温泉施設の隣で “ほっこり”できる薬局を

▲「はなのゆ薬局」代表の吉脇 茜さん

鹿児島市の郊外にある「はなのゆ薬局」。

代表を務める吉脇さんは病院やドラックストアで薬剤師として経験を積み、2018年12月に同薬局をオープンしました。前職の調剤薬局勤務時代に、温泉大国・鹿児島の立地を生かした健康法を広めたいと一念発起して取った、温泉ソムリエの資格が縁となって、公衆浴場の脇に薬局を構えたのだといいます。

今、「はなのゆ薬局」は、目の前にある診療所から遠方を含めて136医療機関からの処方箋に対応。希少疾患から生活習慣病まで、扱う疾患も多岐にわたります。カフェのような院内はリラックスした雰囲気ですが、投薬カウンターまで車いすが通れるようなユニバーサルな設計です。

また、一つひとつ手づくりのお薬手帳ケースや認知症予防のためのワークブックも置くなど工夫をこらしています。

それだけではありません。隣の公衆浴場内の集会スペースで健康教室を開いたり、温泉ツアーを主催したりと、患者さんや地域の人と交流も積極的に行っています。そうした努力のかいもあり「はなのゆ薬局」には、処方箋のあるなしに関わらず、毎日のように患者さんが雑談にやってきます。

吉脇さん 「中には、1日に3回、顔を見せにきてくれる患者さんもいますよ。郵便物を取ってきてくれたり、薬局前の花壇を整えてくれたりもします。

処方箋がなくても立ち寄れ、“ほっこり“できる憩いの場になればと。そうした患者さんとの何気ない会話が、薬が効いているかどうか、副作用が出ていないかどうかをチェックにもなりますしね」

患者さんとのつながりが、仕事のやりがいにつながっていると言う吉脇さん。自分ができることであれば、なんでもやる方針で、ときには美容院に行けない患者さんのため訪問美容の美容師さんを仲介することもあるそうです。

「患者さんのためにできること」を、ひとつ、またひとつと地道に増やしているのが「はなのゆ薬局」の魅力です。

一覧性優れるデスクトップでGooCo

▲車いすにも配慮した投薬カウンター

調剤・服薬指導を長年経験してきた吉脇さん。「はなのゆ薬局」の電子薬歴を選定するにあたっては、学会の展示ブースをまわって、たくさんの電子薬歴を試しました。そうして、最も使いやすかったGooCoの購入を決めました。

今、「はなのゆ薬局」では、大画面のデスクトップPCでGooCoを利用。サマリ・今回処方・監査情報・指導歴といった、患者さんの情報をひと画面で把握することができて便利だと吉脇さんは言います。

吉脇さん 「時間がなく、急いでいる患者さんにとってはスピーディな投薬というのもひとつのサービスになります。

GooCoは、チェックする項目や重要な情報を一目でチェックできるので、処方箋の受付けから、投薬までを効率的に進めることができますね。併用禁忌や注意の薬が色分けされているのもいいです。スピードを損なわず、的確な服薬指導をするのに役立っています」

薬歴には症状や薬のことだけでなく、患者さんと会話した内容も細かくメモするようにしています。

吉脇さん 「基礎的な記録はもちろんですが、“患者背景“の項目を充実させるようにしているんです。

厚生労働省の個別指導の際にも表紙の充実ということも言われていますよね。家族構成や家族歴などを知っておくことが、お薬の指導や副作用のキャッチにも有効です」

在宅対応では、患者さんとのコミュニケーションだけでなく、医師や看護師、ヘルパーなど多職種間での連携が必要になります。そうした際は、GooCoの報告書の作成機能が役に立っています。

吉脇さん 「在宅患者さんの場合は処方病院が複数あり、担当のケアマネさんや訪問看護師さんもバラバラ。

そういった複雑な情報を整理して把握するのにもGooCoの存在は大きいんですよ。トレーシングレポート(服薬情報提供書)のフォーマットがあるのも気が利いていると思いますね」

カスタマーサポートやアフターフォローが充実している点も、グッドサイクルシステムならではの魅力と吉脇さんは評価しています。

整理収納アドバイスからLINEでの健康相談まで

▲「GooCoといえばiPadかもしれませんが、私はデスクトップ派」と笑う吉脇さん

実は吉脇さんは薬剤師のほかにも、温泉ソムリエ、ほめる達人、整理収納アドバイザーといったいくつもの顔を持っています。どんなことがきっかけで資格を取るようになっていったのでしょうか?

