モノからヒトへ──変わる薬剤師の役割と電子薬歴システム

静岡県を中心に展開する、わかくさ薬局グループ。患者中心のサービス提供実現のため、GooCoの導入を決めました。わかくさ薬局グループの髙橋千恵子氏(代表取締役)、髙橋健二氏(専務取締役)、西垣満氏(システム統括室 室長)、鵜飼淳氏(管理薬剤師)に話を聞きました。
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こだわりのあった紙薬歴以上の電子薬歴を求めて

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わかくさ薬局グループは静岡県中心に22店舗の調剤薬局を展開しています。従業員数はパート含め約170名、そのうち約70名が薬剤師です。創業は1983年。藤枝市に1店舗目を開局して以来、会社から独立した薬剤師とも連携を取り、グループを拡大してきました。

グッドサイクルシステムの電子薬歴GooCoを導入したのは、今から4年ほど前です。長年改善を重ね、こだわりのある運用をしていた紙薬歴と同水準の電子薬歴を待っていたと、薬歴システム総括室の西垣満氏は話します。

西垣氏 「医療機器の展示会に行ったりメーカーのプレゼンを聞いたり、システム担当として随分前から情報収集を行ってきました。しかし、当時運用していた紙薬歴のクオリティに達する製品とは出会えずにいました。薬剤師の日常業務に耐えられる、紙薬歴以上のメリットがあると思えたのは GooCoが初めてでした」

導入に至る大きな要因となったのは、キーボードでなくタブレットで入力ができるということです。

西垣氏 「 PC版電子薬歴の場合はキーボード入力のため、画面ばかり見て患者さんとのコミュニケーションがおろそかになってしまいます。医師が PC画面ばかり見て、一度も顔を見てくれないという不満を患者さんから聞いていましたので、キーボードなしで入力できるというのが導入のための必須条件でした。GooCoはその条件をクリアしていました」

電子薬歴導入を検討していたのと同じタイミングで、わかくさ薬局グループは在宅訪問に力を入れるようになっていました。持ち運びができ訪問先で薬歴の記録ができることも、導入の決め手になりました。在宅訪問の業務効率化にGooCoが大きく貢献していると専務取締役の髙橋健二氏は言います。

髙橋(健)氏 「昨年 1年間にわかくさ薬局グループは約 1万回の在宅訪問を実施しました。施設訪問の場合は、1度に 50名単位を診ることもあり紙薬歴の対応では厳しい面もありました。GooCoは訪問先で服薬指導しながら記録も終えられますし、担当者間の引継ぎも簡単。業務支援ソフトも含めて実業務の負担がかなり軽減されたと思います」

自由度高いシステムが薬剤師を育てる

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わかくさ薬局グループでは、電子薬歴の導入にあたって薬剤師の利用実態に合わせて、カスタマイズを施しました。管理薬剤師の鵜飼(うがい)淳氏がそのカスタマイズ内容について説明します。

鵜飼氏 「 GooCoのデフォルト仕様では、患者さんから聞き取った情報を書くスペースが複数に分かれていました。そこで、ひとつの箇所にまとめて入力ができるよう、レイアウトと必要項目をオリジナルで設定してもらうことにしました。
社内で変更の要件を決めるのに少し時間がかかりましたが、グッドサイクルシステムに依頼をした後はスムーズにカスタマイズが進みました」

わかくさ薬局グループ内では年2回のペースで薬歴の運用に関する検討会議を実施。法律の改定に合わせ加算要件を満たす運用ができているか、チェックもしています。また、サポート面においてもユーザーマニュアルをつくったり新卒向けの研修を行ったりと、組織一体となり薬歴記録の質の標準化に取り組んでいます。

西垣氏 「さまざまな電子薬歴の中でも GooCoは入力の自由度の高いシステムです。最近は、サジェスチョン機能が充実し、チェック式で薬歴の記録ができるシステムもあると聞きます。
しかし、それではシステム任せで薬剤師のスキル向上が見込めません。私たちは自由度の高い GooCoで薬歴を書けるような薬剤師でありたいですし、そのための教育体制も整えるようにしています」

