が薬局の経営者だったら、客観的な判断の材料として選ぶのは数字だと思うんです。マネジメント機能による指標をどんどん増やしていって、評価に不満を言ってきた薬剤師に対しては「診療報酬の点数も少ないし、かかりつけ薬剤師としての在宅医療や服薬指導も少ないでしょ?」と言えた方がよっぽど公平な査定だと思います。

薬歴マネジメント機能を加えたGooCoが今後の薬剤師としてのあり方を考えたとき、それが正解かどうかはまだわかりません。システムは、使う人あってこそのもの。ローンチしたからといって慢心せず、時代の流れに応じて軌道修正していくことが大切でしょう。

家族を連れて行きたいと思える薬局づくりをサポートするのがわれわれの役割です。このシステムが「薬剤師の正当な評価をしていきたい」という薬局をサポートするための新しい大きな一歩になったら、嬉しいですね。

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