吉脇さん 「残薬がいっぱいある患者さんのご自宅は、散らかっていることも多いことに気が付いたんです。訪問した際に、服薬の管理はもちろん、整理収納のアドバイスができたらいいなと思って、勉強を始めました」

患者さんの治療意欲を高めようと「ほめる技術」の習得にも乗り出しました。

吉脇さん 「『ほめる達人』も、薬の指導だけでなくてもっと何かできないかと思ったのがきっかけです。たとえば、生活習慣病などは、患者さん自らが治療意欲を持ってもらうことが重要ですが、そういった場合“ほめる“ことが有効なんです。

誰でも、ほめられたら、もっと頑張ろうと思いますよね。ほめるときに意識するといいのは“サ行“です。“さすが!“、”信じられない“、”すごい“、”センスありますね“、”そうなんですね“のフレーズを会話に織り交ぜるといいんですよ」

吉脇さんの工夫はそれだけではありません。「はなのゆ薬局」では、院内だけでなくオンラインでも患者さんとつながりを保てるようLINEアカウントを開設。処方箋の事前受付や、日常的な健康相談をLINEで受け付けています。

また、服薬後のフォローもLINEを通じて行っています。「はなのゆ薬局」の薬剤師は吉脇さんひとり。ですが、ツールの導入で効率的に業務を行っています。

吉脇さん 「処方箋を撮影して送ってもらうことで、待ち時間なくお薬をお渡しできるようにしています。

このLINEのアカウントは、患者さんだけでなく、ヘルパーさんや訪問看護師さんとのやり取りにも活用し、密なコミュニケーションに役立っていますね」

FacebookInstagramでの発信もしています。イベントの告知やちょっとためになる健康情報などを発信し、治療中だけでなく、日ごろから薬局と関われるような接点として、SNSを活用しています。

“笑顔”“愛嬌”“よかぶらない”をモットーに

▲Instagramで日々の活動も発信中!

思いついたことは、なんでもやってみる。これまでの薬剤像に縛られない運営をしている「はなのゆ薬局」ですが、一方で、それは危機感の裏返しでもあると吉脇さんは話します。

厚生労働省がまとめた最新の薬局数は5万9000軒。これはコンビニの数よりも多いと言われています。「はなのゆ薬局」も例外ではなく、近隣の調剤薬局との競争を繰り広げてるのです。

吉脇さん 「薬を出しているだけでは、薬局として生き残れません。患者さんから選ばれる薬局でないとダメなんです。では、どうしたら選んでもらえるのか。

私が患者さんの立場だったとしたら、自分のために一生懸命になってくれる薬局に通いたいと思います。だから私も患者さんと接するときには、親身に患者さんの声に耳をかたむけ、一人ひとりにホスピタリティをもって接していますね」

こうした吉脇さんの患者ファーストの姿勢が伝わり、今ではわざわざ指宿など鹿児島市外からも患者さんがやってくるようになっています。また、ひとりの患者さんがファンになってくれ、その患者さんの家族を紹介してくれることも増えているそうです。

声を掛けられれば、自ら地元の中学や高校でもキャリアのことや健康のことを話しに行きます。いざとなったときに頼れる薬局として、少しでも多くの人に「はなのゆ薬局」のことを知ってもらいたいと思っているからです。

吉脇さん 「どんな薬剤師も思っていることですが、患者さんや患者さんのご家族、さらに患者さんを支えるヘルパーさんや施設の方、薬局に関わるすべての方が笑顔になるような関係をつくっていければとは常々思っています。

ただ、『雑談だけでなく処方箋を持ってきて(笑)』なんて、思うのは冗談ですが……。地域の皆さんに頼られる薬局になれたら、嬉しいですね」

「笑顔」、「愛嬌」、「よかぶらない(鹿児島弁で、上から目線にならないという意味)」をモットーに、吉脇さんは今日も患者さんと向き合っています。