代表取締役の髙橋千恵子氏は、さらにこう続けます。

髙橋(千)氏 「薬歴は患者さんの情報を共有するツールであると同時に、保険算定の根拠となる資料でもあります。その両方にしっかりと対応できるようにしたいです」

日々検討を重ね電子薬歴の運用力を着実に高めている、わかくさ薬局グループ。それは患者さんのための薬局でありたい、という創業から変わらない理念の実現のためです。

髙橋(千)氏 「今後、正確な調剤だけでなく、患者さんとのコミュニケーションがいっそう薬局に求められるようになります。そういう意味でも GooCoで省力化できることは省力化し、その分、患者さんとの対面業務にしっかりと時間を取れるようにしたいです」

投薬後のフォローをもっと手厚く

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モノからヒトへ──。薬剤師に求められることが変わりつつある中で、グッドサイクルシステムやGooCoに期待したいことはどんなことなのでしょうか。皆さんに聞いてみました。

髙橋(健)氏 「たとえば、私たちは吸入薬をお渡しした 3日後に問題なく使えているか、効果が出ているか、事前に許可をとった上で電話で投薬後フォローのヒアリングをしています。今は、薬剤師がカレンダーにメモして予定管理をしていますが、GooCo側で管理してアラートしてもらえるようなしくみができるといいなと思います」

2019年現在、ひとりの薬剤師が実施する月あたりの事後フォローの件数は10件程度です。しかし、これから薬機法が改正され「継続的な服薬状況の把握・指導と記録」が義務づけられます。

グッドサイクルシステムはこうした要望を受けて、GooCo側で投薬後フォローの設定ができる新しい機能を開発中です。処方箋を受け付け、患者の記録をするときに設定することで、次回の電話のタイミングをToDoとして管理したり、患者のスマホに自動的に情報発信をしたり、フィードバックを受けられるようなしくみです。

一方、薬の相談業務の質を高めるサポートに関する要望もありました。

西垣氏 「お医者さんに直接相談するのは気がひけると言うので、『薬を飲んでも症状が良くならない』、『 1カ月飲んでいるが、継続すべきなのか』などといった相談を窓口で受けることがよくあります。
それに対して、治療ガイドラインと照らし合わせて、先々の治療の展望をお伝えしています。見通しがわかると患者さんも安心してくださります。参照する治療ガイドラインは改定頻度が高く検索が大変なので、GooCo内で傷病名から治療ガイドラインを見るというような使い方もできたらいいなとも思います」

そうしたケースが増えれば、薬剤師と患者が最初にしっかりと話し、医療機関と連携を取り処方箋を見直す、調剤するという“先確認”の重要性も高まると、高橋(健)氏はつけ加えます。

頼れる地域の薬局になるために

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今、わかくさ薬局グループが組織的に取り組んでいるのが、地域のかかりつけ薬局としての機能強化です。

髙橋(千)氏 「病気や健康のことを相談したいときに一番身近な存在が薬局。医師には相談できないことも薬局では気軽に相談ができます。
また、受け身になるのではなく、認知症の方が徘徊しているといったときに、こちらから声をかけて保護ができたり、関係組織と連携できたりするような、地域の健康ステーションを目指したいです。そして、患者さんのことをより良く理解して、患者さんの要求に応えられる存在になりたいですね」

具体的に、薬局に相談に来た患者さんに対しては症状に関してヒアリングした上で、OTC薬の提案や適した医療機関の情報提供、場合によっては紹介状を出します。地域の医療事情に精通する薬剤師ならではの情報提供が、患者さんとの信頼関係を高める要素として欠かせないものだからです。

この取り組みが奏功し、かかりつけ薬局として認識してもらい、医院単位ではなくて患者さん単位で引き受けることができるようになりつつあると言います。

こうした地域に根差した活動の一方で、特定分野の専門知識を持つプロフェッショナル薬剤師の存在もわかくさ薬局グループのもうひとつの強みです。

髙橋(千)氏 「薬剤師それぞれの興味・関心に応じて専門的な知識を高めようと、たとえば、リウマチ財団登録薬剤師・公認スポーツファーマシストといったような資格を取ってもらえるようにしています。
最近では、各分野のエキスパートがそろってきており、店舗間を超えて、グループ全体で知識の共有ができるようになってきました。
これからは、ますます薬局や薬剤師の在り方は変わってくると思います。患者さんのための薬局という基本姿勢は変えずに、変化に対してどう対応するのか。GooCoの活用もそのひとつですが、薬剤師として何ができるのかを考え続けたいと思っています」

改善とチャンレジを重ねて。わかくさ薬局グループの薬局経営は変化のただ中にある薬局のメルクマールとなっています。

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